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 トップページHot SpotMenu最新のアップロード                    担当 :    里中  響子 

    INDEX            wpe8B.jpg (16795 バイト)        

                 < 2008年 >  
No.22  北海道/野付半島でも【H5N1型】/韓国はソウルでも・・・全土で34件 2008. 5. 9
No.21  秋田県/十和田湖畔・・・白鳥の死骸から【H5N1型】感染経路不明 2008. 5. 1

 

                 < 2007年 >  
No.20  3年ぶりに、【H5N1型】発生 モラルハザード社会と、社会的脆弱性 2007. 1.20
 

 

                 < 2006年 >  
No.18  欧州の戦慄 2006. 2.27
No.19  インフルエンザ・シーズン/ピークを過ぎる 2006. 3.29

     

                 < 2005年 >  
No.13  鳥インフルエンザ(H5N1)欧州へ波及 2005.10.22
No.14  WHO・事務局長が断言/大流行は起きる 2005.10.22
No.15  厚生労働省/書の、全国行動計画の策定に着手! 2005.10.22
No.16  流行なら、京東都民の3割が感染/死者1万4000人と推定 2005.10.24
No.17  鳥インフルエンザ/欧州全体に広がり始める 2005.10.26

  

                 < 2004年 >  
No.1 山口県阿東町...鳥インフルエンザ終息 2004. 2.15
No.2 タイで、ヒョウが鳥インフルエンザで感染死 2004. 2.15
No.3 日本で、2例目の鳥インフルエンザ確認/チャボ7羽が感染死 2004. 2.18
No.4 WHOが認める、“抗・鳥インフルエンザ剤” 2004. 2.22
No.5 鳥インフルエンザが、別の動物へ拡大 2004. 2.22
No.6 日本で3ヶ所目の鳥インフルエンザ発生 2004. 3. 5
No.7 浅田農産船井農場(京都府丹波町)からの、感染拡大 2004. 3.10
No.8 カラス2羽から、鳥インフルエンザ・ウイルス検出 2004. 3.10
No.9 治療しないと、死者10万人入院43万人 2004. 8. 4
No.10 H2N2型のインフルエンザ検体が、18カ国/3747施設に誤送 2005. 4.22
No.11 茨城県水海道市で鳥インフルエンザ発生 2005. 6.29
No.12 沖縄で、夏にインフルエンザが大流行<夏休み前に学級閉鎖> 2005. 7.27

                       

        <1>   (2004.02.15)                                                                                                               

     山口県阿東町...鳥インフルエンザ終息    index292.jpg (1590 バイト) 

  

「山口県阿東町の養鶏場で発生した、高病原性鳥インフルエンザについて、農水省

は2月14日、解除を予告しました。

  今後感染の兆候が無ければ、という条件付で、半径30km以内のニワトリや卵の

移動制限を、2月19日午前0時をもって解除するというものです。アメリカでは、2例

目のH7型の鳥インフルエンザが確認されていますが、日本では、この1例をもって、

今の所、鳥インフルエンザは押さえ込んでいます」

                       <参考文献: 東京新聞/2004.2.15/鳥インフルエンザ終息>

     <2>   (2004.02.15)

       タイで、ヒョウが鳥インフルエンザで感染死     index292.jpg (1590 バイト) 

「ええ...

  タイ中部の動物園で、先月死んだネコ科の希少動物“ウンピョウ”が、鳥インフル

エンザに感染していたことが分りました。これは、ネコ科動物への最初の感染例にな

ります。感染ルートは、餌の鶏からの感染ではないかと見られています。

  また、この動物園では、ホワイトタイガーも、鳥インフルエンザ・ウイルスの陽性反

が出たが、その後回復したと言います。さらに、別の情報筋が、この動物園で、数

日前に死亡したトラが、感染死の疑いが強いと言っています。情報が錯綜しているか

も知れませんが、現地のナマの状況ということで、ご理解ください」

                       <参考文献: 東京新聞/2004.2.15/タイの『ヒョウ』、感染死>

     <3>(2004.02.18)

       日本で、2例目の鳥インフルエンザを確認     index292.jpg (1590 バイト) 

        大分県九重町の民家で、ペットの“チャボ(小型の鶏の1種)”7羽が感染死

 

「響子です...

  日本で2例目の感染が、大分県の九重町で発生しました。自営業者宅の庭で飼

われていたペットのチャボ13羽のうち、3羽が14日昼、4羽が16日朝、それぞれ死

んでいるのが見つかりました。また、一緒に飼っていたアヒル1羽も、陽性の兆候が

見られたということです。

  確認された型は、H5型です。現在、アジアで猛威を振るっている【H5N1型】かど

うか、今後詳細な分析が進められるとのことです。すでに、13羽のチャボのうち、生

き残っていた6羽と、アヒル1羽も含め、14羽全てが焼却処分されています。

  死んだチャボに接触した可能性のある者は、14人です。この人たちには、これま

で異常はありません。このうち、直接触れた7人については、“抗ウイルス剤”が投与

されたと言います」

 

「ペットの鶏などは、感染を調べる都道府県のモニタリング調査の対象外であり、農

水省は今後、対象に加えるよう防疫マニュアルを改訂するとのことです」 

 

≪危機管理センターからのお願い≫      wpe73.jpg (32240 バイト)    

「ええ...

  日本での感染の2例とも、感染ルートが判明していません。野生の渡り鳥などが疑

われていますが、対処が非常に難しい状況です。したがって今後、日本の各地で、

何処で発生するか分りません。ペットはもちろん、野生の鳥ハト動物なども含め、

異常が見られたら、すぐに行政機関に通報して下さい。

  それから、鳥や動物などのペットに触れた後は、“うがい”をし、特に食事の時など

は、薬用石鹸等でしっかりと“手洗い”をしてください。犬や猫などの動物に対しても、

注意が必要です。

  1918年の“スペイン風邪”では、日本でも約50万人の死者を出しています...

まだ、あまり深刻になる必要はありませんが、そうした事態が20世紀の初め頃に、

実際に起こっていたということは、肝に銘じておいて欲しいと思います...」

 

***********************************************************************************

「日本国内での感染ルートが分らない以上、万全の警戒態勢が必要

です

  中国大陸では、感染が全土に拡大し、非常に危険な状況が近づき

つつあるようです!

  これが、杞憂(きゆう/取り越し苦労)に終ることを祈っています...」

                                      <談: 危機管理センター/ 里中 響子>

     ************************************************************************************

                       <参考文献: 東京新聞/2004.2.18/大分、チャボ7羽死ぬ>

    <4> (2004.02.22)

     WHOが認める、“抗・鳥インフルエンザ剤”   

    鳥インフルエンザが、人に感染した場合にも有効な、“人のインフルエンザ薬”

 

「響子です...今まで、ニュースなどで、“抗インフルエンザ剤”などと言われてきた

薬について、その内容が分ったので、報告します。

  これは、WHO(世界保健機関)が、鳥インフルエンザが人に感染した場合にも治療効

果があると認めた、人のインフルエンザ薬・リン酸オセルタミビル(商品名/タミフル)

です。これは、坂口・厚生労働大臣によると、日本が最大の輸入国とのことです」

 

「スイス・ロシュ社から輸入・販売する中外製薬によると、今季は1370万人分を確

し、3月末までに1300万人分を出荷する予定とのことです。これは、昨年の2.4

倍の量で、仮に鳥インフルエンザが人に感染する事例が出現しても、対応が可能な

ようです...

  うーん...この薬は、もともと鳥インフルエンザ用ということではなく、鳥インフルエ

ンザにも有効というこのなのだと思います」

 

「でも、どうなのでしょうか...

  鳥インフルエンザがブタなどを介して突然変異し、新型インフルエンザが発生した

場合、何処まで対応できるのでしょうか。これが、どのようなメカニズムで効果がある

のかは、データが無いので分りませんが、“弱毒生ワクチン”のような、抗体反応を利

用するものとは、根本的に違うものですね...

  いずれにしても、最大の脅威は、突然変異による新型インフルエンザの発生です。

1918年の“スペイン風邪”、1957年の“アジア風邪”、1968年の“香港風邪”と、

20世紀において3度の大流行がありましたが、いずれも“新型の発生”“強力化”

の場となったのは、中国南部東南アジアです...

