スイスアルプス・トレッキング32日間_準備編

 こうしてスイス行きは始まったのである。先ず手始めは資料収集。
我が息子に習って「地球の歩き方(スイス)」「地球の歩き方(ヨーロッパアルプスを歩く)」
「ヨーロッパ1500円の宿(欧州23か国ユースホステルガイド)」
極め付けはスイス政府観光局から取り寄せた観光案内の膨大な数々のパンフレットである。
実のところ、英語かフランス語かドイツ語かイタリア語か全く見当のつかないパンフレットを見て、
一変に、こんな言葉を話している国に行けるのだろうかとおじけずいたのである。

 で、まだまだある。ビデオ「地球の歩き方(スイス)」「地球の歩き方(ヨーロッパ)」
「トーマスクックヨーロッパ鉄道時刻表」勿論スイスのバス、電車、鉄道 3分冊の時刻表などなどである。
これでは終わらない、本屋に事あるごとに顔を出し紀行文のコーナーをのぞく。
「スイス.アルプス鉄道の旅」に始まってこれも数々の著書を読んだ。
「女ひとりロンドンを駈ける」「シゲさんの地球ほいほい見聞録」「チャリンコ族はいそがない」
「50歳からの海外旅行の手引き」「私のスイス;犬養道子」
どの著者にも非常に感動や影響を受けたし、実際にこの度の旅に彼らの生き方や主張をたどりその場を訪れたりもした。
そして彼らの逞しい生き方を学びこれからのワタシの人生の指針ともなったのである。(大げさかな)
参考文献として、「ふるさとの山歩き」広島県山岳連盟監修、「登山者のためのお天気学」城所邦夫、
「中高年の山登り学」森田秀巳、「ひとり歩きの登山技術」工藤隆雄、「山でバテないテクニック」羽根田治、
「失敗しない山道具選び」橋谷晃、「初めての海外旅行」田中みさと、
「旅のトラブル&安全対策」地球の歩き方編集室、「アルプスの谷アルプスの村」「銀嶺の人」新田次郎。

 旅を始める前にもう一つ課題があった。取りも直さず「ことば」である。
せめて英語だけでも話せること、「60の手習い?」。
とんでもないと言いたいところだが、空港での手続き、乗り換え、入国手続き、宿泊。
交通は歩く、タクシーに乗る、バス、電車、鉄道、あるある、買物すべて日本語ではないのである。
ひとり旅を想定に、ツアー分の費用を当てれば英会話教室の月謝が捻出来ることをはじき出し、早速、英会話学校へ入学した。
マンツーマンで30レッスンを受けたのだが、全くゼロに近い所からの出発でワンレッスンの度に変わる先生方、
アメリカ人、カナダ人、オーストラリア人、イギリス人、ドイツ人、の微妙に違う発音と表現を聞き取ろうとして体全体から汗が吹き出しそうなぐらい緊張した。
たった45分間なのにその日は1日ぐったり疲れてしまうぐらいであった。
しかしレッスンはとても面白く、次のレッスンが楽しみで待ちどうしいぐらいであった。

 こうして旅は始まったのである。と言いたいのであるが、
今度は子供たちの意見の相違から再びワタシは逡巡しなければならなかった。
・・・逡巡=しゅんじゅん=ためらうこと・・・
「ひとりで行かんと旅は面白うないよ!!」とこれは自分の旅の仕方を押しつける長男。
「なにも初めての海外旅行にひとりで行くこともないじゃろう。世の中そうは甘くないよ」と次男。
困ったことに両方共真実であり説得力がある。こんな中から次第に「ひとり旅」に気持ちが傾いていったのである。

 しかしこのままでは心配だと、慎重派の次男が登山のノウハウを体験してもらおうと白馬岳行を計画実行した。
ここでの体験は後日に詳しく語るとして、とにかく白馬岳行きはワタシのスイスひとり旅に大変力となってくれたことは言うまでもない。
バックパックの詰め方、必要なものしか持たない、どんなものが必要か、それが命にかかわる大事な事であること、生まれて初めて経験するアイゼンを装着してめまいのしそうな急な斜面の大雪渓を7時間かけて登った。
これが、どんな場面でも自分の行動の尺度になり、大きな自信と安心をもたらせてくれたのである。
パスポートの申請取得と国際運転免許証、長男の旅には必ず登場するHIS広島支店で所定の手続きから始まって、直前までもろもろの準備に追われた。

準備1
体力づくり、今年1月から始めた水泳プラス5キロ範囲は自転車で移動する。
更にウォーキングを取り入れることとした。雨でも歩くことを次男に奨励され直前には実行。

準備2
ヨーロッパのどこへ行くか?
アルプスを中心にスイス、フランス、イタリア、オーストリア、ドイツなどの候補を挙げる。
期間はどのくらいが適当か予算なども考慮する。
1日6000円で1か月18万円ぐらいはどうか?

準備3
行きたい所を拾い出す作業(ここで滞在日数などをはじき出す)。
鉄道路線図を見て、効率よく移動するように行くところを順序よく並べる。この作業は何度も何度も繰り返し行った。
誰かの著書を読んで感動したり、好ましいと思うと付け加えるのでかなり時間もかかりもしたが 楽しい作業であった。
予算などを換算、滞在を1か月として日数等考慮するとフランスのシャモニーモンブランを入れたスイスアルプスを中心に歩くことを決定。
更にあずみのユースホステル(YH)を通じて友人となったHさんの希望もいれて 世界でも一番小さいかと思われるリヒテンシュタイン公国を加える事とした。
訪れる国はスイス、フランス、イタリア、リヒテンシュタインの4か国となった。

準備4
必携品のリストを作成。

準備5
大学ノート1冊を用意、海外旅行に必要な情報のコピーを貼り大切な事柄を書き込む。
内容は次の通りで表紙裏も使用して18ページもある。

準備6
ザックは45リットル&28リットルの2個。
28リットルには1日分の着替え、雨具、フリーズジャケット、手袋、常備薬、弁当、チョコレート、手帳、水筒、行程表、写真機、磁石、メモ帳(ちぎって離せるもの)貴重品等を収める。
45リットルには2日分の衣服、時刻表、ビニール袋、参考書、会話集、フイルム、靴等を収める。
貴重品袋 大25×16にはパスポート、T/C、国際免許証、YH会員証
     小14×10日本には円、カード(手製の物)
筆記用具 手帳2冊(表紙裏にパスポートナンバー、カード番号住所を記入)
メモ帳2冊(切り離せるもの)必要に応じてメモしたものを言葉の補助として示す。
これは事あるごとに自分で書いたり、あるいは書いてもらい意思の疎通を図るのに役立った。


93スイスに戻る あしあとに戻る トップページに戻る