あんまり気の毒なヒドイ言い方
        
エイズって「アフリカの『土人』が、猿とセックスするから、感染した」って、エライ医学者がおっしゃっていますねえ。
ボクらド素人は、ホンマかいなとおもいます。
だって、野性の猿って、捕獲するだけでも、大変でしょう?
噛むワ、引っ掻くワ、とだれがセックスする?
           
エライ先生方は、ド素人の想像力とは違うらしい。
それに、猿を有史以来、食料にしてきたブッシュマンには、エイズに罹った痕跡がないらしい。
野性猿の常住菌であれば、永年、捕って皮を剥いで食べてきた、ブッシュマンに感染の痕跡がないのはおかしいのと違う?
                
たしかに今、中央アフリカでのエイズの流行は目を覆うばかりの凄まじさですよね。
それも、アメリカのエイズのような緩慢な1型ではなく、感染すれば数カ月で死にいたる物凄い2型だと報告されています。
           
ところで、余談。
医学統計とかの文献では、サハラ以南って、書くけど、サハラ以南って言うと、ジンバブエと、南アが入るんでは?
でも、蔓延しているのは、中央アフリカだから、知ったかぶりをして、サハラ以南なんて書くなヨ。
これだけで猿とのセックスが原因だとする人は無知をさらけだしている。
                     
中央アフリカのエイズ蔓延で、中央アフリカの人達って皆、同性愛者みたいに書くけど、これはちょっと違うんじゃあない? これは「土人」蔑視だと思う。
なんぼ、開発途上国なんて、言い直しても、蔑視にかわりはない。
            
所謂2型は、性的感染ではなく、注射器からの感染ですよね。
2型はニューヨークでも、薬物静注者、モルヒネ打ち、だけに感染する物凄い奴。
なんで、中央アフリカの人達って、注射器代もないのに、そんなに注射するかの話をしないと、いけない。
           
この話は、遙々とアメリカのヒューマニズムによるマラリア原虫撲滅作戦に遡る。
中央アフリカの海抜0地帯では、マラリア原虫の猛威はすさまじく、10才までに半数が死滅してきたそうです。
成人になっても、毎日何回も刺されての追加感染を繰り返して、免疫力のバージョンアップで、やっと生き延びてきたといいます。
                 
この不幸な人達を救うためにアメリカが立ち上がりました。
マラリアから人々を救うのは簡単だと思われました。
DDTによる蚊の駆除と、キニーネより強力なクロロキンの予防服用でした。
DDTとクロロキンで、中央アフリカから、マラリアは絶滅するかに見えました。
バンザーイ! アメリカ・ヒューマニズムの勝利。
                 
ところが、どっこい、そうはいかなかった。
DDTに薬物耐性を持つ蚊は出現するわ、クロロキン耐性マラリア原虫が出現するワ、になってしまった。
          
あせって、DDTより強力な殺虫剤を開発したけど、また、すぐに耐性蚊が出現。クロロキンではダメとなると、メクロキシンとかを開発したけど、あっという間に、原虫は耐性原虫に変身。
                
昔より、強力になったマラリア原虫が復活したときには、中央アフリカの人達は、マラリアに対する免疫力を失っていました。
生き延びるためには、クロロキン以降の数種の混合薬を注射しなければならなくなっている。
ところが、問題は注射。
高価な使い捨て注射器が使える経済状態ではありません。
消毒するにも高圧減菌器なんて、援助物資としてあっても、修理する技術もなければ、修理部品が送られても、内乱中の輸送経路の途中でくすねられるワ、さらに、医者と云う名前の公立診療所の医療補助者は年収1万円ですから、注射器も、薬剤も闇市に流れてしまう。
              
人々は生きながらえる為に、闇屋横町の注射屋に通わざるをえません。
公立診療所でも、注射屋でも事情は同じで、一本の注射器が毎日何百回と使わているそうです。
報告では、注射針をトイシで研いでまで使っていると言われています。
注射を受ける人の中に一人でもエイズ保菌者がおれば、それ以後に注射される人は汚染された注射器で、確実に感染することになります。
             
感染の深さと確率は性的接触とはレベルが違う。
この惨状を知らないで、アフリカの「土人」は、猿と獣姦するからエイズになるなんて、あんまり気の毒なヒドイ言い方。
           
エライ医学者さんは公衆衛生については素人かも知れませんが、あんまりヒドイ言い方をなさるんで、少々頭に来て感情的な書き方になったかも、知れません。
お聞き苦しかったら、ご容赦のほどを…