Menu文芸文芸・イベント皇室の秘宝展

             支折の皇室の秘宝展見学   

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<東京国立博物館/平成館/2000年2月11日>                                 

 トップページHot SpotMenu最新のアップロード                                        担当 : 星野 支折  

                                                     

                                                        (2000.2.29)

「お久しぶりです。星野支折です。

  のびのびになっていましたが、ようやく今日(/2月11日−建国記念日)、東京上野

公園へ“皇室の秘宝展”を見に行くことになりました。そう言えば、出かけるのもず

いぶんと久しぶりになります。最初にマチコと野辺山の天文台へ行った時、そして、

みんなで黒部のアルペンルートへ行った時以来かしら...

  これからは気候も良くなりますので、みんなでちょくちょく出かけたいと思います。

今回は企画室・会議室を担当する里中響子さんと一緒に行ってきます。

  Windows2000と、Office2000のインストールで、アップロードが2週間ほど遅

れてしまいました...」

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「それじゃ、ポンちゃん、後はお願いね」支折は、Index.htmへ出るとポン助に言

った。

「おう。暖かくしていけよな。今は大寒だからよう、」

「ありがとう。マフラーも持ったから大丈夫よ。この間、バーゲンで買ったバーバリの

マフラー...」

  支折はカーキ色のオーバーコートを着込み、前でバンドをしっかりと止めた。そし

て、コートの上にグッチのリックサックを背負った。

「中にデジタルカメラも入っているし。電池も、3セット...でも、博物館の中では、

カメラは使えないわね」

「...」

「お待たせ!」里中響子が、企画室からIndex.htmへ出てきた。スキー用の防寒

服と、白い毛糸の帽子をかぶっていた。

「天気は良さそうよ」支折は、ブラウザで天気予報を見ながら言った。

「そ、よかったわね。さあ、行こうか」

 

  上野公園に入ると、二人は西郷さんの銅像を見て行くことにした。それから、国

立博物館の方へ歩いた。

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              <西郷隆盛の銅像>      <西郷さんの銅像から少し北の方>

「この公園に、何か思い出はある?」響子が支折に聞いた。

「ええ。私は芸術専攻だから、美術館や博物館へはよく来たわ。だから、ここはよく

通ったの」

「そう...私はここへ来たのはこれで二度目。最初に来たのは、中学生の頃かし

ら。修学旅行できたのよ」

「ずいぶん昔ね。そう言えば、ボスもそんなことを言ってたわね。でも、ボスは最初

の中編小説“人間の座標”の中で、動乱で廃墟となった上野公園を描いているの

よ」

「うん。そうよね...ボスも、ここへはよく来ていたのかしら?」

「さあ...このあたりは変わっていないわね...下の階段の方はずいぶん変った

みたいだけど」 

「ええ...桜の咲く頃には大変なんでしょうね、このあたりは、」

「ふーん...」支折は、下に伸びている桜の枝にそっと手を触れながら言った。「ま

だ、蕾をもっていないみたいね」

  国立博物館の入り口付近は、かなりの人でごった返していた。この“皇室の秘宝

展”も、11日、12日、13日で終りになる。それに今日は、建国記念日(2月11日)

祝日になっているせいかも知れなかった。

「入場券は一般で、1000円か...」支折は自動販売機で2枚買った。1枚を響子

に渡した。

  博物館の敷地の中は広々としていた。しかし、すでに先の見えない長い行列が

出来ていた。ここには、今回の展示のある平成館の他に、幾つもの建物がある。

「30分から40分待ちますね、」係員が響子に言った。

「そんなにですか、」響子は、ため息をつき、支折の方を見た。

「でも、天気はいいし...」支折は、デジタルカメラのファインダーを開きながら言っ

た。

 

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     <このずっと先まで長蛇の列>       <皇室の秘宝展をやっている平成館>

 

  平成館に入ると、中はさらにごった返していた。1階にロビーがあった。が、入場

者は、エスカレーターですぐに2階の展示場へ上げられた。そこからは、まさに身

動きのできない混雑だった。通勤列車のよう...埴輪の展示などがあったが、近

づくこともできない...しばらく行くと、さすがに少しずつ混雑がゆるくなった。歴代

の天皇の日記や書籍が展示ケースの中に陳列されていた。

「読める?」支折が、響子の手をしっかりと握りながら言った。

「これでは、ゆっくり読めないわね、」響子が言った。「でも、迫力があるわ。直筆だ

もの...」

「墨が薄いわね」

「うん...これなんか、清書って感じじゃないわ。線を引いて消してあるわ」

「今、そこに居るみたいね」

「そうね」

  さらに進んで行くと、古い絵草子や絵画、刀剣、磁器等があり、どれも見ごたえ

のあるものだった。絵草子などは、現在の印刷技術やコンピューター・グラフィック

スになれた現代人からすると、かなり素朴な感じがする。こうした絵の連作を描く感

覚は、現代社会の中では漫画家が一番近いだろうか...いずれにしても、数百年

前には、こうした絵を画くこと自体が、現代のように手軽なものではなかったはずで

ある。紙や絵の具等の画材を集めるのも、一苦労だったのかもしれない。もっとも、

江戸時代あたりになると町人文化が花開き、庶民にも手の届くものになったのかも

知れない。

「とにかく、」響子が言った。「私はこういうものを見るのは初めてなのよ。少しずつ

見ておかなくちゃね」

「そう、一度は見ておくべきよ。特に、本物は、」支折が言った。

 

  外へ出ると、冬の陽射しが強かった。平成館の入り口へは、相変わらず延々と

長蛇の列が出来ている。二人は平成館の前の噴水を眺めながら、のんびりと出口

の方へ歩いた。

「ずいぶん広いのねえ、国立博物館の中は」響子が陽射しに目を細めながら言っ

た。

「うん。今度は普通の展示を見に来ようか。いいのがたくさんあるわよ」

「そうしよか...」響子は毛糸の帽子を脱ぎ、平成館の方を振り返った。