イソップの宙返り・67
          
ライオンと蛙
ライオンが蛙の鳴くのを聞いて、さぞ大きな動物だろうと思いました。
ところが、池から上がって来るのをみると、小さい姿。
「見る前に、声だけでうろたえてはいかん」と言いながら、踏みつぶしましたとサ。
寓意・オシャベリ以外に能のない者がいる。
        ☆     ☆
極東の凡俗といたしましては・・・
寓意については、読者の皆様に考えていただくことにしまして。(何という横着)
雄弁術から、話をはじめます。
       
多数の聴衆に話を聞いてもらうには、シャベリの技術がいります。
すこし内容のある話を正確に伝えるのには技術が要りますねぇ。
発音もね。
特に語尾をハッキリと発音しなければなりませんねぇ。
あれは若いときに、できれば幼年期にトレーニングしなければなりませんよ。
教育テレビに出演なさる大学教授の話を聞いていると、授業をうけている学生の苦労と退屈さに同情するような話ベタな人が多いですねぇ。
           
日本語には同音異語がむやみに多いでしょう?
それに大学教授の使う言葉って専門用語って名前のヘタな翻訳語が続出してくる。
テレビでのスピーチには、「字幕出して!」って言いたくなるような話が多いと思いません?
「そんな同音異語のワンサカある専門用語を耳で聞いただけでわかる人は、あんたよりよっぽど専門家だけだヨ」なんて思う。
最後まで聞くと、聞いてためになる人にはわからないで、聞く必要のない人にしかわからない、なんてスピーチって多いですねぇ。
        
さすがに、政治家のスピーチは言語明瞭ですねぇ。
そりゃあ、票を集めなければなりませんものね。
でも、言語明瞭、意味不明。
官僚なんて、意味不明を練習するんですよね。
失言しないシャベリが出世の第一。
         
戦後では、学校でも話し方の機会が増やされています。
でも、学校の先生で、シャンとした話が出来る人に出会ったことがない。
ハッキリとしたシャベリ方だと思うと、まったく内容のない話しかできない人って多いですねぇ。
         
ボクは永らく弁護士をしていたんですが、街の法律相談に来られるお婆ちゃんでも、チャンとメモを作って来られる人があります。
だいたい、こんな人に限って話の要領がいいんですよね。
メモが要らないくらいに。
         
学校の先生は自信があるのか、こんなメモを作って来た要領のいい人には出会ったことがない。
「これで、教育なんてできているのかなぁ?」なんて人が多かった。
まあ、学校の先生も、末端とはいえ官僚だから意味不明なんかなぁ。
        
皆の前で、子供に話をさせるトレーニングの前に、先生達も話方のトレーニングをして欲しい。
学生集めにしのぎを削る、受験塾の先生にトレーニングしてもらって・・・
        
それにしても、モソモソ喋りの大学教授の方が先きかなあ。
(陰の声・「湊、おまえの話もわかりにくい」ですって? エヘッ)