イソップの宙返り・215
    
カラスと白鳥
カラスが白鳥の色の白いのを羨ましく思いました。洗い流す水のセイでそのような色になるのだと思って、普段エサを得ている祭壇を去って、池や川にすむことにしました。
でも、色は白くならなかったし、エサにも事欠いて死にそうになってしまいましたとサ。
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色白の話なら、ボク達のことをモンゴロイドって言いますね。ええ、黄色人種とも。
モンゴロイドは「モンゴル人のようなもの」って意味ですから、やや蔑称ではありますから、西洋人の学者の分類なんでしょうね。
ヒトは種として成立してから、年数がそれほど経っていませんから、種としての振幅が少ないのですが、皮膚の色はさまざまですね。
とくにモンゴロイドの皮膚の色はさまざま。皮膚の色は同じ日本人かと思うほど違いますね。
色白が美人とされていますが、あれは西洋崇拝だけではなしに、室内が暗かった時代では面(おも)が白い「面白い」が、美人の条件だったんですよね。
ええ、色が黒いと暗いところでは、映えませんからね。
     
最近は黒人でもブラック・イズ・ビューティフルなんてことになってきました。
こんなことを言われ出すと、それまで黒人を蔑視していたのが、途端に「なるほどブラックにも美人っているんだワ」なんて感じ方がちがってきましたね。言われてみると黒い美女って、これまでになかった美しさを持っていますね。男でも、パウエル国務長官なんて凛々しい感じがします。あれ、パウエルさんが色白だとあれほど凛々しくはないでしょうねぇ。
ブラック・イズ・ビューティフルで、何時も思うんですが、美意識なんて人に教えられて感じるものではありません? ええ、流行って言うんですかね。
      
色が白い極端はバルト三国の人。あの中には、めちゃくちゃに色白がいますねぇ。若い女性にね。皮膚に色素がまったくないセイか、下の毛細血管が浮いて見える人がね。あんまり白いと気持ち悪いですね。
ヒトは種としての振幅が少ないのに皮膚の色はさまざま。大きく分けて黒、白、黄色ってことになっていますが、短い期間にできた振幅ですから、この三色の境目も様々。
人種の皮膚の色は紫外線に対する適応の結果ですから、種内の変異は住んできた地域と結びついているんだそうですね。
こんな風に人種論をやっても無意味なんですが、ヒトがアフリカから拡散してきたから、アフリカ、イコール黒人。それから皮膚の色がもっとも遠いように感じる白人が、最も進化した種だなんて、考えた時代もあったんです。でも、皮膚の色と進化度とはあんまり関係がないんだそうですね。
進化度と言えば、「体毛が少ないほうが進化度が高い、だからモンゴロイドが最も進化した種である」なんて言う人があるけれど、これも変な話で、黒、白、黄色種それぞれに進化度の高いところ低いところがありますしね。
脚が長いのがいいなんて言っても、マサイ族は足長ですが、マサイが特別進化しているとはかぎらないですもんね。
         
ヒトとしての進化度から言えばモンゴロイドの皮膚が黄色であることって優れているんだそうですね。
まあ、人によって差がありますが、黄色人種って、すぐに日焼けするでしょう?
日焼けって皮膚にメラニン色素が沈着するんでしたね。
メラニン色素が沈着して色黒になると日射に強くなるんだそうですね。
でも、これもあんまり頼りにならなくて、最近はオゾン層の破壊でUV−Cが降り注いできますから、皮膚のメラニン色素では防ぎきれないですねぇ。UV−Cって、あの怖いX線にあと一歩の短い波長の紫外線ですね。
こうなると色黒も色白も、UVカットの着衣に頼るしか方法がない。
皮膚の色の優越論なんて、もう古いですね。