イソップの宙返り・207
     
燕と嘴細烏
ツバメとハシボソガラスが美しさを張り合いました。
ハシボソガラスがツバメに、こんなことを言いました。
「お前の美しさが映えるのは、春の間だけ。その点、オレの身体は冬でもしゃんとしているぞ」
寓意・見目良さよりも身体の持久力の方が大事である。
☆     ☆
若い女性にスリムな身体が流行っていますねぇ。まあ、一部の人だけなんでしょうが、なよなよとして、とても健康とは思えない身体。足なんか、ゴボウ足っていうんですか、筋肉ゼロの力のないズンドウ。とても、長距離歩けるとは思えない脚力のない姿。
あれを見ると纏足(てんそく)を連想してしまう。
纏足って言っても、見た人は少なくなってしまったと思いますが、神戸の華僑には、ついこの間まで纏足(てんそく)をしたおばあさんがいました。
あれ、3、4歳の幼児の足を包帯のような木綿布で縛って、足の成長を止めて、奇形にしたそうですね。その後の5、6歳になるとは纏足用の鞋(くつ)を履かせたそうですね。
       
上流階級では、これをしないと良縁に恵まれなかったとか。
ええ、纏足のことを金蓮(きんれん)、春笋(しゅんじゅん)って言ったらしい。
でもまあ、歩行困難。アヒルの歩く姿。
ボクが見た神戸の華僑のおばあさんは、纏足であることを誇りにしていたようです。ええ、時代がかわっているのに、昔の価値観の中で生きていたんでしょうねぇ。
彼女は、何時も高々とした顔をしていましたね。自分だけでは歩けないので、何時も肩を貸す下女(アマ)がついていました。ボクらにすればカタワですから、隠そうとするはずなのに、奇形の足を誇らしげに、見せているのが理解できなかったですね。
ええ、国際色豊かな神戸でも、異様な風俗でした。
       
ところで、脚を細くするには、夜更かしとかの不健康な生活をすれば、すぐになりますね。
十分な栄養を摂らずに、運動もまともにしないと、脚の筋肉ってすぐ退化してしまうんですよね。遣わないとなくなるのを「補助金の原則」っていいますが、脚の筋肉の退化ってすさまじい。
かっては、海水浴で、異様に細い脚をしているのは、水商売関係者だとすぐにわかっていました。ところが、この頃は海水浴場でも、若い女性がみんな異様に細い脚をしているから、みんなが水商売人としか思えないですね。
ええ、街を歩いていても、「スカートを履き忘れているんでは?」なんて格好のがいますねぇ。異様に細いゴボウ脚でね。あれは、きっと夜の商売の方々なんでしょうかね。
女子大生が夜の商売人と区別がつかないとか言いますが、女子大生がホステスをやっていると考えるから不審なので、ホステスが女子大に行っていると考えると美談なのかも知れませんね。
       
それにしても、栄養失調としか思えない、スリムって、先にいったらどうなるんでしょうかね。纏足ほどではなくても、健康障害が出てくるのはハッキリしている。
中華文化圏の中で、日本だけが纏足文化(?)に染まらなかったと言います。文字から、倫理まで染まったのにね。
あの日本人の智恵は、どこへ行ってしまったのかなぁ。
纏足的なゴボウ足を拝むたびに、そう思う。
それにしても、ボクは太りすぎだなぁ。エヘッ。