魂を貪るもの
其の八 裁きの始まり
3.舞うが如く

 大きく息を吸い込む。
 酸素が肺に満ち、腹の底から力が湧き上がってくる。
 静かに、そして、長く息を吐き出す。
 神代ちとせは右手に握った神扇で、軽く腰を叩いた。
 ぱしゅん。
 軽妙な音と共に霊気が身体を駆け巡る。
 勝気な瞳に強い意志が揺らめく。
「始めるよ?」
「ああ」
 迅雷は構えの姿勢のまま、頷いた。
 ちとせの全身から霊気が解放され、彼女を中心に霊気が地面を走り抜けた。
 結った髪の毛が揺らめき、みるみる霊気が高まっていく。
 そして、霊波動が大きく一回脈打った。
「!」
 その瞬間、艶やかな美貌の女性の幻影がちとせと重なる。
「女?」
 迅雷は間合いを取りながら、ちとせに尋ねた。
「今、ちとせに入っていったのが契約した女神か?」
天宇受賣(アメノウズメ)さま。芸能と旅人の女神さまよ」
 ちとせがまるでリズムでも取るように足を踏み鳴らす。
「芸能の女神って、戦えるのかよ?」
「ホンット、迅雷先輩は神話とかに疎いよね」
 ちとせは、ため息を吐いた。
「ちとせは神社の神職の娘なんだから詳しいのは当然だろ」
「そう? だって、迅雷先輩って、ケルベロスとオルトロス、それとキマイラの区別もつかなそうじゃん」
「うっ」
「図星だね☆」
「おれの神話の知識はともかくとして、だ。そのアメノ何たらって女神さまは強いのか?」
 迅雷の疑問に、ちとせは明快に答えた。
「宇受賣さまは、天照大御神(アマテラスオオミカミ)曰く『いむかふ神と面勝つ神なり』」
「いむかふ神と面勝つ神?」
「対抗する神には面と向かって、睨み勝つことができる神さまってこと。つまり、対抗してくる神さまを眼の力だけで退けちゃうくらいの強い霊力を持った女神さまなのよ」
 天宇受賣命は、一説には邪視(イヴィルアイズ)の持ち主だとも言われている。
 実際、天宇受賣命はその霊力を認められていたので、天孫降臨(てんそんこうりん)の際には、たった一人で先行し、道に立ち塞がっている異様な神を調べに行ったのだ。
 もっとも、その異様な神は道案内に来ていた猿田毘古神(サルタヒコノカミ)であり、天宇受賣命と猿田毘古神はこの時の出会いがきっかけで結ばれることになるのだが。
「……そいつは、すげぇ女神さまだな」
 迅雷が楽しみを見つけたように呟いた。
「闘うのが好きだね、迅雷先輩は」
「まぁな」
 迅雷は苦笑すると霊気を高めた。
 物理的な力を帯びた霊気が風を巻き起こす。
 天宇受賣命の伝承もかくやと思わせる強い眼力(めぢから)のある瞳で迅雷を見ながら、ちとせは猫のように笑った。
「ふふっ、行くよ!」
 
「もう、始まったか?」
 鈴音が向こうから走って来るのが見えた。
「大丈夫ですよ。まだ、今始まったばかりです」
 悠樹がちとせたちを示すのを見て、鈴音は安堵の息を吐く。
「ふぅ、間に合ったか」
 鈴音はボロボロになった服を着替えに一度、キャンプまで戻っていたのだ。
 デニムパンツはそのままだが、ジャケットとシャツは脱ぎ捨てて、黒いタンクトップに着替えている。
 首から例の家族の写真入りの銀のロケットネックレスを下げ、珍しく髪の毛を後で結っていた。
「ほれ、イイモン持ってきたぜ」
 鈴音は、手に持っていた牛肉とたまねぎの串を悠樹に手渡した。
 焼き立てなのか、肉がまだジューッジューッと音を立てている。
「あっ、どうも」
