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             脱・原発へ舵を切る  index.1102.1.jpg (3137 バイト) 

  〔人間の巣のパラダイム〕    地球環境復元への道

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 トップページHot SpotMenu最新のアップロード                          担当 : 堀内 秀雄

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プロローグ   “新潟県中越沖地震”に、お見舞い申し上げます・・・ 2007.8.13
No.1 〔1〕“脱・原発”〔人間の巣〕の展開 2007.8.13
No.2 〔2〕過去、重大事故の原因は・・・/規則違反と、ヒューマン・エラー 2007.8.27
No.3      <小休止/スイカの差し入れ・・・・・響子 > 2007.8.27
No.4      <チェルノブイリ原発事故> 2007.8.27
No.5      <ヒューマン・エラー> 2007.8.27
No.6      <ミスの考察> 2007.8.27

             

  プロローグ    index.1102.1.jpg (3137 バイト)  

 

         新潟県中越沖地震”に、お見舞い申し上げます・・・

 

「お久しぶりです!白石夏美です!

  今回は、夏・恒例となりますが、《避暑地・軽井沢基地》からお送りします...ええ、

例年のように、里中響子さんもこちらに来て静養しています。でも、今年は、《危機管理

センター》のサブ回線に張り付いています。“新潟県中越沖地震”が発生したからです。

 

  ええ...今も言いましたように...2007参議院選挙の真っ最中...7月16

日/10時13分頃...“平成19年・新潟県中越沖地震”が発生しました。マグニチュー

ド6.8(M6.8)でした。ここ軽井沢は、長野県になりますが、被災地とは地理的に近い所

に位置しています。

  また、近くに活火山・浅間山があり、ひしひしと伝わってくる被災地の被害状況と合わ

せ、かなりの緊張感があります。ともかく、今回の考察を開始する前に...

 

  “新潟県中越沖地震”で、犠牲になられた方々の、ご冥福をお祈りしま

す...また、被災された地域の方々に、お見舞い申し上げます...

 

  私たちたは...全ての自然災害を克服し、“地球温暖化”にも対処す

る、頑丈な〔人間の巣〕の展開を急いでいます。今回は、それと連動する

形となる、“脱・原発”を考察して行きます。〔人間の巣/未来型都市〕は、

人類の〔極楽浄土/理想郷〕となる可能性があります。

 

  今回の、震災復興に際しても...中・長期的展望として...この地域

に、〔人間の巣〕が展開されて行くことを提唱します。徐々に全国展開して

行くと考えられる、〔脱・エネルギー/未来型都市〕は、“脱・原発”をも推

進して行くことになります。

 

  ええ...今回の被災地域は、私たちのボス(岡田)の育った、妙高山の山麓地域も含ま

れると聞いています。柏崎とはだいぶ離れていますが、ボスも心配していました...

  ええ...2004年/“中越地震”に続く、2007年/“中越沖地震”となったわけです

が、新潟県中越地域は、連続して大震災被を受けたことになります。ちなみに、1964

年/“新潟地震”(昭和39年6月16日、午後1時過ぎ/粟島南方沖を震源/M 7.5)は、ボスも経験してい

るそうです。その年は、東京オリンピックのあった年だったということでした。

  “新潟地震”の時、ボスは高田市(現在の上越市)にいたそうですが...建物がねじ切れる

ように歪み、プールが大波を立てて溢れ出したそうです。また、帰宅の際には、隣の

江津駅のホーム(現在は上越市)にまで、ヒビ割れができていたそうです...

  この“新潟地震”、初めて“液状化”で大きな被害があり、“液状化”本格的研究

始ったことで知られています...」

                index.1102.1.jpg (3137 バイト)     

「さて...今回の“中越沖地震”では...

