イソップの宙返り・230
      
白鳥とガチョウ
或る金持ちが、白鳥とガチョウを飼うことにしました。白鳥は歌をきくため、ガチョウは食料として。食料とするために、夜の闇の中でガチョウを捕まえようとしましたが、暗くて間違えて白鳥を捕まえてしまいました。白鳥は歌を歌ったのでガチョウの代わりに連れていかれるのを音楽の力で逃れました。
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白鳥って大声で鳴くんですか? 
冬になると近くの伊丹の昆陽池(こやいけ)へ白鳥とか、カモとかの冬鳥が渡ってくるのを見に行くんですがね。せいぜいガアガアと汚い低い声で鳴くものだと思っていました。カモの鳴き声とコンガラガっていたらしい。
ほとんど鳴かないのはコブハクチョウなんだそうですね。
コブハクチョウは気管が他の白鳥と違って、ほとんど無声なんだそうです。英語名はmute swan(無声白鳥)とよばれる種で、皇居の堀に放たれているのもこれ。北海道ウトナイ湖で野生化して本州へ渡るものも、これだそうです。
そう言えば、池とかに飼育されている白鳥は北へ渡らないで、一年中いますね。
ボクは無知にも、コブハクチョウの鳴き声しか印象に残っていなかったらしい。情けない。
コブハクチョウ以外のハクチョウ類は、気管が胸骨中に巻き、ラッパ効果で大声を出すんだそうですね
オオハクチョウは大声。北アメリカのナキハクチョウにいたってはトランペッター・スワンの名まであるそうな。
これで、この寓話の「白鳥は歌をきくために飼った」ことの意味がわかりました。エヘッ。
ところで、日本に渡来する野生種はオオハクチョウと、少し小さいコハクチョウだそうですね。
      
ところで、泰西名画の館の庭の池には白鳥が浮かんでいるものですよね?
あの池に飼われていた白鳥は宴会のゴチソウだったと言う人がありますね。宴会のメニューにも書かれているそうな。
日本では、白鳥の古名は鵠(くぐい)。その容姿から、神秘的な鳥として神聖視されてきたらしい。そんなことから、日本では鶴は食べたけど、白鳥は食べなかったらしいですよ。まあ、公然とはね。
    
食べると言えば、ここでも挙げられているガチョウ。
ガチョウはペキンダックでも、フォアグラでもお馴染みですね。
ペキンダックは丸ごと焼いて、皮を削いで皮だけを食べますね。ええ、宴会料理としては、高級品。ところで、皮だけ食べて身はどうするんでしょうね?
何時も、不思議だったので、懇意な中華料理屋で「身はどうするの?」って訊いたことがあります。「じゃあ、持ってきましょうか?」と言うことになって、野菜との炒め物にして、出してくれました。
同席していた華僑の人達は「やめた方がいい」って言いましたが、「たって」と頼みました。いやー、華僑の人達が言っただけあって、あまり旨い物ではなかったなぁ。
ペキンダックの残りの身は、調理場の従業員の賄いメシなんだそうですよ。
        
でもね、ヨーロッパではわりと高級料理なんですよ。フランス中央部のトゥールのレストランでは名物料理としてメニューにあるもんね。
ヨーロッパの鵞鳥はハイイロガンを家畜化したもだそうですよ。で、有名品種はエムデンとトゥールーズらしい。
中国の鵞鳥はサカツラガンの子孫のシナガチョウと言う品種だそうです。小形で雄の成鳥でも体重5キロぐらいの物らしい。
ボクは食べたことはないのですが、アメリカのレストランでも鵞鳥料理は出すそうで。
これはけっこう美味いと聞きますね。
あれは、また品種がちがうんだそうで。アメリカのはシナガチョウとヨーロッパのトゥールーズを掛けあわせて品種改良したものだそうです。だから、身は、そこそこいけるらしい。
知ったかぶりをして、「ヨーロッパとかアメリカでは、ペキンダックの残り物をありがたがって食べている」なんて言わない方がいいみたい。別の品種だそうですからね。