イソップの宙返り・149
      
王様の耳はロバの耳
王様はロバの耳をしていて、それを隠していましたが、髪を刈りに来る床屋(理髪師)は王様の耳を知っていて口止めされておりました。
しかし床屋は黙っている事ができず、井戸の奥に向かって「王様はロバの耳」と大声を出して叫びましたところ、その声があらゆる井戸に伝わって、井戸と言う井戸から「王様はロバの耳」と聞こえてきました。
皆にロバの耳を知られてしまった王様は耳の事を知っているのは床屋だけだとわかっているので、その床屋を殺そうとしました。
ですが、かわいそうになって床屋を許してやりました。
すると、アポロンの神が現れ「良く床屋を許してやった」と言って耳を元に戻してくれました。
寓意・寛容はアポロンの神も讃える善行である。
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この話は「さわると黄金になるお話」の続きで、アポロンはミダス王の願いを取り消す事には同意しましたが、代わりに王の耳をロバの耳にしてしまったことから始まった話でした。
          
とゃろで、政治家に求められる倫理って、国によって違うようですね。
フランスの元大統領のミッテランに愛人があることは公然のことだったそうで。
外国の記者、あれはアメリカの記者だったとおもいますが、がこの愛人問題を非難がましく質問しましたね。
そうしたら、ミッテランは「それで?(エ・アロール)」って怪訝な顔をしましたよね?
本当かどうかはしりませんが、フランスでは、愛人の一人もない政治家は選挙に通らないって言いますね。
女にも惚れられないツマラナイ男はペケだそうで・・・
       
女性問題は「国によって違う」だけではなく、日本では世代によっても違いますよね?
ボクは今の80才代の人との交際がおおかったのですが、この世代では蓄妾は男の甲斐性だと考えている人が多かった。
ところが、昭和二桁世代は不倫と考えますよね?
だから、お妾さんの話がでてくると、中間世代のボクなんかはウロウロしましてね。
非難する側に口を合わせて、それが上の世代に伝わるとエライことになるでしょう?
よく進退きわまることがありました。
         
蓄妾なんて、ひとのことだし、ボクら第三者にすれば関係ないことですが、賄賂の話は立ち往生することがありますね。
マイナイが社交儀礼だったのは、つい前の江戸時代でしたからね。なんて簡単にいってしまってはいけないんですよ。
幕府の役人の間では、普通のことだったかも知れませんが、庶民は悪だと感じていたようでしょう?
ええ、忠臣蔵の話。
あれの始まりは、確か赤穂の浅野内匠頭が勅使接待を命じられたんでしたね。
命じられるってことは費用ぜんぶが赤穂藩もちだったんですよね?
朝廷からの勅使ですから、礼儀作法の手続きがヤヤコシイ。
これの専門家の公家筆頭の吉良上野介の指導をうけなければなりません。
この指導料が少なかったことが松の廊下での刃傷沙汰の原因だったらしいし、まあ、講談ではそうなっているでしょう?
          
吉良へわたすオカネは指導料なのかマイナイなのかは微妙でしょうね。
でも、講談で忠臣蔵があんなに、もて囃されたところをみると庶民は指導料とは見ずに不正なマイナイだと感じていたんでしょうねぇ。
そして、幕府高官は刃傷沙汰の原因を詮索していないでしょう?
マイナイとしても、当然のこととしていたようですね。
同じ時代でも、社会階層では不正の感覚が違ったよう。
         
でまあ、今の不正の感覚の話なんですが、ボクら庶民の感覚では不正だと思う天下りも、高級官僚階層では不正だとは考えられていないようですね。
わざわざ天下り用の特殊法人をつくることって、マイナイどころか、国民の税金の横領のように感じるけど、高級官僚達は甲斐性と考えているらしい。
庶民の感覚とはズレているんですよね。
お妾さんや、愛人は第三者にすれば、ゴクロウさんな甲斐性だけど、高級官僚の天下りは許せない不正。頭のいいはずの秀才達にはわからないのかなぁ。
王様の耳みたいに、もう国民は寛容ではないよ。