  “東京電力・柏崎刈羽原発”が、重大事故にみまわれました...変圧器の火災や、

量の放射能漏れ...それから、6号機クレーンが破損するなど、1000件をはるかに

超える被害が確認されているようです。実態は、現在も調査中です。

  状況としては...“原発の心臓部”である、原子炉圧力容器鋼鉄の蓋を、開けるメ

ドもたっていないようです。この発電所には、7基原子炉があるわけですが、この“原

発”中心部を開けてみない限り、被害の全貌も、核心的な被害状況も分らないわけで

す。

  ええ...この原子炉圧力容器鋼鉄の蓋というのは...重さが90トンもあるそうで

す...そのぐらい、頑丈なものだということですね。その蓋を持ち上げる、クレーンが破

している所もあるわけです。もちろん、問題はクレーンの破損ではなく、原子炉圧力容

内部が、どんな状態になっているかです。そこはまだ、誰1人として、見た人はいな

いわけです。

  地震直後の検証では...地震“活断層の状況評価”や、“甘過ぎた耐震設計”

の問題も、急浮上しているようです。こうした設置基盤の再評価問題は、今後、全国の

“原発”に波及して行くものと思われます。

  ええ...日本の“原発”は今、最大の岐路に立たされています...日本列島は、

太平洋地震帯にあるわけであり、もともと高いリスクがありました。ここは、〔人間の巣〕

の展開と並行して...“脱・原発”へ、“大きく舵を切るべき時”だと思います...」

 

「私たちは、本来...

  “脱・エネルギーの時代/生態系との協調”ということで...〔人間の巣〕世界展開

し、“脱・原発”をも提唱してきています。それには“原発”が、非常に危険な発電システ

であるという、強烈なマイナス側面があるからです。今回の事故は、その意味でも、

“脱・発”緊急課題であることを、あらためて教えてくれています...

  あ、それから...これは、別の話になるかも知れませんが...万一、予測をはるかに

超える、“大・原発事故”のようなものが発生した場合でも...〔人間の巣〕は、絶大な

防護能力を発揮します。

  これは、〔人間の巣/未来型都市〕が、間違った方向ではないことを示しています。

放射能汚染バイオハザード気候変動天体衝突等天変地異に対しても...その

衝撃を十分に吸収し...私たちの“命”と、人類文明を守ります...」

          wpe74.jpg (13742 バイト) 堀内 秀雄      竹内 建造          関 三郎

「ええと...」夏美は、インターネット正面カメラを見上げた。「今回、集まっていただいた

のは...《資源・環境・未来工学》担堀内秀雄さん...原子力発電施設に詳し

竹内健三さん...そして、 シンクタンク=赤い彗星関三郎さんです。あ、

それから...里中響子さんも、後で、ここに顔を出して下さるそうです...

  ええ...堀内さん、竹内さん、関さん...どうぞ、よろしくお願いします」

  夏美は、両手を組み、ゆっくりと頭を下げた。

「はい...」堀内が、作業テーブルの上で無造作にマウスを動かした。「よろしくお願いし

ます」

「よろしくお願いします!」竹内健三が、作業ヘルメットを脇へ押しやった。「今回は、マチ

コさんは来ていないんですが?」

「あ、はい...」夏美が、頬に笑窪を作った。「残念でした...

  《老朽原子炉の解体》では、マチコも一緒でしたが、今回は2007参議院選挙

と、その後の政局の方で、忙しいようですわ...マチコは今、政治部長の青木さんと、

今後の政治の流れを分析をしています」

「ほう...」竹内が、意外そうに微笑した。「あの、マチコさんが...政治・部長のアシス

トですか?」

「本当ですわ、」夏美が、口をすぼめた。「マチコが...“ポス・ト小泉”の人物評価で、

倍さんを、“夏野菜/長ナス”と評価したことが、なかなかの評判のようです。ずい分と、

“株”を上げたようですわ。マチコは昔から、ちょっと変わった才能があるんです...

  ちなみに...麻生さん“ザクロ”で...谷垣さん“ラッキョウ”だそうです...それ

から、福田さん“そら豆”...」

「ああ...」竹内が、ほくそ笑んだ。「それは、知っています...うーむ、そうですか...

久しぶりに、一緒に仕事ができると思っていたんですがね...

