イソップの宙返り・122
            
東方朔(とうぼうさく)のいさめ(諫め)
むかし漢の武帝が長生不老の薬を求めていましたところ、道教の仙人が長生不老の名薬だといって薬をさしあげました。
東方朔(とうぼうさく)という家臣が、これを盗んで飲んでしまいました。
武帝は怒って殺そうとしました。
東方朔は笑って、「長生きの薬を飲んだ私が、いま殺されて亡くなったら、この薬を長生きの薬と言うのはウソです」と言いました。
武帝は、「東方朔の言うことはもっともである。道人にたばかられて、世の物笑いになるところだった」と悟って、その薬を捨てさせ、東方朔に褒美をやりましたとサ。
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神戸の南京町に中華材料屋がございまして、飲むと痩せるというお茶を売っております。
ええ、これを売っている店の店主が、100キロを越える、どうにもしようのないデブ。
このデブ店主が商売熱心なヤツでして、朝早くから店先で臆面もなく、「ええー、痩せるゼ」なんてやっています。
女性には、素直な人が多いのか、これがそこそこ売れているんですねぇ。
いっぺん前を通ったときには、「オマエが、自分で飲め!」って、言ってやろうと構えていたんですが、さすがのボクも言いそびれてきました。
このあいだ、通った時には姿が見えなかったから、太りすぎで入院でもしているのかもしれない。
           
痩せ薬売りの悪口を言ったついでに、医者の悪口を言ってやろう。
ボクの身近にいる内科医が、それは親切な人物でして、出会うたびに「タバコをやめろ。毎日散歩をしろ」って気遣ってくれるんですねぇ。
ええ、良き友と感謝しております。
吉田兼好は徒然草117段で、良き友・物くるる友、医者(くすし)っていっていますもんねぇ。
へえ、この友達は医者で、また親切な人でして、物までくるる友なんですよ。
何しろ、良き友のリャンハン(2 翻)。足を向けても寝られないほどお世話になっていますです。ハイ。
           
ところが、彼は散歩もしなければ、タバコも吸うんですねぇ。
とても、健康を気遣った生活をしているとは思えないんですワ。
そうなると、あのボクへの気遣って何なの?
ところで、新聞で見たんだけど、呼吸器学会が「タバコは健康によくない」って決議だったかをしたらしいですねぇ。
ええ、学会員に対してではなく、ボク達に警告してね。
           
医師会の数年前の調査では、呼吸器学会の会員の15パーセントは喫煙者だったんですがねぇ。
ええ、医師会の会員全体の3割は喫煙者らしい。
このことを、かの内科医に言ってやると、「イヤ。3割は平均よりはるかに少ない。それに、吸う本数もはるかにすくない」って強弁するんですねぇ。
あんまり逆らってばかりいると、物をくれなくなるといけないから、「へえー、さすがに医者は健康に気をつけているんだなぁ」って追従を言ってしまった。
       
いえいえ、医者を南京町の痩せ薬売りと一緒にするつもりはありませんが、最近流行の健康補助剤(サプリメント)について、一言。
日本人はカルシュウムが不足しやすいんだそうですね。
火山列島で出来る農産物が酸性土壌で育つセイか、飲み水が酸性のセイか、どうしてもカルシュウム不足になりやすいそうですね。
そういえば、珊瑚礁でできた沖縄では、腰の曲がった老女って少ないんですかね。
珊瑚礁はカルシュウムで、水もアルカリ性のセイなんでしょうねぇ。
          
そうすると、ボクらはサプリメントとして深層水とか、アルカリ性のミネラル・ウオーターを飲んだ方がいいのかもしれない。
そう思って、湯豆腐だけはミネラル・ウオーターを使ってはいるんですがね。
       
でも、こんなサプリメントを飲んでいると、東方朔(とうぼうさく)に諫められるかもしれない。