イソップの宙返り・16
     
王様をほしがる蛙
王様のいないのを不安がった蛙達が、ゼウスに王様を授けてほしいと頼みました。
この連中が愚かなのを知って、池に木ぎれを放り込みました。
放り込まれた水音に驚いて、初めは木ぎれを怖がりましたが、すぐ木ぎれをバカにしました。
木ぎれは何もしないグズだから、と言ってゼウスに王様をとりかえてくれるように頼みました。
ゼウスは腹を立てて、水蛇を遣わしました。
蛙達は水蛇にみんな食われてしまいましたとさ。
寓意・支配者は、ことを好むならず者よりも、グスでも悪事を働かない者の方がましだということ。
            
極東の凡俗が考えまするに・・・
それにしても、ゼウスの神は気短なんですね。
腹をたてて水蛇なんか遣るまえに、よく教えてくれてもええやんか。
まあ、口で教えて、わかるもんでは、ないかもしれないけど。
        
それにしても、支配者を選ぶのはむつかしいですね。
「権力は人を腐敗させる」ってのは言い古された格言ですね。
歴史を見ても、この例外はなかったですね。
タクシー代、ホテル代の支払い権限ごときを任されただけで、リベートをとって、くすねる小人もいるんですからね。
あれ、やっているのは外務省だけではないように思えるなぁ。
           
支配者に権力だけでなく、権威を与えると、もうだめですよね。
日本人の智恵は、権威を天皇に、権力は三つに分けて三権分立していますが、それでもいろんな問題がありますね。
この権威と権力を一人に集中すると、どんな賢人でも、人格崩壊して、増長腐敗するものであることを前提とするのが民主主義の根本ですね。
      
よく言われるのに、パーティで政治家が入ってくるのを、皆が起立して拍手で迎える国には民主主義が育たない、って。
韓国では陣笠代議士がやってきても、これですよね。
中国では、もっとすごいようですね。テレビでみると、本人まで拍手していますもんね。
       
日本では、どうですかな。
俗物のやる結婚式には、政治家を呼びますね。
格好をつけて、政治家が入ってくるのを、起立して拍手することを、司会が求めますね。
それでも、たいていのパーティでは、こんな格好をつけないんでは。
そうすると、日本もまんざら民主主義が育たない国ではないかも、しれない。
        
ボクの大学のゼミの同窓には、与党の幹事長をやったほどの代議士がいるけど、折に触れ「こんな賤業でも、誰かが、やらなければならない」って言いますね。
これを聞くたびに、日本の政治家もまんざらではない、ように思っているんですがね。
でも、、こんな思いは甘いんですかね。
代議士って、個人的に話すと、平均人間よりはマシな人が多いように感じるけど、政治って、ほんとうに難しい「賤業」ですよね。
           
選挙に行かないひとの中には、「わざわざ出かけて、投票するほどの立派な人がいない」って言う人があるけど、人が立派だと思う人は、綺麗事を並べる危険なアジテーターなのにね。
みんなを食い殺す「水蛇」みたいな。