  いや、マチコさんが...キュリー夫人(ノーベル賞を2回受賞)を、キュウリ(/胡瓜)と思いこんで

いたようでしてね...はは...クレソン(ミズガラシ)さん(フランスで初の女性首相)は分りますがね

え...キュウリは少々違います...クレソンはフランス語でもクレソンですが、キュウリ

は、日本語ですからねえ...

  少し、勉強させてやろうと思っていたんですが...」

「申し訳ありません...」夏美が、満面に笑みを作った。「今度は、ぜひ呼びますわ。マ

チコは、高校時代からの親友なんです」

「ほう、そうですか...その辺を、ほっつき歩いているのは、よく見かけますがね、」

「はい!」

「ええと...」関が、堀内と竹内の方に、あらためてペコリと頭を下げた。「よろしくお願い

します。まだ、新米ですので...」

「ああ、よろしく...」堀内が、関に微笑を送った。「 シンクタンク=赤い彗星

は、大いに期待していますよ」

「工学関係ということでは...」竹内が、関に言った。「技術屋の私とは、共通点があり

ますな...ま、よろしくお願いします」

「竹内さんと比べれば、まだヒヨコです」

「いや、 シンクタンク=赤い彗星の頭脳には、私も、大いに期待しています。こう

した時代は、経験則だけでは、どうにもならないものがあります。時代を切り開いていく

頭脳と、新しい感性が必要です」

「はい!」関が、もう一度頭を下げた。「がんばります!」

 

  〔1〕 “脱・原発”〔人間の巣〕の展開

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「ええと...」夏美が言った。「竹内さん...

  日本の、原子力発電所施設総点検については...“緊急点検”と、多少とも時間を

かけた“本格的点検”が必要なわけですね?」

「そうですねえ...」竹内が、ヘルメットに片手をかけた。「そういうことに、なるでしょう。

しかし、まだ、“緊急点検”も完了できない状況です...

  “柏崎刈羽・原子力発電所”には、7基“原発”があり、世界最大のものです。日本

全国には、55基“原発”がありますが、これらを一斉に停止するわけにはいきませ

ん。日本の電力の1/3が消失し、都市機能産業が停止してしまいます...」

「そうですね...」夏美が、堀内の方に顔を向けた。「それには...徐々に、ゆるやか

“脱・原発”舵を切って行くということですね...

  “脱・原発プログラム”が動き出すには...〔人間の巣〕を同時に展開して行き脱・

エネルギー/未来型都が、全国に広がっていく必要があるわけですね?」

「そういうことになります...

  まず、“脱・冷暖房”で、コンパクト〔未来型都市〕が展開して行く必要があります。

“脱・車社会”も進んでいく必要がありますね...日本は、この“原発問題”をふまえ、

代展開を、さらに加速させて行く必要があります...“人口問題”“年金問題”に加え、

全く別方向の“原発問題”でも...社会基盤の大転換が迫られています...」

「はい...」

大電力を供給し...大生産工場を動かし...大輸送力を展開して行く時代は...す

でに、わりが近いということです...日本では、経済至上主義は限界に達し、もう

が近いということです...未来型社会大転換していく時です...

  国民は、何のために、“現在のようなマラソン人生”が必要なのか...何故、子供

も、心に余裕の持てない、マラソンのような耐久レース”を強制されなければならない

のか...この社会システムは、ただ産業界莫大な利益を与えているだけです。そし

て、新たな支配階級を作り出しているだけです...

  “資本の蓄積”という、資本主義のシステムが...(あだ)になっています...世界中

的な国民は、ようやくそのバカらしさに気づき、スローフード・スローライフに、軸足

を移し始めています...」

「はい...」

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「ちょうど...」関が、顎を指で挟んだ。「現代は...

  中世ヨーロッパの、ルネッサンス前夜に似ていますね...現在、人類文明全体が、

済至上主義/資本のロジック(論理)からの...“大解放”を、求め始めているのではない

でしょうか...

