コラム・1
            
初夢
小ナスを砂糖漬けにした菓子に「初夢」と命名したものがありますね。千葉の銘菓にね。
野菜の砂糖漬け菓子ってよくありますから、それほど珍しいものではありませんが、新年はじめのお茶会(初釜)には名前がいいから使われますね。
よくある漬け物の小ナスを芥子(からし)と麹(こうじ)で漬けたものも「初夢」って言いますね。
初夢は、正月2日夜の夢になっていますが、厳密に言うと3日朝の夢ってことになりますかね。
あれ、室町時代より前の古い習俗では立春の朝(節分の夜)の夢を初夢としたらしいですが、今でも除夜(元日朝)や、元日の夜(2日朝)だとする人もあるようですから、日時は一定していないみたい。
           
ところで、ナスと初夢とはどんな関係?というと、夢占(ゆめうら)からきているらしいですね。夢占は「ゆめうらない」とも読みますし、夢判断ともいいますね。
で、まあ、メデタイ夢といえば「一富士、二鷹(たか)、三茄子(なすび)」いうことになっていますので、茄子(なすび)はメデタイ夢の一つですから、それの砂糖漬から初夢とシャレたんでしょうねぇ。
で、なぜ「富士、鷹(たか)、なすび」かと言うと、この三つは三大仇討ち。
富士は、富士の裾野の曽我兄弟、鷹は浅野の鷹の羽チガイから忠臣蔵。茄子は、堀部安兵衛との説と荒木又右衛門の伊賀上野の鍵屋ノ辻ということになっていますが、ボクには、よくわかりません。
ところで「一富士、二鷹(たか)、三茄子(なすび)」に続いて「四葬式、五火事」までありまして、「火事の夢ても、煙だけみるのはよいが、火をみると縁起が悪く、ぱっと消えると、なお悪い」となっているようです。
でも、「火事の夢をみると、御馳走(ごちそう)が食える」となっているのは、炊(た)き出しを連想しているらしい。
葬式も御馳走(ごちそう)と関連するらしい。
まあ、何ともイジマシイ連想ではありますね。
ところで、御馳走(ごちそう)の語源は、加賀地方の建て前(家の新築)で親類縁者に飲食を供応することをゴチョウと言ったことらしいですね。
「馳走」だからといって走り回ることではないらしい。
     
イジマシイ連想といえば宝船の木版刷りを枕の下に敷いて寝ると宝船の七福神がオタカラを運んでくれる、なんてのもありますね。
ええ、江戸の時代物に宝船の木版刷りを売ってまわる風物詩がありますね。
まあ、何でもアキナイの種。商売ショウバイ。