嫁入り荷物
                        
嫁入りするこしらえを、近所の人達に見てもらう行事が、今でも残っている地方があるようですねぇ。
エエッ 名古屋では、常識ですって?
            
僕は、神戸に住んでいますから、絶えて聞いたことがなかった。
ワイフに訊いても、周りでは、聞いたことがないって、言いますね。
嫁入りという言葉じたいも、もう永いこと聞いたことがないですね。
「結婚しました」が、普通の用語ですね。神戸では。
              
この神戸でも、呉服屋に言わせると、着物を持っていくのが、結婚のハレだとする、お母さん達が、今でもいるらしい。となると、他の土地では「嫁入り荷物」を見せる風習は根絶してはいないらしいので、いちゃもんをつけてやろう。
                
まず、和服って、今の若い人が着る機会って、あります?
子供の宮参りと、入学式ぐらい。これも、洋服のお母さんが多いみたい。
          
だいいち、着物箪笥って、場所を取りますでしょう。結婚早々、皆がみな、そんなに広い家に住めるはずがないしね。それでなくても、部屋の場所取り。
                
私ごとを申しあげてなんですが、内のワイフって、変わった奴で、香道をやってます。
行誼菴って、菴号を持ってますから、まあ、そこそこ熱心な方。ですから、着物はしょっちゅう着てるはずですが、お香の会でも、着物を着てくる人ってそんなに多くないみたい。
茶道の世界でも、皆がみんな着物でもないみたいですねぇ。
                
文楽とか、歌舞伎を見に行っても、着物を着てる人はまれですね。
だから、よほどのお婆さんの趣味人以外は、着物を着る機会って皆無ではありません?
それに、子育ての若い人って、着物を着て、ちゃらちゃらなんて、する余裕はないよ。
そのうえに、こしらえするっても、せいぜい40才くらいまでの着物。
だのに、40才くらいまでは、着物を着る機会は皆無。
だいたい、嫁入り荷物を、近所の人に見てもらう行事のように、人に持物をみせたり、他人の持物の値踏みをするなんて、品のある人のやることではないよね。            
まあ、仲のいい友達同士、買物に行って、帰の電車の中で、ひそひそと買ったものを見せ合っているのんて、微笑ましいですがね。
             
この頃、披露宴のジミ婚って、はやっていますね。これは賢い。
うちの娘は結婚する時に、ジミ婚やるって言いましたが、婿の方は気を遣ってました。
でも、僕が「一夜に数百万円も散財したこともなければ、そんな散財をしたいとも思わない」と言ったら、彼も「僕も、そうです」って、合意成立。でも、婿の両親は、とっても気を遣ったらしいですがね。
その代わり、娘は「結婚費用を用意してくれていたんでょしう? そのお金頂戴」って両方の実家から吐き出させたお金を頭金にして、ちゃっかりと家を買っちゃいました。
でも、僕たちは嬉しかったし、安心しましたね。住むとこって一番大切。
              
嫁入りするこしらえを、近所の人達に見てもらう行事って品がわるいし、無駄。
親子そろってアホですって、皆に吹聴してるみたい。
やめとけ、やめとけ!
      
何にぃ? 要らんお世話。それも、そう。