イソップの宙返り・166
      
ヒバリ
雲雀が罠にかかって嘆きました。
「ああ、私はなんと不幸な鳥だろう。私が盗ったのは人の金や銀ではなく、麦の小さな一粒だけなのに、それが死をもたらすとは・・・」と。
    
寓意・けちな利益の為に大きな危険を招いた人に当てはまる。
☆     ☆
ヒバリを罠にかけるって、何のためにでしょうねぇ。
ここでは「それが死をもたらすとは・・」と嘆いていますから、昔は食料にするのに獲っていたことがあるのでしょうか。
ボクらが知っている、ヒバリの飼育は「揚げヒバリ」競技ですね?
いやー、この遊びを実際には見たことはありませんで、テレビで見ただけですがね。
ええ、中国では、今でもやっているようですね。
「揚げヒバリ」競技って、上空高くさえずりながら飛ばせ、籠に戻るまでの滞空時間を競うようですね。テレビでは、そんな風に紹介していました。
         
ヒバリ競技ってピーチュク、ピーチュクとかチルル、チルルなんて鳴き声を競うなんて優雅な遊びのような気もしますね。
鳴き声を競わせるって云うと、ウグイスですかね。
ボクの家の近所に、ウグイスを飼っておられるお宅がありまして、正月には外を散歩すると綺麗な鳴き声が響いてきます。
ウグイスが鳴くのは春になってからですから、正月に鳴き声を楽しむためには夜間も照明して、さえずりの始まる時期を早めるんだそうですね。
ええ、「夜飼い」って云うらしい。
それに、春の初めでは、笹(ささ)鳴きのチャッチャッですから、綺麗な声で鳴かせるには、鳴き声のいいお師匠さんを頼まなければならないようですね。
名鳥だと、教授料がいるらしい。
それに、擂餌(すりえ)をやるんですから、これは手間ですねぇ。
ええ、うちのカミさんは小鳥を飼うのが好きでしたから、手乗り文鳥を育てたことがありました。もう、ずいぶん昔のことですが。
夜中も枕元において3時間ごとにやっていましたね。
ウグイスを擂餌(すりえ)で育てるのは、もっと大変なことなんでしょうねぇ。
         
でも、ウメの花が咲くころ、山裾を歩くと、チャッチャッと笹(ささ)鳴きをしているのが聞こえてくると、「ああ、春が来たなぁ」と思いますね。春がいっそう嬉しくなって来ますよね?
あのころのウグイスを藪鶯(ヤブウグイス)といいますね。
あれは、低木やササの下を飛び移りながら、上にある枝や葉の裏側を見上げて餌の昆虫類を探しているんだそうですね。
で、藪を伝っているので藪鶯(ヤブウグイス)と言うらしい。
で、まあ昔はこの生態から「竹にウグイス」であったらしいですよ。「梅に鶯」になったのは中国の詩が下敷きになっているとか。
        
ところで、今はウグイスを獲るのは禁止されているんですか?
ウグイスは昆虫を食べるんですから益鳥なんですね。
ええ、ウグイスの捕獲と飼育は、「鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律」によって原則禁止だそうですね。
だから、ウグイスを飼えるのは、飼育している鳥から生まれた雛に限られるんでそうですよ。
       
でも、小鳥を飼うのをいやがる人もいますね。
兼好は徒然草第121段で
「飛ぶ鳥、籠(こ)に入れられて、雲を戀ひ野山を思ふ愁へやむ時なし。
その思ひ我が身にあたりて忍び難くば、心あらむ人これを樂しまむや。
生(しゃう)を苦しめて目を喜ばしむるは、桀紂が心なり」なんて言っています。
        
「おまえが、そんな目にあわされたら、どんな気がする?」なんて言っているけど、そんなことを言い出したら、鯛の活け作りなんて、食べられないことになりますねぇ。
兼好は、あんなことを言っているけど、正月にウグイスの初音を聞くのは楽しい。