魂を貪るもの
其の十 獄炎の魔王
6.終わりと始まり
炎と氷。
太陽と月。
黄金と白銀。
相反するチカラが、ちとせの内側から吹き上がっている。
ちとせの身体から血の霧が吹き上がった。
「うっ、あくっ、……や、やばい。想像以上に、やばい」
シギュン・グラムとの死闘の時に黄金の太陽の力を解放した際よりも激しい激痛が肉体を蝕む。
唇の端からも、血の筋が流れ落ちる。
身体中の血管が激しく脈打ち、筋肉が悲鳴を上げ、骨が軋む。
「だ、け、どッ!」
ちとせが歯を食いしばって両腕を胸の前で合わせ、手のひらを広げる。
左手からは立ち昇る灼熱の炎気と、右手から立ち昇る極寒の氷気がお互いを喰らい始める。
炎気が冷気を喰らい、冷気が炎気を喰らう。
ただの炎気ではないものが生じる。
ただの冷気ではないものが生じる。
固くも柔らかくもなく、実体があって実体がない、不可思議なチカラ。
「し、信じられないことをする」
真冬は床に跪いたまま、ちとせの両手の間で生み出されつつある眩いばかりに輝くチカラを見て、大きく両目を見開いた。
唇をわなわなと震わせながら、呟き、叫ぶ。
「終わりなき相転移……、無限の潜熱の解放……、太陽神の巫女神と"氷の魔狼"の相反するチカラが世界律を歪めて……」
水蒸気から水へ、水から氷へ。
気体から液体へ、液体から固体へ。
そして、その逆――氷から水へ、水から水蒸気へ――も、瞬時に繰り返される。
柔らかい氷が、固い水蒸気が、凍りつきも蒸発もしない水が、ちとせの両手の間で渦巻き始める。
やがて、炎と氷が、冷たい水蒸気が、熱い氷が、すべてを氷結させながらすべてを融解させる水が、両極のチカラが、ひとつとなっていく。
「こ、これは……、相反する両極のチカラが同時に存在して……、
世界律を歪ませるほどの炎と氷のチカラの融合――あり得ない事象が
「はあああぁぁぁぁ……!」
ちとせの気合いの声とともに、その莫大なチカラが球形へ収束していく。
ぼんっ、ぼんっ、と、炎と氷が混じり合った光球が膨張していく。
ぎらりっと、ちとせの金銀の両目が、スルトへと向けられた。
ダンッと力強く床を蹴る音が響いた。
次いで、床が砕ける音。
跳んだのは、シルビア・スカジィル。
床を砕いたのは、彼女を取り囲んでいたスルトの無数の触手だった。
光速となって、襲いかかる触手すべてを躱わし、スルトの右側面の空中から電撃を纏わせたフランベルジュを振り下ろした。
落雷の轟音とともに、床が陥没する。
炎の王の残っていた左腕が斬り落とされる。
だが、すぐにその断面から無数の触手が姿を現す。
触手はお互いに絡み合い、捻じれて束になると、漆黒の左腕となった。
右腕もいつの間にか再生している。
スルトの瞳のない赤い目が、シルビアを正面から睨みつける。
「ふむ、おまえの軽量で、この威力。電気信号を操って筋力強化も行なっていたか。さすがに電撃の使い手と言いたいところだが、我が力の前では児戯に等しい」
「くそっ!」
舌打ちして後ろに下がろうとしたシルビアへ、スルトが一瞬で間合いを詰める。
スルトが再生した右腕の拳をギリッと固め、バックステップをしようとしていたシルビアの腹へ打ち上げるような一撃を叩き込んだ。
「くっ、はっ……!」
シルビアが咳き込み、血の欠片が床を濡らす。
さらに腹を抑えて悶えているシルビアの首を掴み、床に後頭部から叩きつける。
「うぐぁっ!」
「超電導化した神経でも捕まえてしまえば、役にも立たぬな」
スルトが高く上げた左脚を、シルビアの腹へと落とした。
剛腕を叩き込まれて内臓を潰されていた腹をさらに踏み抜かれ、シルビアが両目を零れ落ちんばかりに見開き、血を吐き出す。
「心臓を踏み潰して楽にしてやろう」
