今日は快適な行程になりそうだとほくほく顔の二人であった。
さて、舟屋めぐりの船に乗るべく、日出桟橋に到着。AM9:00であ
る。休憩所のおばさんから切符を買いがてら、何時に出発するのかを
聞いたら、いっぱいになったら出発すると言う。いいかげんなもので
ある。
船の中では、カモメの餌と称してかっぱえびせんが二袋20円で売られ
ていた。いいかげんなものである。ある程度人が乗ると舟屋めぐりの
船「カモメ8号」は出航した。
スピーカーからは美しい声のおねえさん(もちろんテープ)の案内が
されていた。私はとにかく撮影に夢中。てらちゃんは潮風に吹かれ自
分に酔っていた。(船酔いには強いらしい)
海から見る舟屋集落は美しい。まさに舟を愛する漁師が生んだ町であ
る。波止場では釣人たちが糸をたれ、漁協の漁師達は総動員で網を洗
っていた。
テープのガイドさんは伊根の歴史、舟屋の特徴を説明。青島と呼ばれ
る島に昔の舟屋の復元されたものが一件あった。
船の船長さんがいきなりかっぱえびせんを蒔始めた。すると、かもめ
があちこちに飛び回り、かっぱえびせんをがっついた。かっぱえびせ
んの味を知ってしまったかもめは少し太っているようだか気のせいか。
日出桟橋に戻ると、早速土産物コーナーで丹後半島のガイドブックを
購入。アイスクリームをほおばっての情報収集であった。てらちゃん
がめざとく見つけたのは「伊根シーサイド温泉パラダイス健康センタ
ー・クア」という長ったらしい名前の温泉。午後7時までの営業。彼
はぜひ入りたいと言い張った。とんでもない、私の今回の目的は撮影。
伊根の夕景はぜひ、押さえたいとダダをこねた。しかし、今回のゲス
トは彼なので結局譲ることにした。
ガイドブックに舟屋の里公園というのがあったので、まず、そこへ行
く。舟屋の里公園は伊根湾を一望できる公園である。展望できる一番良い
場所にレストハウスがある。レストラン、割烹、喫茶、土産物屋、そ
して観光協会事務所。やたら小奇麗で伊根にはあまりなじまない。二
人とも不満タラタラ。でも、伊根港の大パノラマには大満足であった。
まず、土産物屋を物色。もう、これでもかというぐらいの「ええにょ
ぼ」づくしであった。壁にはええにょぼの出演者のサイン入り色紙と
ポスターがずらり。清酒「ええにょぼ」もあった。思わず買ってしま
ったが、放送が終わっても伊根のええにょぼパワーは当分衰えること
はないであろう。
その後、観光協会へ行き、近辺にキャンプ場はないかと尋ねた。回答
はノー!!伊根は全面テントは禁止だそうだ。では、今朝、波止場で
テントを張っていた釣人はどうなるのだろう。
事務所の人は隣の弥栄(やさか)!RB>町のスイス村へ行ってくれと言う。
早速、スイス村へ問い合わせた。場所は早いもの勝ち、夕方5時まで
に入り、手続きをしてくれという。温泉も入らなくてはならないので
先に行って場所を取ることにした。
スイス村は太鼓山の中腹、丹後半
島のド真ん中である。少々不安はあったがとにかく行け行け!である。
山をどんどん登って行く。民家がなくなってきた。まあ、山道なんて
こんなもんだろう。道が狭くなってきた。定番だね。砂利道だ。こん
なもんだ。草がぼうぼう。何か変だぞ。シダが茂ってきた。やっぱり
変だ。途中で車を止め、辺りをみる。どうやら道に迷ったみたいだ。
どう考えても変だ。スイス村へ行くのに何でこんな密林なんだ?
てらちゃんはコンパクトカメラで記念撮影をのんきにしていた。とり
あえず進んでみた。
すると、突然ガリガリ!!と激しい音が車の底からした。しまった!
車の下を岩で擦ってしまった!もう、これ以上進めない!慌てて、U
ターンをし、脱出。ようやく、難を逃れた。が、今度は霧が!もう、
霧はこりごりである。私は雨男ではなく、本当は霧男なのかもしれな
い。ブーブー言っている二人の目の前に、いきなり霧の大草原が見え
た。死に目(?)を見た二人の前に現われたパラダイスというとこか。
ここは碇高原総合牧場。一面牧草の風景は何とも言えなかった。(写
真を撮れなかったのは残念。これもドライバーの宿命?)
