コラム・30
 
カモフラージュ
ガ(蛾)は都会に生活する者にとっては身近な昆虫ですね。それに昼間は窓などにとまっていることが多いので、じっくりと観察できます。
ガ(蛾)って、よく見るとボロ着をまとったように糸状のものがぶよぶよとぶら下がっています。ええ、ガ(蛾)は種類が多く例外もあるようですが、まあ、ボクのような自然音痴が目にするのは典型的なぶよぶよ虫。
あんなに糸屑のような物を身体に纏っていると飛びにくいと思いません?
そんなセイでしょうか、動きがよたよたとしています。
飛ぶのは夜間、鳥とかの捕食者がいなくなってからのようですが、暗くなってからの捕食者にはコウモリがいるんですよね。ガ(蛾)の天敵はコウモリだそうです。
コウモリは飛びながら5万〜10万ヘルツの超音波を前方に発射しながらエサを探しているんだすそうですね。対象物からはね返ってくる音波・エコーでエサを感知して捕まえるらしい。
ボロ糸を垂れたようなガ(蛾)の身体は音波を吸収してはね返りをなくしてしまうんだそうですね。そうなるとコウモリに食べられなくて生き残れますね。生き残って子孫を繁栄させることができます。ボロを纏っていないと子孫を残せません。ええ、淘汰圧というんでしたね。
でも、ガ(蛾)のカモフラージュごときでコウモリも飢え死はできませんから、コウモリの音波探知機の能力もどんどん精巧になってきたんでしょうねぇ。これも淘汰圧でね。
       
カモフラージュの話しの続きなんですが。魚の腹は銀色に輝いています。あれ、日光の射す水面を下から見上げると、銀色にキラキラと輝いてるので、あの輝きの中にまぎれるようなカモフラージュなんだそうですね。
ところが、腹を銀色に輝かせるのは、大変なハイテクなんだそうです。例えば赤色の魚は表面にあたる太陽光線のうちの赤色だけを反射しているんだそうですが、これはあたった光線の1パーセントしか反射しないものらしい。だから、腹を銀いろにしただけでは照度不足でバックになる水面の輝きに影ができてしまいます。
だから、魚の腹は多重構造色なんだそうです。多重構造色というのは数十枚の1ミクロン厚の薄い膜でできていて、光はそれぞれの膜の上面と下面でそれぞれ4パーセントずつ反射するものだそうで、1ミクロン厚の数十枚の薄い膜だと光を100パーセント反射するんだそうです。光を100パーセント反射してはじめて、銀色にキラめいている水面裏に隠れることができるんだそうです。すごいハイテクだと思うけど、これも淘汰圧でそうなってきたんだそうですね。
 
カモフラージュの名優といえば、カメレオンですね。ボクはカメレオンが身体の色をかえるのは皮膚の色そのものを変えるのかと思っていましたが、そうじゃあないんですってね。
カメレオンの皮膚は細かな赤青緑の三原色の粒で覆われているそうですね。ええ、赤青緑の三原色の粒といえばカラーテレビですよね。カラーテレビは赤青緑の三原色の粒ですべての色を表現しています。
カメレオンは細かな赤青緑の粒を縮緬皺のようにして不要な色を隠すんだそうですね。それも自分の身体に降り注ぐ光線が緑色なら、自動的に縮緬皺のなかに緑以外の赤青点をたぐりこむようになっているらしい。これもすごいハイテクですねぇ。
      
これに比べれば、サギ商法のセールスマンが濃紺の背広を着て、マジメ風を装っているのに、人間はコロリとダマされますが、人間の識別能力なんて幼稚なもんなんですねぇ。