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三井の、なんのたしにもならないお話 その三十四

(2013.05オリジナル作成/2023.07追加/2024.03サーバー移行)



 
 
私のカメラ遍歴(その十) えすでぃーじーず真っ向逆行! −捨てるしかない、動かないフォトプリンター


 パンデミック下の三年を経て、世の中なんとなく平時に戻りつつある、ホントは依然感染症の危険があるのだけれど、まあいいんじゃないのと、会合、会食、旅行、イベントなどなど、元通りにという具合。いろいろな規制が外され、報道も少なくなってしまえば、もう止められませんわね。
 「完全退職」と、このパンデミックが重なってきたかたちの私も、カメラパニックのみならず、本当に出かける、ひとに会う機会が少なくなってしまいました。まあ、この間も身の回りの画像など撮っていましたが、基本的には自己満足的、続けてきたFBなどに投稿掲載するものは少なからずありましたものの、「なにかの機会」や「どこかに行った」「ひとと会った」そうした画像はほとんど皆無であったわけです。
 
 ですから、この間ほとんど出番のなかったものの一つが、フォトプリンター(昇華型熱転写方式)でした。画像をプリントして使うというようなこと自体、近年は少なくなってしまった、特に「アルバム」というようなものを作ることはほぼなくなり、あっても邪魔になるだけです。そのほかでよくあったのは、「記念写真」などといったものをその場で撮って、あとでプリントして渡す、配るというかたちでしょうが、こういった習慣自体ほぼ絶滅したようだし、だいいちそうした機会自体なかったのですから。まあ、須磨甫ご愛用の方々は、画像を送信共有して、自分の須磨甫上で見て楽しむ、そういうことなんでしょうが。「カメラの世界」には、実にハードな日々でした。
 

 この半年あまり、ようやくひとと会う、出かける機会も増え、携えていったデジカメで撮るということもかなり復活しました。もっとも、やはり画像自体をweb上のサイトで公開共有するというかたちが今や主流で、私もそれにならったりしております。e-メイル添付というようなやり方もありますが、これはいろいろ制約も拭えませんしね。
 ということで、まあフォトプリンターの出番も回ってくるかなと思い、ホントに何年ぶりかで引っ張り出してみました。私とこれらとの付き合いも長く、デジカメ時代到来の一方で、「写真らしい」印画紙上のプリント類似のものを作れるのは便利だ(通常のインクジェット機では、いくら紙質をあげても基本水溶性インクなので取扱注意を免れない、熱転写式のプリント画像は綺麗だし、長持ちするし)、と考え利用してきました。しかもこのキヤノンのフォトプリンターは小型でどこにでも持って行けます。以前、海外での会議の際に、最小の「CP-10」機を持参し、現地でキヤノンのデジカメからプリントを作って渡した経験もあります(ただ、そのために対応できるカメラも買わねばならなかったのは既に書きました)。これはプリント用紙やインクロールを間違って調達ストックしていたせいもあるのですが。
 
 それから幾星霜、キヤノンのフォトプリンターも何度か買い換えをせねばなりませんでした。とりわけ、対応させるPCのwindowsの変更がかなりの痛手でした。なんと、win8以降に従来機は対応できなくなってしまったのです。
 それで、win10対応だなということで入手したはずのCP1300、ただし長くwin7機にこだわり続けた我が身の判断故に、これをwin10に接続使用した経験はありません。しかし、時代の流れには勝てず、身の回りのPCはデスクトップもモバイルもwin10化した今、あらためてインストールセットアップを図らなくてはならない、ところがこれがえらいことになったのです。
 

 だいたい、CP1300の説明書には、画像入りのSDカードを入れてプリントするとか、カメラなどからWiFiで画像データを送ってプリントするとか、そんな説明ばっかしで、「PCに外付けする」という説明も書かれていません。そういう「古典的なやり方」完無視の、実に不親切簡単な説明書です。そこはそれ、今どきそんなものよと考え、web上からフルテキストをダウンロードし、プリンタドライバー等もこっからダウンロードするのだなと確認(付属のドライバディスクもないですから)、とりかかってみたものの、案の定途中でプロセスが止まってしまいます。どうにも先にはいかず、したがってぜんぜん使えません。

