イソップの宙返り・170
     
狼とロバ 
大将にしてもらった狼が、それぞれが猟りをして得た獲物を平等に分配するとの法律を定めました。
そこへ、ロバがやってきて、
「狼の頭から立派な考えが出たもんだ。しかし大将よ、どうして昨日の獲物を自分の家にしまい込んだのだ。それを皆のところへ持ってきて分けてやったらどうか?」
と言いました。
狼の大将は、やり込められて、その法律を破棄しましたとサ。
        
寓意・これは、法律を正しく定めるべき支配者は、法律を自分では守らない、ということである。
☆     ☆
まあ、議員の秘書給与のことを話題にせざるを得ませんでしょうかね。
この間、民主党の党首が「このような問題を起こして申し訳ない」って謝っていましたが、「このような問題」って昨日今日に起こった問題ではないですよね。
昨日今日に突然起こった問題のように言わないと、前の選挙で公認した党の責任を曖昧にできないでしょうがね。
それにしても、巧い言い方があるものだと関心しましたねぇ。
          
巧い言い方でもありませんが、マスコミが「去年の脱税は何億円でした」って報道します。あれは「去年摘発された脱税」ですよね?
摘発されていない脱税の方が、はるかに巨額であろうと、みんな思っているのですから、「去年摘発された脱税以外は野放しでした」とまで言わなくても意味はわかりますがね。
それにしても、わずかでも摘発した税務署職員を「よくやった」と激励する報道があってもいいように思えるんですがね。
      
不正の中でも、巨悪といっていいのは利権つきの天下り。
利権絡みの天下りって年額1000万円なんてみみっちいレベルの問題ではないですよね?
行政全部についての腐敗ですからね。
行政の腐敗って隠し金のプール。警察までやっているようですね。
いやー、検察庁にまで言う人がありますねぇ。真偽のほどはわかりませんが。
まさか、裁判所はだいじょうぶなんでしょうねぇ。
裁判官は行政にはノータッチですから、裁判官が隠し金のプールの不正に直接タッチすることはありえませんが、所長とかの長は裁判所行政のトップですから、間接的にはタッチしていることもありうるんでしょうねぇ。
         
ところで、裁判官の不正、汚職の話ですが、「日本の裁判官は有能とは言えなくても、清潔ではある」と言われてきました。いやー、今でも清潔だとは思いますよ。
でも、20年も前のことになりますが、東京地裁民事18部事件ってのが公然と囁かれました。若いエリート裁判官が突然退官して公証人になるなんて、考えられないことがありましたから、不正の噂はまんざらウソではなかったんでしょうねぇ
まあ、人間って誰しも弱いものですから、個人の倫理意識だけで不正が防げるものでは、ありませんよね?
        
だから、システムで不正ができないようにしないと、不正は防げないだろうし、一つ一つ摘発しないと腐敗の拡大は防止できないでしょうねぇ。
でも、あんまり摘発を熱心にやると密告社会になってしまうだろうしね。
自分の出世を願って、反対派の上役をワナにかけるなんて世の中になるのは、イヤらしいですもんねぇ。
ああ、あー、人間ってイヤらしい。
でも、イヤらしくない人間、イヤらしくないと装う人間ってのも、醜悪ではありますが。