秋田美人は、どうして出来た?
     
秋田、津軽には美人がおおいですねぇ?
あれ、北国は紫外線の直射が少ないから色白になった、って聞いたことない?
でも、だったら太平洋側の三陸にも美人がおおくないと、この説はなりたたないんでは?
杜の都、仙台にも美人がおおいけど、全国平均として、目立っておおいとは人は言わない。
それに、秋田、津軽の人って太平洋側にうつり住んで50年経っても、やっぱり色白ですね。
       
それからすると、あれは遺伝の問題らしい。
色白って言うと白人ってことになるけど、秋田メノコの色白は、白人のはずのイタリア人より白いですよね。
         
紫外線の少ないところでは、体内でビタミンDを合成できないらしい。ビタミンDはカルシュウムをとりこむ触媒になる物質なので、これが不足するとクル病とかになってしまう。
色黒は皮膚表面のメラニン色素がおおいことだから、皮膚深くに紫外線が入ってこないことになるとか。
で、南の住人は色黒、北でも紫外線の少ない土地では色白ってことらしい。
紫外線のおおい南で、皮膚深く紫外線がはいってくると皮膚ガンとかになってしまう。
それを防御するために、南の住人は色黒だとか。
         
で、紫外線の照射量の少ないところで住むためには、皮膚のメラニン色素が少ない色白が有利だといいます。
でも、緯度に関係するのなら、三陸側だっておなじでしょう?
もっと北のシベリアの原住民はもっと色白でなければならないはずなのに、それほど色は白くないもんね。
あれ何故かって言うと日照の問題らしい。秋田津軽は豪雪地帯なので、日照が少ない。北欧は冬曇りが多いので、皮膚の色白が高じて、髪も金髪に、目の色も青いとか。
ところが、シベリアの冬ってカンカン照りが多いとか聞きますね。
太平洋側の三陸も冬晴天がおおいのでしょうかね。紫外線がおおいと皮膚のメラニン色素が少なくなる原因がないんでしょうね。だから北国でも日照時間が多いところでは、色白にはなっていない。
          
秋田の人って新モンゴロイドの弥生人の血が多い人達だそうですね。
そうすると、秋田に住み始めてからは、せいぜい3000年ですね。
まあ、農耕社会では、一旦定住すると移住することはないらしいし、外の地域との通婚も少なかったらしいので、種族の純粋性が永がらくつづいたでしょうね。だから、色白傾向は純化されたらしい。
          
次は突然変異の話。
秋田に住み始めたと言っても、遺伝的に色白になる突然変異が都合よくできたのは不思議ですね。
突然変異で色白になるのは遺伝子を形成する分子が1個変異すればいいものではないらしい。
皮膚が白くなるためには、メラニン色素を合成するのまでコントロールしなければならない。
こんな複雑な体質を変える為には、遺伝子変異は数百個必要らしい。
分子レベルでの突然変異はしょっちゅうおこるからといって、人間の体質がコロッと変わったら困るもんね。コロッと変わらないのも、防御遺伝子のお陰らしい。
           
ところが、秋田の人はわずか3000年の間で色白になったらしい。もっと勇敢な表現をすると秋田に住み始めて、多分1000年位で。
3000年なんて言うと人間の500万年の歴史から言うと「ポーンと急に」変わった、って感じで。
何百か何千かの遺伝子の分子が、一斉に或る方向を目指して突然変異することはダーウインとかメンデルの説ではあり得ないこととされてきました。
         
命名どおり突然変異は「変異」ですから、突然かたわのように変異して、そのほとんどは環境順応性がないから淘汰されてきたことになってきました。
           
それにしても、例えば、ヒトの歴史での大事件の突然変異は直立歩行ですが、13もある脊椎の骨(椎骨)が一斉にそれらしい直立をしたのは奇跡ですよね。
これは変異での淘汰では説明できない。
このことから、環境順応性を考えると突然変異は一定の方向性をもって変異するのではないかとの説がでてきています。例えば、色白に向かって変異する、とかの。
           
どうして、こんな考えがでてきたのかと言いますと、細菌の研究かららしい。
細菌の細胞分裂は、人間より遙かに速い。
人間の進化の歴史5000万年を、細菌は25年で達成するとか言います。
ですから、細菌の突然変異を見ていると、変異は指向性をもって起こるらしいことが判ってきた。
変異に方向性を持たせる遺伝子があるらしい。
環境順応して現在まで生き延びてきた生き物には、よほど優れた方向性指向の遺伝子があるんでしょうね。
         
だから一家族だけが色白になって、後の家系は淘汰で絶滅したんではなく、山形に住み始めた新モンゴロイド(弥生族)は前後して色白変異をおこしたらしい。
      
それに美人になるためには、色白だけでは駄目ですもんね。
鼻も或る程度高く、足も或る程度長く、とか変異がそろっていなければなりません。
この変異がたくさんの家系でおこらなければ、秋田美人なんてうまれてこないですよ。
こんな変異が出てくるのは変異に方向性がないと不可能だったでしょうね。
それにしても、庄内地方には美人が多いよ。
          
ところが、美人に生まれたから幸せになれれるとは限らないのが人生の不思議。
先年、ある法律相談で出会ったお婆さん。若い頃、凄い美人だったことがはっきりと判るような人だったので、いきなり「秋田のご出身ですか?」と訊いてしまいました。
そのお婆さん、喜びましたね。それも異様な喜びよう。
「わかりますか? 庄内の生まれです」って。
ボクの質問の「秋田の生まれですか?」を「貴女は美人ですね?」って意味に直ぐとったのですね。
若いときには美人でちやほやされてきたんでしょうね。
でも、話を聞くと、この人、数奇って言うか、余人から見ると幸福な人生ではなかった。
美人故に運命に翻弄された一生だったらしい。
       
だから、美男美女に生んでくれなかった親を恨むんじゃあありませんよぅ。
人生なんて、そうしたもの。
ケ・セラセラ。