  特に先進国の、先進的な民衆の間では、“富の寡占”による矛盾というものが、非常

に鮮明になっています。民衆は、“圧倒的な経済原理/経済の奴隷”からの、“大解放”

を求め始めています。しかし、その先にあるものが、見えない状況です。それが、ルネッ

サンス前夜なのです...」

「うーん...」夏美も、顎に手を当てた。「ルネッサンス前夜ですか...

  神による圧倒的支配と...資本による圧倒的支は...よく似ているでしょうか?」

「非常に似ています...」関が、うなづいた。「しかし、それ以上に似ているのは...

  権威の本質で、モラルハザードを起こしていることです...当時は、教会が発行した

“免罪符”に象徴されるのかも知れませんが...現在は、莫大な投機的資本でしょうか

ね...そこに、構造的なインチキがあるということです...」

インチキですか...投機的な資本が...確かに、社会のために役立っているとは言え

ませんけど...」

「いいですか...」関が、両手を開き、パンとその手を合わせた。「ともかく...

  民衆ソッポを向けば、パラダイムが崩壊します...それは、ルネッサンスでも示さ

れました。私たちが、〔人間の巣〕自給自足を始めれば、資本のロジック(論理)というも

のは、解体して行きます...

  そこに、どんなに資本の蓄積があろうとも...欲望を捨て、存在の覚醒〕価値観

へシフトした民衆にとっては、“富の寡占”は、何の支配力も生み出しません...清貧

暮らしている人々には、“財宝の山”は何の魅力もありません...

  これは、昔から言われて来ていることです。それが、現在は世界規模で、社会大衆

巻き込んで、動き始めているということです...それだけ、巨大な富の寡占が起こり、

類文明を歪んだものにしているということです。このままでは、地球が崩壊してしまいま

す...」

「それで...“資本による束縛”は、完全に消えてしまうのでしょうか?」

「そうです...

  大多数の民衆がそれを望めは、必ずそうなるでしょう...覚醒した人々にとっては、

富による支配は、幻影に過ぎません...それは、神の支配から解放された、ルネッサン

スの人々と同様でしょう...」

「うーん...そうですね...」

「これは、高杉・塾長が言っていたことですが...」関は、自分のモニターをのぞきこん

だ。「...この世に生まれ落ち...1人の人間として覚醒し...存在の覚醒〕価値

の中で生き...そして、スローフード・スローライフの中で...人間の生涯をまっとう

する...

  こうした生活では、資本に支配される必要など、全くないわけです...本来、人間の

一生とは、そういうものでしょう...欲望のレースをするために、生まれてきたのではあ

りません...」

「はい...

  つまり、〔人間の巣〕で、自給自足の生活が可能なら...による支配/“富の寡

占”から、離脱できるということですね...全く関係ないですよね...」

「そうです...」関が、うなづいた。「資本のロジックから、解放されると言うことです...

  “欲望の原理”からの覚醒です...資本主義・経済支配体制から離れてみれば、そ

れが幻影だったと、はっきりと分かるでしょう...

  その上、何度も言いますが...〔人間の巣〕は、環境圧力に対しても、淘汰圧力に対

しても、万能の防護能力を発揮します。人類文明の、〔未来型の器〕にふさわしいもので

す。しかも、この〔未来型の器〕は、高杉・塾長によると、想像を絶するほど進化して行く

のだそうです」

「塾長は、そう言っていますね...どのように進化していくのかは、分からないということ

ですが...」

「いよいよ“文明史的/大艱難(だいかんなん)の時代”がやって来るわけです...

  資本財宝が私たちを守ってくれるわけではありません。気候変動で、食料危機

が訪れた時、私たちを守ってくれるのは、〔人間の巣〕です。1刻も早く、日本列島に、

〔人間の巣〕を展開しておくべきですね...とりあえず、その検証には入るべきです」

「はい!」夏美が、うなづいた。

 

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“脱・原発”は...」堀内が言った。「そういう“新しい社会形態”に、日本全体ステー

ジ・アップして行く過程にあるものです...

