コラム・13
     
深紅色コハク(琥珀)の話
正倉院御物に深紅色コハクがあるそうですね。いやー、ボクは写真でしか見たことがありませんが。鏡の背面に使われているようですね。ええ、数珠もですね。赤コハクが珍重されたのは、赤は魔防ぎの信仰かららしいですね。
ところで、赤コハクは日本では産出しないで、バルト海沿岸とビルマ(ミャンマー)でしか産出しないそうですから、地理からして正倉院御物の赤コハクはビルマ産のものらしい。
ビルマ産赤コハクだとすると、ビルマから雲南に出て、シルクロードの天山南路を通ってシナに運ばれてきたのでしょうね。
正倉院御物を見ていると、何やらロマンを感じますね。こんなロマンを求めて、昔シルクロードへ行ったことがありますが、あれには弱った。ほんの少し砂漠に入っただけで、砂嵐に遭いましてね。喉はからから、顔はパリパリ。もう二度と行きたくない。
       
ところで、ミャンマー(ビルマ)産だといって赤コハクが売られていますね。
本場のミャンマー(ビルマ)でも、ころっとして固まりで赤コハクが出るのはめずらしいそうですね。ええ、姿のいい固まりだと、とてつもなく高価なものらしい。
ほとんどの赤コハクは1ミリていどの粒のものらしいですよ。こんな砂粒は加熱して錬ってブローチとか指輪とかに使うのにいい大きさとか形に成形するものらしいですね。
こんな風に加熱して成形したものはアンブロイドと呼ばれて、出土したままのコハクと区別されるものらしい。
しかし、固まりで出たコハクとアンブロイドは素人では区別がつかないらしいですね。
それでも、区別して超高価で取引されるのは、持つ人の満足感に関係するのかなぁ。
     
コハクの中に昆虫が閉じこめられているのがありますね。なにやら、ロストワールドの世界が閉じこめられているようで、ロマンを感じますね。
でも、ころっと出たままで、粒の中央に昆虫がおさまっているのは奇跡に近いものらしいですね。まあ、そうでしょうねぇ。
出土した砂粒コハクを加熱して錬って成形するのなら、粒の中央に昆虫をおさめるのはそれほど難しくはないでしょうし、奇跡でもないと思いますね。
でも、昆虫がとじこめられた人造コハクの文鎮を前に置いているだけで、何やらロストワールドの世界にあるようなロマンを楽しんでいます。