  また、3度の大流行は、いずれも鳥からブタを媒介し、“人の新型インフルエンザ”

が発生しているということです。現在、アジアで起こっている状況は、まさに“人の新

型インフルエンザ”発生へ、着々とステップを踏んでいるように思えます...」

 

            <参考文献: 東京新聞/2004.2.19/こちら特報部/鳥インフルエンザから新型ウイルスへ>

 

     <5> (2004.02.22)                                                                                                               

      鳥インフルエンザが、別の動物へ拡大   

                    wpeA.jpg (42909 バイト)

≪飼い猫が感染死≫

「タイ中部のナコンパトム県で、死んだ“飼いネコ”が、鳥インフルエンザに感染して

いたことが確認されました。これは、タイ国立カセテート大学獣医学部の担当者が、

2月19日に明らかにしました。公式に確認されれば、“飼いネコ”への感染は、世界

で初めてのケースになります。

  感染死したネコは、近くの養鶏場で死んだニワトリを食べたようで、インフルエンザ

の症状があらわれ、病死したとのことです。カセテート大学獣医学部で、死体を調べ

た結果、鳥インフルエンザのウイルスが確認されました。型は、【H5N1型】でした」

 

≪新たな感染の拡大≫

「カンボジア保健当局は、南部のタケオ州の動物園で、昨年の12月から今年の1月

にかけて連続死した鳥類約60羽のうち、“ウミワシ”“フクロウ”など6羽が、鳥イン

フルエンザに感染していたことを確認したと発表しました」

 

「タイ中部チョンブリ県のカオキョー動物園で死んだ“ヒョウ(希少動物のウンピョウ)、治療

で回復した“ホワイトタイガー”は、感染が確認されました。また、別のトラ1匹も、感

染死していました」

 

「タイ東北部のカラシン県では、牛、水牛、約200匹の大量死が報告され、政府が

調査を始めています。これは、何が起こっているのか、近々状況が明らかになると思

います...」

           <参考文献: 東京新聞/2004.2.20/猫にも?/鳥インフルエンザ...牛にも感染?被害拡大>

 

        <6>   (2004.03.05)

       日本で3ヶ所目の鳥インフルエンザ発生     

                 京都府丹波町の採卵養鶏場 / 浅田農産船井農場

 

2004年2月27日、日本で3ヶ所目の鳥インフルエンザの陽性反応が確認されま

した。

  この農場では、20日頃から大量死が発生した模様で、大量死に気付いた直後

に、“死んだら引き取ってもらえない”との事で、当初予定を早め、出荷していたと言

うことです。これは、同社の浅田会長が明らかにしたものですが、後に発言を修正し

ています。

  しかし、発覚したのは“匿名による通報”で、大量死による同社からの報告は無

く、各方面からの非難が高まっています。この鳥インフルエンザによる大量死は、隠

し通せる性格のものではなく、何故冷静に“感染症の危険性”を判断できなかったの

か、私たちとしても、非常に残念です。

  これが、鳥インフルエンザからヒト・インフルエンザに変異し、毒性が増し、感染爆

発する可能性を考えれば、日本の社会全体を巨大な不安に陥れるものになります。

“人間的な判断ミス”は理解できるにしても、そのリスクはあまりにも大きなものにな

りつつあります。今回の事態を教訓とし、今後はこのようなことの無いようなシステム

を整備して欲しいと思います。

 

  ええ、20日頃に、大量死が発生して以降の、出荷の経緯ですが...

  25日と26日の両日、食鳥加工会社“アリノベ”の処理場(兵庫県八千代町)に、9932

を出荷しています。このうち435羽は検査前に死んでおり、185羽は病気だった

と、兵庫県食肉衛生検査センターは言っています。なお、鳥インフルエンザの症状は

なかったと言うことです。

  うーん...どうなんでしょうか...私には、技術的なことは分りませんが、結局こ

の鳥インフルエンザが騒がれている状況下で、食鳥検査でも肝心なものを見逃して

いたと言うことにはならないのでしょうか...

  ええと、それから、25日には、愛知県豊橋市の処理場にも、約5600羽ほどが出

荷されていました。ええ、いずれも、出荷された鶏からも、鳥インフルエンザの陽性反

が出ています。関係した各施設、業界等からは、強い非難と、大きなとまどいの声

が上がっています。

                      <参考文献: 東京新聞/2004.2.28〜29の関連記事>   wpeA.jpg (42909 バイト)      

 

     <7>   (2004.03.11)

     浅田農産船井農場(京都府丹波町)からの、感染拡大    

 

「ええ、響子です...

  3月3日午前、丹波町の別の養鶏場で、11羽の鶏が死んでいるのが見つかりま

した。簡易検査を行った結果、3羽から、鳥インフルエンザ・ウイルスの陽性反応が出

ました。

  この高田養鶏場は、上記の浅田農産船井農場から直線距離で約5kmの距離

あり、船井農場から感染が拡大した模様です。なお、この養鶏場は、町役場や学校

などが集まる市街地にあります。

  3月4日には、感染鶏処分や防疫作業のために、自衛隊が街中に集まり、警察官

による警備も強化され、町は騒然となった模様です。学校など、教育現場への影響も

出ています。こうした状況下で、もはや地方自治体の能力を超えた“有事”になりつつ

あり、国レベルでの制圧が望まれているとのことです...」

 

「ええ...京都府の関係者は、数十万羽という鶏の緊急処分は、地元自治体だけ

でできるものではなく、人的にも経費的にも自治体の処理能力を超えていると言って

いるそうです。

  一方、大阪府兵庫県などの隣接する自治体では、自分の所の対策で手一杯

で、連携できる状態ではないとのことです。インフルエンザの感染力を考えれば、

の指導力に期待するとの声が多くなって来ています。また、ある専門家は、国の取り

組みの遅さを指摘しています」

                <参考文献: 東京新聞/2004.3.4〜6の関連記事>   wpeA.jpg (42909 バイト)      

 

    <8>   (2004.03.11)

      カラス2羽 から、             index292.jpg (1590 バイト)

    鳥インフルエンザ・ウイルスを検出 <カラスの感染例は、世界初> 

 

「ええ...響子です...あ、ブラッキー、ご苦労様です...」

「うーむ...」

 

「ええ...3月7日浅田農産船井農場(京都府丹波町)と、この町と隣接する薗部町(その

べちょう)で、それぞれ2羽のカラスの死骸が見つかりました。そして、各1羽づつから、

鳥インフルエンザ・ウイルスが見つかりました。日本の野鳥から鳥インフルエンザ・ウ

イルスが見つかったのは、これが初めてになります。また、カラスの感染例は、世界

で初めてになります。

  専門家は、これらのカラスは、船井農場で増殖したウイルスに感染した、“被害

者”と見ています。もし、カラスが外部からウイルスを持ち込んだのだとしたら、もっと

早くに死骸が見つかっていたはずだということです。

  ちなみに、野生のカモなどは、もともと体内に低病原性のウイルスを持っていると

言います。でも、毒性の強い高病原性ウイルスが、野鳥に感染した確認例は、ごく少

ないと言います。1961年に、南アフリカのアジサシの例/【H5N3型】、1990年代

オーストラリアのムクドリの例/【H7N7型】、等があるだけだそうです...

 

  今回感染したカラスは...お気の毒ですが...“2004年の日本のカラス”とし

て、記録に残ることになります...さあ、今後は、カラスによる感染拡大が気になり

ます。また、カラスばかりでなく、他の野鳥や、ブタなど他の動物への感染も要注意に

なります」

 

≪危機管理センターからのお願い≫      wpe73.jpg (32240 バイト)    

 

「ええ、とりあえず、殺菌剤による手洗いをしっかりとやり、うがい薬によるうがいも、

しっかりとやって下さい。手洗いは、外科手術の医者などはしっかりと上手に洗うわ

けですが...とりあえず、薬用洗剤をつけて、2度ていねいに洗えば大丈夫、かと

思います。うがいは、できれば1日数回ぐらいやって欲しいですね。

  ただし、これらは、人込みの中に出た時や、1日家にいる時では、だいぶ条件が

違います。外出する時は、回数を増やしたり、マスクをしたりすりなども考慮してくださ

い。マスクも、色々な種類があります。自分にあったものを研究してみてください。

ンフルエンザ・ウイルス用のマスクというのも、あるようです...」

 

                   <参考文献: 東京新聞/2004.3.8〜10の関連記事>        

 

 

     <9> (2004. 8. 4) 

      治療しないと、死者10万人入院43万人     

  【 “新型インフルエンザ”が、国内で流行した場合 / 厚生労働省の試算

 

「響子です...猛暑が続いていますが、鳥インフルエンザ関連の情報が入りまし

た...

  この猛暑が過ぎれば、またインフルエンザ・シーズンが近いことを感じさせるニュー

スです。1昨年はSARS(新型肺炎)、昨年は鳥インフルエンザ...今年は何が出現す

るのでしょうか...非常に重大な事態が近づいているのかも知れません...

  国・厚生労働省の体制...地方自治体の体制...そして、私たち個人レベルの

準備も...今年は、より万全なものにしておきたいものです。今後、当分の間、様々

な形で、生態系や大自然からの、人類文明への圧力が増してくるものと思われます。

人口が激減する事態も視野にいれ、万全な準備を整えておきたいものです...」

 

「ええ、さて...ニュースというのは、厚生労働省の試算です...

  鳥インフルエンザ等が変異した、“新型インフルエンザ”が、もし日本国内で流行し

た場合のシミュレーションです...米・疾病対策センター(CDC)の計算方式を使用

し、全人口の25%が発症するとの前提による試算です...

  それによると、適切な治療を実施しなかった場合、死者10万人、入院患者43万人

に達するとの、結果がでました。非常に大雑把なものですが、インフルエンザの脅威

というものは実感できるのではないでしょうか...

  ちなみに、第一次世界大戦末期の“スペイン風邪”では、全世界で推定5億人以

上が感染し、4000万人以上の死者を出しました。日本でも、約50万人の死者を出

しています...まさに、これが、“感染症の脅威”なのです...私も、祖母から、その

時の話を、直接聞いたことがあります。祖母の身近な人も、何人も亡くなったと話して

いました...

  ええと...今回の、このシミュレーションの数値は、7月30日...“新型インフル

エンザ対策検討小委員会”で明らかにされたものですね...ええ、この試算では、

患者は最大で2500万人に達し、厚生労働省では、この人数分の治療薬を、事前に

確保しておく必要があるとしています...」

 

「うーん...

