心配性
        
私は自分でもおかしいほど心配性でしてね。
子供をつれて電車にのると、不審な人間がいないかと周りをみわたします。
ですから、いまでも孫をつれていると、道を歩くときにも周りに気をくばっていますね。
で、いいこともあるんですね。
僕はいままでに、駅のプラットホームで数万円の現金を2回ひろったことがあります。
ね、いいでょしう。
こんな心配性ですから、舞浜の豪華ホテルに泊まったときに「クレジットカードで支払いをする場合にはあらかじめカードをフロントに預ける」ように求められたときには、もめましたね。
それ以前から東南アジアでクレジットカードの不正コピーのトラブルが頻出していましたからね。
むかし香港で経験したことですが、一流ホテルなのにクレジットカードで支払いをしようとすると、裏の事務所に持って入ろうとされたことがあります。
いえ、このときにはまだカード・コピーのトラブルが報道される前のことでした。
なんとなく不安になって文句を言うと「カードの機械が、事務所のほうにしかないから」っていうんです。
カウンターを叩いて抗議すると、しぶしぶ機械を持ち出してきて目の前で使ってくれました。
念のために申しておきますと、これはただの一流ホテルで「超」一流ホテルの話ではありませんでした。
いまでも、「超」一流ホテルに泊まっても、部屋を留守にするときは、現金カード、パスポートはトランクの中にいれて鍵をかけています。
いえ、国内でも。
        
次は、ホテルの部屋の鍵。
犯罪の多い国では鍵だけでなく、チエーンを併用してますね。必ず。
東南アジアの安ホテルに泊まったときには、鍵とチエーンでは安心できず、机を動かして、ドアー防ぎのバリケードにしたことまであります。
ね、心配性でしょう?
          
この心配性は銀行に行くと不安におそわれます。
日本では銀行とか、郵便局では、手の届くところで現金を扱っていますよね。
あれ、怖い。
だって、いつ強盗が入ってくるかわからない。
客にすれば巻き添えにならないかと不安ですよ。
銀行は鉄柵を設けるとお客さんに不愉快な思いをさせるから、サービスとして開放的にしているらしいけど、僕は客を不安にするのが、なぜサービスなのかさっぱりわからない。
特に国際化したいまは犯罪も国際化しているのにね。
銀行は盗られても、保険がきいているから平気かもしれないけど、巻き添えになる客のほうは大災難。
          
こんな心配性は、僕だけかとおもっていたら、もっとすごいのに出会ったことがあります。カナダのバンクーバーのスーパーで3000円の水泳パンツを買おうとして、100ドル紙幣(約1万円)を出したら、レジのおばさん物もいわないで、逃げるんよ。
脱兎のごとく拳銃を下げた私設警備員と支配人が走りよってきました。
びっくりしましたね。
ずいぶん前の話ですが、日本ではいまでも、3000円の買い物にクレジット・カードをだします?
100ドル札をだすなんて、キャッシャーをあけさせる強盗ではないかと心配したレジのおばさんの心配性もすごい。
         
もっとすごい心配性に10年ほど前、パリでであったことがあります。
ところで、手回し式の計算機って「博物館」で見たことがあります?
あれで、がちゃがちゃ暇をかけて為替換算をしてくれまして、なんと、カシオ計算機で検算をはじめるんよ!
これオペラ通りにある銀行。
もちろん、係員は鉄柵で囲んでありました。
上にはうえがいるもんですね。
その後数年して行ったときには電子計算機を使っていましたが、そのあとで手回し計算機で検算していた。
           
心配性って言うと、踏切で一旦停止するのは日本だけだそうですね。
ドイツでは一旦停止すると交通違反になるんですって?
いえいえ、停止しないんではなく、停止すると違反。
そりゃあ、踏切の自動遮断機でも故障することもありますから日本の道交法が心配性ともいえませんが。
         
車検も心配性の産物?
それとも、あれは利権の産物かなあ?