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 地震噴火                  航空・宇宙基地“赤い稲妻”

   耐震災都市空間    

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 トップページHot SpotMenu最新のアップロード  担当 :  大川慶三郎/中西 卓/折原マチコ 

    INDEX             

プロローグ  <防災都市空間の概略> 2003.10.21
No.1 〔1〕  耐震シェルター耐震コーナー落下物ガード 2003.10.21
No.2      【耐震シェルター】【耐震・避難エリア】【耐震・避難スポット】 2003.10.21
No.3      ≪ブラッキーの独り言・・・・・≫ 2003.10.21
No.4 〔2〕 耐震災施設/統一カラー表示  2003.10.21
No.5 〔3〕 耐震カプセル...ベッド...ソファー...コンソール 2003.10.21
No.6        ≪耐火機能の追加≫ 2003.10.21

       

  プロローグ         

「ええ、里中響子です...

  夏も去り、すっかり秋らしい様相になりました。そして、日本は、いよいよ政治的な

激動期に入ってきました。そんな折ですが、私たちはもう少し、大震災対策について

考察していこうと思います。

  日本の政治・社会・文化の状況は、まさに待ったなしの状況ですが、≪大震災≫

の方も時を選ばないわけです。<首都圏直下型・東海・東南海・南海>地震と、まさ

日本の中枢部/表日本・中央工業ベルト地帯全体が、大震災の危機に直面して

いるわけです。したがって、こちらの方も、一刻の猶予も無いわけです。

  それから、このページでは、建築物の“耐震基準”などという話ではなく、生活者で

ある私たちが、“予想される大震災に対してどう備えるか”、という視点から考察して

行きます。結局、最後に、私たちがどうどう行動するかということが、直接、私たち自

身の生死を分けることになるからです...

  ところで、今回は、災害救助船隊対震災・空中機動師団を考察している

大川慶三郎さんたちと平行し、私と星野支折、竹内建造さんが、耐震災・都市空

について考察を進めました...完全なものではありませんが、今後の考察の叩

き台になればと、考えています。

  ええ、それから...今回、竹内建造さんに参加していただいたのは、竹内さんが

私たちのスタッフの中では、唯一、“都市プランナー”に近い、設計技師の仕事を担

当しているからです。今回は、力強い味方です。どうぞ、よろしく...」

                        wpe4F.jpg (12230 バイト)   

「うーん...お久しぶりです。星野支折です...

  ええ、今回は、響子と、“耐震災・都市空間”の仕事になりました。響子との仕事と

いうと、東京国立博物館へ“皇室の秘宝展”を見に行ったのが印象的です。ともかく、

私は文化・芸術方面が担当なので、危機管理の方は詳しくはありません...」  

「はい。そちらの方は大丈夫です」響子が言った。「それから、今回は、設計技師の竹

内建造さんに、プランニングの方を依頼してあります。竹内建造さんは、つい最近、

老朽原子炉の解体で、マチコと夏美、それから“環境・資源・未来工学”担当の堀

内秀雄さんと一緒に仕事をしています」

「そうですよね、」

「あ、それから、支折には今回、“耐地震・耐火災型インテリアの創設”という、新しい

家具の創設についてプランニングを依頼しあります。そちらの方はどうでしょうか。少

しは進展しているかしら?」

「はい。これについては、少々説明が必要ですよね」

「あ、それじゃ、簡単にお願いします」

「はい...