牧場を抜けて、丹後縦貫林道をしばらく行くと、スイス村の到着であ
る。
私は、スイス風の建物がいっぱいあって、マッターホルンを吹くおじ
いさんがいて、アルプスの少女ハイジ風の民族衣装を着たコンパニオ
ンのおねえさんが、ミルク酒(?)でも注いでくれるのかと想像した。
何のことはない、只の自然公園である。
早速、料金を払い、テントを建てる。そして、大急ぎで伊根に戻った。
もう、PM2:00だったので、舟屋の里公園のレストランで舟屋定食を
食べた。味は普通だが、やはり、昨日食べたホウボウには勝てまい。
食後は伊根の散策。どうも伊根は酒屋が多い。漁師はのんべえが多いの
だろうか。また、おおらかにパンツ一丁で往来を行き来するおじさんも
いた。
また、端午の節句が近いのか、玄関の軒下にかわいいこいのぼりが掛か
っていた。
PM4:30撮影を完了。今夜のおかずを仕入れに一旦伊根を離れることに
した。行きがけに見つけたスーパーへ行くためだ。
車を走らせていると、伊根の保育園があった。そこに群がるおかあさん
と子供たち。伊根のええにょぼさんの大集合である。
「にしがき」というスーパーで焼肉のネタ一式とフカヒレスープの素、
卵、そして、明日の朝食用のパンとベーコンを買って、いざ出発!!
「伊根シーサイド温泉パラダイス健康センター・クア」へ。場所は千枚
田で有名な新井の近くであった。着いてみると、そこはモダンな別荘街
であった。
そこで、我々の見たものは、『休業』という大きな2文字。二人とも声
が出なかった。改装工事のため、一ヵ月休業するらしい。我々は別荘街
のド真ん中でうなだれたまま動かなかった。夕空に響きわたるカラスの
泣き声が空しかった。
二人とも声がないまま、スイス村へ向かう。てらちゃんはこりずに明日
は絶対温泉へ行こうとガイドブックに釘付けであった。
カラス鳴く 夕日をバックに 我ら鳴く
風呂に入れず 端午(丹後)の旅路 (字余りなし)
つづく
【舟屋めぐりの船】
日出桟橋より就航。所要30分。510円。かもめの餌が船内でセルフサービスで販売中。二袋20円。
【青島】
伊根湾の入り口にある周囲720メートルの島。ここに明治まで使用された舟屋の原形が復元されている。ほかに、鯨の墓、水産資料館がある。青島へ行くには民宿で船をチャーターして行くしかない。
【伊根シーサイド温泉パラダイス健康センター・クア】
くわしく調べると、営業時間は曜日や季節によって変わるが、10〜21時(受付は20時まで)である。木曜定休(祝日は営業)。500円。
ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉の1号泉。アルカリ性単純低温泉の2号泉。49.3度のアルカリ性単純高温泉の3号泉と三つの源泉がある。効能はわかりません。
問い合わせ エ0772-32-0313
【舟屋の里公園】
伊根湾を一望できる山の中腹にある公園。舟屋と母屋をイメージして作られたレストハウスと斜面いっぱいに広がる芝生の公園がある。土産物屋、レストラン、割烹、喫茶コーナー。そして、伊根の情報を知る上で重要な拠点伊根町観光協会がある。
「道の駅」と呼ばれる全国に広がる情報発進拠点の一つとして登録されている。
【スイス村】
正式名称「丹後半島森林公園スイス村」。太鼓山の南麓標高500メートルに広がる。キャンプ場の他、テニスコート、アスレチック広場、スーパースライダー、スキー場がある総合リゾート公園。
問い合わせ エ0722-66-0007
【碇高原総合牧場】
牧歌的な草原が拡がる京都有数の牧場。畜産の試験、研究施設である。隣接してステーキハウス、各種レジャー施設も充実。
【丹後縦貫林道】
与謝郡岩滝町から竹野郡丹後町へ通ずる広域林道。昭和53年に開通。スイス村や碇高原総合牧場などのレジャー施設の充実にともない、整備が進行中。ドライブには最適。
【スーパーにしがき】
丹後半島一円にチェーン展開するスーパー。ちゃんと商品をPOS(point of sales system-販売時点情報管理システム)で管理している。
【新井の千枚田】
段々畑が海岸沿いに拡がる名所。新井崎が近くにあり、秦の始皇帝の命令で不老不死の薬草を求めて流れついたと言われる徐福を祭る大名神がある。