ゾウの背に揺られて

 チトワン(CHUITWAN)国立公園は、中央ネパールのタライ平原にあります。
東西80km、南北23kmに及ぶ広大な公園です。
かってタライ平原一帯は亜熱帯植物が生い茂る熱いジャングルにおおわれ、ゾウ、トラ、サイなど多くの野生生物 の楽園でした。
現在、ジャングルはほとんど姿を消し、点在するにいたっています。

 このタライ平原には、先住民タルー族が住んでいます。
哺乳類は43種類を数え、絶滅寸前のインドサイ、トラ、ワニの棲息地としても有名。
また、チトワンには450種類の鳥が棲んでいます。
そして、1984年に世界遺産に登録されました。「地球の歩き方」参照。

 ’99年にネパールへ来たときチトワンへ興味をもったので、今回計画の中に組み入れました。
なにしろ、亜熱帯です。
うわさによると、インドの国境に近く40度位の気温になるということ、蚊とか苦手な虫が飛び交っているというのです。
ちょっと、ちゅうちょしました。

 しかし、せっかくのチャンスです。行くことに決めました。
フジゲスト・ハウスで2泊3日のツアーに申し込み、5月4日から5月6日まで現地を訪れました。

05月04日(木)カトマンズ→チトワン by SAIBABA TRAVELS & TOURS
05月05日(金)チトワン滞在
05月06日(土)チトワン→カトマンズ

05月04日(木)カトマンズ→チトワン
(by SAIBABA TRAVELS & TOURS)
05:30 起床
06:30 ナランさんからロッジへ渡す封書を受け取る。
      フジゲスト・ハウスを案内人と一緒に出発。
07:00 SAIBABAツーリストバスで出発。
10:15 休憩所へ到着(トイレ)3時間トイレをがまん、一直線でトイレに駆け込む。
13:05 チトワン停留所へ到着。
13:20 ロッジのスタッフが車で出迎えてくれた。

 SAFARI ADVENTURE LODGEへ到着。宿帳記入。
フロントのビノー氏から英語で説明を受けた。

【午後の予定】
13:30 ランチ
16:00 ビレッジウォーク
19:30 デイナー

 到着後、ルームに案内された。洗面所もきれい、ビデまで完備。
セミしぐれを聞く、人の声が聞こえない自然の中。しかし、暑い。

 荷物を部屋におろして階下におりると、ビノー氏は、「アーユー・ベリーハングリー?」と、聞く。
「アイム・ベリーハングリー」と答えると、5分後にはランチを用意するといってくれた。

13:35 ランチ、鶏肉のソテー、ボイル・サラダなど
14:30 排便良。安心
16:00 Village Walk(ビレッジウォーク)
17:40 ホテルへもどる
18:30 シャワーのあと30分停電。天井扇も止まり、暑くてたまらない
19:30 ディナー、ネパーリー料理。バイキング式に皿に取る。明かりは私のテーブルのみで暗い
20:10 部屋にもどる。暑くて天井扇を回す
21:00 就寝、戸締まりしたら暑い!!でも人気がないので閉めることにした
23:00 トイレ
04:30 トイレ

 午後4時からのビレッジウォークは、カマルさんのガイドで、原住民タルー族が住んでいる村を歩いて訪ねた。
外から見える範囲では、壁は土で固められ、戸口はひとつある。
窓はあったか、どうか記憶が定かでないが、閉鎖的な家である。
 どこの家も入り口脇に縁台がある。
家族や近所の人がおしゃべりをしながらくつろいでいた。
若い女性が2,3人いたので一緒に写真を撮ってあげようと、申し出たが嫌がって逃げていった。
仕方なく、おじさんたちと一緒に写ってもらった。

  村を歩いていると、軒先で子どもたちが、石ころで、お手玉をして遊んでいた。
私は、昔懐かしいお手玉がしたくなって、仲間に加わり挑戦したが、石ころのお手玉では失敗ばかりで、とても手におえるものではなかった。
それにしても彼らは、本当に器用にそれらを操っていた。

 村人は集落をつくって住んでいた。
それぞれの家は、牛、山羊、ニワトリを飼っている。
ニワトリと山羊は、どこへでも勝手に歩き回り、たまに通る自動車などの交通の妨げになるくらい。
しかし、ここ村では、飼育動物が優先である。

 広いトウモロコシ畑の中や、田んぼのあぜ道を歩く。
見張り番小屋は非常に高いところへ作ってあった。
大きなサイ、サルなどの襲撃にあうそうだ。

 とにかく、暑くて汗がたらたら。
汗が額を滝のように流れ落ちるのには閉口した。
川べりの店でコーラを飲んでようやく、のどの乾きをしずめた。
なにしろ38度、暑い。

 ビレッジ・ウォークの途中、川べりの店で休んでいると日本人男性を見かけた。
カトマンズからのバスの中で見かけた人である。
こちらから話しかけると、いろいろ話し始めた。
東京からインドへ。ゴラパニは、私たちと逆のコース歩いてきたそうだ。
ガイドとふたりで、ロッジに泊まっている。これから再びインドへ旅立つ。