  まず、基礎的な所は、一応考えてあります。住宅の中ばかりでなく、都市空間での

“地震・避難施設”となると、デザインというものが、非常に重要になると思います。そ

れに、統一カラーによる表示が必要ですね...」

「はい...」

「都市空間における“耐地震・耐火災型/避難施設”には、明るい色の統一的なカラ

ーを考えてみました。駅や繁華街、公共施設等では、前震(/予震 : 前触れの小さな地震)

あった時には、そのカラーの“防災・避難施設”にすみやかに避難し、本震(主震: 大きな

地震)に備えて欲しいと思います。

  こうした、駅や繁華街、公共施設等“避難施設”に対して、“耐地震・耐火災型イ

ンテリア”というのは、一般住宅オフィス空間における、個人や少人数向けの“避

難カプセル”を想定しています。阪神・淡路大震災で多くの犠牲者を出した、家屋

の倒壊による圧死”等に対処するものです...」

「はい...ええ、後で、詳しく聞こうと思います」

「はい、」

            <竹内 建造>                          

「ええと...それでは、竹内健三さん、」響子が、竹内の方を見た。「一言、お願いし

ます」

「ま、よろしくお願いします...」竹内は、作業テーブルに置いた、黄色いヘルメット

に手を置いた。「そうですねえ...

  まず、一言、断っておくことがあります。都市空間の防災計画となれば、都市全体

が地震に強い設計になっていることが一番いいわけですね。しかし、それは長期的

な都市計画の仕事ですし、“耐震設計”“耐震基準”、あるいは“免震構造システ

ム”の話になるわけです。あるいは、地震後の津波に備える、防波堤なども、ここに入

るでしょうか...

  まあ、こうした問題は、その方面の専門家に、お任せしたいと思います。一方、過

密な“都市機能の分散”や、“首都移転”等の話は、高度な政治レベルの話になるわ

けです。これも、そちらの専門家にお任せししたいと思います...」

「はい、」響子がうなづいた。

「したがって、ここでは、現在の都市空間を前提にして、“耐震・避難シェルター”や、

“耐震・避難コーナー”など、私たちが直接利用する施設の設置を考察してみました。

まず、すぐに何ができるかということを、考えてみたわけです。

  それから、一般住宅やオフィス空間、それから店舗などにおける、“耐震・避難ス

ポット”なども考察してみました。これは、今、支折さんの言った“避難カプセル”など

も、範疇(はんちゅう)に入ります。

  ともかく現在は、大地震が来ても、何処に身を寄せていいか分らないわけです。し

たがって、このページでは、都市空間の中で“身を寄せるべき安全な場所”を創出

し、緊急時の指示・指定をしたいと考えているわけです」

「地震国/日本では、」支折が言った。「必要ですよね...特に首都圏のようなメガロ

ポリスでは、大震災の際には、方向感覚がなくなってしまいますから、」

「まあ、ここしばらく、響子さんと支折さんと一緒に、色々と考察を重ねて来たわけで

す...押し潰される住宅に関しても、数トンの重さに耐えられる、“耐震カプセル”

いうものを考案しました

  そうした中で、支折さんから、“耐地震”機能に、さらに“耐火災”機能を加えたらど

うかという提案があり、“耐地震・耐火災型”“カプセルベッド”“カプセルソファー”