  ここで言う、治療薬というのは、主に“抗インフルエンザ薬”のことを指しているので

しょうか。私たちには、この種の薬が、どれぐらいの効果があるか分らないのですが、

“新薬の効能”“備蓄の情報”も、どんどん公表して欲しいと思います。それによっ

て、私たちの準備も進み、日常的な“消毒”“手洗”“うがい”などもより徹底し、感

染症を克服していくことになるわけです。

  それから、“生ワクチン”は、“新型インフルエンザ・ウイルスを同定”しれなければ、

その開発・製造に入れません。推定で、それにどのぐらいの時間を要するのか、また

配・輸送・接種にどのぐらいの時間が要するのか、その推計値を知りたいと思いま

す。

  また、図上訓練・実地訓練を重ね、末端の医療機関に関するまで、可能な限り、万

全で迅速な緊急体制を敷いておいて欲しいと思います...“生ワクチン”が完成して

も、その“輸送・接種”で時間がかかっては、ワクチン開発の時間短縮の努力は、水泡

に帰してしまいます...」

            <参考文献: 東京新聞/2004. 7.31/死者10万人、入院43万人> 

 

      <10>    (2005.04.22)                                                                                                               

  H2N2型のインフルエンザ検体が、18カ国3747施設に誤送

            

「響子です。インフルエンザウイルスに関して、大きなミスが発生しました。しかし、大

事には至らなかったようです。

 

  世界保健機関(WHO)は、2005年4月13日、危険性の高いインフルエンザウイ

ルスの検体が、誤って世界中の研究施設に送られていたと発表しました。ウイルス

は、H2N2型と言われますから...1957〜1958年にかけて大流行したアジア風

邪のウイルスです。このパンデミックでは、推定100〜400万人の死亡しています。

 

  WHOのインフルエンザ対策の責任者は、“検体は厳重に管理されており、人へ

の感染も報告されておらず、外部に流出する可能性は低い”としています。

 

  このアジア風邪ウイルス(H2N2)は、スペイン風邪ウイルス(H1N1/1918年)H2N2

鳥ウイルスのハイブリッドウイルスです。そして、1968年の香港風邪ウイルス(H3N2)

は、このアジア風邪ウイルスと、H3型の鳥ウイルスとのハイブリッドウイルスです。

  しかし、このアジア風邪ウイルスのH2N2型は、何故か姿を消しているのです。現

在、毎年流行しているのは、香港風邪ウイルスのH3N2型と、1977年に流行した

ソ連風邪ウイルスH1N1型のみです...」

 

「さて、詳しい状況ですが...

  WHOによると...米国の研究機関“米国臨床病理医協会”が、昨年10月から、

世界18カ国/計3747の研究施設に...誤って、この危険性の高いインフルエン

ザウイルスの検体を送ったとしています。米国カナダが大半を占めていますが、

本、韓国、シンガポールなどの16カ国/計61研究施設が含まれるとのことです。

  

  このウイルスは、先ほども言いましてが、1968年以降、“自然界から消滅”してい

ます。おそらく、香港風邪ウイルスにとって代わられたのでしょうか...ともかく、正

確なところは、まだ謎に満ちています...

  ええ...そういうわけで、1968年以降に生まれた人には、このウイルスに対す

抗体がなく、再度流行となれば、多くの死者が出る可能性があるということです。当

然、ワクチンはあるわけですが、再流行となれば、そのような犠牲者が出るかも知れ

ないと言うことでしょうか...

  うーん...ともかく、パンデミック・ウイルスの恐ろしさの一端を、垣間見るような話

です。人類と、インフルエンザウイルスとの攻防の、微妙な現実が伝わって来るようで

す...」

 

「さて...日本の状況ですが...

  厚生労働省は、このインフルエンザウイルスの検体が届いた9施設に対し、廃棄・

処理を指示しました。また、別の機関でも、このウイルスをテスト用検体として送付し

ていた可能性があり、確認を進めているとのことです。

  厚生労働省は、“検体は厳重に保管され、感染が広がるリスクは低いが、念のた

め、廃棄を指示した”ということです。ちなみに、日本には、2005年の1月に届き、3

施設は試験を終えて廃棄処理、6施設は保管していたということです...」

 

「この検体を誤送した、“米国臨床病理医協会”というのは、検査施設の技術認証機

です。検査水準を試験する検体に、H2N2型ウイルスを使用してしまったようです。

ウイルス名を伏せて送付したようですね...

  うーん...人間のすることですから、こういう人間的な間違いも“ある”...という

ことを、しっかりと“科学技術の側面”として認識しておく必要があります...教訓と

して欲しいと思います...」

   <参考文献: 東京新聞/2005. 4.14/検体、18カ国・3747施設に誤送> 

 

      <11>  (2005. 6.29)                                                                                                               

      茨城県水海道市で鳥インフルエンザ発生  

    H5N2型高病原性・鳥インフルエンザウイルス現時点では“弱毒性...”

         wpe73.jpg (32240 バイト)  

「ええ、響子です...

  茨城県水海道市の養鶏場(/アレバメントカントウ)で、新たに鳥インフルエンザが

発生しました。2005年6月26日、独立行政法人・動物衛生研究所(つくば市)が、H5N

2亜型と確認しました。国内での感染例は、5ヵ所目となります。

 

  2004年の1月から3月にかけて、山口県、大分県、京都府、で、計24万羽余りの

被害を出したのは、H5N1型です。今回のH5N2型は、毒性が弱いと見られます。

  ただし、鳥どうしで感染を繰り返すことによって、強毒性に変異する恐れがあると言

われます。また、これが人のインフルエンザに混ざり合うと、人型の新型インフルエン

に変異する可能性もあるわけです。

 

  新型インフルエンザが、いよいよ私たちの身近にせまってきた観があります。最悪

の事態を想定し、個人レベルでも、万全の体制を準備しておいて欲しいと思います。

消毒剤、殺菌石鹸、うがい薬、抗インフルエンザ・マスク等も、日頃から準備しておいて

欲しいですね。

  心構えとしても、まず物から準備しておくのも、1つの方法です。様々な対策準備

は、保険と同じです。それが、役立たないことが、最良の結果なのですでも、最近想

定されている大地震と同じように、それは、いずれ必ずやって来るものです...」

 

「うーん...どうなのでしょうか...

  これまで日本では、インフルエンザは冬から春にかけて感染被害が起こっていまし

た。極東アジアの地域としても、そうした特性があったと思います。あのSARS・コロナ

ウイルス新型肺炎も、春から初夏にかけて、猛威を振るいました。

  うーん...でも、今回のH5N2型の発生は、初夏と言うことになります。したがって

今後は、“季節に関係なく発生する”と、頭を切換えた方がいいかも知れません。

 

  それから、今回は、4月頃から産卵率の低下などが見られたようです。でも、目立っ

た大量死などはなかったと言います。養鶏業者も、“通常の範囲内”として、あえて疑

わなかったと言います。また、鶏の死亡数の報告を週受けていた茨城県の当局も、

結果的に見逃していたわけです。

  結局、発生から通報まで、2ヶ月以上もかかったとのことです。今回は、弱毒性が幸

いしました。今後は、いずれにしても、意識を改め機敏な通報体制を作ることが急務

となります。ともかく、“疑わしい事例の発生は、即・行政当局へ通報する”“行政も、

機敏に検査に乗り出す”、という体制が必要です...

  それでも、新型イフルエンザの発生を、何処まで押さえ込んでいけるかです...こ

うして時間稼ぎをしている間に、人類のインフルエンザ研究と対策が、着実に進んで

行くわけです...それが、はたして、パンデミックに、間に合えばいいのですか...」

 

  <参考文献: 東京新聞/2005. 6.27/茨城で鳥インフルエンザ>         

                             東京新聞/2005. 6.28/社説/最悪の事態をも年頭に

       <12>  (2005. 7.27)

沖縄で、夏にインフルエンザが大流行   

         <夏休み前に学級閉鎖>   

         wpe44.jpg (7720 バイト)  

 

「ええ、響子です...

  茨城県の高病原性鳥インフルエンザ問題も、想定外の展開が進行しています。弱

毒性でも、相当の感染力があることが分ってきたからです。強毒性ならば、鶏の様子

をチェックしていれば、容易に感染を察知できます。そして、弱毒性ならば、感染力は

低いはずだと想定していたわけです。

  鳥インフルエンザ問題、そしてヒトの新型インフルエンザ問題は、ますます混迷を

深めている様相です。私たちも、しっかりウォッチして行きたいと思います」

 

「さて...話は変わりますが...

  沖縄で、この夏、インフルエンザが大流行しています。夏休み前に、すでに学級閉

という事態になった様子です。これは、前代未聞のことといいます。いったい、沖縄

で、何が起こっているのでしょうか...

  3月中旬...沖縄では、インフルエンザの感染者数が約4000人になり、このシー

ズンのピークを迎えました。例年だとそのまま終息に向かうのですが、今年は違って

いました。そして、6月中旬には、感染症の“流行注意報”発令の基準に達しました。

さらに、6月下旬になっても患者は増えつづけ、ついに学級閉鎖の事態に至ったよう

です。

 

  傾向としては、沖縄本島北部から中部、そして那覇市周辺、それから南部へと、感

染が拡大したようです。夏の感染拡大は、これまで全く無いわけではありませんが、平

成に入ってからは、初めてだと言います。

  “A香港型”だけが、夏でも流行するようです...今回も、“A香港型ウイルス”

といいますが、これが7月中旬頃から、変化してきているようだといいます...

