代打はチャンスに登場する。それなのにチャンスヒッターとは言わず、ピンチヒッターというのはおかしい、という記事が「週刊朝日」に出ていた。言われてみればその通りである。どうやら、アメリカで代打制度が生まれた背景は、選手が怪我をして出られなくなった場合、すなわちチームにとっては大ピンチに代わって登場したために、ピンチヒッターと呼ばれるようになったらしい。
プロ野球とは異なり、草野球では代打が本当のチャンスで登場することは少ない。先発選手が怪我をした場合以外では、「せっかく出てきてくれたのだから1回位は打たせてあげよう」「入部したばかりで力が未知数だからとりあえず代打で使って様子を見てみよう」、といった理由で代打が送られることが多い。だから古典的な「代打」に近い。 だが、弾力的に考えれば、代打をもっと戦略的に利用することがあってもいいのではないか。相手が強いチームの場合、1試合でチャンスは何回あるだろうか。せいぜい2〜3回であろう。その数少ないチャンスがチームで最も信頼できる打者にめぐり合う確率となるとさらに低くなる。チャンスが来ても、下位打順で得点できなかったというケースは多々ある。であるならば、最も信頼の置ける打者をここ一番のチャンスで代打として使う方が得点の可能性が高まる。もっとも、打てる打者をベンチに置いていたのでは数少ないチャンスすら生まれないということも確かではあるが…。 代打に関する戦略論はさておき、代打の心構えを述べよう。 代打に登場して初めて相手投手と向き合う。その時になって狙い球を何にしようかなどと考えていたのでは遅い。ベンチにいる時から、相手投手の球筋、配球、球速などを研究しておかねばならない。特に、好投手に対する場合には、自分ならこの球を狙うという考えを持って打席に向かう。
また、代打は狙い球が来たら初球から打っていくべきだ。バットを振ってみて始めてタイミングがとれるからだ。タイミングが合っていなければ、バットの握りを短めにしたり、バッターボックス内の立つ位置を少し変えたり、あるいは狙い球を変えたり何らかの工夫をしなければならない。 これ、ゆめゆめ忘れることなかれ。 (平成10年8月6日掲載) |
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