「ロックが作ってるのをちょいと摘んで、焼いて来たんだぜ。今日の昼飯はバーベキューだな」
「はぁ……」
 悠樹が鈴音の顔をまじまじと見つめる。
 視線に気づいて、鈴音が不審そうに尋ねた。
「どうかしたか?」
「い、いえ。鈴音さんが髪の毛を上げてるのが珍しいなって」
「はは、そうかい? ま、たまには気分転換だよ」
 声がいつもより、はしゃいでいるようにも感じられる。
 どうやら悠樹との組手から得られた収穫は大きかったのだろう。
 そして、それはたった一回の組手から修行のヒントを明敏に汲み取ることができるほどに彼女の戦闘センスが抜群であるという証拠でもあった。
 鈴音はちとせと迅雷の戦いに視線を戻した。
 
「オラァ!」
 迅雷が霊気の塊をちとせに向かって投げつける。
 そうそう当たるものではないが、牽制のためだ。
「神扇スマッシュ」
 だがしかし、ちとせは神扇を広げ、野球のボールをバットで打つように霊気の弾を打ち返した。
「おおっ?」
 予想外の反撃を受けて迅雷に動揺が走る。
 慌ててはね返された自分の霊気球に向かって左腕を打ち出して砕く。
 その隙を見逃すような、ちとせではない。
 身を低くして全力で突進し、一気に間合いを詰める。
「も〜らいっ!」
 疾走の勢いに遠心力を上乗せするように身体を捻りながら、神扇で迅雷の頬を殴りつける。
 続いて、空中で後転しながら、迅雷の顎を蹴り上げた。
「ぐっ!」
 ニ連撃を食らった迅雷が後ろによろめき、数歩踏鞴を踏む。
 ちとせは着地すると余裕の笑みを浮かべたが、急に、ハッとしたような表情になった。
 激しく動いた勢いを残してひらひらと揺れているプリーツスカートの裾を手で抑えつける。
「……見えた?」
 ちとせが頬を微かに紅く染めてバツの悪そうに、迅雷へ尋ねた。
 お気に入りの黒いオーバーニーソックスとのファッションの相性を考えて、彼女は猫ヶ崎高校の制服のスカートを短めにカスタムしているのだ。
「見えねえよ!」
 気になるなら短いスカートを穿いて来るなと言いたげに叫んだ迅雷だったが、途端に痛む顎を抑えた。
「くそっ、初っ端から油断しちまったぜ」
 迅雷は顎から擦っていた右手を離した。
「霊気の剣、使わせてもらうぞ」
「もちのろん☆」
 迅雷は鈴音と同じように霊剣を封印して戦おうと思っていた。
 それは手加減というわけではないが、全力というわけでもない。
 ちとせも、悠樹も、鈴音も、迅雷も、組手そのものに真剣ではあるが、全力を出しているわけではない。
 適切な力で組手を行い、お互いの実力を啓発しているだけだ。
 だが、ちとせの持つ神扇が強力な霊気を帯びていて、さすがの迅雷も素手では辛い。
「よっしゃぁ!」
 迅雷が気合いの声と共に右手へと霊気を収束する。
 霊気は淡く輝く剣を形成し、それを握った迅雷が間合いを詰める。
 そして、フェイントなどを使わずに真正面から、すくいあげるような一撃を打ち込んできた。
 ちとせは神扇で受け流そうとするが、迅雷の攻撃は予想以上に重かった。
「きゃっ!」
 迅雷の強力な剣撃に危うく身体ごと浮きあがりそうになり、ちとせは悲鳴をあげてバランスを崩した。
 その隙を好機と見た迅雷が、連続で霊剣を打ち込んできた。
 突き、袈裟斬り、右薙ぎ。
「きゃあっ!?」
 最後の右薙ぎを受け流し損ねて、ちとせが吹き飛ばされる。
 ちとせは片手片膝をついて、身体を起す。