  ええ...詳しいことは、まだ分っていません...ワクチンのメーカーも、どういう種

か分からないと、来年用のワクチン製造に、支障をきたすだろうと言っています。

 

  ともかく、今回の流行は、常識に反することが多いようです。梅雨時は、湿度が高ま

り、通常インフルエンザは感染しにくいはずなのです。だから乾燥した/寒い/冬に、

毎年インフルエンザ・シーズンがやってくるのです。

  それから、大人から子供まで感染が広がっているようです。そして、人口の多い那

覇市からではなく、北部から感染が拡大している点は注目です。私たちは現在、“感

染症拡大のシミュレーション”を考察していますが、そうしたものが、早く活用できる

ようになればいいと、願っています...」

 

≪感染の型が変化...≫

「うーん...

  これは、“A香港型”の、“暑さに強いタイプ”のインフルエンザ・ウイルスが出現し

たと言うことなのでしょうか。ともかく、どんなウイルスなのか、早急な究明が待たれま

す...ただ、現在言えることは、最近話題になっている、新型ウイルスではないとい

うことです。

  脅威としても、毎年やってくるインフルエンザのレベルということで、いいと思いま

す。ただ、何故、これまでとは違い、夏に大流行なのか、ということです...」

 

「さて...

  私も、今回初めて耳にしたのですが...タイ/ベトナム/中国南部などの、熱帯・

亜熱帯地域での、“A香港型”の流行パターンというのは...実は、5月〜7月なの

だそうです...したがつて、この地域でも、暑く/スコールが多く/湿度が高いとい

う、高温多湿の期間なのです。 (詳しいことは分りませんが、“A香港型”だけなのだと思います...)

  これは、いわゆるこれまでの、日本の流行パターンとは異なります...したがっ

て、今回の沖縄での、7月における“A香港型”の大流行は、東南アジア型の流行パ

ターンに類似していると言えます。

  これは、地球温暖化が影響しているのでしょうか。また、何故、“A香港型”だけな

のでしょうか...ともかく、インフルエンザウイルスの“変異”ということでは、新型イン

フルエンザウイルスの脅威が迫っているということもあり、非情に気になります。早急

な究明が待たれます...

  今後、他の地域でも、流行パターンに異変がないか、注意深く見守って行く必要が

あります...」

     <参考文献: 東京新聞/2005. 7.22/夏の大流行・前例なし>    

                            

 

        <13>   (2005.10.20)    

   鳥インフルエンザ欧州へ波及

                         

           高病原性・鳥インフルエンザウイルス...【H5N1型】

 

「響子です。ついに、2005年のインフルエンザのシーズンが到来しました。新型イン

フルエンザ“パンデミック(世界的大流行)が懸念されます。

  その矢先...トルコ(10月13日)ルーマニア(10月15日)で、相次いで鳥インフルエン

ザが確認されました。アヒル七面鳥などへの感染です。いずれも、アジアで猛威を

ふるった、強毒性の【H5N1型】と判明しています。トルコとルーマニアに挟まれた

ルガリアの感染のおそれも高く、警戒を強めています。

  さらに、2日後の10月17日...エーゲ海のトルコ沖に位置するギリシャの小島

でも、七面鳥から鳥インフルエンザウイルスが見つかりました。これで、EU域内にも

感染が及んだことになります...」

 

「鳥インフルエンザそのものは、基本的には人には感染しません。種の壁があるから

です。しかし、全く感染しないわけではなく、強毒性の【H5N1型】は、すでにアジアで

60人以上が死亡しています。

  これが、人から人へ感染するように変異した時、鳥インフルエンザは人の“新型イ

ンフルエンザ”となるわけです。変異した後も強毒性を維持していれば、世界で数千

万人が死亡すると推定されています。

  事実、スペイン風邪(1918年)では、推定4000万人が死亡しています。日本でも、

現在よりはるかに人口の少ない時ですが、そんな時代に、推定50万人が死亡した

と言われます。

 

  現在、EU議長国であるイギリスのストロー外相は、“人々が安心できるよう、ヨー

ロッパ挙げて、人への感染に備えて対策をとる必要がある”と訴えているそうです。ち

なみに、イギリスでは、人から人へ感染した場合、最低5万人が死亡と見ているよう

です。そして、イギリス政府は、現在80万人分抗ウイルス剤を備蓄しているようで

す。 (日本の備蓄状況はこちら)

  抗ウイルス剤の“タミフル”を製造しているスイスの大手製薬会社では、フル操業で

生産を続けています。また、アメリカに新工場を建設し、さらに増産する計画も示して

います...

         <参考文献: 東京新聞/2005.10.19/鳥インフルエンザ上陸・EU各国に衝撃>

 

    <14>   (2005.10.20)  

    WHO・事務局長が断言

       新型インフルエンザの大流行は起きる

          

「響子です!

  WHO(世界保健機関)の李鍾郁・事務局長は、10月17日...人の間での新型インフ

ルエンザの大流行は、“起きる!”と、“断言”しました。これは、“最高度の警告!”

と受け止めるべきでしょう...

  発生源は、“鳥インフルエンザの大発生が続く、東南アジアのどこかとの見解を

示しています。また、“新型インフルエンザは、いつ出現してもおかしくない”も言

い、“強毒性の鳥インフルエンザ/【H5N1型】が変異して、人から人に感染するよう

になる可能性が最も高い”と指摘しています。

 

  専門集団が総合的に判断し、“新型インフルエンザの発生”が、いよいよ差し迫っ

たものとなった、と私たちは解釈しています...厚生保健当局の戦略的な準備と、

マスメディアの情報戦略各個人レベルでの準備ともども...しっかりと対策を固め

ておくべきです。

  なお、私たち“危機管理センター”でも、しっかりと監視し、逐次、レポートを重ね

て行きます。どうぞご期待ください」

         <参考文献: 東京新聞/2005.10.19/鳥インフルエンザ上陸・EU各国に衝撃>

 

       <15>   (2005.10.20)    

  厚生労働省初の、全国行動計画の策定に着手

              ≪日本の、新型インフルエンザ対策

    wpe73.jpg (32240 バイト) index292.jpg (1590 バイト) 

 

「響子です...

  日本の厚生労働省は、世界的に警戒感が強まっている“新型インフルエンザ”

出現に備え、初の“全国行動計画”の策定に着手しました。

  それによると、発生状況の深刻度により、数段階に分けるようです。そして、各段

階ごとに、国が取るべき措置を規定します。“大規模な集会の自粛勧告”“渡航の

自粛勧告”“専用ワクチンの優先的な生産”“学校閉鎖”“強制的入院”等が、そ

れらに含まれることになります。

  これらは近く取りまとめる方針で、都道府県はこれを基に、“地域の実状に則した

行動計画”を作成することになります...

 

  国民の側でも...当局の“対策状況”を、逐次把握し...理解し...“迅速かつ

確実な行動”を取れるよう、準備が必要です。非常時には、様々な誤謬(ごびゅう/間違い)

が発生しますが、“図上訓練”“実地訓練”“冷静な行動”で、被害を最小限にとど

めることが出来ます。

  具体的な“行動計画の内容”については、逐次マスコミ等から伝わって来ると思い

ます。私たちも、しっかりとチェックして行きます...」

             <参考文献: 東京新聞/2005.10.17/感染防止に集会規制も>

 

     <16>   (2005.10.24)    

   流行なら、東京都民の3割が感染

             死者1万4000人と推定

              ≪東京都・対策会議/報告書≫

          

「ええ、10月20日...“東京都・新興感染症対策会議”は、新型・インフルエンザが

流行した場合、都民の3割が感染死者は約1万4000人に上ると、報告書をまと

めました。

 

  新型インフルエンザについては、昨年夏、国が報告書を出しています。それによる

と、日本の全人口の25%が感染すると推定しています。それに対し、今回東京都で

は、全都民の30%・約380万人が感染するとしています。人口密集地のメガロポリ

(巨大都市)の特性を考慮したものです。

  なお、死者1万4000人は、最近における通常のインフルエンザ関連死者数、の

約33倍になります。強毒性新型インフルエンザを想定し、非常に高い死亡率が示

されています。これを、いかに押さえ込んで行くかが課題になるわけです...

  鳥のインフルエンザの場合、普通の弱毒ウイルスですと、気管支や腸管などの

所感染なので済み、症状も軽いわけです。しかし、強毒性のH5N1型】ウイルス

場合、ほぼ全ての臓器で感染し、重症化するわけです。したがって、人から人へ感染

する新型インフルエンザに変異した時、この高病原性が維持されていれば、極めて

脅威になるわけです...」

【 これは...ウイルス表面のHAタンパク質の開裂部位にある、塩基性アミノ酸の連続

配列の違いによるものです。全身感染するの強毒性ウイルスでは、ほぼ全ての臓器に

存在するプロテアーゼ(フリンなど)を特異的に認識するからです。したがって、極めて重

症化することになります。

  弱毒性ウイルスでは、HAタンパク質の開裂部位にこの配列はなく、局所的に存在す

るプロテアーゼ(トリプシンなど)によってのみHAタンパク質が活性化し、局所的な感染

しか起こらないわけです。したがって、症状も軽くすむということです...】

             (参考文献: 日経サイエンス/2005.03/パンデミックは再来する)

「ええ...