  ともかく、〔人間の巣〕の展開が、私たちの未来社会を支えて行きます。社会的コスト

のかからない〔千年都市〕は、全ての問題解決の入り口です...私たちは、果敢に、

来社会建設の方向に歩みだすべきです」

「はい!」夏美が、髪を揺らした。

「すでに...」竹内が、コブシを握った。「日本の産業構造は、堀内さんの言う方向へ動

き出しています...

  日本の産業構造は、重工業型から、ハイテク型へ...そしてさらに、ナノ・テク型へと

シフトしつつあります。私は、“原発”などの大型システムの技術者ですが、今後は、

電力小材料の、“ナノ・テクノロジーの推進”が、日本の国家戦略になって行くようです」

  堀内が、顎に手を当てた。

「それ自体は...」堀内が言った。「慧眼(けいがん/鋭い洞察力)でしょう...

  しかし、将来的には、世界市場の中での“ナノ・テクノロジーの推進”というのは、“反・

グローバル化/文明の折り返し”とは一致しません」

「しかし、」竹内が言った。「過渡期とは、そういうものでしょう。ナノ技術を推進し、“地球

温暖化対策”にも、貢献するということが大事です」

「確かに、」堀内が、うなづいた。「だから...慧眼と言ったのです...しかし、全体の流

れは、“反・グローバル化/文明の折り返し”でないといけません」

「やがて、」竹内が、天井を見上げた。「そうなって行くでしょう...」

  堀内が、うなづいた。

「竹内さんは、」夏美が言った。「ナノ技術の方はどうなんですか?」

「いや...

  私は、大型のシステム技術から抜け出すことはできません...ナノ技術というのは、

全く別物です。私のような技術者は、今後は、〔人間の巣〕システム技術の方へ流れ

て行くのだと思います」

 

「そうですねえ...」関が、両手を組み合わせた。「〔人間の巣〕は、単なるハコモノでも

いいわけですが...実際には、相当な〔未来型/都市システム〕が、組み込まれて行

くことになると思います。もちろん、それは、大エネルギーを使うハコモノではありません。

人間工学による、ハイテク技術ハコモノです...

  まず...〔人間の巣〕水の総合管理...そして、クリーン・エネルギーの創出...

それから、防災・管理でも、相当な技術開発が必要になります...例えば、耐震技術

や、免震技術ですね...それから、医療・福祉の展開...そして、自給自足農業も、軌

道に乗せなければなりません...

  気候変動などに備え、食料等の備蓄や、気候に左右されない農業手段も、準備して

おくことが必要でしょう...〔人間の巣〕の展開で、主体的にやらなければならないこと

は山ほどあります...

  その一方で、国家の仕事は...リスクの総合管理や調整データの集積と解析、そ

れから、情報や技術の提供などになると思います...」

国家ではなく...」夏美が言った。「〔人間の巣〕主体的にやり、責任も負うというこ

とですね...その方が、多様性が高まり、強いアイデンティティーを持つと思います...

  ヒーローアイドルも、現在はマスコミからの押し付け的になっています。〔人間の巣〕

では、“慣習法”をしっかりと確立し、自分たちで、豊かな社会を演出して行くことになりま

すね...」

「そうですね、」関が、うなづいた。「社会科学の方でも、仕事は山ほどあります...」

耐震技術は...」竹内が、関の方に体を向けた。「“原発”でもやってます。活断層

見直しも必要ですが...地すべりも問題ですねえ...そして、水管理ですか...」

“原発”とは、だいぶ異なりますが、応用はできます...

  〔千年都市〕を建設するわけですから、“文明の英知を結晶化”する建造物になりま

す。機能面だけでなく、美的構成芸術性なども、大いに検討して欲しいと思います。

  したがって、まず、“初期開発型”を実際に建造し、稼働させてみることです...実際

に動かしてみることで、様々な面が見えてくるはずです」

「なるほど...」竹内が言った。「その通りでしょう...机上の空論ではなく、検証を進め

るべきです」

 

「さて...」堀内が言った。「仮に...

