イソップの宙返り・60
          
眠る犬とオオカミ
犬が小屋の前で眠っていると、オオカミが捕まえて食べようとしました。
犬が言いました。
「今は痩せていますが、ご主人が結婚式をするところです。いま逃してくれれば、結婚式のご馳走を食べて、太った私を食べられますよ」
オオカミはなるほどと思って、犬を食べませんでした。
次の日にやってくると、犬は家の屋根の上に寝そべっていました。
オオカミが「降りてこい」って言うと、犬はこう答えましたとサ。
「オオカミさん。今度わたしが小屋の前で眠っているのを見つけたら、もう結婚式まで待たないことだネ」
寓意・賢い人間は、九死に一生を得たら、以後用心する。
            ☆     ☆
極東の凡俗といたしましては・・・
スピート取り締まりって、事故予防効果がありますよ。
ボクは免許を取って10年目ぐらいに、スピート取り締まりに捕まったことがあります。
場所は西名阪と東名阪との境目の伊賀上野。
二つの高速道路は制限速度80キロ。その境目が一般道路になっていまして、制限速度50キロ。
後で、考えると注意標識はあるんだけど、道路の状況は高速道路と目立っては変わらないんですよ。
で、エエ調子で80キロの儘で走っていました。
バッチリと制限速度違反。
       
臨時の取り締まり事務所になっていた駐在所に行くと、警官は同情してくれましてね。
「他府県の人には、わからないでしょうねぇ」なんて。
まあ、マニュアル的な同情とも思えましたがね。
でも、少々腹が立ちましたね。
なにも、こんな罠みたいな取り締まりをしなくても、って思いましたよ。
それに、子供達を満載して走っていましたから、恥ずかしくもありましたしね。
            
しかし、この恥ずかしい経験から、それ以降はスピードには気をつけました。
イソップは「賢い人間は、九死に一生を得たら、以後用心する」って言うけど、「九死に一生を得たら」ほどでなくても、アホらしい目に遭ったら、「以後用心」しますよね。
賢い人間ほどではなくてもね。
その時は腹が立ったけど、40年間無事故でこれたのは、このスピード取り締まりのお陰だと思っています。ハイ。
              
でも人の中には、懲りない人っていますよね。
飲酒運転で何度捕まっても、懲りない人っています。
飲酒運転で免許取り消しになっているのに、性懲りもなく泥酔運転して、カーブでハンドルを切らないで直進、前の家に飛び込んだのがいましたねぇ。
         
懲りないひとの話なら、こんな人にであったことがあります。
ゴルフの事故のケースでしてね。
前に出ていたプレーヤーに後ろから撃った球があたった事故でした。
それも眼球にあたって、片目失明。
前に出ていた人にも過失があるんでは?って言う過失相殺が問題になったケースでしたが。
         
ゴルフをやる人にしかわからない話になるかも知れませんが、状況を説明しますと、こんなこと。
第1打を打って、柵越え(オービー)ではないと思って進んで行ったが、球が見つからなかった。こんな時には、第1打を打ったところ、この場合はティー(グランド)に帰って打ってこなければなりません、ってのが競技の正式ルール。
でも、非公式の場合は「帰って打つのを待つのは,邪魔くさいから、さっきの球が落ちたと思われるあたりから、とりあえず打つ」なんて便法をやることもあります。
           
この事故の起きたのは、会社の社内コンペ。
社内コンペでも、幹事が「プライペート・ルールで、こんな便法でやる」って決めない限り、正式ルールでやることになります。
        
ところが、この加害者は、こんな規則も知らなかったらしい。
帰らないで、その場で次を打ち始めたとか。
被害者になった人と連れは、ティー(グランド)に帰って打ってくるんだと思って、第1打の落ちるところより前に出て、座って待っていました。
        
加害者の方は、すぐ前に人がいるのに、打った。
それが逸れて、大声を上げた為、振り返った人の、それも目にあたったんですよ。
       
ボクは、この加害者は当然ゴルフはやめていると思っていました。
「(前記の)ルールを知らなかったの?」って訊くと、
「今はハンディーも上がりましたから、知っていますが・・・」
だって。
「ええー! まだゴルフをやっているの?」
ってビックリ。
           
ゴルフの話題を続けてしまいますが、ゴルファーの中には、打つ人より前に出るクセの人がいるんだよね。
あれは、やるべきことではないし、打つ方も気になるんですねぇ。
あれは、エチケットの問題ではなくマナー違反。
          
マナー違反の話なら、キャディーにオービー(柵越え)になったボールを、藪の中へ探しに行かせる人がいるんですよ。
キャディーはプレーの補助者。
競技から外れたオービー・ボールを拾いに行くのは役目ではない。
二流のコースに行くと、キャディーもサービスだと誤解しているんよ。
          
それに今時は、キャディーは数人に1人しか付いていませんよね。
みんなのキャディーが居なくなるとプレーが遅れるのよ。
「汚いボールが惜しかったら、家で寝ていたらいいのに!」って面と向かって言ってやったことがある。
エヘッ。こんなことを面と向かって言うのは、紳士にあるまじきことかなぁ?
         
でも、ボクは前に出ている人が下がってくれるまで、決して打たなかった。
打撃拒否。
それにしても、この打撃拒否は人迷惑でないと言い切れるかなぁ?
        
それにしても、「賢い人間は」、ヒドイ目にあった話を聞いただけで、以後用心する。
用心のし過ぎかなぁ?