スルトが再び脚を高く上げ、狙いをシルビアの薄い左胸に定める。
胸骨を砕き、心臓を破裂させるだろう一撃が振り下ろされた。
「ッ!」
大木を思わせる脚が、赤毛の少女の左胸を踏み潰す寸前、その動きが止められる。
魔王の顔に浮かんだ不審の表情が、意図的に止めたのではないことを物語る。
スルトは圧力を感じていた。
風圧を。
「動きを止めさせてもらう」
そう言った少年はスルトの左側面から少し離れた場所に立っていた。
「風使い!」
唸るスルト。
悠樹の放つ風によって、脚だけでなく、全身の動きが押し留められている。
その隙に、シルビアが床を転がって逃れる。
スルトの硬直がもたらす、静寂。
だが、それも刹那のことに過ぎなかった。
「ぬぅん!」
スルトが全身に力を込めるように、唸る。
ビキッビキッという音を立てながら漆黒の肉体が膨らむ。
魔王は風圧に抑えつけられながらも、気流の拘束を打ち破り、動きを再開していた。
再生した両腕を胸の前に突き出す。
その視線は、悠樹に向けられた後、離れた場所で気を練っているちとせと鈴音へと移された。
「風使いよ、我が動きを止めると言いおったな。だが、この程度の風では時間稼ぎにすらならぬ。そよ風など、我が炎を猛らせることしかできぬわ」
「くっ……」
悠樹が再び動きを拘束しようと、突風を浴びせる。
だが、スルトは動きを止めない。
その両腕に、激しく燃え盛る黒き火焔が宿る。
「そこで見ているが良い。おまえたちの本命が潰える様を!」
「やはり、猛った炎を消すのは水の役目というわけですね」
静かな湖面の如き波のない声は、スルトの後ろから聞こえた。
完全に虚を突かれたスルトの身体の中心を、ズブリと何かが貫く。
「な、に……?」
己の胸から生えているものにスルトが視線を落とす。
水でできた馬上槍が魔王スルトの背中から胸板を貫き通していた。
スルトが頭だけで振り返る。
自分を貫いている水によって形成されたランスが、空中に浮かんでいる。
その周りの空間が、陽炎が発生したように歪んだ。
地獄の火炎による熱気のせいではない。
オーロラのようなグラデーションが生まれ、その波立ちが徐々に大きくなっていく。
そして、何もなかった空間から、徐々に青い髪をした女性の姿が浮き上がるように現れ始めた。
青い髪と軍服の長い裾が熱気に揺れる。
大きなカフスのついた袖から伸びた両手は、水で形成されたランスを握っていた。
「これがシルビアの言っていた『お楽しみ』か」
悠樹の言葉に、ラーンは深く頷いた。
「その通りです。水のヴェールによる光学迷彩です」
ラーンがシルビアとともに猫ヶ崎高校で、ちとせを奇襲した際に使った、全身に水の薄い膜を纏い、光の反射を利用して姿を消す隠形の技。
相棒であり恋人であるラーンの魔王への奇襲成功を見て、シルビアが唇の端から流れ落ちている吐血の痕を拭い、気力を奮い起す。
「遅いぜ、ラーン!」
「激しく動くと水のヴェールが揺らいでしまうし、気配を消しながらの接近は大変なのよ。それよりも、お嬢!」
「わかってるさ。風使い、アタシに合わせろッ!」
シルビアが悠樹の返事を待たずに、暗雲に向かってフランベルジュを掲げる。
暗雲の間で稲光が閃き、轟音とともに巨大な落雷がシルビアへと直撃する。
「食らいやがれェッ!」
雷光で全身を眩く輝かせながら、シルビアが巨大な雷の塊を纏ったフランベルジュをスルトの右側面から振り下ろす。
それはまさに、
いや、その力は頼もしき雷神の一撃というよりも、むしろ、反動で己自身が壊れることさえ厭わない破壊神の一撃。
そのシルビアの渾身の一撃が放たれると同時に、スルトの左側面で巨大な竜巻が吹き上がった。
八神悠樹。