を考案しました」

「はい!」支折が、身を乗り出した。「そこで私は、“耐地震・耐火災インテリア”という

新しいジャンルの家具を創設してみました。超未来型の“防災・カプセルベッド”や、

“超軽量・硬質カプセル型・ベビーカー”などもデザインしてみました。

  でも、“耐火災”という要素を加えると、密閉式・呼吸補助装置が必要になります。

それほど難しいシステムではないのですが、家具としては未開発ゾーンに入ります。

  しかし、ここであっさりと諦めてしまうには、火災は地震以上に、多くの人命を奪っ

来ているという事実があります。そこで、是非、ということで、“耐火災”という要素

も加えた次第です。

  “耐地震・耐火災型/カプセルベッド”が実現すれば、火災に弱い木造家屋などで

も、一応“安全な場所”が確保されるわけです。これまでの、便利さを追求した一般的

な家具や電化製品とは、全く別のコンセプト(概念、観念)の家具になるわけです。そんな

わけですので、新しい文化として普及するでしょうか...」

「需要は、あるはずです」響子が言った。「安全が欲しいのなら、必ず需要はありま

す。大きなヒット商品になれば、景気を引き上げる経済効果も期待できるかも知れま

せん。ともかく、大震災に備え、そのぐらいの勢いで、普及して欲しいですね。

  それから、これまでのものでは、“核シェルター”がこのジャンルに入るのではない

でしょうか。“核シェルター”は非常に高価なものですし、大掛かりなものですから、家

具とは呼べないでしょうが、多少は売れたと聞いています...」

「ま、“核シェルター”は、一般的な庶民が注文するようなものではないでしょう」竹内

が言った。

「はい。でも、一般庶民にも、“安全”“サバイバル”に対する需要は、必ずあると思

います」

「はい...」支折がうなづいた。「ええ...“耐地震”だけの、耐外圧型カプセルなら、

比較的簡単に出来ます。大きな入り口のある、頑丈な箱というイメージでいいわけで

す。家の倒壊などによる圧死に対処するには、これで十分だと思います...」

「まあ...」竹内が言った。「自分で、柱材や、鉄のアングルで頑丈に組み上げれ

ば、十分な耐圧構造のものは、簡単に作れます。後は、自分の体が、傷つかないよ

うな工夫をすることです。工作好きな方は、一考に値します。家の中に、1箇所ぐらい

は、こうした頑丈なスポットは必要でしょう。ただ、洗練されたインテリアとするには、

多少進化していくことが必要です...」

「すると、」響子が、口にコブシを当てた。「“耐地震・耐火災型インテリア”というのは、

完全なカプセルになるわけでしょうか?」

「いや、小さなカプセルとは限りません...」竹内が、言った。「部屋そのものを強化

したり、部屋そのものをカプセルにしてもいいわけです。こうなれば、あらゆる外部環

境に対し、コンピューター管理で部屋をガードしていく方向に発展して行きます...

  そして、こうした方向は、結局は家全体を、“信頼性の高いコンピューターとセンサ

ー”で監視・コントロールし、“強力な装甲”でガードするものになります。まあ、強力な

外部からの侵入にも対処できますし、地震や火災にも万全というものです。理想です

ね、これは...」

「ふーん...それが、未来の姿なのでしょうか?」

「そうですねえ...そういう方向が1つあります...

  そして、もう一方は、“耐地震・耐火災型カプセルベッド”というような、“防災家具”

の強化になります。ともかく、これから長い時間をかけて育てていく、“サバイバル・イ

ンテリア”という方向になりますかね...

  結局、万一に備えて、あまりにも身構えるというのは大変なことです。したがって、

どのあたりで折り合うのか...今後、探っていくことになるの課題の1つでしょう。む

ろん、これは、個人的な好みの問題も入ってくるわけです。そんなものは、必要ない

という人も、当然いるわけですし、」

「はい、」響子が言った。「それでは、さっそく本題の方へ入りましょうか、」

                                  

  〔1〕  耐震シェルター (避難コーナー、落下物ガード)

        繁華街 ・・・  公共施設  ・・・  駅  ・・・  歩道 ・・・   

                      

「ええ、それでは、まず...」響子が言った。「大都市の繁華街学校等を含めた

共施設人が極度に集中する駅や空港、それから都会のビルの谷間の歩道などで

の、大震災対策について考察して行こうと思います。

  それじゃ、竹内さんから、いいかしら?」

「はい...