  〔人間の巣〕が、速に展開して行くのであれば...“脱・原発”もまた、急速に進め

ることができます...その際、火力発電優先的に停止するか、“原発”優先的に停

するかは、状況によります。どちらが、よりリスクが高いかということになります。いず

れにしても、〔人間の巣〕が展開して行く状況であれば、後は時間の問題です...」

「はい...」夏美が、堀内にうなづいた。「カギは...〔人間の巣〕展開次第ということ

ですね、」

「そうです...

  それ以後のことは、〔人間の巣〕によく適合した、クリーン・エネルギーが開発されて

行くでしょう...バイオマス・エネルギーなども、循環型エネルギーとして、可能な限り有

効活用されて行くはずです。後は、〔人間の巣〕主体的に動き、生活の中で、時代と

共に展開していけばいいわけです」

「はい...私たちは、その〔未来型都市〕基盤整備をし...“脱・原発プログラム”

軌道に乗せ、子孫に残していくということですね...どのぐらいの時間がかかるでしょう

か、」

「うーむ...

  本格的に動き出せば、日本においては〔人間の巣〕の展開は、それほど時間はかか

らないと思います。問題は、急速に経済が拡大し、かつ人口が密集している、中国

ンドなどでしょう...特に、これらの国々では、開発の早い段階から、〔人間の巣〕にシ

フトして行くことが求められます...発展当初から、その方向に進むべきです」

「はい...」夏美が、体を揺らした。「それ以外の、援助が必要な地域は、国際社会が援

して行くということですね。

  アフリカの紛争地域なども、〔人間の巣〕で、自給自足生活を取り戻せば、本来持って

いる豊かさや、独自文化も回復しますよね、」

  堀内が、しっかりとうなづいた。

「そのためにも、強力“地球政府/世界政府”の創設が望まれます」

「はい!」

 

  〔2〕 過去、重大事故の原因は・・・  index.1102.1.jpg (3137 バイト)   

      規則違反と、ヒューマン・エラー (人間的ミス)

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    <小休止/スイカの差し入れ・・・・・響子 > 

 

「響子さんから、スイカの差し入れです...」夏美が言った。「コッコちゃんも、ご苦労様

です。響子さん、柏崎の方はどうかしら?」

被災地の方は、相変わらずですわ...」響子が言って、椅子に掛けた。ギンガムのワ

ンピースのしわを伸ばし、みんなに微笑を向けた。

“原発”はどんな様子ですか?」関が聞いた。

“原発”の方は...」響子が、肩を回し、壁面スクリーンの柏崎刈羽・原子力発電所

風景を眺めた。《危機管理センター》から中継しているリアルタイムの光景だ。「8月21

から...1号機・原子炉の点検を開始しているようです。7号機は、10月から始めるよ

うですわ...」

1号機は...」竹内が、スイカに塩を振りかけながら言った。「定期検査中でしたから、

問題はないでしょう...他の5基は、どうですか?」

「後は、来年になるようですわ...」

「当分は、発電はできないわけですね?」夏美が、発電所の遠景を眺めながら聞いた。

「そうなるでしょう...」響子が、考え深げに、口に手を当てた。「“地球温暖化対策”で、

世界中が“原発・推進”を考慮し始めた矢先の、“重大事故”です。“原発・推進”への、

重大な警告なのかも知れませんわ...」

「響子さんも、そう思いますか、」堀内が言った。

「はい...」響子が、うなづいた。「やはり...皆さんの言うように、〔人間の巣〕を展開

し、“脱・原発”へ舵を切るのが、正しい選択だと思いますわ。“人類文明の第3ステージ

意識・情報革命”へ、パラダイム・シフトして行く時だと思います」

人類文明の...」関が言った。「存続のための試練ですね、」

「はい...」響子が、耳に手をやった。

活断層・調査の方はどうなってますか?」竹内が聞いた。

海域での音波探査...それから、半径30キロ以内での陸域調査も...9月に入って

から開始のようですね...」

ボーリング調査はするんですか?」関が、スイカをほおばりながら聞いた。

「はい...」響子が、うなづいた。「とりあえず、敷地内のボーリング調査も、計画されて

いるようです」

「猛暑の夏でした...」堀内が言った。「その、電力需要のピーク時に、最大原子力発

電所機能停止しました。これも、まさに想定外でしょう...」

「そうですね...でも、何とか乗り切りましたわ」

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「ええと...」夏美が、スイカの皿を片づけ、自分の席に着いた。「それでは、始めましょ