全身を包み込むように巻き上がった旋風を両腕に収束して振り下ろす。
水によって胸板を貫かれた炎の魔王を、特大の雷と莫大な風が挟撃する。
「ヌオオォォォッ!」
水と風と雷による合体攻撃に、原初の炎が、魔王スルトが、怯んだ。
ラーンとシルビアと悠樹が同時に叫ぶ。
「全ッ身全ッ霊ィッ!!!」
雷は外側からスルトの肉体を破壊するだけでなく、背から胸板を貫いている水へと通電して内部からも崩壊させていく。
風はスルトの見動きを封じながら、その肉体を切り裂き、触手を千切り飛ばしていく。
そして、胸を貫通していた水の槍もまた数多の水流へと分かれ、それぞれが風によって切り裂かれた傷口へと水が槍となって突き刺さり、さらに電撃を流し込んでいく。
鈴音の練っていた霊気が臨界に達したのは、その時だった。
「いくぜ、避けろよ、三人とも!」
長い脚で、しっかりと床を踏み締め、下半身を固定する。
限界まで溜めた霊気を刀身に収束した細雪を腰の後ろまで引き絞る。
呼吸と整え、両眼を閉じる。
刹那の静寂。
両眼をカッと見開く。
「天武夢幻流最終奥義ィィッ!」
長い髪をはためかせ、鈴音が床が砕けんばかりの勢いで踏み込む。
細雪が白刃を閃かせる。
「
万雷の如き轟音と衝撃を伴って、細雪の刀身に収束されていた青白く神々しい霊気が解き放たれた。
床を削り取って突き進んでくる、究極にして最大最高の退魔の霊撃。
その霊撃を、魔王スルトは水と雷と風の猛攻に晒されている中でも、希望を奪うために突き出していた両腕で受け止める。
「……我は、我は原初の炎を統べし魔王!」
全身から水と雷と風と己の炎を噴き出し、両腕から霊撃の侵食によって生じた傷から煙を吹き上げながら、スルトは咆哮した。
「我が力は無限にして、すべてを燃やし尽くす。運命さえも断ち切る炎の剣だ」
漲るのは、矜持。
踏み止まらせるのは、自負。
「おまえたちになど負けはせぬわ!」
魔王は漆黒と紅蓮の混じり合った人型の炎の塊となった。
両腕から放つ獄炎が激しさを増す。
原初の炎のチカラが、覇天神命斬を押し返し始めた。
だが――。
「うるさぁぁい!」
叫んだのは、ちとせ。
そして、炎と氷とが混じり合い、灼熱で空間を歪ませ、極寒で空間を凍らせながら、眩く巨大な螺旋の矛が飛来する。
ちとせの放った世界の法則さえも歪ませるほどの威力を凝縮した光の矛だ。
それは、地響きのような音と激しい振動とともに、覇天神命斬の青白い霊気をも飲み込み、超弩級の霊光球となった。
その圧倒的なチカラが、スルトの獄炎を再び押し始める。
「魔王スルト、よく聞きなさい!」
超弩級の光球に太陽の炎と奈落の氷が融合したチカラを螺旋の矛として送りながら、ちとせが叫ぶ。
「もちろん、運命神なんかに手出しはさせないけど、無理に対抗して不自然に造られた蠱毒の壺なんて必要ない。その場その場で自分で決断を下して生きていけばいい!」
「だが、決断は己のものであっても、舞台は運命の用意したもの。それゆえに、断たねばならぬ!」
スルトが文字通り全身を燃え滾らせ、超級の霊撃を受け止めている両腕にあらん限りの力を込める。
ちとせももちろん、必死だ。
必死に、両手から放つ相反する性質がひとつとなったチカラで、霊光球を押し込んでいく。
「舞台を受け入れるのも、舞台を降りるのも、違う舞台を目指すのも、舞台を壊しちゃうのも、それも自分で決めればいい。自然に、あるがまま生きればいい!」
「ヌッ、オオオオオオォォォッ……!」
「あなたが断ち切ろうとしているのは運命ではなく、みんなの未来! みんなの希望! みんなの幸せ!」
ちとせの全身から溢れる気迫。
"氷の魔狼"さえも打倒した気迫。
気迫、気迫、気魄!