  感染者が3割を超える大規模流行期には、知事が“感染症・緊急事態宣言”を発

表することになります。それにより、公共交通機関の運行縮小、スタジアム・劇場など

の集客施設は、営業自粛要請が行われることになります。

  なお、厚生労働省は今、初の“全国行動計画”の策定をしています。都道府県では

これを基に、より具体的な“行動計画”を作成することになります。注目して行きたい

と思います...」

       <参考文献: 東京新聞/2005.10.21/新型インフルエンザ流行なら>

 

       <17>   (2005.10.26)    

   鳥インフルエンザ/欧州全体に広がり始める

      ≪トルコ、ルーマニア、ギリシャに続き、

               クロアチア、ロシア、スウェーデン、イギリスでも...≫

      

「響子です!

  ヨーロッパ大陸で、鳥インフルエンザが拡大しつつあります。ロシアで、70羽

2200羽の家禽類処分の数字が伝わってきますが、まだ本格的な被害は出てい

ないようです。ロシアでは、【H5N1型】ウイルが確認されています。うーん...こ

れから、家禽類の処分も、増加してくるものと思われます...

  アジアでの鳥インフルエンザ被害の中心は、鶏などの家禽類でした。しかし、ヨー

ロッパ大陸では、家禽類に加え野性の鳥の感染が、各地で確認されています。クロ

アチアでは、国立公園内の白鳥が感染していましたし、スウェーデンでは野生のカモ

の感染が判明しています。いずれも、ウイルスの特定を進めている段階です...

  また、イギリスでは、南米スリナムから輸入されたオウムから、【H5N1型】ウイル

が検出されています。このため、イギリス当局は、世界的に生きた鳥の輸出入を禁

するよう求めています」

 

「EU(欧州連合)は、10月24日、ルクセンブルクで農相理事会を開き、感染拡大をくい

止める方策を協議した模様です。すでに実施している、感染地域からの鶏肉や加工

品の禁輸措置に加え、ペット等の生きた鳥の国際取引も、全面禁止にするかどうか

検討を始めました...」

 

 

       <参考文献: 東京新聞/2005.10.25/EU・追加対策協議>

 

      <18>   (2006.2.27)    

    欧州の戦慄! 鳥インフルエンザ拡大! 

         

 

「ええ、危機管理センターの里中響子です

  鳥インフルエンザ/【H5N1型】ウイルスの被害が、ヨーロッパでますます拡大して

います

【イタリア】   

「まず、トリノ・オリンピックに沸いたイタリアですが...2月11日、南部で複数の白鳥

から、【H5N1型】ウイルが検出されたとの発表がありました。以降、家禽(かきん)

の販売が、半分以下に落ち込んでいるようです。

  新聞各紙も、トリノ・オリンピックの話題を押しのけて、連日、大々的に鳥インフル

エンザの報道をしているようです。こうしたメディアの扱いが、不安心理をあおり、流通

業界にパニックを引き起こしている様子です。家禽生産者にとっては、壊滅的な打撃

になるかも知れないということです...ともかく、私たちとしても、様子を見守るしか

ありません...

  また、ここは、日本にとっても、非常に教訓になる所だと思います。ただ騒ぎ立てる

のではなく...“確かな情報”“戦略的な感染症対策”、そして“経済的な被害

策”について、常にしっかりと国民に明示しておくことが重要です...

 

【ドイツ】   

「ドイツ北部/バルト海の観光地/リューゲン島では、2月19日までに、H5N1型ウ

イルスに感染した野鳥が、46羽見つかりました。これは、新たに見つかったもので、

感染例は計59件になる様です...

  また、ドイツ公共放送のヘリコプターは、同島近くで数百羽の野鳥の死骸を確認し

ました。感染はさらに拡大する様相です。この野鳥の死骸を処理のために、ドイツ軍

は、生物兵器対処特殊部隊を投入したようです...

 

  日本の自衛隊では、出動態勢はできているのでしょうか...鳥インフルエンザ、そ

して新型インフルエンザに対し、国民を守るための“緊急展開”、そして“総合的な備

蓄と訓練”は、出来ているのでしょうか...

  これは、むろん、厚生・保健当局の本来業務です。その方面の“シミュレーション”

図上訓練実地訓練も重ねておいて欲しいと思います。ワクチン生産を急いでも、

その“流通と接種”の段階で手間取っては、大幅に“貴重な時間”をロスすることにな

ります...

   これは、感染症全体、しいては危機管理全体また国家の姿勢として...非常

に重要な課題です...」

 

【フランス】   

フランスでは...2羽の野生のカモの死体から、2月18日22日の両日、【H5N1

型】ウイルスが検出されました...

  さらに、厳重な野鳥と家禽との隔離/監視体制の中で、飼育舎七面鳥400羽

が、【H5N1型】ウイルスで死んでいることが、2月25日、確認されました...これ

は、フランス農務省の発表で確認されたわけです...いずれもフランス東部のア

ン県における感染です。

  七面鳥の飼育舎には、1万1000羽が飼育されていましたが、全て処分。飼育舎

も消毒処理されました...なお、欧州連合(EU)加盟国で、食用の家禽類からの【H5

N1型】ウイルスの検出は、これが初めてのケースになります。

  フランスでは、2月24日、家禽生産の大手企業グループが、相次いで人員削減

発表しています今後、大きな経済的な影響が予想されます...ちなみに、日本は、

2月24日、フランスからの家禽類の一時輸入停止を決定しています」

 

「さて、鳥インフルエンザ・ウイルスの発現地と思われる東南アジアですが...インド

ネシアでは、今年に入ってかの【H5N1型】による人の死者は、9人を数え、感染拡大

が止らない状況です。

  ちなみに、ベトナムタイでは、今年に入ってからは、人への感染は確認されい

ません。東南アジアでは、インドネシアのみが、感染が拡大しているようです...」

 

「さて...

  鳥インフルエンザから新型インフルエンザへの変異は近いのでしょうか...これ

は、軽々なことは言えませんが...非常に危険な状況に入っていると思われます。

  2003年の、あの新型肺炎・SARSが猛威を振るいだしたのも、早春から初夏でし

た...インフルエンザ・シーズンが、ピークを過ぎても、まだ当分は油断は禁物です。

ともかく、非常に危機的なものを感じます。せめて、このシーズンは、無事に過ぎること

を祈っています。

  鳥インフルエンザが、いったん人型へ変異を起こせば...新型インフルエンザは、

航空輸送網による人の移動で、たちまち世界中に感染が拡大することが予想されま

す。ヨーロッパで起こっていることは、対岸の火事ではありません。即、日本にとっても

同等の脅威なのです...

  それにしても、ともかく...今年は春が待ちどうしいですね...」

     <参考文献: 東京新聞/2006.2.20/拡大・おびえる欧州>index292.jpg (1590 バイト)

               <参考文献: 東京新聞/2006.2.26/H5N1型ウイルス・仏の七面鳥から検出>

    <19> (2006.3.29) 

インフルエンザ・シーズンピークを過ぎる...

                

「秋月茜です...

  色々ありましたが、小泉政権の末期と、世界情勢の大転換期とが重なり、世の中が

騒然としてきました。日本社会は急速に、国家の求心力を喪失しつつあります。モラル

ハザード社会が一段と進み、“信用パニック”が起こるかも知れません。

  そこで、今回は、“辛口時評”に特別ゲストとして、《危機管理センター》の里中響

子さんに来ていただきました。ええ...響子さん、よろしくお願いします」

「あ、よろしく...」響子は、頭を下げた。

≪鳥インフルエンザの状況≫ *************************************

 

「その前に、響子さん...4月になりますが、新型インフルエンザの状況はどうなので

しょうか?」

「そうですね...

  【H5N1型】鳥インフルエンザ・ウイルスが世界的に蔓延し、死者がついに100人

を越えました。アジア大陸を経て、ヨーロッパのEU域内に【H5N1型】が広がったこ

と...アジアではインドネシアでのみ、感染拡大があったことが特徴的です。

  うーん...鳥インフルエンザの、ヒトの新型インフルエンザへの変異は、まだ気を

緩めることはできません...遺伝子の変異は、世界の片隅で、今も密かに着実に進

行していると思われます...

  ですが...ともかく、インフルエンザのシーズンは、ピークを過ぎたことを言ってお

きます...過去の例ですと、新型インフルエンザは、インフルエンザのシーズンと共に

やってきました。

  昨今の傾向では、沖縄で夏にインフルエンザが流行したように、油断はできないの

ですが...ともかく、数ヶ月の猶予がて来たのかもしれません」

「そうですか...」茜が、顔をなごませて言った。「ともかく、一安心ですね」

「はい...」響子は、ゆっくりとうなづいた。「でも、新型インフルエンザは必ずやってき

ます...」

「はい、」

「そして、必ずパンデミック(世界的大流行)は起こりますわ。人類にとって未体験のインフ

ルエンザ・ウイルスになるわけですから...誰にも抗体はないですし、完全に適合す

るワクチンも存在しないからです...」

「でも、少しでも先へ伸ばすわけですね?」

「そうです。現在、着々と総合的な準備が進みつつあります。だから、人類としては、

新型インフルエンザの出現は、少しでも先へ伸びた方がいいのです」

「はい、」茜が、コクリとうなづいた。

「今回予想されるパンデミックが、特に大問題になっているのは...高病原性【H5

N1型】ウイルスが、ヒトの新型インフルエンザになると、科学的に予想されているか

らです。最も可能性が高いと、言わざるを得ません...