うか...響子さん、よろしくお願いします」

「はい、」響子が、コクリとうなづいた。

「ええ...このセクションは、重大事故についてですが...竹内さん、お願いします」

「はい...うーむ...」竹内が、顎に掌を当てた。「日本列島のような...国土全体が

“環太平洋火山帯/環太平洋地震帯”の島国では、“原発”は元々“相当なリスク”をとも

なっています」

「はい、」夏美が、うなづいた。

ドイツのような...地理的条件・国民性の国家でも...“原発”管理に限界を感じ、

“脱・原発”に舵を切ったわけです...現在、“地球温暖化”の深刻な影響で、微妙に揺

れているようですが...仮に、〔人間の巣〕が展開されて行くのであれば...“脱・

発”は、可能なはずです...“脱・火力発電”も、合わせて可能です...」

イギリスも、事情は同じですねえ...」堀内が言った。「イギリスも、“脱・発”の方向

へ舵を切ったわけです...

  しかし、虎の子の北海油田が枯渇しつつある上に、“地球温暖化”の深刻な影響で、

“原発”が再評価されているようです。それには、エネルギー供給国として発言権を強め

つつある、ロシアへの警戒もあるようです...

  しかし、全ての問題解決の方程式】=〔人間の巣〕へ、パラダイム・シフトして行け

ば、容易に“脱・原発”は可能です。少しづつ〔人間の巣〕を展開し、ゆるやかに人類文

明全体シフトして行くことができます」

「はい...」夏美が言った。「現在、まさに、非常に微妙な所にありますね...」

「そうですねえ...」堀内が、口に指を当てた。「“チェルノブイリ原発事故”(1986年/事故

の国際評価尺度・レベル7)は、旧・ソ連が引き起こした最大の原発事故です...しかしロシア

は、エネルギー政策で、それらの被災国へも発言権を強めようとしています...」

「はい...

  竹内さん...最大の原発事故/“チェルノブイリ原発事故とは、そもそもどういうも

のだったのでしょうか?」

 

<チェルノブイリ原発事故> 

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「そうですな...」竹内が、自分のモニターをのぞき込んだ。「ヨーロッパ各国は、1986

“チェルノブイリ原発事故”以来、“脱・原発”に大きく動き始めています...ヨーロ

ッパ各国の、“脱・原発”の流れは、この最大の原発事故が源流になっています。

  ともかく、大きな原発事故でした...被害地域も、放射能被曝による被害者も、桁違

いに大きな事故です...」

「はい...」

「また...ヨーロッパ各国への影響は、極東の島国である日本とは、比較にならないほ

ど深刻ですねえ...莫大な被害も受けています。したがって、“原発を回避”したいとい

う真剣な思いも、被曝国・日本をはるかに上回っているでしょう...それゆえに、“脱・原

発”へ舵を切ったのです...」

「竹内さん...」夏美が言った。「“チェルノブイリ原発事故被害というのは、どの程

度まで拡大したのでしょうか?当時、ニュースなどで色々と聞きましたが、詳しい事はも

う忘れてしまいました」

「そうですねえ...

  まず、最大の原発・事故です...“事故の国際評価尺度/レベル7”です。あのアメリ

カ/ペンシルベニア州“スリーマイル島原発事故1979年)でも、“レベル 5”ですから

ねえ...アメリカは、あの事故以来、“新規・原発建設”約30年間封印されたまま、

現在に至っています...、

  現在、“稼働・原発”老朽化で、建て替え時期が来ています...それに、“地球温暖

化”予想外の深刻さで、その封印が解かれようとしています」

「はい...でも、30年間も、凍結していたわけですね?」

「そうです...」竹内が、うなづいた。「もちろん、アメリカでも...

