ぐうたら農法の展望と課題

 

森本 優

2009/09/14


現状認識と展望

 

 農地を担い手専業農家や法人に集中させ大規模化を推進させようとする現政策では、比較的条件の悪いところでは耕作放棄地の増加は止まらない。

 子や孫・縁者・知人等が、法律・経済・技術・労力、等々の面においても、容易に米作りに参入できる体制作りが求められている。

 命の糧を商社等の巨大資本に任せていたのでは、世界的に食糧が不足する時、飢えた国民が多数いる生産国から、経済力と軍事力とを背景に(そのような力がその時あればの話だが)、強引に食糧を持ち出すことにならないか。

 より多くの生活者が農に直接携わることにより、地球の資源を食い潰す浪費社会を止め、自らの命を守り育ててゆきたいと云う意志を政治に反映させてゆくことが必要なのではないか。

 その為にも、大規模化の流れの対極において、より多くの生産主体(家庭菜園程度のもの・半農半X・兼業農家等々)の創出が今必要なのだと考える。

 米の場合、地球温暖化の影響なり、国際政治なり、投機マネーの動きなりに翻弄され、専業農家や法人も不安定な立場に立たされることは充分予測され、最悪時には、結局は小規模農家しか生き残らなかったということにもなりかねない。

 人類史上の大きな転換点に立たされている今、私たちにできることは何なのか、志を共有できる世界の人々と共に考え行動してゆきたい。

 

 

ぐうたら農法の課題

 

 麦等立毛中、その上から籾種をばら蒔いてから、種が地表に落ちるように又は地中に隠れるように、とりあえず個人的にはロータリーを入れているが、性質上どうしても土を掻き揚げてしまうので、その分、田の草が発生し易くなってしまう。

 そこで、麦等立毛中、若しくは麦等を押し倒し(刈り倒し)ながら、籾種を地中に送り込むことのできる直播機の開発が今後の課題となっている。

 このような直播機が人力のもので、10万円以下で手に入るようになれば、米を自給しようとする生活者(消費者)もかなり増えるものと考える。(今の稲作体系では、機械類にかかるコストの面でも、一般生活者の自給農への参入が困難になっている。)

 当然、大規模で栽培する場合でも、このような直播機が利用できれば、田の草を充分抑えることができるので、除草剤使用の必要はなくなるものと考えられる。

 ところで、除草剤に頼る栽培では、除草剤耐性の「スーパー雑草」が繁茂してくるので、更に異なった種類の除草剤を使用せざるを得なくなるが、それでも、それらの除草剤に対して耐性を持った「スーパー雑草」が生き残って繁茂してしまう事態が生じてきている。

 そうなると、この栽培方法では、安全性の面からだけではなく収量の面から云っても危険信号が灯されるようになってくるはずで、今までの大量生産・大量消費の行動パターンも当然見直されなくてはならなくなる。

 

 今後、雑草と共生し草を以て草を抑えるぐうたら農法(新縄文農法)が、一般に広く求められてくるだろう。その意味でも、この農法に対応した直播機の開発が重要になってきている。

 

以上

 


まるみ大作戦!2009

 2009.8/14〜20

山梨県立美術館 県民ギャラリーC

 

 

セルフ・ポートレイト

2009.8.14

 


 

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