イソップの宙返り・5
          
笛吹けど踊らぬ魚
笛に自信のある漁師が、妙なる笛の調べて魚を獲ろうと、岩の崎にたって奏でました。
いくら頑張っても埒があかないので、怒って投網を投げました。
魚が、どっさりとれました。
獲れた魚は、ぱくぱくしながら跳び跳ねるので、漁師が言いましたとさ・・・
「いまいましい魚め、笛を吹いているうちは踊らなかったくせに、やめた今頃、踊りくさる」
これには寓意の記載はありません。
         
でも、極東の凡俗は下心(寓意)を考える。
投網を投げると、どっさり獲れたことからすると、魚は笛の音を聞きに集まっていたんでしょうか。
上手、下手は別にして。
行政が笛を吹くときはむやみに踊らない方が、いいようですね。
笛を吹く市役所に乗せられて、明石の歩道橋に集まって、エライ目にあった人たちがありました。
                     
キツネと豹
キツネと豹が美しさを競いあいました。
豹は毛色の多彩さを自慢するので、キツネは答えました。
「私の方が、どれほど美しいことでしょう。体ではなく心が多彩なんですから」
寓意・体の美しさより知性の装いの方が大事である。
       
極東の凡俗が考えまするに・・・
クレオパトラの魅力は「鼻の高さ」ではなく、知性の輝きだったそうですね。
シーザーや、アントニゥスが魂を奪われたのは、クレオパトラのギリシャ的教養だといいます。
まあ、当時のローマは軍事新興国でしたが、野蛮な穴居族でした。
クレオパトラはアレクサンダーの将軍プトレマイオスの子孫でした。
ギリシャ文明は教養のレベルが違います。
ところで、知性と教養は目の周り、口の回りに集まりますね。
でも、目の「周り」ですよ。
夢見るような魅力的な「目」の人に出会ったことがありますが、実は近視だったりしてぇ・・・
少し話すと、ガックリ。
        
石をひき上げた漁師
漁師たちが地引き網をひいていました。
網が重いので、てっきり大漁だと有頂天になって曳き上げました。
ところが、網の中身は石でした。
漁師達は落胆して悲しみました。
その場に居合わせた老人が言いましたとさ、
「皆の衆。腹を立てるのは、やめよう。悲しみというものは、喜びと姉妹であるようじゃ。先にあれほど喜んだのじゃから、悲しみにあうのは当然じゃったんだよ」
寓意・好天が続いたあとは、必ず嵐になるもの。
        
極東の凡俗が考えまするに・・・
「禍福あざなえる縄のごとし」は知っていました。
人生には、死を考えるほどの絶望もなければ、有頂天になるほどの幸運もありませんです。ハイ。
先ほどのバブルの崩壊で、日本国民は皆よくわかりましたです。ハイ。