 まず 、今回は大都市ということで考察して行きますが...学校や駅などは大都市

に限らず、人が集中していることに変わりはありません。地震対策ということでは、全

国各地とも共通と思って欲しいと思います...」

「はい、」支折が、コクリとうなづいた。「そうですよね」

「さて...繁華街や大都市の歩道というのは、大地震の際には、落下物で非常に危

険になります。できれば、私のようにヘルメットをかぶっていればいい訳ですが、そう

もいかないでしょう。地震は、いつ起こるか分らないわけですから」

「はい、」響子が言った。

「ま、とりあえず、落下物で危険なのは...上を見上げると、ゴチャゴチャとある看板

の類ですね。支えている金属部分が、大地震に耐えられるのか、非常に疑問です。こ

うしたものが落下して、犠牲者が出た場合、いったい誰が責任を取るのでしょう

か?」

「うーん...」支折が、小首を傾げた。「施工した持ち主かしら?」

「まあ、そうかもしれません。しかし、大震災の廃墟の中で、一枚の看板が不備だと

証明し、裁判を起こすなど、不可能ではないでしょうか。それこそ、膨大な数の看板

が落下しているわけですから...」

「うーん...そうですよね...」

「では、逆に、こうした看板は、大震災で大勢の人を傷つけても、責任が問われなくて

もいいのでしょうか。それなら、管理はどうでもいいかということになります。これも困

るわけですねえ...

  ま、ともかく、行政が責任を持って、しっかりと管理して欲しいですね。したがって、

この種の看板は全て禁止し、もっとおとなしい、街全体で調和の取れた安全な看板

するとか...例えばレリーフのような看板にするとか...

  地震国・日本なのですから、そこまで徹底した街づくりをするべきです。もちろん、

看板に限らず、屋上や、マンションのベランダなどの物も、絶対に下に落さないような

管理体制が必要です」

「はい」響子が言った。「本当に、そう思います」

「ここは、世界有数の“地震国・日本”であり、大震災のリスクが非常に高い“東京

都圏”です。これぐらいは、当然ではないでしょうか。立体的にとび出した看板は全て

禁止し、より安全なものに切り替えるぐらいの行政指導があってもいいのではない

でしょうか。強力なリーダーシップと、市民の合意があれば、必ず出来るはずです」

「はい」響子が言った。「結局、そこに住む人の安全ですものね、」

「そういうことです...

  そうした、安全なものにして行く上で、新たな創意工夫をして行けばいいわけで

す。まあ、これは看板に限ったことではないですが、一つ一つ危険な物は除去してい

かなければなりません。こうした熱意から、非行や犯罪などもなくし、安全な街づくり

が進んでいくのではないでしょうか。これは、都市全体の風景を、大きく変えて行くこと

になると思います」

「それ、いいですよね、」支折が言った。「私は、あの阪神大震災を見ていて思ったん

ですけど、地震のことを考えたら、瓦屋根というのはどうかしら...バラバラ落ちてき

て、ずいぶんと危険なのじゃないかしら?」

「確かに、屋根瓦は危険な一面がありますね」竹内がうなづいた。「景観はいいんで

すがね。しかし、それ以外でも、屋上やマンションのベランダなどからは、実にさまざ

まな物が落下してくるわけです。

  それから、特に危険なのは、高層ビルの窓ガラスが割れて、雨のように降り落ちて

くる危険です。そうした危険のある高層ビルの下の歩道では、それとなく、緊急避難

できる落下物ガード】を作っておいて欲しいですね。そこを、“地震・避難コーナー”

にすればいいわけですから。まあ、芸術的な、しゃれたデザインのものがいいです

ね。

  それから、こうした“地震・避難コーナー”は、街のいたるところに作って欲しいわ

けです。単に、“落下物ガード”というのではなく、駅やその周辺などでは、“耐震・避

難コーナー”をしっかりと整備して欲しいと思います。もちろん、何が落ちてくるか分か

らないにしても、一定の安全基準を満たした強度が求められます」

「それなら、」支折が言った。「デザインを公募しては、どうかしら。色々なものがあれ

ば、街が楽しくなりますよね。アイデアも、豊富に盛り込んで...」

「うーむ、そうですねえ...」

「ええ、話を進めたいと思います...」響子が、リモコンで、プラズマ・スクリーンに街

の生の画像を映し出した。

 

【耐震シェルター】 【耐震・避難エリア】 【耐震・避難スポット】

                          

「さて、」響子が、プラズマ・スクリーンを見ながら言った。「...こうした、繁華街・駅・

公共施設等での地震対策の1つとして、私たちは“耐震シェルター”、“耐震・避難エ

リア”、“耐震・避難スポット”を作ることを検討してみたわけですね...