日本神話に『いむかふ神と面勝つ神なり』」と伝承される天宇受賣命の
「原初の炎だか何だか知らないけど、絶対にあなたの炎なんかには燃やさせはしないッ!」
ちとせの叫びに押されたが如く、超級の霊光球が立ちはだかっていた魔王の獄炎を四散させる。
「ウグオオオオオアアアアッ……ッ!」
黄金と白銀の混ざり合った眩い閃光が、スルトを飲み込んだ。
パキリッという何かが砕ける音が響き、スルトの炎そのものと化しているはずの肉体に無数の亀裂が入った。
「……なるほど、運命神を打ち破った人間か」
スルトが呟くように言い、静かに目を閉じると唇の端を吊り上げた。
原初の炎は、己に終焉が訪れたことを知った。
だが、不思議と悔いも無念の想いもなかった。
魔王スルトのシルエットが砂のように崩れていく。
「我の負けだ」
眩い閃光の中、魔王スルトの体内に取り込まれていた『レーヴァテイン』が姿を現し、そして、粉々に砕け散るのを、ちとせは見た。
「やった」
ちとせの身体から天宇受賣命とフェンリルが浮かび上がる。
天宇受賣命は、ちとせに微笑みを向けて天へと昇っていく。
"氷の魔狼"フェンリルは一瞥もくれずに咆哮を上げて吹雪を巻き起こして消えた。
黄金の炎と白銀の氷のチカラが抜け落ち、ちとせが猫ヶ崎高校の制服姿へと戻る。
ただ、その長い髪の毛だけは、激しいチカラの消耗で白髪になってしまっている。
ちとせは身に降ろしていた神の力――それも二柱の、しかも相反する神霊――が抜け、急激な脱力感に襲われた。
足もとがふらついたところを、力強い手に抱えられる。
視界で、茶色の柔らかな髪が揺れる。
「ちとせ」
崩れ落ちそうになったちとせを間一髪支えたのは、悠樹だった。
「悠樹、終わったよ」
ちとせが柔らかに微笑む。
「おつかれさま。だけど、最後は、無茶しすぎだね」
「かもね。悠樹、ごめん、支えてくれてうれしいんだけど、立ってるのも辛いから、ちょっと座らせて」
ちとせがそう言って悠樹の腕から離れ、ぺたんと床に座り込んだ。
「ちとせ」
「なに?」
「気をつけて」
「えっ?」
ちとせが悠樹の言葉を理解しかねて、床から彼の顔を見上げる。
悠樹は、ちとせを見ていなかった。
その視線は、ちとせを意識しながらも、遠くに向けられていた。
ちとせの顔に緊張が戻る。
「まさか、まだ敵が……?」
「違うよ」
ちとせの決して当たって欲しくはない推測に、悠樹は首を横に振った。
だが、視線を戻そうとはしない。
ちとせが小首を傾げる。
「んじゃ、なに?」
「見えそうだよ」
「へっ?」
「ブラウスもスカートもボロボロだから、いろいろと」
視線を外したまま、悠樹が言った。
ちとせはハッとして自分の服へと視線を落とした。
シギュン・グラムとの戦いで、正中線に沿って引き裂かれたブラウス。
その肌蹴た前面からは、ブラジャーの剥ぎ取られた豊かな胸の深い谷間が覗いている。
もともと、かなり短めにカスタムしているプリーツスカートも裾が破れてボロ布のようになっていて、地面にへたり込むように座っているため、当然のように黒いオーバーニーソックスの上の太腿は剥き出しになっている。
