イソップの宙返り・216
     
猟師とオオカミ
オオカミが羊の群れに襲いかかり、手当たり次第に引き裂いているのを見つけた猟師が、犬をつかって追いつめました。
「オオカミよ、犬には歯が立たぬとは、さっきまでの羊を襲った力は、どこへいったのか?」といいましたとサ。
☆     ☆
オオカミは、群れで狩りをするとはかぎらないようで、弱い小動物があいてなら単独でも襲うことがあるらしいですね。
ですが、群れて狩りをするのが原則。群れは30頭ものことがあるが、普通には5〜8頭の家族群で行動すると云いますね。
ボク達の先祖のヒト族も、群れで狩りをしていたらしいのでオオカミと習性は似ているんですね。
日本人が群れで行動するのは、モンスーン地帯農耕者独特の習性だと言った人があったけど、群れで行動するのは、何も日本人だけとはかぎらないみたい。
      
夏のバカンス・シーズンになるとフランスとか、イタリアの高速道路はバカンスに出かける車で埋まっているようですね。毎年、テレビの映像に出てきますよね。
まあ、お金持ちは、別荘を持っているんでしょうが、あれだけボロ車に荷物を積み込んで渋滞道路で四苦八苦している庶民が、みんな別荘を持っているはずがない。
南の海岸の漁村とか農村で、夏の間の貸別荘とかを借りるんだそうですね。
でも、夏季だけの貸別荘って、うんと割高でしょう。そうしないと採算がとれませんからね。
           
だから、貸別荘とか農家の離れを借りられる人ばかりではないんだそうですね。
ではどうなるかと言うと、金持ちの友人とか親戚が借りた5人用のロッジに15人も押しかけることになるらしい。まあ、それもなければキャンピングカーとかにね。
まあ、ルンペン暮らし。
彼等のバカンスは一ヶ月以上のようですから、一ヶ月以上のルンペン暮らし。
パリは夏でも、そんなに暑くないですよ。逃げていかなければならないほど暑くはない。
だのに、何でルンペン暮らしを求めて南の海岸にでかけるかと言うと、「みんなが、そうするから」、「そうしないと肩身が狭いから」らしいですよ。
     
ヨーロッパ人、特にフランス人は個人主義だと云うことになっていますよね? だのに「みんなが、そうするから」ってオカシくないですか。
日本でも、一時別荘がはやったけど、今は別荘団地は閑古鳥がないているような感じ。まあ、夏の時期でも閑散としていますね。
仮に一ヶ月の休暇がある人でも、別荘暮らしは、それほど快適なものではないですよ。
何しろ、行くとすぐに掃除、それに草むしりと家屋の修理。手に負えない修理が山ほどあるんですねぇ。自宅でも修理を頼むのは、今はコトですから、知らない別荘地で便利大工を段取りするのは大変。ウンザリしますよ。
それが、フランス、イタリアではバカンスって、ルンペン暮らしなんでしょう。
こんなことを考えると、みんながみんなバカンス暮らしを心から楽しんでいるはずがない。
       
これからすると、どうも、「みんなが、そうするから」と追随するのは、何も日本人だけとはかぎらないで、ヒト族共通の習性のような気がしません?
ええ、先祖が群れで行動していた遺伝子が、ヒト族みんなに伝わっているような気がする。
知ったかぶりが、フランス人の個人主義を言うけれど、集団行動主義はヒト族共通の本能ではない?