 「インドからこの国へ入って来たら、こちらは天国ですよ。どこかへ行くと、ネパール人の2〜3倍の人間がパット押しかけてきて、様々なことを言うんですよ。 史跡は素晴らしいものがあるのですが、どうでもよくなりました。疲れました。」と、インドの様子を東京の男性は話してくれた。

【5日の予定】
06:00 モーニング・コール
06:30 朝食
07:00 ゾウライト
09:00 ホテルへ
12:30 ランチ
15:00 カヌー
19:00 デイナー
19:45 タルーダンス

05月05日(金)チトワン滞在
05:25 起床
 とにかく暑くて何度か目ざめるが、昨日バスで6時間揺られて疲れたのか、9時前頃から眠くなった。
「クーラー」があるということで、ここに決めたのにクーラーはつけてくれない。天井扇を回す。

 午後11時、触覚を入れると10センチ、幅3センチ?もあろうかと思うくらいのゴキブリを洗面所で発見。
ゴムぞーりをはいていたので、踏みつぶした。

   そのゴキブリと私はしばらく対峙したが彼は逃げなかった。
きっと、殺されるというDNAが刷り込まれていないようだ。
(この地の人たちは心優しいのでしょう)

06:05 排便良好。尻洗いもついている。さっぱりした。
      出がけに、今朝はカヌー先行だと告げられた。
      そして、エレファント・ライトは午後になった。
06:30 食事、コーン、パン4切れ、目玉焼き2個、紅茶。
07:00 カヌー乗り場へホテルのぼろぼろ車4WDで行く。
07:25 カヌーに乗り浅い川を下る。お客さんは5人。ガイドにワニのすみかを教えられる。
08:00 対岸に上陸。ゾウがいるところへ歩いて行く。

 放し飼いかと思ったら杭や木に鎖でつながれ、ちょっとかわいそう。
ゾウを身近でみるとやっぱり大きい。
父親一頭と、母親が何頭かいるらしい。生まれて16日目の可愛い子ゾウがいた。
ゾウのお母さんは、自分の鼻に草をはさんで絶えず風を送り続けていた。
その他の場所にも3歳の子ゾウが3頭いた。

 その中の一頭が柵の木材を引っこ抜いたところ、飼育係の若い男性がその木材で3歳の子ゾウの首や尻を思い切り叩いていた。
したたか殴られて彼は、大きな悲鳴をあげてないた。
ちょっと可哀想なシーンだった。しかし、猛獣をしつけるには、必要なことかも知れないなと考えた。

 09:15 対岸までカヌーでもどり、例の茶店でひと息入れて宿にもどる。

 ロッジの売店でコーラ35Rsを飲む。
ミネラルウォーター1リットル25Rsで買い部屋でグレインパワー(日本製、玄米と緑茶入り)を水に溶かして飲む。
こんなゆっくりずむで一日が進む。
ビノー氏がエレファント・ライトは3時45分だと知らせてきた。

 午後のエレファント・ライトは公園内だから期待が持てそう。
10:05 室内温度31度。

 私は、宿に何もなく、アクティビティーの後先は、なにも出来ないので、ただボーッとしているだけ。
本を持参すればよかった。辞典では面白くない。セミの声、しきり。

【カヌー下りで見た花】
アゲアンタム、ホテイアオイ、バイカモ、フヨウ、バナナ、サボテン、ハイビスカス、ニチニチソウ(木になっている)
(注)正しい名前ではない。

 こんなことがあった。
ガイドのカマル氏は、ゾウ村で私をガイドしていた。
日本語は挨拶のみで話せないから英語を使う。
なにやら話しかけるが、私は「?」。
すると、近くで様子を見ていた白人が
「私がちょっと離れるが、あぶないから、ここを離れないで待っていて下さいと言っていますよ」と伝えてくれた。
私もやっとその意味が分かりました。
それにしても、外国人から教えてもらったのがおかしい。

12:40 ランチ
13:30 便、良、少量

【ランチ】
1、スープ(ベジタブル)
2、鶏肉(骨付き)ソテー、ソースかけ
3、ジャガイモのソテーとニンジンとキャベツのボイル
4、ライス
5、ミカン
6、紅茶

15:30 予定15:45だと言っていたが、急にドアーを叩かれ大忙しでジープが待つ玄関へ。
      ナショナルパークへ入って、これから乗るゾウの順番を待つ。ゾウは5頭。

16:25 はしごを登って4人ずつ乗り込む。
 5頭全部に人間が乗ると御者が合図してゾウはトコトコと歩き始めた。
ジャングルに入るが明るくて「これがジャングル?」と思えるほどだった。
水浴び中のサイと水場に行きかけたサイの2頭、シカのファミリー、サルが樹間を渡り歩く姿を目撃した。

17:40 終了
18:00 ロッジ到着
19:00 ディナー
20:15 タルーダンスを見るため4WDで会場へ向かう。
21:00 ダンス終了
21:15 ホテルへもどる

【タルーダンス】
 なかなか見応えがあるダンスだった。
竹のスティックを互いに打つあわせながら、リズムにのって踊る。
タルー族はきっと、この槍(スティック)で他の部族と勇敢に戦ったのではなかろうかと考える。

