万博には行くべきか、どういう見方をすれば面白いか、万博を通じて共通認識になってほしいもの
行くべきか、行かざるべきかと問われれば、当然行くべきだろう。各国への理解を深めるチャンスでもあるし、そもそも一生に一回あるかないかのことなので。ガス爆発が危ないという人もいるが、であるならば万博会場に隕石が落ちるリスクも同列で論じるべきだろう。実際、万博期間中の5月10日、旧ソ連が打ち上げて軌道投入できなかった金星探査機コスモス482号がインド洋に落下した。落下の可能性がある地点には日本も含まれていた。探査機が落ちてくるかもしれないから万博は危ない、万博に出かけようとして玄関のドアを開けたとたん、暴走した車が突っ込んでくるかもしれないから万博は危ない。そんなことを考えていたら何もできない。
と、ここで私が入ったパビリオンの一例を紹介しよう。まずはガンダム。
「大屋根リングより高いものはダメ」という方針があって、この姿になったそうだ。が、どう見ても新井カープ監督の現役時代の姿に見えてしょうがない。
あと、大阪ヘルスケアパビリオンにて表示された、2050年の私の姿。2050年には恐らく死んでいるはずなので、それを考えると若く見えるなあ。
どういう内容が面白いか面白くないかは、人それぞれの所があるのでなんともいえない。私の場合は、大屋根リングを見ても「ふ〜ん」で終わってしまった。巨大構造物はいろいろ見てきたので。
そこで、どういう見方をすれば面白いか・興味深く感じられるかという視点を一例として紹介したい。私の場合は、パビリオンにおけるプレゼンテーション能力で面白い、面白くないを判断した。つまり、見せ方がうまい → 理解しやすい → 面白く感じる、ということだ。結論を言うと、G7のパビリオンの方が面白い傾向にあった。そしてこのプレゼンテーション能力は、工業力と国際的な交渉の経験値が効いてくるのだと、各国のパビリオンを比較して感じた。
実例を紹介しよう。コモンズという各国寄り合い所帯のパビリオンがある。聞いたこともない国のパビリオンがあるので楽しみにしていたのだが、木彫りのお面を並べてあるだけというところも多数あった。そういう国は、結局何が言いたいのかわからない。各国の展示内容をレベル付けすると次のような感じになると思う。
レベル1 木彫りのお面の展示 ← 鉄器で作れる
レベル2 コーヒー豆などの展示 ← オーブンが必要になる
レベル3 酒の展示 ← 蒸留装置が必要になる
レベル4 観光産業 ← ある程度の建設技術が必要になる
レベル1〜3では、国際的な交渉の経験値が磨けない。工業力も大して必要ないし。だからプレゼンがイマイチで、何が言いたいのか理解できない。
その一方で、目立った産業がないのにプレゼン能力がいい線いっているところもあった。1つはパキスタン。岩塩でできたブースという特徴的な出展をしていて目を引いていた。なぜ彼らにはそんな発想ができたのか。パキスタンは核兵器保有国なので、それなりの国際交渉の経験があるためだろう。どうやったら相手に興味を持ってもらえるかを知っているのだ。もう1つがマーシャル諸島。アメリカの核実験の映像ばかり流していた。「アメリカのせいで我が国は放射能の影響を被った。現在は地球温暖化で水没の危機にある。今も昔も我々には生きる権利がある」ということを訴えていた。これも核と温暖化の2面で交渉力を身につけてきたからこそ、目を引くブースができたのだと思う。
最後に、万博を通じて共通認識になってほしいと感じたものがある。まず、極左メディアなどが流す情報は信用しないこと。万博に反対する彼らの主張が無意味であることは、冒頭で述べた通りである。あとはバズりたい人の流す情報も。双方に共通するのは、一面的すぎる見方、リスクの過大評価と悪平等なので。
悪平等、即ち誰でもできるような最低ラインに基準を持ってくることは、何もしないのが美徳・現状維持や過去の踏襲が善という考え方に繋がり、旧来(というか現在)の自動車趣味の悪しき慣習に通じる物がある。それは「自動車趣味とは・はたまた自動車文化とは、ツーリングして宴会することだ」的なやつである。何十年も前からこの調子。万博のパビリオンに例えるなら、木彫りのお面を展示しているところと同じ。進歩がない。だから何も起きないし、車を壊して終わる。この繰り返しである。が、皆さんの不断の努力によって、AZ−1の場合はそうなっていないのだが、返す返すも他の旧車では悪しき慣習が当然のように続いているのが残念でならない。
それから、リスキリングという言葉がある。学び直しのことだが、何をどのレベルからどのレベルまで学び直すのかが、この万博ではっきりした。それは「万博の予約システム程度のものを使えるようになること」だった。万博開催前は「予約システムが複雑だ、まず最初に万博IDをとらないといけない」と散々(極左メディアから)叩かれていた。が、同じようなシステムは現時点で一般的に普及している。複雑でもなんでもない。ここからリスキリングせねば。
ホットな話題での例を挙げると、政府備蓄米放出に関するオンライン説明会に関し、会議の参加方法がわからない米屋の店主がいた。この米屋の競争力はゼロに近い。適切なリスキリングせずして、競争力ゼロの人に合わせることは悪平等であり非効率でもある。あ、キャッシュレス決済断固反対派もね。ところで・・・「自動車趣味とは、ツーリングして宴会すること」だと思い込んでいる人・その枠から抜け出せない人に対しては、どうやってリスキリングできるのだろう?
ますますの盛り上がりと大成功を願って大阪・関西万博の話は一旦おしまい。次頁では、車とは全く関係ない話なのだが、万博会場へ至るまでの旅の話題をちょこっとお伝えする。