  繁華街、デパート、駅周辺、公共機関など、大量の人であふれている所でさえも、

いざ地震が来た時、“さあ、何処に避難したらいいかのか分からない”というのが実

態ではないでしょうか」

「そうですよね、」支折が、うなづいた。

「家では“テーブルの下”に、オフィスや学校では“机の下”に、寝ている時は“家具で

怪我をしない所”に、駅や繁華街では緊急避難場所は“全く分らない”というのでは、

あまりにも無策すぎます。

  これでは、まさに、“何の対策もとっていない”というのが実状ということになりま

す。大震災に対処するなら、まず、具体的なことから始めなければならないわけです」

  響子は、リモコンで、プラズマ・スクリーンの画像を変えた。

「ええ...

  例えば、“大地震の予兆の小さな揺れ(/前震、予震)が来たら、すぐに近くの

“耐震シェルター”、“耐震・避難エリア”、“耐震・避難スポット”に飛び込めるように、

各所に分りやすく、あらかじめ準備しておいて欲しいということです。

  それから、ビルの谷間の歩道は、大地震で割れた窓ガラスなどが、雨のように降

ってくることが予想されています。うまく逃げ込める場所が近くにない場合には、大変

な被害が予想されます。

 こうした危険が予想される場所には、歩道の一部などに、すぐに逃げ込める“落下

物ガード”などを作っておいて欲しいということです。さらに、揺れに対してつかまる場

所があり、さらに体を打ち付けても大怪我をしないようなカバーでもあれば、なおいい

と思います。

  このあたりの細かなデザインは、支折が言うように、公募したり、経験や工夫を重

ねていく必要があるでしょうね...」

「うーん...面白い仕事になるんじゃないかしら。こうやって、新しい21世紀の首都

に変って行けば、いいですよね。都市という“容れ物”から、日本が生まれ変わって

行くということもあるわけよね...」

  響子が、静かにうなづいた。

「ええと、もう一度まとめておきましょうか...

  人が大量に集まる繁華街や、駅周辺、公共施設、またその周辺等には、頑丈な

“地震シェルター”、“地震・避難エリア”、“地震・避難スポット”を作っておいて欲しい

ということですね...

  あ、“耐震シェルター”でも、“地震シェルター”でも同じ意味です。“地震”の方が具

体的で分りやすいのなら、“地震シェルター”でもいいと思います...

  ええと、それから、“避難コーナー”なども、デパートの中や、駅の中、繁華街の一

角など、様々に工夫して、多くの場所に設置しておいて欲しいと思います。都市空間

には、本来、このぐらいのゆとりのスペースがあってもいいのではないでしょうか。

  ≪前震≫が来て...本震が来るな...と思っても、しっかりとした逃げ込め

る場所が無ければ、結局何の地震対策にもならないわけです。身近に、“安全な逃

げ場所”“地震に対して頑丈な建造物”“器物などの落下や移動で怪我をしない

安全カプセル”があって、はじめて、“初動時の地震対策”となるわけです。

  それから、最近注目されている、後からやって来る大きな≪余震≫に備えるため

にも、“耐震カプセル”や“耐震シェルター”は、重要になってきます...」

「まあ、余裕があれば、竹内が、椅子の背に片肘を掛けた。「建物そのもの、都市そ

のものが、地震に耐えられれば一番いいわけです。しかし、それでもなお、“耐震シェ

ルターに飛び込みたい”というのが、人間の心理かも知れません。家具や荷物、商品

や器材に押し潰されることもあるわけですから...」

≪ブラッキーの独り言・・・・・≫No.1 wpe7.jpg (7162 バイト) 

【 駅のホームに、せめて歩道並みの“ガードレール”を...】

 

「おう、ブラッキーだぜ!

