こんなこと知ってた?
     
「かくや(覚弥)の香々」
何のことはない、たくあんの古漬を細かく切って、水に晒して、絞って、生姜なんぞを混ぜ込む、あれ。
あれ、れっきとした料理で、名前まである。
「覚弥」って名前らしい。
妻に聞くと、刻み方に「カクヤ切り」ってのがあるそうだけど、彼女も料理の名前としては、知らなかったらしい。
         
ところで、このカクヤってのは岩下覚弥という名の徳川家康の料理人。彼が作って、家康に供したら、えらく気に入って、それから庶民にも広がったってことになっています。
まぁ、この手の話は、伝説なんでしょうから、それ以前から似たような食べ方があったと考えられるけど。
家康って鯛のテンプラを食べ過ぎて死んだことになっているから、カクヤさんってよっぽど旨い料理を作る達人だったのかなぁ。
     
次は、話せば、皆さん、ピーントくる落語噺。
「寝床」。
下手な浄瑠璃を、人を集めて無理強いに聞かせたがる奴、って言えば「ああ、あれか」って判りました?
そうそう、みんな白けて帰ってしまったのに丁稚が独り、泣いていた。
「オマエ1人だけは先代萩が判ったか?」と感激したら、「旦那の床が私の寝床です」って。
寝床をとられて寝るところがなくて泣いていた。
これから、下手な音曲を、聞きに来いこいって人を呼ぶ奴のことを、「寝床」って言う。
ボクの友達にも、昔いた。
      
ところで、僕みたいに下手な絵の個展をして「見に来てくれ」って無理強いするのは、何んていうんかなぁ?
ついでに、落語づくしをもう一つ
「酢豆腐」
キザで、何にでも通じている振りをする嫌味な奴のこと。
キザを追いつめられて、腐った豆腐を食わされる羽目になる咄。
ところで、通人(つうじん)って揶揄言葉で、誉めるときには、通家(つうか)って言うのをご存じ?
    
エェ・・、三題噺の枕振りが、やっとおわりまして、いよいよ本論。
先日、帯状疱疹の薬のソリブジンと、抗ガン剤のフルオウラシルの併用副作用で、沢山の犠牲者がでました。これ、併用副作用とか複合副作用っていうらしい。
      
薬の複合副作用って、意外に検査されてないんですね。薬の副作用を調査するのは、製薬会社の責任。
投薬する現場の医師とか、薬剤師さんは調べようがない。人体実験はできないからね。
この手の情報を医師、薬剤師に提供するのに、製薬会社のMRって言う情報提供と情報を収集する専門家がいます。だから、臨床現場では、このMRが頼り。
         
複合副作用を調べるのは、実は大変な作業。
いま販売されている医療薬は1万6千種類あるから複合副作用を全部調べるのは不可能、って俗に言うでしょう。(医療薬は薬店で売られている売薬・OTCとは別)
調べるとすれば1万6千の2乗、2億5千万ケースのチェックがいることになる、って。
でも、あれは嘘。
        
1万6千種ではなく、製薬会社がつけた商品名が約1万6千なので、薬品の種類としては270種だけ。
でも、270の2乗でも、7万ケースからの検査が要る。
先に出した、帯状疱疹のソリブジンでは、よく併用される消炎剤とかはチェックしていただろうけど、抗ガン剤なんてすごい薬との併用副作用って検査していなかったらしい。
でも,2種類程度の複合副作用は動物実験レベルだけでもチェックして欲しいですねぇ。
         
で、何を言いたいのかというと、薬を併用していいのは、せいぜい2種類だけだということ。
ボクの友人に、薬好きがいまして、昼食を一緒にとると、食事のあと、いそいそとテーブルの上に薬を並べるんです。「これが何の薬、これが何の・・・・」って。
言うのを聞いていると7種類。
よく健康の医学なんて本に「複数の薬を複数の病院から出して、もらった時は、薬剤師に、大丈夫か、聞くように」って書いてあるけど、薬剤師のほうにしたって、MRから複合副作用情報が入っていないかぎり、「副作用はありません」ってことになる。
だから、誰か不運な人に複合副作用がでて、初めてMRから情報が提供されることになる。
あなたが、この不運な被験者になりたくなかったら、複数の薬を併用しなければならない場合には、少しでも「おかしい」ことがあると、すぐ主治医のところに飛んでいくこと。これ以上にやれることはない。
3種類以上の薬を併用している人は何しろ、「前人未踏」の人体実験になっていると覚悟しておいたほうがいい。
     
蛇足を付け加えると、漢方薬って副作用がないなんて、信じている人がいるけど、薬は人体に異物なんだからやっぱり副作用も、西洋薬との併用副作用もないとは限らないものらしい。