下手に動けば、ギリギリで隠れている両胸の先端やスカートの中身が見えてしまうような状況だった。
「ちょっ、まっ、こういう場面で、どこ見てんのよ。ていうか、早く言いなさいよ!」
ちとせが慌てて肌蹴た胸元とスカートを慌てて抑える。
頬を桜色に染めて悠樹を睨む視線の厳しさは、魔王を倒した最後の一撃を放った時のものにも迫るものがあった。
「ははっ、やっぱ、その緊張感のないノリじゃないとな」
鈴音が細雪を黒金の鞘に納め、ゆっくりと近づいてくる。
緊張感がない、というが、鈴音の声にも緊張感は欠片も残っていなかった。
「も〜、鈴音さんも、ひどいこと言うわね」
「ちとせ、ほらよ。着替えじゃなくて、すまないが」
鈴音が差し出したのは、ちとせが髪を結っていたリボンだった。
「あう、ありがと」
「どうするよ、髪結ぶか? それとも、ブラの代わりにするか?」
「なっ、ボクをからかうな!」
「いつも、あたしをおもちゃにしてくれてる罰だぜ」
鈴音が笑いながらそう言うと、心当たりが大ありのちとせは「あっちゃ〜」という表情をした後、明後日の方向に視線を向けて「はははっ」と、虚ろで乾いた笑いを浮かべるしかなかった。
「魔王にとどめを刺した功労者に、なかなか笑える仕打ちだな」
シルビアが、ちとせたちのやり取りを眺めながら、額に手を当てて苦笑する。
その横に、真冬が負傷している両脚を交互に引きずるようにして並んだ。
「ちとせくんたちの強さは、あの楽天さだよ」
「シンマラ師」
真冬を挟むようにシルビアと反対側に並んだラーンが、恩師へと声をかける。
「ランディさまは倒れられました」
「ああ」
感慨深げに言うラーンに、真冬は噛みしめるように頷いた。
「『レーヴァテイン』も砕けましたね」
「そうだな。できれば、自分で責任を果たしたかったのだが、これはわがままだな。とにもかくにも、『魔界』の浮上は防がれた」
『ヴィーグリーズ』の幹部だったラーンとシルビアには、スルトの化身であった総帥ランディ・ウェルザーズへの畏敬の念がまだ生きている。
組織を裏切って長い期間を経た真冬も、ランディ・ウェルザーズという男や『ヴィーグリーズ』という古巣への複雑な思いがなくなることはない。
なぜなら、それが自分で生きる道を選んできた証だからだ。
シルビアは、ちとせたちに視線を戻した。
三人はまだ漫才のようなやり取りを繰り広げている。
シルビアが、やれやれ、というように肩をすくめた。
「めでたしめでたし、か」
「いいえ、お嬢」
ちとせたちに視線を向けたまま、ラーンは横に首を振った。
だが、その顔には微笑みが浮かんでいる。
「めでたく終了、ではないでしょう?」
「ラーン?」
「ここからよ」
「えっ?」
「私たちの物語は」
「……そうだな。これから、だな」
シルビアはもう一度、ちとせたちに目をやり、微笑みを浮かべ、ラーンに視線を戻した。
ラーンも、シルビアに向き直っていた。
二人は何かを心に期するように力強く頷き合う。
「もうこの子たちに私が教えることは何もないのかもしれないな」
真冬が少しだけ寂しそうに小さく呟きながら、愛弟子二人を眩しそうに見つめていた。