  この【H5N1型】ウイルスは、ニワトリで100%近い驚異的な致死率を示していま

す。 この強毒性が、必ず弱毒性に変わるという、保証はないのです...推定4000

万人の死者を出した、“スペイン風邪(第1次世界大戦の時)“1918年ウイルス”でさえ、

遺伝子型【H1型】であり、低病原性/弱毒型ウイルスだったのです。

  今回の【H5型】と、【H7型】が、高病原性/強毒型のウイルスなのです...もち

ろん、この型のウイルスが、すべて強毒性というわけではありません...しかし、強毒

性は、この型のウイルスだということですね...私たちとしては、強毒性にならないよ

うに、祈るだけですわ...」

「はい、そうですね...そして、まだまだ、油断は出来ないということですね」

  響子は、コクリとうなづいた。

                                <“辛口時評”の対談より、> 

 

                           2007年

                              <20> (2007.1.20) 

  3年ぶりに、【H5N1型】発生

       宮崎県清武町黒坂農場(2007.1.13)感染経路不明

             

 

「ええ、里中響子です...

  ついに、3年ぶりに、【H5N1型】高病原性・鳥インフルエンザ日本国内で、感染

確認されました。

  2007年1月13日...宮崎県清武町養鶏場において..ニワトリが大量死しま

した。動物衛生研究所(茨城県つくば市)で鑑定した結果、H5型病原性・鳥インフルエ

ンザウイルスに感染していると、確認されました。さらに、1月16日【H5N1型】

確認しました。

  今季シーズン、【H5N1型】は、昨年11月下旬以降...韓国中国インドネシア

で感染が確認されています。今回、さらに日本でも感染が確認されたわけです...」

 

≪感染ルート不明≫

「ええ...夏川さん...【H5N1型】の感染は、日本では、2004年以来ですね」

「そうです...」夏川が、横のモニターをのぞきながら答えた。「【H5N1型】高病原

性・鳥インフルエンザウイルスとしては...2004年の、3例以来、初めてです。その

3例というのは、以下のようなものです...

      ********************************************************************************

<2004年 1月11日>.....山口県阿東町/採卵鶏農場

<2004年 2月14日と16日>.....大分県九重町/民家

               ペットの“チャボ(小型の鶏の1種)”7羽が感染死

<2004年 2月27日>.....京都府丹波町

                         /浅田農産・船井農場

      “人間的な判断ミス”があり...“匿名による通報”

            流通段階にまで、ウイルスが感染拡大...大問題に発展 

         ********************************************************************************

  ...この、3例目の、京都府丹波町での発生以来...ということになります...」

「あの時は大変でした...浅田農産では、その後、関係者のご不幸があったと聞い

ています。ご冥福をお祈りします。私たちは、この“バイオハザード事故”が、“今後の

よき教訓”として生かされて行く事を、期待したいと思います。

  また、感染を発見した事が、農家等の不利益になるというのは、本来おかしいと思

います。むしろ、社会のために、よくぞ“有害の病原菌/ウイルスを発見してくれた”

と、社会的に評価されるべきです。もちろん、全てのルールを守り、キチンとやってい

る場合ですが...」

「そうですね...“この教訓”を生かし、そうした方向にしたいものですね...

  それにしても、現在日本では...依然として、“養鶏業者の風評被害”が、叫ば

れ、強調されているように思います風評被害をあおるようなことは、むろん論外

す。しかし、肝心なことは、“社会、未曾有のバイオハザード被害”から守り抜くとい

うことです...経済的被害矮小化すべきではありません...

  これこそが...京都府の“バイオハザード事故の教訓”なのです。2003年“新

肺炎・SARS”や、2004年“バイオハザード事故”緊張感が、しだいに忘れ

かけています」

「はい!」響子が、強くうなずいた。「“大災害時の非難と同様”ですわ!むやみに騒

がずに...そして、“冷静に対処する事”が肝心ですわ

「そういうことですねえ...」

《危機管理センター》が、常に強調していることですわ。それには、まず...

  日頃から、〔行政当局の指示を冷静に受け止め〕...〔着実に実行する事が肝

要〕です。いたずらに、〔風評に惑わされず〕信頼できる情報を確保〕する事が、

まず大事です。インターネットでも、携帯電話でも、テレビでも、新聞でも、〔信頼で

きる情報〕をゲットし、“それにもとずく行動”を、“速やかに実行”する事がポイント

になります...」

「そういうことですね、」

                 

≪モラルハザード社会と、社会的脆弱性(ぜいじゃくせい)

「つい先日...

  宮崎県清武町鳥の大量死が発生した、同じ1月13日...千島列島東方

地震が発生しました...その時の“津波警報”では、頼できる情報を確保〕し、

〔速やかに実行〕するという行動に関して、悪い意味での、“非常に良い教訓”を残し

ました...

  あの地震は、“日本付近で観測した、過去最大級の地震”と言われます...でも、

津波“気象の予想よりも小さかった”と言います。そして、一方、“避難勧告”

従わなかった人が、非常に多かったとも言います...」

「ほう、そうなんですか...」夏川が、モニターから肩を回した。

「はい...」響子がうなづいた。

「これは、何を意味しているのか、《危機管理センター》として分析してみました...

  この時...津波が...もし逆に、“気象庁の予想よりも大きかった”としたらどう

いうことになっていたでしょうか...“インドネシアで起こった大津波災害の光景”を、

難勧告”にもかかわらず、再度繰り返していたのではないでしょうか...大地震

が起き、大津波が予想されていたわけです...

  もちろん、素早く動ける人もいるでしょうが、それでは全員を救えません。したがっ

て、そのためにこそ、莫大な予算と労力かけ、“避難勧告”を出しているわけですわ」

「うーむ...」夏川が、頭を傾けた。

モラルハザード社会とはいえ、これこそ“世界中の笑いもの”になってしまいます。こ

れでは、世界中の人から、どのようにののしられようと、言い訳もできません。ただ、

“バカなやつ等だ”、と冷笑されるままです...

  モラルハザード社会では...こんな所にも、“社会的脆弱性”が、如実に現れてい

ると見るべきではないでしょうか...社会の内側にいると、それが分らないのです

わ。“信頼性の失われた社会”が、“自ら簡単に崩壊していく姿”です...夏川さん、

私の、“この分析”は、間違っているでしょうか?」

「うーむ...

  信頼できる貴重な情報〕を...“あえて、ないがしろにする”...モラルハザード

社会ですか...

  私は、社会心理学の専門家ではないですが...その指摘は、当っているかも知

れません...そんな、“いいかげんな気持ち”が、社会全体に蔓延していたのでしょ

う...

  確かに、誰も望んでいないことですが...モラルハザード社会/活力の失った停

滞社会の...“社会的脆弱性”が、如実に現れている証拠かも知れません...」

「はい...

  ともかく...幸い今回は、津波“気象庁の予想よりも小さかった”ので、助かり

ました。もし、“気象庁の予想どうりか、予想よりも大きかった”としたら、大被害にな

っていたと思われます。津波の予想というのは、まだ非常に難しいようですから、」

「確かに...」

「いったい...市民・国民の側としても、こんなことでいいのでしょうか...ここは、

市民・国民の側としても、行政の警告情報〕というものを、“再確認・再認識”する

べきだと思います!」

「そうですね...行政当局と、市民との信頼関係が...大事になりますねえ」

「日本では、政治・行政が、“国民・市民から乖離した状態”が続いていますわ...

行政の側に、“お上の意識”があるからでしょう。いまだに、その残滓があるからです

わ」

「まあ、それが、“諸悪の根源”でしょう。かって、“諸悪の根源”といえば、商社でした

が、どうも“官民格差”が、依然として残っていたようですねえ」

「はい...」響子が、うなづいた。「現在進行している、“格差社会”が、ますます双方

不信感を強めています...

  今度こそ、“官民格差”を無くす、根本改革が必要だと思います。これは、《危機管

理センター》の仕事ではなく...津田・編集長や、青木・政治部長の仕事でしょう

けど...」

「まあ、そうですねえ...

  上から下まで、“社会が非常に脆弱”になっているのは、確かでしょう...安倍・首

も、“憲法改正”などと、上の方ばかり眺めていないで、もっと社会の実態を、目を

凝らして、見つめて欲しいですね」

「うーん...頼もしい指摘ですわ!」響子が、夏川の方に頭を下げた。「ありがとうご

ざいます、夏川さん!」

「私も、日本人の1人として、心配なのです」夏川は、笑った。

「はい!」

「ま、ともかく...私たちは、新型インフルエンザの方を、しっかりとウオッチして行き

ましょう」

「そうですね!」

  <参考文献: 東京新聞/2007.1.16/感染経路は未解明、他>    

 

 

                                    2008年

                  <21>     (2008. 5. 1) 

  秋田県/十和田湖畔・・・

    白鳥の死骸から【H5N1型】//感染経路不明

                   

「お久しぶりです。《危機管理センター》里中響子です...

  激動する世界情勢の中で、日本は政治・行政の場で、大きな危機の真只中にありま

す。でも、そうした中で、新型インフルエンザ今シーズンの危機は、峠を越えたのかしら

と思っていました。

  私たちも、常時危機をあおっていては、狼少年シンドローム(狼少年症候群)に陥ってしまい

ます。ですが...どうしたわけか、その頃から、むしろ新型インフルエンザに関するニュ

ースが、続々と入って来ています。

  ええ...便宜上、私が“予測ワクチン”と呼んでいた人工ワクチンは、正式には“プレ・

パンデミック・ワクチン”と呼ぶのだそうですね。その当時は私は知りませんでした。そう

いうわけで、今後はこの正式名称を使う事にします。

  さて、その“プレ・パンデミック・ワクチン”ですが、いよいよ日本国内でも、関係者に接

種が開始されるようです。いろいろ問題点もあるようですが、ともかく具体的に動き出した

ことは歓迎したいと思います」

 

「ええ...

