イソップの宙返り・10
    
カワセミ
カワセミは、ひと気のないところを好む鳥で、巣も海辺の断崖に作るということです。
或るカワセミが、海に突き出た棚に巣をかけて、雛を育てはじめました。
ところが、餌をとりに出ているうちに、突風が起こり巣の雛が飛ばされてしまいました。カワセミの言うことに、
「陸は危険だと、わざわざ断崖に逃げてきた所が、一層信用のおけない場所だったとは・・」
寓意・敵を警戒するあまり、敵よりはるかに酷い味方に、ぶつかることがある。
        
極東の凡俗が考えまするに・・・
「猛虎も酷政にしかず」でしたかの諺がありますね。
たしか息子を虎に殺された老婆に、なぜこんな所に住んでいるのか、と訊くと、里に下りて酷い政治にさらされるよりはいい、って答えたって話でしたか。
            
「日本の政治は三流だ」ってよく言われるけど、内戦をやっていないンだから、まあ、一流とは言えないけど二流ぐらいにはなりますかね。
だいたい、政治に一流なんてある?
それに日本には政治家で、ノーベル賞をもらったのがいるんですからね。
佐藤栄作。
あれは何かの間違いだったようですがね。
ノーベル財団が資金不足になって、金欲しさに苦し紛れにやった間違いらしいけど。
それにしてもノーベル賞をもらったんですからね。
三流政治とは言えないよ。
      
あれあれ、「酷い味方」の話でしたね。
アフガニスタンは20年間内戦が続いているんですね。
初めはソ連の力を借りようとした勢力。次はこれに対抗しようとしてアメリカの力を頼ったタリバンですか。
      
首都カブールの市民のうち3人ほどは「タリバンが来て、強奪とかの犯罪が減った」って答えたそうですね。
「市民のうち3人ほど」って書いたのは、マスコミのレポーターなんて3人ほどにインタビューして「市民は、そう言っている」なんて報道してくるんでしょう?
         
なんか、「市民は」って言われると「全市民は」って早とちりしてしまう。
文化大革命のときの北京報道であほらしい目に遭ったから、ボク達聞き手のほうも賢くなっていますもんね。
タリバン支配下の街へ行っての3人のインタビューなんて、まともには聞けない。
         
アフガニスタンの20年間逃げまどう生活って、どんなんかなぁ。
太平洋戦争末期に山一つ隔てた田舎に逃げたのだって、ボク達には苦しかったですものね。
          
「敵を警戒するあまり、敵よりはるかに酷い味方に、ぶつかることがある」って話は本当ですね。
ソ連を頼った敵を警戒するあまり、敵よりはるかに酷い味方のタリバンにぶつかったんでしょうかね。
今度は傀儡政権を「国連主導」でつくるそうだけど、外国の傀儡政権って「もっと酷い味方」にならなければいいんですがね。
        
外国の傀儡になる売国奴に、まともな連中がいるはずがないのでは?
これは歴史を見れば、例外はなかったようにおもえるんですがね。
南ベトナム政権も、そうでしたよね。
20年間逃げまどって、まだ受難が続くアフガニスタンの人たちの不幸に暗然としますね。
          
内戦だけはしたくないですね。