  うーむ...駅のホームにいる時、何処に避難したらいいかと聞かれた

が...こいつは、難しい質問だぜ。避難する場所なんて、ないからよう!

  もし、朝のラッシュ時に、大地震が来て...その時、電車がちょうど駅

のホームに入ってくる所だったら、大変だぜ。ほとんどの人が、駅のホーム

からこぼれ落ちて、電車に跳ねられるかも知れないよなあ...」

 

「ま、駅というヤツは、大都市の中では、相当な数があるぜ...この可能

性は、かなり高いと見るべきだろうぜ。地震で、列車が自動停止するとし

も、制動距離というものがあるぜ。つまり、急には止まれないわけだ。それ

が、新幹線のようにスピードが出ていれば、それだけ制動距離ものびるわ

けだしよう...」

 

「うーむ...まあ、これは鉄道会社が考えることかも知れないが、今の

所、逃げ場所も、掴まる物も無いよなあ...多少でも、柱やベンチに掴ま

ることができる者はいいが、全員が掴まれるわけでもないぜ...

  せめてよ...ホームの端の方の白線にそって、ガードが欲しいぜ。道路

の歩道にあるような、二段式の“歩行者ガード”があれば、線路に落下しな

いですむと思うぜ。電車のドアの開く所だけ、所々開けておけばいいわけ

だしよう...それとも、そのゲートの部分は、自動開閉になっていてもいい

しよう...もちろん、もっと背が高い方が安全だし、どうせやるなら、色々と

工夫すべきだぜ...」

 

「だいたい普段でも、駅のホームというのは、危ない感じがするぜ。確か、

地下鉄では、全面をフェンスで塞いでいる路線もあるが...

  うーむ...ともかく、普通の駅のホームでも、せめて道路の歩道並み

の、ガードレールぐらいは、欲しいよなあ。普通の時だって、危ないしよう。

鉄道会社だって、それぐらいの安全対策は、して欲しいぜ...

  ま、統計的な数字がどうなっているかは知らないが、一般乗客の“安全

心理”ということも、考えて欲しいぜ...もちろん、満員電車の方だって、

地震対策というものを、もう少し考えるべきだよな...」

 

                                

 

「はい...」響子が言った。「ブラッキー、どうもありがとうございました」

「おう...

  この間の、“2003年・十勝沖地震”では、釣り人が津波にさらわれて行方不明に

なったよなあ...」

「ええ、はい...」

「ああいう防波堤港の施設でも、せめて歩道の“ガードレール”のようなものが、欲

しいよなあ。足元が津波でさらわれても、掴まる場所が欲しいぜ」

「うーん、そうよね、」支折がうなづいた。「港湾施設などで、目的は違うかも知れない

けど、安全施設は欲しいわね。そのぐらいの親切は、是非、欲しいと思います」

 

  〔2〕 耐震災施設の、統一カラー表示    wpe8.jpg (3670 バイト)

  免震構造物 耐震シェルター 退避コーナー 退避スポット

       地域避難エリア 緊急ライフライン緊急ヘリポート  

 

「次に、都市空間の中の緊急避難施設について...」響子が、自分のファイルに目

を落した。「ええと...“一目で分るようなカラー表示”統一的に演出して欲しいと

いうことですね...これは、耐震・都市空間の象徴にもなりますので...ええと、支

折に説明してもらいましょうか、」

「はい!」支折は、コクリとうなづいた。「ええ、繁華街や公共施設など、人で溢れてい

る場所では、初めて訪れる人でも一目瞭然なように、“地震や火災の際の退避場所”

統一的に“カラー表示”して欲しいと思います。

  この色彩表示は、かなりのインパクトがありますので、マイルドな感じがいいと思い

ます。普段はあまり気にならず、しかも飽きないものがいいのではないでしょうか。例

えば、マイルドなグリーン系とか、その組み合わせのツートンカラーとか...そこにさ

らに、明確な遠くからも分るマークを入れるとか...

