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猫のチャームポイントのひとつでもある、足の裏の肉球。梅の花のような肉球を触るのが大好きな人も多いことと思います。しかしこの肉球、もちろん人に触られるだけのものじゃあありません。 冷蔵庫から鳥肉やら猫族の好物を取りだそうとした瞬間、ふと足元を見るといつの間にか期待に満ちた眼差しで見上げる猫の姿が。足音ひとつたてずに忍び寄る猫。その秘密が、このの肉球にあるのです。 この肉球というもの、正式には後ろ足の四つの指の部分にあたるものを指球、大きなものを蹠球(しょきゅう)、前足の5つの指の部分にあたるものを指球、掌あたるものと手根骨にあるものを掌球といいます。脂肪が固まって発達したもので、この肉球はクッションの役目を果たしています。 肉球を覆っている皮膚はキメが粗く、他の皮膚より75倍も厚い1.2mmもの厚みがあります。とても頑丈に出来ているので、デコボコの道でもつるつる滑る平面でも木にしがみついても、足の裏を痛めることはありません。表面の皮膚は摩耗しにくい構造になっていて、たとえ摩耗してもすぐに新しい細胞が出来るのです。頑丈で厚い皮膚に覆われているとはいえ、角質の下にはパチーニ小体という圧力受容器がたくさんあり、とても敏感です。夏の猛暑に、家中で一番ひんやりとしている場所を探し当てられるのも、この足の裏の肉球のおかげと言われています。この肉球と骨の柔軟な足首によって、音を立てずに忍び歩くことを可能にしているのです。 本来、夜行性で待ち伏せ型のハンターである猫が、足音で相手に気づかれるようなことがあっては生命に関わります。そこで役に立つのがこの肉球のクッション効果。また音を立てないためのもうひとつの機能、自由に出し入れ出来るかぎ状にとがった爪も、天性のハンターである猫ならではのものなのです。 |