明石の将棋倒し事故
     
明石のお祭りで「将棋倒し」事故がおこってしまいました。
この事故はあまりに痛ましいので、状況を聞いてください。
ここの地理ですが、明石市域が、このJR朝霧駅の部分だけ東側の神戸市に食い込んでいます。
この駅の利用者は駅北部に住む神戸市民だけ。
明石の人は馴染みのないところなんです。
さらに、JR朝霧駅の駅前広場は狭い。
この狭い駅前広場から南にある海岸へ、JR線と、これに南接する国道の二つを跨いで歩道橋が数年前設置されました。
この歩道橋は遙かなたかみにありまして、きゃしゃな橋脚でささえられています。
「3000人も乗って、よう、落ちなかったものやなぁ」っておもいましたね。
事実、ぐらぐら揺れていたらしい。(実際はもっと多かったと思える)
           
海岸への道路は、この歩道陸橋1本しかありません。
なんてことは、初めてここにやってきた、明石市民は知らなかったでしょうねぇ。
この海岸に10万人を越える見物客を集めたんです。
明石祭りは、いままで市のなかほどの海岸でやられていたらしく、市の東端にある、このJR朝霧駅南の海岸を会場にしたのは初めてらしい。
市の東端にありますから、集まった市民はJRに乗ってやってきたそうです。
降車すると、ただただ人並みにもまれて、狭い駅前広場からこの歩道橋へ押し込まれてきたはず。
明石市民にとっては、ここは地理不案内ですから、歩道橋にあがるまでは危険を感じた人はいなかったでしょうねぇ。
「そのうち開けた海岸へ着く」って思ったはずだし、引き返そうと思っても人の流れに逆らって帰るのはよほどの「暴力的な」体力がいったはず。
こんな辺鄙な、道路も満足にないところで、10万人を越える祭りをしようとした明石市のアホ。
このアホを上回ったドアホは兵庫県警。指導をあおがれて、「だいじょうぶですか?」なんて諒承したらしい。
それで、出した警備の員数は数十人。
数百人でも少ないよ。
10万人を越える群衆を整理するのは混雑整理ではなく、治安の問題。
今度の事故は整理責任ではなく、治安責任者である兵庫県警の全面的な責任ですよ。
日頃の鬱憤をたたきつけると、それにつけても、兵庫県警って無能なドアホ集団。
グリコ森永事件から始まって重大事件はみんな迷宮入り。
ですが、こんなアホが新しい場所での未経験な催しをしょうとしたことに根本的な問題があるように、思えます。
想像力のない官僚組織が未経験な催しをすること自体が誤りがあるように思えます。
組織には能力の限界がある。
組織を運用する責任者は能力を超えて現場の人たちの、「とっさ」の的確な判断をあてにしてはならない。
これ、組織運用の鉄則でしょう?
(この組織運用の鉄則の話は長く、重い話になりますので、今週末のメルマガで書きます。)
          
ところで、「そんな危険な場所へ子供を連れて行くなんて?」って、おもってらっしゃる方もあるかもしれませんが、全国のみなさん、親を責めないで!
子供を連れていった親は、みんなここが危険な場所だと知らなかったんですよ。
        
で、こんな危機管理のお粗末な国で生き延びるには、我が身を守る自衛の知恵がいります。
このエッセイのテーマでもあるんですが、日本人のなかには、まったく危険予知の想像力の欠落した人種がいるように思えてならないいんです。
それも、そうとう多数。とりわけエリートに。
よく出会うのに混み合った下りエスカレーターに足の不自由な老人とか、幼児連れが乗っています。
僕は急いでいても、空くまで待ちますね。
降り口で転倒する人がでると、後々から人がふってきて将棋倒し事故になります。
「安全装置が働いて止まる」なんてノーテンキなことを言わないで!
転倒者が出た途端、即座に安全ポタンを押せる沈着冷静で素早い人が、ボタンの傍に偶然いてくれることを期待しないで・・・
混雑する下りエスカレーターは怖いよぅ。
僕なんか、乗っているだけで、心臓がドキドキしてくる。
        
あれ、心臓がドキドキしない人っているんですね。
高速道路で、むちゃくちゃに車間を詰めている車ってあるでしょう?
普通、前車との車間が詰まると、心臓がドキドキしてくるでしょう?
明石祭りの警備責任者は「心臓ドキドキ」しないタイプの、鷹揚なノーテンキ族だったんでしょうね。
             
なんて、えらそうなことを書いたけど、僕はむかし、失敗したことがあるんです。
子供達を連れて、温泉に行った時ですが、子供が先に大浴場に走りこみまして、水の溜まっている浴槽サイドで、転んだことがあります。
頭を打って、脳震盪。肝をつぶしましたね。
ただただ幸運に救われて、大したことはなかったんですが。
その後知ったことですが、修学旅行では風呂場での転倒による死亡事故まで起こっているんですね。
      
プール・サイドでの子供の転倒事故も大事になるようですね。
これを知ってから後は、プール・サイドで走っている子供を見つけると、注意することにしました。
いえいえ、知らない子供さんにですよ。
そのうち、とめるコツを会得しましてね。
いきなり大声で「ぼく!、君!」って注意すると、怯えて泣きだすんです。
静かに、「チャン、チャン、お父さんどこ?」って呼びかける。
子供のほうは、立ち止まって「あそこ」って答えてくれます。
そのうちに不審なジジイだと、親御さんがやってくる。
と、危険を説明します。
たいてい、わかって感謝してくれます。
          
ところで、何故「チャン、チャン」って呼びかけるかと言いますと、どこともジジ・ババは孫に幼児言葉で.よびかけるでしょう? 
可愛いもんだから、「○○ちゃん」が高じて、子供はジジ・ババには、一度ぐらい「チャンャチャン」って呼ばれている。
これ幼児向け共通語。
         
ところが、この注意、いちど思いもかけぬことが起こりました。
やってきた母親、いきなり子供の頭を、転倒するほど、ドヤシつけるんよ。
いまでも、覚えている。
この恐ろしいヤンキー・ママ、厚化粧。
「子供を殴るナ」、「プールへ厚化粧をしてはいるナ」って言いたかったけど、言葉を飲みこみましたね。
ああ、怖かった。このケース、我ながら危険予知に問題があったなァ。