  今回は、こうした事態でお忙しい所を、バイオハザード担当夏川清一さんに来てい

ただきました。夏川さん、よろしくお願いします。夏川さんも、そうした意味では、いつもお

忙しい時にお呼びするのは、宿命なのかしら、」

「はい...そうですね...」モニターを見ていた夏川が、苦笑した。白いガウンのポケット

に両手を突っ込んだ。「ともかく、ゴールデンウイークの真っ最中に、大変な事になりまし

たねえ...【H5N1型】が発見された十和田湖は、観光客でにぎわう時ですから...」

「そうですね...

  私も、鹿村で静養する予定でしたの...《清安寺》へ行き、それから小鹿温泉で、

さんたちと合流する予定を立てていました...秋田県/十和田湖【H5N1型】の騒ぎ

で、それがキャンセルになりそうですわ...

  アンにもお願いして、《危機管理センター》の方は、何とかしたいと思っているのです

が、どういう事になるのか、まだ分かりませんわ」

「ま、しばらくは推移を見守っていく必要がありますね...私の方でも、サポートします」

「あ、お願いしますわ...」響子が微笑し、頭を下げた。

 

「ええと...」響子が、モニターに目を落とした。「簡単に状況を説明しておきます...

  秋田県/小坂町/十和田湖畔で死んでいた...オオハクチョウから検出された鳥イ

ンフルエンザウイルスが、強毒性【H5N1型】だという事が判明しました...2008年

4月29日に、秋田県環境省が発表したものですね。

  これは、独立行政法人/農業・食品産業=技術総合研究機構/動物衛生研究所(/茨

城県つくば市)の分析で、分かったものです...日本国内で、野鳥から強毒性鳥インフル

ンザウイルスを検出したのは、2007年熊本県/相良村クマタカが感染している

のが確認されて以来のことです。

  ええ、周辺で鳥の大量死などの異常は、これまでのところ、見つかっていないとのこと

ですね...現在は、渡り鳥が北へ帰って行く時期ですし、感染経路となると難しくなりま

すわ」

「うーむ...そうですねえ...

  もう少し詳しく言うと...秋田県4月21日に、死亡した白鳥3羽と、衰弱した白鳥1

羽を回収しています。これらを、茨城県つくば市動物衛生研究所に検査を依頼してい

ました。その検査結果が4月29日に、秋田県環境省から発表されたわけです。

  こうした事態から、環境省は周辺地域の野鳥が、【H5N1型】を保有していないか、

を採集するなどして、調査に入っています。環境省では、“感染した鳥との濃密な接触”

しない限り、鳥インフルエンザウイルスは、人には感染しないとしています。

  ええ...厚生労働省の方も...“これまで、野鳥から人へ、【H5N1型】が感染した

事例はない”としています。しかしともかく、“死んだり、衰弱したりしている野鳥”には、

“直接手を触れることのないように”と、強く呼びかけていますね」

「はい...

 特に、児童子供たちは、可哀そうだと思って、つい手を触れてしまう危険があります

わ。“死んだり、衰弱したりしている野鳥”は、様々な原因が考えられるわけです。全てが

【H5N1型】が原因というわけではありません。でも、こうした折ですから、十分に注意

てほしいと思います。

  また、そうした事を、学校の先生などは、徹底しておいて欲しいと思います。それ

異常だと思われる時は、都道府県の鳥獣保護部局へ連絡するのがいいと思います。

いずれにしても、公共機関へ連絡すれば、関係部局が判断してくれると思います」

「ええ、もう一つ...」夏川が言った。「農林水産省の方は...

  また、十和田湖のある秋田県や、地元の自治体もそうですが、養鶏場の方への感染

拡大を警戒しています。養鶏農家などに、鶏舎への野鳥の侵入を防ぐ対策などを指導し

ているようですね。

  鶏舎エサが豊富にありますから、野鳥などが寄ってくるわけです。そこから、養鶏場

感染が心配されます...また、特に、風評被害の方も警戒しているようです」

「はい、」

 

「ええ...

  検査では...白鳥から検出した【H5N1型】ウイルスを、8羽の鶏に接種したようで

すね。これが、10日以内6羽以上が死んだ場合、鶏に対して強毒性だと判定されるの

だそうです。それが、今回は、1日目で、7羽が死んだようです」

「うーん...すさまじい強毒性/高病原性ですね...

  ええ、ちなみに...【H5N1型】/高病原性・鳥インフルエンザウイルスは、鶏などの

家禽が感染すると、全身出血などの激しい症状が現れ...致死率は100%近くになり

ます。この【H5N1型】が、2003年以降アジアなどの家禽に蔓延しています。

  日本ではまだ確認されていませんが、海外では【H5N1型】は、散発的に人にも感染

しています。“感染した家禽との濃密な接触”によるものと思われます。例えば、“死んだ

り、衰弱したりしている家禽”に、直接触れるなどしているわけですね。今後、日本でも事

態が進行すれば、そうした事が強く警告されるようになると思います」

「そうですね...

  WHO(世界保健機関)によると...2008年4月14日/現在で、12カ国で、合計240人

が、【H5N1型】/高病原性・鳥インフルエンザウイルス死亡しています。死亡率は、

2007年5月までの集計58%以上との報告があります」

「はい...

  【H5N1型】が、鳥から人に感染した場合で、致死率が58%以上という事ですね。そ

うした人の場合は、WHOなどの監視下で、それなりの高度な医療技術/対処療法が施

されたにもかかわらず...と考えていいのでしょうか?」

「まあ、そういうことでしょうねえ...様々なケースがあると思いますが、」

「この場合は、まだ新型インフルエンザではないわけですね...【H5N1型】

ワクチンは、には効かないのでしょうか?」

「さて...

  それが人に効くようならコトは簡単です...特効薬があるというのなら、人の致死率

が58%以上という事にはならないのでしょう。ともかく、あらゆる医療技術を施しても、

死率が58%以上なのだと思います...」

「はい...

  ええ...それが、人から人へ感染するように遺伝子が変化すると...“1918年ウイ

ルス”スペイン風邪のように、空気感染パンデミック(世界的大流行)になるわけですね。

この時は、第1次世界大戦の真っ最中で、4000万人もの死者を出したと推定されてい

ます...日本でも、50万人ほどが死亡しています...まだ、人口の少ない頃でしたか

ら、大変な数字だと思います。

  その最大級のパンデミックから、90年ほどが経つわけですね...交通機関は、グロ

ーバル化の現在、まるで比較にならないほどに発達しています。特に航空輸送/ハブ(ハ

ブアンドスポークといわれる運航方式)空港がネックになり、数日世界中に蔓延してしまう事が予想

されます。

  でも一方...インフルエンザですから、“十分に注意深く行動”すれば、個人レベル

防ぐことも、不可能ではありません。食料の備蓄殺菌剤高機能マスクなどもあります。

  そして、最後の砦は、個人の免疫による防護機構が、どこまで有効に機能してくれる

かという事になります。これは、実際に感染してみなければ分かりません。でも、家禽

は、100%近くが死亡しているという事も、頭に入れておくべきでしょう。

  最後に1つ付け加えると...パンデミックとなった場合、社会機能がマヒします。また、

医療機関も、膨大な感染者を収容しきれなくなります。つまり、通常の医療は受けられな

くなります。

  その非常事態の時...食料の備蓄殺菌剤等の、個人的な備えが役に立つことにな

ります...最良の策は、大流行時には、外部と遮断完全に引きこもることと言われて

います。

  非常時の備えは、保険のようなものですわ。それが無駄になったとしても、安心を買う

ことが出来るわけですね...複合的な災害にも備えておいて欲しいと思います。悪いこ

とは、重なってくるという事ですね」

「また...」夏川が言った。「“信頼できる関連機関の最新情報”を、ゲットすることをお勧

めします。それが、個人レベルで、命を守ることになりますね」

「はい、」

 

「ええ...

  人類文明は今、世界的・食糧危機の時代が、まさに幕を開けようとしています。また、

“地球温暖化の危機”も、いよいよ待ったなしの状況になって来ました。私たちは、その

究極的な打開策として、〔人間の巣のパラダイム〕による、“文明の折り返し”を提唱し

ています。

  新型インフルエンザなどの感染症対策も含めて、いよいよ〔人間の巣〕が必要になって

来ました。何よりも、大きな気候変動が始まっています。オーストラリアの干ばつによる

麦の大凶作も、そうした飢餓の時代序曲なのかも知れません。

  私たちは、一刻も早く、“万能型・防護力”/〔人間の巣〕を展開するべきだと思いま

す。“経済原理”“既得権のレベル”で物事を考えている時代は、いよいよ終わりが来て

いるように思います。

  新型インフルエンザなどの感染症対策も...気候変動による自然災害対策も...“地

球温暖化対策”も...また、いよいよ深刻化する飢餓対策でもそうですが...それぞれ

対処療法的な対策でなく、〔人間の巣〕を展開するという、戦略的な対策が必要になっ

て来たように思います...」

       <参考文献: 東京新聞/2008.4.30/鳥インフルはH5N1型>  

 

                     <22>     (2008. 5. 9) 

  北海道/野付半島でも 【H5N1型】

          韓国ではソウルでも・・・全土で34件

                  

「ええ、響子です...2008年5月1日の続報です...

