イソップの宙返り・233
     
鈴をつけた犬
咬み癖のある犬に、飼い主が、首に鈴をつけて、遠くからでもわかるようにしました。
鈴をつけられた犬は、鈴が自慢で、鈴を振り振り、広場を歩き回りました。
老犬がこれを見て言いました。
「何を自慢しているのじゃ。それはお前の美徳や行儀の褒美ではない。己の悪性のあかしを鳴らしているんじゃぞ」
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国会中継を見ていますと、首相が言い出したノーネクタイ、ノー上着姿ですね。
でも、ほとんどの人が軽装の中でも、ガンコにネクタイ上着姿の議員がいますね。みんなが軽装だと冷房用電力の消費が、そうとう違うのにね。
兵庫県は先代知事が唱導して、以前から夏はノーネクタイ、ノー上着できました。
軽装は知事とかの「上」からやってくれると下々も倣いやすいですね。
でも、軽装だと「裸で失礼します」なんて挨拶する職員がいましてね。
しつこく翻訳すると、「ほんとうは、人前で失礼な服装をしたくないのですが、知事が命令していますので、やむを得ず、こんな格好で失礼します」って心らしい。
    
礼儀ってどんな意味なんでしょうね。ネクタイ上着姿で、首筋に汗を流して、襟周りがグショグショに濡れている姿は、寧ろ失礼なような気がしますがね。
それに、夏にネクタイ上着姿だと「ああ、この人はエコロジーに無関心」なんて思ってしまいますね。咬み犬の鈴みたいにね。
       
「エコロジーに無関心」といえば、燃費効率の悪い大型外車に乗っている人ね。
燃費効率が悪いってことは、距離当たり沢山のガソリンを焚くことですから、その分、公害を撒き散らしていることでしょう?
ヨーロッパ車は、おしなべてエンジン制御のコンピューター化に遅れていますから、燃費効率が悪く、排気ガスをそれだけ沢山出していることになります。
それと、もう一つ気に入らないことは、「オレはベンツにのっているのだぞ」なんて威張っているんですよね。何となく威張った態度。
高級外車に乗っている人で、控え目な運転をしているのに出合ったことがないもんね。
中には「ベンツに乗っていると、他の車が怖がって寄ってこない」なんて効用を自慢する人までありますもんね。
    
あれ何とはなしに「鈴が自慢で、鈴を振り振り、広場を歩き回る」犬に見えてならない。