 昼間みたタルー族の男たちはデレッとしていたのに、ここで勇壮果敢にきびきびと動き踊っている。
「暑い日中は休もうよ」という声が聞こえてきそう。
 それにしても、昼間のタルー族と夜のタルー族のギャップがおもしろい。

 行き帰り、暗闇の中に、ぽつん、ぽつんと民家の軒先や道ばたで人々が昼間の暑さから逃れ、夕涼みを楽しんでいるようであった。

 空を見上げると、満天の星。
ホタルらしい光があちこちにスーッと消えていく。
私と一緒に運転手、ガイドその他2〜3人が一緒にダンスを見に行った。
彼らは、口々におしゃべりをして楽しそうであった。

【ロッジの従業員】
フロント 1名
ガイド  1名
バー 1名
レストラン料理人 1〜2名
ウエィター 2〜3名
運転手 1名
ルーム係 2名
その他取り巻き連中 2〜3名

【5月6日予定】
06:00 モーニングコール
06:30 お茶
07:00 バードウォチング
08:30 朝食
09:30 休憩
10:30 バス発車

05月06日(土)チトワン→カトマンズ
05:20 起床
06:00 モーニングコール
06:30 お茶
07:00 バードウォチング
08:30 朝食
09:30 バス停
10:15 チトワン発
12:30 休憩(昼食)
13:05 休憩所発
15:50 カトマンズバス停着
16:10 フジゲストハウス着
17:00 ふる里
18:00 フジゲストハウスへ

 朝起きると暑くて体は汗で、ジトジト早めにシャワーを浴びようとと思ったが、湯が出なかったので仕方なくバスタオルを濡らして体を拭いた。それでもさっぱり。
5時半に窓から外をのぞくと、もう水やりをしている仕事人がいた。意外と早い時間から働いているんだ。
暑い昼間は、たっぷり休憩を入れているらしい。

【バードウォチング】
 朝7時からロッジ周辺を案内してくれたガイドは、300種類の鳥を知っているという。
彼はめざとく見つけて私に知らせてくれるが、私にはその存在が確認できない。
彼はいらだち、仕草で私ののろさを非難する。

「ハウ・オールド・アー・ユー?」と彼。
「アイム・シックスティ・シックス」と答える私。
とたんに彼が優しくなった。

「マイ・ジャパーニーズ・マザー」と、彼。
彼が家族のことを話し始めた。
私には、カトマンズに住む妻子と父55歳、母50歳がいる。
父は足が悪くてもう歩けないのだという。
たった一間で家賃は3000Rsも払う、サラリーが安いので生活が苦しいとぼやいていた。

【教えてもらった鳥の名前】
Robin Dayal.
Spotted Babbler.
White breasted wathen.
Emerald Dove.
Red whiskered Bulbul.
Gray tit Red Dove.
Blackhed Oriole.
Little Bonzed Drongo.
Paddy field pipit.
Little Eget.
Koel Cudkoo.
Rose riged prkeet.
Pied wagtail.
Black backed form.
Spotted Dove.
Small pied.
King fisher.
Send Lark.
Common Myna.

 停留所までガイドが送ってくれた。
ガイドに100Rsと運転手に50Rsのチップを渡すと「ありがとう」といっていた。
ガイドのカマルさんは「To me letter」を繰り返して言っていた。

 「ここが停留所だ」と言って降ろされたところは、全く覚えのないところ。急に不安になった。
「タメル?」と、運転手に尋ねると腕を曲げてその方向を示してくれた。

 その方向を目指して歩いたが行けども行けどもそれらしい場所に出くわさない、ちょっと不安になる。
腹をくくって手に持っていたトートバックをザックに移し歩く体勢を整えて歩き始めた。
人にたずね、たずね、見覚えのある街角に出合わせてホッ!。20分くらい歩いたようだ。

 フジゲスト・ハウスへ着いて、ことの顛末をオーナーのパクリン氏に話した。
「電話をくれればよかったのに」
「電話は街角にはなかったよ」と私。
「お店の人に頼んでかけるといいですよ」とパクリン氏。
なるほど、いいことを学んだ。

 ことをあかせば、こういうことなのだ。
出発の朝、宿が差し向けた案内人に連れられてツーリスト・バス停まで行った。
帰りも同じ場所へもどってくるものと思っていたのである。
帰りのバス停についての確認をしておかなかった。
まったく、ひとりであったら私はそこで確認するところだった。ちょっと、油断。

17:00 久々に日本料理店「ふる里」へ。
 から揚げ定食200Rs。おいしかった。
読売新聞を読むとまた、高校生の殺人事件、どうなっているの?

【今日の出費】
チップ150Rs、お昼30Rs、水12Rs、缶詰ジュース35,32,32Rs、合計241Rs
 こうして、チトワン・ジャングルサファリは終わりました。
ジャングルでひょっとしてトラが見られかもと思っていたので、チトワン行きは、ちょっと、期待はずれに終わりました。

 そのことを家族に話すと「そうそう、ゾウの背中に乗ったものはおらんよ、ええ経験じゃったじゃない」
そうかもしれないと考え直す私でした。

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