初心忘るべからず
 
僕は大学をでて、M商事会社に就職しました。
新入社員のための講習会がいろいろ開かれました。
最初の講義は外国為替のはなし。
この講義は「L/Cは国際決済としては通常のものである」って調子での2時間。
だいたい、当時の大学出たばかりの新入社員に、いきなり「エルシー」なんて言っても、何のことかわからない。
エルシーなんて言葉を知っているのは、商学部で国際取引の単位を取ったやつだけ。
エルシーの意味を知っている者にとっては、「国際決済の通常の方法」だなんて、説明してもらわなくても、判っている。
           
だから、判っている人にはこの講義は全く意味がなく、わからせるべき奴は、何にも判らないから、弱って居眠りをしていました。
まぁ、これを聞いた総務部は、別の講師で、もう一度、判るような講義をしてくれましたけどね。
先に講義をしてくれた講師は、ベテランだったけど、何もわからない新入社員にどういえばわかるか想像できなかったらしい。
         
「初心忘るべからず」の本来の意味は、先輩が初心者に教えるときの心得だそうですが、こんな間違いを、この講師だけではなく、ボク達もやりますね。
この手のバカバカしい話に、事欠かないのがパソコンの世界。
あなたは、ここへアクセスなさったんですから、ベテラン? 少なくとも初心者ではないですよね。
パソコンを習われたのは、学校とか講習会においでになりました?
僕は、決まった時間に暇をつくれなかったから、手引き書で悪戦苦闘しました。いえ、今でも悪戦苦闘しています。
       
手引き書って、何であんなに、判らない言葉を使うの? それに文脈も、用語も日本語とは思えない。
手引き書にも著作権があるから、同じ用語が使えないとしても、著者は自分の初心の頃のことを忘れているとしかおもえない。
それに、あのパソコン英語(?)は英和辞典を引いても出てこない。
ボクは始めたときに、デスクトップって意味すらが、いくら調べても分からなくって、イヤになったことを憶えています。
デスクトップって、機械の種類と、表表紙のことをいうらしい、とわかるまでうんざりした。
あなた、どうでした?
  
まぁ、初めからホームページを作ろうとしたんですから、今から考えると、無茶と言えばむちゃ。
「やさしいボームページ」とか、「犬でも作れるホームページ」とかを買ってきて、作りはじめました。
コンテンツとかいう、内容のページは確かにすぐ作れました。
2冊の作り方の本では「これで完成です。アップロードして下さい」って書いてある。
取り扱い説明書に戻って、送り始めたところ、「エラーが発生しました」、たまに「送りました」と表示するのに、開けてみると、アップロードされてない。今、思い出しても血があがる。
          
弱って、システム・エンジニァとかいうプロに知人に来てもらったんですが、この人の言うことが全然判らない。「そんな専門用語が判るぐらいなら、おまえを呼ぶか」って内心で毒づきましたねぇ。
このプロも、1時間以上悪戦苦闘したけど、なんどやっても、アップロードするとエラー表示が出るばかり。そのうちクラッシュし始めて、彼は敗退。
結局、安くはない謝礼を払って、偉そうに言われただけ。
            
この後も、ビックリしたのは、紳士だと思っていた後輩達が、ことパソコンのはなしを始めると、偉そうに人を馬鹿にすること。ほとんど白痴扱い。
それが、ほんのちょっとした知識をね。手引き書の次のページに載っている程度のこと。
そして肝心のことは教えてくれない。少し研究すると、実は彼らは何にも知らなかった、ってことがわかってきた。
          
ひとに教えを乞われた時には、ボクの本職は専門職ですから、わらないときには「一緒に調べましょう」とか「こう調べればどうですかね」って答えます。これは後輩にものを教えるときの鉄則ですよね。
でも、パソコンにかんしては、誰もこんな常識的な返事をした奴はいなかった。偉そうにいうばかり。
みんな初心を忘れてしまっているんですねぇ。
それも、ほんの1年まえの自分の初心のころのことを。
           
以下は「初心忘るべからず」とは関係ないけど、あなたがホームページを作ろうと思っておられたら、ボクの失敗と悪戦苦闘の話も無駄でないと思って書き留めます。
      
ひとに聞いて、ウイルス防止用にノートンを買ってきました。
これには、ハードディスクの使用占有量が表示されるんです。
これを見ると、ホームページをアップロードしようとすると、使用量が安全圏を越えかけていることを、知りました。
        
パソコンを初めて買うとき、ホームページを作るには、容量にタップリ余裕を持たないといけないことなんて知りませんから、売り場の係員の「大丈夫」って言葉を疑わず、当時一番簡易なハードディスク100メガ、メモリー64のを買ってしまっていたらしい。
        
溢れかえっているのを見て、容量を空けなければと、パードティスクの適正化を繁くやりはじめました。
これを始めると、アップロード時にクラッシュすることはなくなりました。
「バンザイ」ってことになって、毎日適正化をやったんです。
ところが、3ヶ月もすると、訳の判らないクラッシュが始まりました。
ソフトの再インストールをソフマップに持っていって数度くりかえしましたが、またしてもクラッシュ。
そのうち、立ち上げただけで、フリーズし始めてNEC のサービスに持ち込んで修理しましたが、持ち帰って1週間もすると、元どおりダウン。
もう、どうにもならなくなって、少し上級機種の20ギガに変えました。
それからは、やっと問題はなくなりました。
       
あとで知ったのですが、適正化を繰り返すとハードディスクって摩耗して壊れるんですってねぇ。
だから、適正化をあまりやらなくっていい、容量のタップリ余裕のある機械(ハード)をホームページのアップロードには使わなければならなかったらしい。
みんな、偉そうに専門用語を使って人を馬鹿にした割に、何にも判っていなかったことが、ボクは中級クラスに進歩して初めて知りました。アア、しんどかった。

               
お花見
         
私の住んでいます神戸の岡本近辺は、小さなお庭にも、皆さん桜を植えておられます。
これを辿っての花見が楽しい。
「辿り来て 屋敷やしきの 桜かな」って云う気分。
      
この近辺では、浜香枦園の桜並木が素敵なんです。
阪神電車香枦園から南の河口までの並木は遊歩道も広く、桜花を見上げて、うわの空で歩いても、わずわされることがなく、楽しく散策できます。樹齢も古く、立派な桜並木。
      
それに、夙川の川底に遊歩道が造られています。
空の上から花吹雪が河面に降ってきて、花筏になって川面を流れます。
ボクにだって
「虚空より 桜集いて 花筏」って戯れ歌ができる風情。
桜の下で、お酒を飲んで騒ぐ「お花見」をするのは、日本だけ、って揶揄する人があるけど、風流人だけでなく、庶民までが花を愛でるの日本だけですもんねぇ。どんな、もんだい。
     
ところで、先の話題の「花吹雪」、これの最高は吉野。4月20日ころになると、下千本が散り始めます。
谷底から桜の花びらが舞い上がってくるのが、この世ならぬ風景。
この花吹雪のなかを歩くのもよし、上千本の岩倉から遠望するのもよし。
こうなると、散る花びらは、山桜の薄く軽やかがよろしいですね。
   
以上 関西サクラ案内でした。