全体会を受けて提案します

 

甲府市自治基本条例策定の極私的経過報告その8

 

森本 優(2006/09/21)


H18.09.18

 

 お邪魔虫の森本です。

 9月15日の「つくる会」全体会で議論された内容を受けて、以下のとおり提案いたします。

 ところで、一ヶ月に2回のペースで、市民案素案を基にして制定研究会及び職員から出された修正案を、この全体会で議論していくだけではなく、できるだけ議論の場を広げ、また、深めていくためにも、逐次メール等で意見を出し合っていくことも必要だと思います。

 よりよき自治基本条例を作り上げるためにも、何らかの工夫を考えたいものです。

 

提案(私案)の内容

 

 修正案の第5章「市長とその他の執行機関」の第18条は以下のとおりにされたらいかがでしょうか。

修正案

第18条 「市長とその他の執行機関は、市民の意思を市政に実現させるために、この条例の理念に基づき、全力を挙げて市政の執行に当たらなければなりません。

私案

第18条弟1項 「市長とその他の執行機関は、この条例の(1)基本理念に基づき、(2)多様な民意に配慮しつつ、(3)公正・誠実かつ効率的に市政を執行しなければなりません。

  (4)第2項 「市長とその他の執行機関は、市民の参画と協働の条件を積極的に整備し、そのための人材育成と適正人事とに努めなければなりません。

 

理由

(1) 7月頃、総則のところを検討し始めた時には、前文、目的、基本原則へ自治の基本理念を含めて規定することにしていたようですが、基本原則を終えた時点では、この基本理念が、前文、目的、基本原則のいずれにおいても充分には表現されていないことが分かってきました。

 そこで、森本個人は、やはり前文、目的、基本原則の他に、基本理念もちゃんと規定すべきだと今考えます。

 個人的な案は以下のとおりです。

第2条  「市民と市議会と市長は、それぞれ果たすべき役割と責務を自覚し、参画・協働の下で市民の福祉を充実させます。

 

(2) 修正案では「市民の意思を市政に実現させる」という表現が使われていますが、この「市民の意思」は、ややもすると情報操作や利益誘導、そして根回し等によって、時の権力者・実力者(団体も含む。為念。)の意向が強く反映されたものに実質上置き換えられてしまっているのが、残念ながら今の世の中の実情であってみれば、安易に抽象的な形で「市民の意思」(民意の反映)という言葉を出すのはいかがなものかと考えます。すなわち、この表現では、容易に多数決による民主全体主義に転化していきますので要注意です。(極私的経過報告その7参照)

 私案では、少数派の意思もできるだけ尊重していただきたいという想いから、「多様な民意に配慮しつつ」という表現に変えています。そして、参画・協働社会の実践の過程で、徐々に立憲的な民意の反映方法を、市民自らが試行錯誤の中で工夫してゆくべきものなのだと考えます。

 

(3) 修正案では「全力を挙げて」となっていますが、この表現では、評価項目としては相応しくないと考えます。

 市民が市長等を評価する場合、重要で分かりやすい項目としては、「公正」「誠実」「効率」等ではないかと考えます。

 

(4) 本条に第2項を入れ、自治基本条例策定の結果、当然発生してくるはずの市長等の責務を規定する必要があります。

 

 以上、提案の内容でした。

 以下の二点は、15日当日の全体会でも述べた意見ですが、念のため再確認します。

 問題となっている8月4日の全体会に都合がつかず欠席しましたので、前回の9月1日の全体会の時に頂いた8月4日の会議録を検討した上で、今回9月15日の全体会で疑問点を述べさせて頂いた次第です。

 

一、「説明責任」が第二章の基本原則から削除された件について

 

 基本原則は、市民、市議会及び市長等の執行機関の三者に共通する原則とすべきところ、説明責任は、市民に対する行政あるいは議会の責務に止まるのだから、それは基本原則とは言えないとの説明です。

 しかし、参画した市民(団体も含む)が、市議会や執行機関と対等・独立の立場で協働していくのですから、協働関係の前提条件として、参画し協働関係を持つに至った市民(団体)も、当然、議会や執行機関に対して説明責任を負うと考えるのが妥当です。

 したがって、このような場合、説明責任は協働関係を維持していくための重要な三者共通の基本原則となり、安易な削除は拙速だと私は考えます。

 

二、「法令の自主解釈権」が第二章の基本原則から削除された件について

 

 「法令の解釈は一つ」であり、また、これは法解釈を行う執行機関のみに宛てられた規範だからという理由で削除されたようです。

 しかし、グループ案(私案)では以下の理由で「法令の自主解釈権」を基本原則に入れていますので、ご再考を願いします。

 

(1) ある法律につき、国と市とで解釈が違う場合

 執行機関は、法律に違反しない範囲で、この法律を本自治基本条例の趣旨・理念を最大限尊重した形で解釈して、運用し協働しなければならない。

 また、市議会は、法律に違反しない範囲で、この法律を本自治基本条例の趣旨・理念を最大限尊重した形で解釈して、条例等を制定し協働しなければならない。

 以上は、地域分権と団体自治からの要請です。

 

(2) ある法令につき、国や市と市民との解釈が違う場合

 市民は、同様に、法律に違反しない範囲で、この法令を本自治基本条例の趣旨・理念を最大限尊重した形で解釈して、参画し協働することができる。

 この場合は、住民自治からの要請であり、「法令の自主解釈権」は、自己決定・自己責任の下での参画・協働を実現していくための、前提条件にもなっているものと言えます。

 

 以上から、「法令の自主解釈権」は、三者に共通したものと言え、協働を進めるための前提条件でもある重要な権利ですから、基本原則に戻すべきだと私は考えます。

 

 以上確認項目でした。

 

最後に事務局に一言

 「つくる会」全体会の会議録が5月12日のものを最後に、それ以降公にされていませんが、どうされたのでしょうか。「つくる会」の基本ルールとして定めたとおり、会議の公開は絶対必要だと考えますので、しかるべき対応をお願いします。

 

以上です。


甲府市自治基本条例をつくる会会議録


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