 地面についた手のひらに霊気を溜める。
 体勢を整えたが、すぐに迅雷の追い討ちが来た。
「!」
 その場を退きながら身を避けるが、迅雷はすでに間合いを詰めて来ている。
「このっ!」
 苦し紛れに連続で霊気を放ったが、迅雷はそのすべてを紙一重でかわした。
 迅雷を中心として、周りの地面に霊気が炸裂しただけだった。
 ちとせが荒く息をつく。
「くっ、はぁ……、はぁ……、はぁ……」
「どうした、ちとせ?」
 迅雷がにやりと笑った。
「もうバテたのか?」
「まだよ!」
 ちとせは踊るようにステップして、神扇に重心と遠心力を上乗せして迅雷の頬を狙って殴りつける。
 しかし、迅雷は間一髪のところで防御した。 
 ちとせは攻撃の手を休めない。
 一瞬で身を屈めると足払いを繰り出す。
 迅雷は軽く飛び退いて、それをかわしたが、ちとせはさらに足払いの勢いを利用して半回転しながら起きあがりつつ、上段蹴りを繰り出した。
 まさに天宇受賣命の舞のような華麗な攻撃だ。
 だが、迅雷は後ろに下がりながら、その連撃をかわしていく。
「危ねぇな。だが、もう終わりだぜ」
 ちとせが蹴りを出し終わった隙を突いて袈裟斬りに斬り込んできた。
「しまっ……!」 
 ちとせは迅雷の霊剣をどうにか神扇で受け止めたが、顔が苦痛にも似た表情に歪む。
「くっ……」
 長身で体格の良い迅雷の筋力を、ちとせの細腕で支え続けるのは困難なのだ。
 徐々に迅雷の霊剣が、ちとせの神扇を圧迫していく。
 ちとせが、押し込まれる神扇をついに両腕で支えた。
 続いて、膝を折る。
「ちとせ、降参しろ」
 迅雷が言った。
 ちとせが両腕で神扇を支えているのに対して、迅雷は右手のみで霊剣を振り下ろしている。
 左腕は自由なのだ。
 つまり、今の体勢から両腕で打ち込めば、ちとせは霊剣を防ぎ切れないし、左腕から霊気を放っても、ちとせに直撃させることができる。
 迅雷は勝利を確信して言ったのだ。
「やだね☆」
 ちとせは苦しそうに息をしながら、唇を歪めた。
 笑み。
「なら、しょうがねえな。ちょいと痛いぞ」
 迅雷は左腕に霊気を溜めた。
 そして、無防備なちとせの腹部に狙いを定める。
 瞬間。
 迅雷を取り囲むように光の柱が天へ昇った。
「な、何だ……?」
 思いがけない現象に迅雷が動揺した。
「ふふっ、かかったね☆」
「これは、五芒星!」
 迅雷を中心に、ちとせが放った霊撃が地面に五芒星の頂点を刻んでいた。
「体力バカの迅雷先輩と持久戦をしても不利になるだけだからね。賭けてみたのよ」
 ちとせが、息切れもものともせずに一気に攻め立てたのは、迅雷を五芒星の中心におびき寄せるためだったのだ。
 そうでなければ、力の差が歴然としている接近戦ではなく、付かず離れず、中距離を保って戦っていただろう。
「木は火を生じ、火は土を生じ、土は金を生じ、金は水を生じ、水は木を生ず……」
「くっ、しまった!」
 迅雷は急いで飛び退こうとしたが、ちとせが逃がすはずもない。
五色霊方陣(ごしきれいほうじん)!」
 ちとせの掛け声に神扇が眩く輝く。
「だっ、ぐうっ!」
 呻き声を上げる迅雷。
 地面の五芒星が結界となって迅雷を縛っていた。
「……身体が……重い……」
 迅雷は全身に鉛を埋め込まれたような重圧を味わっていた。
 指一本動かすにも相当の力がいるような状態だ。
「これじゃあ……思うように身体が……動かせねぇ……」
