食べ方
                
京都嵐山の嵐電の駅前に、琴聞茶屋ってのがありますね。
桜餅で有名な店。
あそこの桜餅には、餡コの入ったのと、入らないのがあります。
餡の入ったのは、よくありますが、餡の入らないのが珍しいし、美味しいので、嵐山に行くたびに、買い込みます。
             
それで、例によって餡の入らない桜餅を身内へのお土産にしたんです。
苦情がでましたねぇ。
「皮むくのん、えらいこっちゃった。折角皮むいたら、餡コが入っていなかった」って、文句。
皮をむいたといえば、最近の桜餅って、ビニール製とかの、桜葉風で包んでありますね。
これからすると、桜餅って、桜葉をはがして食べる人って、多いみたいですね。
             
桜餅の美味さは、塩漬けの葉の美味さと、餅粉の甘さのバランスだと、思って来たのに、こんなむかし人間は、今や少数派なんですね。今や、ではなく、随分前からでしょうか。
そういえば、柏餅って、柏の葉ごとは食べませんねぇ。これの連想から、桜餅も桜葉を剥がして食べるんだとする人が多いのかなぁ。
琴聞茶屋の桜餅って、餡コの入ってないのが、蒸かし米粉のうまさなのにね。
           
それにしても、皮をしっかり巻き付けた琴聞茶屋の桜餅の皮をむくのは大変だったでしょうね。
いやー、ごくろうさん。
それからは、「葉ごと、たべるんですヨ」って、講釈付けて、差し上げることにしました。
考えてみると、こんな説明が要る人に、桜餅を土産にするのも、罪な話。
             
これと、逆さの話。
同じ、京都に、いずうって鯖寿司があります。あれには、ぶ厚い昆布が巻いてあります。
あれ、ボクは、昆布ごと食べるんだと、永らく思ってきました。
話に聞くと、はがして中だけ食べるもんだそうですね。そりゃぁ、上品な京の名物ですから、中だけ食べるんでしょうね。テレビで初めて知りました。
           
人の前で、昆布ごと食べんでよかった。
でも、知った後も、やっぱり、昆布ごと食べてますけど、あんな美味いとこ、捨てるのん惜しいもんね。
              
皮の話なら、貴方も、僕と同じ疑問を持ってこられたとおもいますが、ペキンダッグの身って、捨てるんかなぁ?
あれ皮だけ食べますよねぇ。あと、どうするのか、心配ですよぉ。
貧乏人は変な心配しますね。
          
超一流の店では、本当に捨てるらしい。
でも、二流の店では、頼むと、炒めものにして出してきますね。料金の追加なしに。
これは、安心?しましたね。
                  
中華料理屋の材料に無駄がないことと言えば、中華料理では、材料を切るのが、チーフだといいますねぇ。日本料理では、下ごしらえは下働きの人のする仕事でしょう?
             
中華料理では下ごしらえの切り分けを、何故チーフがするかと云うと、材料を無駄なく、使うのは、最も重要な作業らしい。
そりゃぁ、この部分は、この料理、余ったのは、この料理って、すると料理に幅が出ましょうし、合理的ですねぇ。
捨てることなく、料理するのが、中華料理、中でも広東料理の神髄ですもんね。
四足なら、机の足以外は、ぜーんぶ食べるって、いいますもんね。爪や、皮まで。
             
材料をうまく使って、美味しい料理を作るのは、切り役の腕ですから、旧暦正月に分ける利益は、チーフである、切り役が半分取るらしい。
まぁ、利益の半分は席主が取った後のことらしいけど。
本国では、やっぱり全体の半分を、まず、切り役のチーフが取るとかいいますねぇ。
           
初めて、出会った中華料理の料理人に仕事をたずねると、「ワタシ、キルダケ」って言うから、てっきり、下働きの人かとおもったら、何と、大レストランのチーフ・シェフだった。
王さん、その際は失礼しました。ゴメンね。
桜餅の皮剥いで食べる人もいるんだから、ゆるしてぇ!