 これで焦りました。実は、このCP1300をwin7のPCでも外付け使用した経験はないのじゃなかろうか、当時はwin7対応であったCP800などをもっぱら使っていて、CP1300を本格使用する前に、パンデミック来襲で使う機会自体なくなってしまったままだったのじゃないだろうか、という疑いです。こいつを買ったのが2019年3月と記されていますから、ありえなくはありません。わが完全退職とも重なる、ベストタイミングですね。
 
 ともかく、外付け設定できないので、とりあえずCP1300を起動して、「おすすめの」SDカードからプリントする、それだけでも試してみようかと、またスイッチを入れたのですが、これがなんと、「ON」の表示が出ただけでおしまい、以降何も起こりません。何度試してみても同じです。完全アウトです。唖然茫然、まあ一度も使えずに終わりました。
 

 非常に腹が立ちますが、買ってから丸4年あまり、タンスの中で眠っているうちに勝手にいかれてくれた、それはあり得なくもないので、やむない、ともかくこれを動かさないとwin10PCからのフォトプリントは出来ない、一度修理に出してみよう、そう決めた次第です。こいつを買った値段が当時13,280円です。ですから、まあ修理代1万円程度までは覚悟しようか、そう考え、買った店の修理窓口に持って行き、説明をいたしました。
 ところが、担当氏は早速に須磨甫でデータを探し始めます。そして、のたまわってくれました、「キヤノンの修理代金は1万3千8百円からです、それ以上かかるものとなります」「これ以下ということはありません」、つまり、買った値段より高いということですよ!あまりの馬鹿馬鹿しさに言葉を失いました。それじゃあ直す意味ない、捨てるしかないでしょう。



 かくして、CP1300はただのゴミを買ったという苦い経験のみ残りました。最大の反省は、やはり買ってすぐに接続設定し、完動するかどうか試していなかった、それに尽きます。まさかそんなこともないだろうという、甘い先入観でした。実際に接続設定をしなかったのかなど、正確な記憶もないのですが、そこはやはり、パンデミック下の混乱など影響してきたことも否定できないでしょう。少なくとも、もっと使う機会があれば、ですな。

 


 同時にタンスの中から発掘した、win7対応のCP800機は既に使用経験済みのものではあるので、これを(今や数少ない)win7機につなぎ、フォトプリントの出来る体制を整え、テストも行いました。ですから、用紙やインキカセットのストックをムダにすることはない環境にはとりあえず出来たものの、この腹立ちはなんとも、です。思い起こしました、キヤノンも含め、どこのメーカー等も異口同音に唱えるえすでぃーじーず、「持続可能な成長」の言葉ですな。限りある資源を大切に、云々かんぬん。まあそれに真っ向逆行することを余儀なくさせてくれました。「直すより捨てる」、いいですねえ。
 ただ、キヤノンのフォトプリンターの現行後継機はCP1500というので、今もひっそりと売り場に置かれていますが、これは1万8千円近くします。ですから、1万3千円程度でCP1300が修理できたら、「買うよりまだ安い」!? でもそれで収まる保証はありませんから。


 もう、こんなものとは縁を切ればいいのかもね。用紙やインクのストックと共に、大量のゴミを出して、えすでぃーじーずバンザイと、念仏だけ唱えて。
 それともいっそうのこと、もう「紙に画像を残す」発想自体をリストラすべきなのかも。紙にこだわるのが、アナログ時代のアナクロ人間の証明なのでしょう。
 

 でも、キヤノンのフォトプリンター(いま、これまでのシリーズのほか、小さいスクエア画面サイズのQX10というのも出しています)やフジのインスタントカメラ・チェキなど、画像をプリントする仕組み自体はなかなかダイハードのようです。かってその代表格であったポライドカメラはあまりの大仕掛け、コスト故に絶滅したようですが、フィルム写真がなくなり、デジタル化電子記録化したおかげで、カメラ自体に画像プリント機能をくっつけ、撮ったその場でプリントを作る、配る、あるいはカメラはなくても、手軽に持ち出せるプリンターを用意するという発想はそれなりに人気を保っていると言えそうです。須磨甫時代の隙間ビジネスチャンスでもありましょう。

 しっかし、私の今回の資源浪費体験からは、あまりのネガティブ教訓ばかりで。



 

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