「はあっ!」
 ちとせが神扇を上に向けると同時に五芒星の頂点から霊気球が放たれ、迅雷を包み込んだ。
「ぐああああああっ!」
 霊気球五発の直撃を防御もままならぬ身に受け、迅雷は地に膝をついた。
 ちとせは、神扇を迅雷に向けた。
「宇受賣さまっ!」
 ちとせの格好が巫女のような装束を纏った妖艶な姿に変化した。
 霊気で形成された、物質化した霊気の衣装だ。
 ちとせは胸の前で、扇を持った右腕と左腕を交差させた。
 左掌に霊気が刃の形に集約する。
 霊気の渦がちとせを中心に発生し、天を貫いた。
「ちいっ!」
 ちとせは勝負を決める気だ。
 迅雷は舌打ちしたが、結界の効力は迅雷の身体を地面に繋ぎ止めている。
 ちとせは胸の前で交差させた神扇と霊刃を振り払った。
 瞬間、残像。
「!」
 滑るように迅雷に近づくと、神扇と霊刃で攻撃を繰り出し始めた。
 動きを封じられている迅雷は、反撃できずに段々と追い込まれていく。
「ちいっ、やべえ!」
「五芒星は広範囲に形成されているから、結果内から逃げるのは無理だよ」
 ちとせが攻撃を繰り出し続けながら忠告してきた。
 ちとせが苦心して張った結界だ。
 逃げるのが困難なのは迅雷にもわかった。
 逃げられないなら、どうにかして破るしかない。
 迅雷は、ちとせの舞を必死に防ぎながら、左腕に精神を集中させる。
 しかし、ちとせの息も吐かせぬ連続攻撃を食らい続けたためか、再び膝をついてしまった。
「ぐ、ぐうっ!」
 ちとせは後ろに片手を着き、バック転の要領で思い切り脚を蹴り上げた。
 蹴足の直撃だけは何とか防いだ迅雷だが、衝撃を殺しきれずに空中に浮いてしまう。
「むうっ!」
「フィニッシュ!」
 ちとせが跳躍し、空中に浮いた迅雷を追撃する。
 オーバーヘッドキックの要領で迅雷を地面に叩きつけた。
「ぐはあっ!」
 地面に衝撃波で地面が砕けた。
「ふぅ……、決まったかな?」
 ちとせは空中で回転して体勢を立て直して、着地した。
「!」
 ちとせの表情が変わる。
 迅雷の左手に集まる霊気に気づいたのだ。
「結界を破る気ね!」
「気づかれたか!」
 迅雷は舌打ちして、密かに左腕に集中させていた霊気の開放を試みる。
「破られる前に決める!」
 ちとせは霊刃を消して、神扇を腰の帯びに差した。
 そして、両腕を前に突き出すと手のひらを迅雷に向けた。
「はああああああああああああっ!」
 爆発的に霊気を高め、一気に手のひらに収束させる。
 両手のひらの前にちとせの身長と同じくらいの大きさの霊気の球体が形成される。
「とどめだよ☆」
 臨界まで霊気を練り上げ、威力を高めた超特大の霊気の塊を放った。
 霊気のプラズマと突風を巻き起こしながら、まるで矛のように迅雷に向かって飛んでいく。
「むううううううううんっ!」
 迅雷が気合いの声をあげる。
「オラァァッ!」
 迅雷は左腕に収束させた霊気を一気に爆発させた。
 閃光が走る。
 迅雷を縛っていた五芒星が消失した。
「きゃっ、結界を破った……?」
「オオオオラァァッ!」
 ちとせの放った霊気球を、迅雷が霊剣で受け止める。
 そして、そのまま力任せに斬り裂いた。
 二つに割れた霊気球は迅雷の脇の地面を抉り取り、はるか後方で炸裂した。
 衝撃、震動、爆風。
 霊気球が炸裂した地面がクレーターのように壊滅した。