  対象となるのは、各種の“免震技術の施された建物”や、ビルが潰れても耐えられ

るような“耐震シェルター”、そして落下物や物が避けられる“避難コーナー”“退避

スポット”などは、遠くからでも壁や床の色で分るようにしておいて欲しいと思います。

明るい色のツートンカラーなど、ともかく飽きない落ち着いた色がいいですね。それか

ら、オフィスや住宅の“避難カプセル”も、そうしたシンボル的な表示は、必要なんじゃ

ないかしら...

  それから、緊急避難から次のステップになる、公園などの“地域避難エリア”や、陸

上輸送の“ライフライン”“緊急ヘリポート”などは、もう少し違った色でもいいかも知

れません。ともかく、大震災対策が、明確に分るような“統一カラー表示”を、都市空

間全体で作り上げていって欲しいと思います。もちろん、美観を損なわないように、バ

ランスということも、非常に大事です...」

「そうですねえ、」竹内が、アゴに拳を当てた。「“これが日本の首都だ!”というよう

な、人間空間を演出して欲しいですね。また、一方では、“日本文化の香る空間”を演

出して欲しいと思います...難しいかも知れませんが、そこは、調和だと思います。

都心部に、小さな竹林がいっぱいあるとか...」

「あ、竹林はいいですよね!」支折が言った。

 

 〔3〕 耐震耐火型“ライフカプセル” wpe89.jpg (15483 バイト)house5.114.2.jpg (1340 バイト)

                     <ベッド、ソファー、コンソールも...>

     住宅・・・ 病院・・・ オフィス・・・ ・・・  <カラー表示>

 

  wpe4F.jpg (12230 バイト)             

「ええ、それでは...」響子が言った。「次に、住宅、オフィスでの、大震災に対する

備えについて考察します。行政が、古くなった一般住宅やビルなどの建替え、あるい

耐震補強を推進しているのは、すでにご存知だと思います。

  阪神・淡路大震災では、多くのビルが予想を越えて倒壊しましたし、一般住宅も、

まさにぶっ潰れたものが非常に多くありました。この地震では、犠牲者のほとんど

は、火災ではなく、“家屋の倒壊による圧死”だといわれています...」

「はい、」支折が、響子の言葉を引き取った。「そこで私たちは、“自宅にいる時”、何

処に避難したらいいのかということを考えてみました...地震は、本当に怖いです

し、いざと言う時、頑丈な退避場所が、すぐ近くにあるのは、心強いと思います。それ

が、“ライフ・カプセル”になるわけですね...

  人は、ふつう8時間の睡眠をとります。これは1日24時間の3分の1ですから、私

たちは、人生の1/3は、蒲団やベッドの中にいるということです。それから、食事や

団欒、その他で、家にいる時間というのが一番多いわけですね...」

「そうよね、」響子がうなづいた。

「もちろん、高齢者や小さな子供、専業主婦などは、もっぱら自宅を中心に生活して

いるわけです。 したがって、この自宅にいる時、何処に避難するかということは、非

常に重要になってきます。安心できる“耐震・避難場所”が、ぜひ欲しいところです。

  家具などで押し潰されないということも、重要な要素の1つです。また、家やビルが

倒壊しても、よほどのことが無い限り潰れないという、外圧に対する強度も欲しいわ

けです。そこで私たちは、“耐震カプセル”という家具を作れないかと、考えてみまし

た。

  それから、そのスペースとして、ベッドソファーを頑丈なカプセルに組み込み、上

の階の天井が落ちてきても大丈夫なような構造にできないかと、考えてみました。つ

まり、“耐震カプセル”を、既存のインテリアと合体させて行こうという考えです。

  初歩のものとしては、ベッドに頑丈な柱と屋根をつけるようなものでもいいわけで

す。生身の体が押し潰されることを考えれば、それだけでも、非常に頼りになる避難

場所になります...前震が来たら、子供と一緒に、ともかくそこに逃げ込めばいいわ

けです...もちろん、できれば、団地やマンションが崩れても大丈夫なほどの、頑丈

なカプセルが欲しいですよね...」

「うーん、」響子が、大きくうなづいた。「そうしたものがあれば、いざという時に、頼り

になるわね...さあ、地震が来ると分っても、避難する場所が無いのは、困りますも

のね...」

「はい...