  環境省北海道5月5日北海道/別海町/野付半島で見つかったオオハクチョウ

の死骸から、【H5N1型】高病原性・鳥インフルエンザウイルスが検出されたと発表し

ました。

  北海道/野付半島というのは...北方領土/国後島に近い所の、根室海峡に面した

半島ですね。根室半島と知床半島の中間あたりでしょうか...」

「まあ、そうです...」夏川が、メモ用紙の上に片手を置いた。「その状況を、もう少し詳し

く言うと、こういうことです...

  環境省によると...職員が、北海道東部/野付半島鳥インフルエンザの調査をして

いたところ、死んだオオハクチョウが、24日に収容されていることが分かったようです。そ

オオハクチョウを、5月1日簡易検査をした結果、A型インフルエンザウイルス陽性

反応が出たという事のようです。

  そしてさらに、札幌市/北海道大学/人獣共通感染症リサーチセンターで調べた結果

が、5月5日の、【H5N1型】鳥インフルエンザウイルスの検出という発表になったようで

す」

「はい...

  今年、国内での【H5N1型】の検出は、秋田県/十和田湖畔オオハクチョウの死骸

から検出されたのに続き、2例目という事になりますね。また、北海道/サロマ湖畔でも

オオハクチョウの死骸が回収され、鳥インフルエンザウイルス陽性反応が出ました。こ

れが、3例目ですね、」

「そうです...

  北海道によると...このオオハクチョウの死骸は、5月5日午後2時過ぎサロマ湖畔

/キムアネップ岬で、巡回中の職員が見つけたという事です。この発見場所は、“渡り鳥

の中継地”で、5月3日のパトロールでは、死骸はなかったということです...」

「はい、」

「ええ...

  網走/家畜保健衛生所簡易検査を行った結果、これからも鳥インフルエンザウイル

陽性反応が出たという事です。しかし、【H5N1型】かどうかは、北海道大学で詳し

く検査しているようです」

「はい...」響子がうなづいた。「ええと...

  環境省は、野付半島のハクチョウウイルスについて、北海道大学遺伝子分析を進

め、過去に検出されたウイルスとの関連性を調べています。それから、1日〜4日道内

で採取したハクチョウやカモの糞については、国立環境研究所で分析を進めているようで

すね...

  緊急情報としては、こんな所でしょうか?」

「あ...もう1つあります...

  北海道秋田県で、【H5N1型】が検出された問題で、厚生労働省5月7日...

れらのハクチョウと接触したり、近くにいたりした人が、計27人と発表した。いずれも健康

に異常はないとしています」

「はい、」  

<韓国の状況>  

緊急情報ということでは...」夏川が、モニターをのぞいた。「韓国/ソウル市内【H

5N1型】が検出されたというニュースがありますねえ...

  ええと...韓国/ソウル市内/動物飼育場6日【H5N1型】が検出されたようで

す。今年、ソウル市内【H5N1型】感染が確認されたのは初めてということですが、

どうも感染韓国において全国的な拡大をみせているようです。日本にはあまり伝わって

来ませんが、地理的に見て、非常に重大な局面に入っています」

「はい...インフルエンザに、国境は何の意味もありませんわ」

「その通りです...

  韓国/農林水産食品省によると...ええ...ソウル市東部/広津区庁の、動物飼育

で飼われていたキジが死んだため検査したところ..【H5N1型】ウイルスだった

という事のようですね、」

「うーん...大変ですね...それで、いったい、どんな対策を取っているのでしょうか?」

「...ソウル市では...

  周辺の消毒作業を行うとともに、当該の飼育場から、約1・2キロ“こども大公園”

約10キロ“ソウル大公園”などのキジ...約300羽を処分したようですね...

  韓国では先月の4月3日に、南西部の全羅北道・金堤で感染が確認されて以来、全羅

南北道、忠清南道、慶尚南北道に拡大している様です...この1カ月間で、確認された

感染発生件数は、全土で34件という事です...日本よりは格段に多い状況です...」

「もし、新型インフルエンザに変化したら、大変な事になりますね...」

韓国パンデミック・ウイルスが発生したら、日本もただでは済まないでしょう...

  どんな協力体制が可能なのか、何を実行するのか...両国民に情報開示しておいて

欲しいですね。WHO(世界保健機関)とも協力して、全力で押さえ込まなくてはならないでしょ

う。中国東南アジアの国々の場合もそうですね。

  それから、防疫対策と同時に、航空機の国内への乗り入れの遮断などの措置も、

体的に示しておくことが必要ですね...いよいよ、新型インフルエンザは、すぐ足元にま

で近づいている様相です」

韓国プレ・パンデミック・ワクチンは、足りているのでしょうか?」

「分かりませんが...足りているとは思えませんね...

  ちなみに...【ソウル21日共同】/韓国紙・・・ソウル新聞は、4月22日付早版で、

国/南西部全羅北道【H5N1型】の感染確認現場で、家禽の殺処分に当たっていた

国軍兵士(22)が、高熱を出し、感染が疑われていると報じていますね...

  同紙が入手した、防疫当局が作成したとみられる文書によると...同韓国軍兵士は、

18、19両日に作業に投入され、部隊復帰後の20日から39・8度の熱を出し...ソウ

市内の軍病院に収容されたようです。軍医官が電話取材に対し、感染の疑いがある

認めているようです」

「はい、」

韓国では2003年冬〜20004年春に、【H5N1型】が家禽類の間で流行しました。こ

の時、家禽を処分した複数の作業員【H5N1型】感染したそうですが、発病はせず

に、2006年になって感染が確認されたことがあります」

「うーん...日本でも、そんな例があったのではないかしら...

  2004年3月の、浅田農産船井農場(京都府丹波町)からの感染拡大では、そんな続報が

あったと思いますわ...」

「そうした問題はありました...

  しかし、日本国内ではこれまでの所、【H5N1型】“ヒトでの発症事例はない”という

事です...まあ、こんな状況ですかね...」

「はい!」

 

「ええと...」響子が、両手を組んだ。「日本国内では...

  青森県が...5月5日、県内の鶏1000羽以上飼育している養鶏農家/163戸

ち入り調査を終えています。異常はなかったと発表しています。青森県では今後、100

羽以上を飼育する養鶏場緊急消毒を進めるようです...」

「ともかく...」夏川が言った。「養鶏場への感染拡大を防がなければなりません...

  家禽は、ヒトの生活の領域にまで入ってくるわけですねえ...野鳥のハクチョウが発

したのとはまるで違った状況になります。浅田農産船井農場の例からも、流通段階

に混入したら、パニックになります」

「はい...」響子が、手を合わせた。「浅田農産船井農場は...

  たまたま感染し...その後、“ご不幸な事”もありましたが、それが“よい教訓”になっ

たのではないでしょうか...“ご冥福をお祈りします”...」

「そうですね...」夏川も、頭を下げた。

「今後、パンデミック(世界的大流行)となった場合...日本でも、どのぐらいの犠牲者が出る

のか分かりませんね。あの、“2004年の教訓”を生かしたいと思いますわ...」

「さて...現在の状況ですが...

  専門家筋は...日本で越冬し、北へ帰る渡り鳥の多くは、すでに日本を離れている

言っています。したがって、ハクチョウなどの感染は、終息に向かう可能性が高いと推測

しているようです。

  しかし、同時に、今後も散発的な検出は考えられるとしています。養鶏場などの感染

拡大の防止策は、引き続き継続するべきだとしています」

「はい!」  

<個人でやるべき対策>  

「ええ...

  新型インフルエンザも、いよいよ正念場が近いということですね。私たちとしても、何度

もくり返していることですが、対策には、“国家/自治体/医療機関等がやるべき対策”

と、“個人でやるべき対策”があります。

  “個人でやるべき対策”は...“信頼できる情報へのアクセス”と、“非常時の備蓄”

す。パンデミックの状況によっては、ライフラインの停止が想定されます。食料保存食を

十分に備蓄し、医薬品なども安心できる量を備蓄しておいて欲しいと思います。“快適な

引きこもり”をするためには、日用雑貨の備蓄も必要になりますね...

  それから、ガス電気公共交通機関の停止も想定されます。そうした時に、何が必要

になるかを考えておいて欲しいと思います。停電になれば、ラジオなどが貴重な情報源

になることも、十分に想定されます。また、独立系の燃料も必要になります。こうしたもの

を、今から準備しておいて欲しいと思います...

  それから、私の方から特に指摘しておきたいのは...“複合的な災害”が発生する事

態です。そうしたものが重なった場合、被害相乗的に高まります。安心保険と同じで

すから、その費用と思って、今から十分な準備をしておいて欲しいと思います...

  ええ、ともかく...いよいよ、レッド・ゾーンが近づいています...これからは、サバイ

バルを趣味として欲しいと思います...あらゆる意味で、非常に不安定な時代になって

いますわ。ファッションも、サバイバルがいいのではないでしょうか...

  出かける時も、大震災等を想定し、サンダルハイヒールなどはできるだけ避けて欲し

いですね...しっかりとした服装しっかりとした装備を、日常に取り入れて欲しいと思い

ます...そうした所から、しっかりとした文化が根付くと思います...」

 

    <参考文献: 東京新聞/2008.5.6/北海道もH5N1型>  wpe8.jpg (3670 バイト)

                                               <その他...>

 

 

 

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