そばアレルギー
           
地方紙の投書記事で、そばアレルギーの話が出ていました。
フランスの街角で、娘さんがクレープを食べたところ、そばが入っていたらしく卒倒して救急車で運ばれ、集中治療室で生死の境をさまよった話でした。
           
アレルギーのメジャーは、花粉症。
その次は鶏肉、卵だそうですが、蕎麦アレルギーは最も重篤な症状を引き起こすんだそうですね。
そういえば、数年前、学校給食でザル蕎麦を食べて急死した子供さんがいましたね。
たまたま、この欄で、パリのモンパルナス広場の脇に、ソバのクレープ屋さんがあって、蕎麦を焦がすと、蕎麦ボーロのような香りが楽しめます話を、何の気なしに書いてしまいました。ええ、ブルターニュ名物のね。
             
「健康な心が、健康な身体に宿れ」って諺をひいて、健康な人間は、時として思いやりに欠けるってことを書きましたが、やっぱり、この諺のいう傲慢を犯してしまったようです。
先の投書者は、ヨーロッパで、ソバを食べることをご存知なかったらしいので、モンパルナス広場のクレープ屋の話を、重ねて書きます。
          
イタリア北部、フランス北部の山岳地帯では、蕎麦を沢山作っています。
ですから、ヨーロッパでは、ソバをよく食べます。
ただ、日本のように切りソバにして食べているのは、出会ったことはありません。
ですが、スパゲッティには入れるみたい。
ソーセイジの増量剤には、昔から使ってきたと聞いたことがあります。
ソバは健康にいいって、言いますので、変な増量剤より安心で、口当たりもいいから多用してきたんでしょうね。
ですから、ソーセージとか、パスタとかの内容不明なものは、アレルギーの人は避けた方がいいでょしうねぇ。
                   
僕は他人事として書いていますが、これが他人事とは言えないみたい。
花粉症でも、自分では関係ないと思っていたら、実は花粉症だったって話をよく聞き始めましたね。
1年目は、たいして自覚症状がなくて、数年たって、どんどん重くなってから気がつくって言いますね。
           
蕎麦アレルギーも、除々に重くなるらしいけど、なにしろ症状が激烈だから、油断できないらしい。
ひょっとして、花粉症かもしれないと思ったら、ヨーロッパ旅行の前には、アレルギー検査を受けた方がいいみたい。
               
日本ソバが、とりわけアレルギー反応がきついって言う人もあるけど、ソバであるかぎり、ヨーロッパのソバも大した差はないように思えますが。
            
日本蕎麦の話なら、江戸時代の本を読むと、ソバを食べ過ぎると、身体が冷えるって、書いていますね。
きついソバ・アレルギーの人は、うどんとソバの兼業の店では、ソバを茹でた湯で、うどんを湯がかれると、反応が起こるっていいますねぇ。
              
友人としても気をつを付けてあげなければと思っています。
ソバは健康食品だって言うけれど、健常者と思っていても、あんまり毎日同一食品を摂るのは、気をつけた方がいいみたい。当たり前の話ですが。
                 
アレルギーの第2は鶏肉、卵アレルギーですねぇ。僕の知人の華僑で鶏肉アレルギーがいるんですわ。
中華料理のダシには鶏ガラをつかいますから、とりわけ不便でしょうね。
それが又、気ィ使いでして、
「永年つきあっているのに中華料理を御馳走したことがないから、気にしていた。今度、御馳走するから、集まってくれ!」ってんで、数人が招待されました。
           
彼がトリ・アレルギーだったことも忘れて。
永年親しいっていっても、薄情なことに、皆ンな、思いやりもなく付き合ってきたんですねぇ。
ええかげんな友達。
その夜は、なるほど、有力な華僑の御馳走だけあって、山海の珍味がズラーリと並びました。
            
ところが、ダシが変な味。何と、トリガラでダシを出すところを、全部カツオ節のダシなんです。
もちろん卵はなし。
ああして出されて初めて知ったんですが、中華料理って、トリガラ出汁がベースになっている料理って多いんですね。
でもカツオ出汁に驚いて、「ワアー、珍しい料理だった!」って皆で感嘆しました。
             
でも、招待してくれた人と料理屋の前で別れてからも、誰もがその日の料理の話題を出さなかったところをみると、もう一度食べたいとは誰も思わなかったみたい。
何しろ、この人、祖国の中国へ旅行するのに、スーツケース一杯、トリ出汁抜きの特製インスタント麺を持っていった人だもんね。
           
本人はソバは大丈夫、って言っていたけど、やっぱり周りは気をつけてあげなければ。反省。