コラム・14
   
便利な道具
先ほど、デジタル・テレビ放送の旅番組をみていると、ギリシヤのアテネの市場風景が映っていましてね。
いやー、デジタル放送の100チャンネルって年寄りにはありがたいですよ。もう、長時間の飛行機旅にたえられなくなった年寄りには、ギリシャなんて夢の又夢ですからね。
ところで、そのアテネの魚市場で魚屋が鯛らしい、鱗のかたい魚のウロコ取りをやっていまして、出刃包丁らしきもので危なっかしく鱗をとっていました。
魚屋なんだから、「どうしてウロコ取り器を使わないのかなぁ?」なんて思って見ていました。ええ、何匹も鱗のかたい魚を並べておろしていましたがね。
あれ、便利な新しいものを一切使わない民族ってありますね。伝統を守るってことになりますかね。
      
むかし聞いたことですが、朝鮮の農家に鉄製の鋤、鍬とかを提供して、便利をしているだろうと数年経ってから訪ねると、「提供した鋤、鍬は物置で錆びていて、相変わらず木製の農具を使っていた」といいますね。
鉄製の農機具は使うのに便利なだけではなく、畑を深く耕せますから作業効率もいいはずですがね。世の中には、メチャクチャに守旧的な人がいますね。
日本の農家は江戸時代の昔から、それぞれ工夫した複数の鉄製農機具を使っていたといいますね。
日本人って新しいもので便利となれば、どんどん使うでしょう。
そんな意味では、日本には明治維新前から「西洋的な産業革命を受け入れる合理主義の素地があった」と聞きます。
      
それにしても、最近の調理器具の進歩はすごいですね。
瀬戸内では、ハモを食べる機会が多いのですが、ハモは硬い骨の多い魚ですから素人ではとても骨切りができません。だから街の魚屋に骨切りを頼みます。これがたいてい下手か粗いんですね。骨切りの粗いハモは口の中に硬い骨が残って、とても食べられない。
いやー、客が立て込むシーズンにはハモ料理屋でも仕事が粗くなって、ヒドイものを出すことがあります。
ところが、最近スーパーの安い細いハモでも、口に残らないほど丹念に骨切りがしてありましてね。あれ、コンピーター制御の自動骨切り機があるんだそうですね。
あれで処理がしてあると、一流料亭でも出合ったことのないほど細かく骨が切ってありますね。いままで、とても食べられなかった細いハモでも鍋料理にしてたべられます。
      
農業機械の新しい工夫は最近すごいですね。あんまり新式の農業機械を買いすぎてローンに追われているって話も聞きますが、園芸的な現在の農業には便利なんでしょうね。それに機械がないと園芸的農業はなり立たないって聞きますね。
「100年すると、日本の人口は6000万人に半減して、しかも7割が農業に従事している」なんて言う人がありますが、そんな時代の農業は新式機械での園芸なんでしょうかね。ええ、工業製品はロボットまかせになってね。