  後は商品開発になるわけです。様々なアイデアやバリエーションが生まれ、超未

来型の“耐震・耐火型/人工知能管理型/医療・生理トータル管理型の/安心カプ

セル・ベッド”に行き着くかも知れません。

  うーん...こうなれば、もう、まるでロボットかしら...」

「ま、」竹内が、笑った。「睡眠中は、我々は皆、無防備になるわけです。したがって、

無防備な“睡眠時間帯を完全にガード”できれば、そんなにいいことはないでしょう。

ベッドとの組み合わせは、有望な商品市場が見込めると思います。そうなれば、形も

素材も、洗練されていくと思います。軽くて丈夫なチタンフレームで、コンピューター秘

書内臓などは、どうですかね...そうなると、車と合体してしまうかな...それとも、

独立したロボットになるでしょうかね...」

「はい、」響子が、微笑してうなづいた。「でも、そんな未来型よりも、当面の大震災対

策として、カプセル型ベッドは、有望かも知れませんね」

「はい」支折が言った。「潰れないということで、理想を言えば、軽くて非常に硬いチタ

ン複合材や、セラミックスで組み立てるのがいいと思います...」

「形は球形が一番強いのかしら」響子が言った。

「ええ。芯や骨を使わないなら、そうなります。タマゴのように、殻だけで作ろうと思う

なら...」支折は、竹内の方を見た。

「うむ。小型のものは、そうなりますかね」竹内は言った。「しかし、簡単に強度を出す

なら、金属の芯や柱を入れればいいでしょう。人類の居住空間は、基本的には、直線

と平面と立方体で出来ているわけです。そこに、純然たる球形を持ち込むのは、無理

があると思いますね...使い勝手も問題です...まあ、いくら金をかけてもいいと

言うなら、話は別ですがね。

  したがって、“カプセル・ベッド”の基本は、さっきも話があったように、ベッドに頑丈

な屋根と壁と床をつけることになると思います。これなら、市販の木材の柱や鉄骨材

などで、簡単に組み立てられるのではないでしょうか。ともかく、ここを基本として、家

具としてどんどん進化させていけばいいわけです」

「はい、」響子がうなづいた。

≪耐火機能の追加≫                  

 

「それから、竹内さん、」響子が言った。「“耐火・カプセル”というものについては、どう

なんでしょうか?」

「そうですねえ...

  子供部屋に置く“カプセル・ベッド”に、“耐震”機能だけでなく“耐火”機能も持たせ

たいのなら、断熱材で包み、密閉し、圧縮空気なども必要なのかも知れません。ま

あ、耐火となると、感知機やマイコン制御なども入れ、かなり複雑になりそうですね。

  この種の家具や家庭電化製品というものは、これまでは存在しなかったわけです

が、いいものなら、相当の需要があるはずです。我々にとっては、火災はより身近に

ありますからねえ...」

「大地震よりも、火災の犠牲者の方が、はるかに多いんじゃないかしら、」

「まさに、そのとおりです...是非、“耐震機能”に加え、“耐火機能”の方も、しっか

りと開発して欲しいと思います。

  今後、日本の経済は、バイオナノテクノロジーがリードして行くだろうと言われて

いますが、この種の“サバイバル・インテリア”の開発も、非常に息の長い産業に発

展していく可能性があります」

「はい。ファッションや、グッズも合わせて、そうですよね」支折が言った。

                                            

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「はい。ええ、今回は、ここまでとしておきましょうか...」響子が言った。「ともかく、

みんなで、新しい日本の未来を、切り開いていきたいと思います...」