二酸化炭素消火器の安全性

 二酸化炭素消火器を車両に設置するということは、高圧(正確に言うと超臨界状態)の二酸化炭素ボンベを、熱い車室内に置くということである。破裂の危険性はないのだろうか。実際、自転車のインフレーターではカートリッジ破裂事故が発生している。下の写真は左記リンク先より入手。



 結論からいうと、今まで見てきた二酸化炭素消火器のうち、消棒レスキュー及び自作の二酸化炭素消火器ではカートリッジが破裂することはまず考えられない。一方、自転車のインフレーター及び消棒レスキューもどきは破裂の可能性があるため車載しないこと。
 その理由は下記のムービーを見て欲しい。何を撮影しているかというと、カートリッジの代わりにエアを繋ぎ、エアが出るかどうかを見ている。ホースを接続するとエアが出るのはバルブが付いていないもの、出ないのはバルブが付いているものである。つまりバルブの付いていないものはカートリッジの内圧が上がっても破裂することなく「安全弁」が開いてそこから外部へ二酸化炭素が出ていく。一方バルブの付いているものは、二酸化炭素の行き場が無く結果として破裂する。



 先ほど「安全弁」と書いたが、頭を叩いたりカートリッジをねじ込んだりして穴があく部分のことである。64gカートリッジの場合、ここの厚みは0.26mmしかない。



 カートリッジ自体の厚みはというと、64gカートリッジの場合で2mm、16gカートリッジで1mmほどある。





 となると、圧力が上がった場合、カートリッジ本体が破裂するよりも先に「安全弁」が破れて二酸化炭素が外に漏れ出すと考えるのが自然である。一方、インフレーターのようにバルブが付いているものは、仮に「安全弁」が破れたとしても閉じられたバルブによって二酸化炭素が外部漏れ出すことができず、行き場を求めた二酸化炭素がカートリッジを破裂させるという形で外に放出される。

 次頁は、いよいよまとめに入る。