 そして、巻き上がった砂塵が、ちとせの視界を覆い尽くす。
 その砂嵐の合間を縫って、迅雷が雷光のように突っ込んできた。
「!」
 それは一瞬だった。
 迅雷の霊気の剣がちとせの首筋に触れるか触れないかのところに突きつけられていた。
 ちとせは神扇を腰から抜いたところで止っていた。
「これは残念だけど、ボクの負けだね」
 ちとせはため息を吐いた。
 神扇を腰に戻すと、纏っていた巫女装束も消えた。
 いつもの見慣れた猫ヶ崎高校の制服姿に戻る。
 迅雷も霊気の剣を消し、身体を引いた。
「はぁ……、最後の最後で実力の差を見せつけられた気分だよ」
 ちとせは軽く首を横に振って大げさに肩をすくめ、もう一度ため息を吐いた。
 神扇を手にした時には、すでに迅雷が飛び込んで来ており、首筋に霊気剣の切っ先が突き付けられていた。
 実戦なら首が飛んでいる。
「へへっ、組手とはいえ、簡単に負けちまったら、鈴音に示しがつかないからな」
 迅雷がそう言って豪快に笑うのを見て、ちとせは眉をひそめた。
 自分よりもはるかに実力が上だと認めている迅雷が相手なのだから敵わなくても仕方がない。
 負けたことは悔しいが、それよりも、無遠慮に笑う迅雷に少々気分を害されたようだ。
「もう、大人気ないよね。女の子相手に勝って嬉しいの?」
「大人気ないって……最後に特大霊気球を撃ってきたヤツが何を言いやがる。あんなの食らった日には堪ったもんじゃないぞ。ていうか、死ぬぞ」
「あれは手が滑ったっていうか」
「手が滑ったって、……あの大穴はなんだ?」
 迅雷が、ちとせの霊気球で穿たれた巨大な穴を指差した。
 ちとせの顔が少々引き攣る。
「あ、あはは☆」
「笑って誤魔化したな」
「ち、ちょっと力の制御を失敗しちゃったかな」
「あのなぁ」
「しょうがないじゃない。神降しをして戦ったのは初めてだったしさ」
 そう言うと、ちとせは静かに目を閉じた。
 静かに一呼吸。
 顎が持ち上げられたかのように上がった。
 ちとせの中から巫女の衣装を纏った半透明の美女が浮かび上がった。
「それに先輩も結構楽しんでたじゃないの。ねえ、宇受賣さま?」
 妖艶さと可愛らしさを備えた不可思議で印象的な美貌で、『いむかふ神と面勝つ神なり』ともいわれる女神は微笑んだ。
 そして、迅雷に一礼して天に昇って行った。
 ちとせは負けたわりには機嫌良さそうに、激しい運動で火照った顔を神扇で煽いだ。

 ドクン……。
 ドクン……ドクン……ドクン……。
 薄暗い闇の中で、禍禍しく発光する世界樹。
 脈動する幹。
 ざわめく枝。
 蠢く根。
 それを取り囲む強化硝子越しの奇妙な静けさの中で、『ヴィーグリーズ』の社員たちが叩くキーボードの音だけが怪しく響いていた。
 だが、それは突然起こった。
 コンピュータのモニターに映し出される係数が異常値を示し始めたのだ。
 気づいた社員たちに動揺が広まっていく。
「まずいぞ」
「世界樹を抑え切れない」
「次元歪曲率が急上昇!」
「結界が破られる!」
「上層部に連絡しろ。指示を仰がなくては!」
「とにかく、各ブロックの防護壁を降ろせ。異常事態だ!」
 怒号が飛び交う中、『ユグドラシル』の発光がさらに強くなった。
 ――ピシッ!
 『ユグドラシル』を取り囲む強化硝子に亀裂が生じた。


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