  原子力空母原潜などに搭載する、軍事部門原子炉は造り続けてきました...そ

れに、“原発”技術研究開発となると、やはり、最も進んでいるのはアメリカす。30

年間新規建設を凍結していると言っても、稼働・原発”最多です。アメリカフラン

日本の順に、“原発・大国”となっています...」

「はい...大量の核爆弾を持っていることが、関係しているわけですね」

「そうです...そこが、日本とは事情が違う所です...

  ところが、“スリーマイル島原発事故“ヒューマン・エラー”亡霊が、今もまだ

メリカ“原発・建設”をためらわせているのです...ここは、そのまま、〔人間の巣〕

転換して行って欲しいですね...」

アメリカでは、ほとんどの“原発”寿命が迫っているようですね...その建て替え時期

が、迫っているわけですね、」

「そうです...

  まあ...アメリカ電力事情というのは、日本などとは違う事情があります...

のように、資源のない国というわけではないのです...しかし、全て“火力発電”とい

うわけにもいかないでしょう...“京都議定書(気候変動枠組条約)に参加はしていなくてもで

す...」

                                 関連ページはこちらへ...《老朽原子炉の解体》

 

「あの、それで...“チェルノブイリ原発事故”被害の方は、どうなんでしょうか?」

「ああ、そうそう...」竹内が笑った。「その話をしましょう...

  “チェルノブイリ原発事故”での放射能汚染被害広島・原爆の約600倍と言われ

ています...放射能は、風に乗り、北半球全体に広がりました。その被害は、日本にま

で及んでいます。

  当時、日本でも...野菜母乳などから、チェルノブイリの放射能が検出されてい

ます...また、セシウム137の大気中濃度も、通常の4500倍急上昇したというデー

タもあります」

「はい...日本にまで及んでいたのですか、」

「そうですねえ...

  チェルノブイリは、旧・ソ連邦で、現在のウクライナ共和国にあります。首都キエフの北

の方の地名ですその付近のウクライナベラルーシロシアの三国だけでも、900万人

以上被災しています。

  その内、約40万人強制移住の措置がとられています。強烈な放射能で、そこに住

むことができなくなったわけです。また、事故処理に当たった特攻・作業員は、およそ80

万人にものぼると聞いています...この人たちも、今でも重い放射線障害に苦しんでい

るようです...」

80万人もですか...」夏美が、両手を頭に当てた。「それほど多くの人が、事故現場

に入ったのでしょうか?」

“暴走・原子炉”を食い止めるために...特攻・作業員が大量に募集されたようです。

彼等は、強烈な放射能の中に飛び込んで行ったのです...交替で、強烈な放射能の中

に飛び込み、人海戦術で、“暴走・原子炉を食い止めたのです...

  秒単位・分単位の、ごく短時間しか作業できないために、80万人もの屈強な男たち

が、強烈な放射能の中に飛び込んで行ったのです...まさに、“特攻”です...」

「そう言えば...当時、そんなニュースがありましたわ...学生の頃だったと思います

が...」

「もっとも、彼等は、それほど強烈な放射能とは、知らされていなかったようです...だま

されていたようです...しかし、何とか“暴走・原子炉”を食い止めようとしていたのも、

疑いようのない事実です...

  また、ソ連当局としては、どんな犠牲を払ってでも、“原子炉の暴走”を食い止めなけ

ればならなかったのです...原子炉というのは、ゆっくりと爆発させているだけで、巨大

な原子爆弾と同じです。“暴走”を食い止めなければ、それこそ、計り知れない程の被害

になってしました。広島・原爆の約600倍で治まったのは、まさに彼等の功績によるもの

です...」

「その人たちは、どうなったのでしょうか?」

「今も、重い放射線障害に苦しんでいるようですねえ...すでに亡くなった人も、相当に

いるでしょう...

  ともかく、私も“原発”の関係者として...“勇気ある特攻・作業員”に対し、ご冥福

と、お見舞いを申し上げます...また、彼等の功績を称賛したいと思います...それ

から、一般の被災者にも、お見舞いを申し上げます...」

「はい...」夏美も、目を閉じ、両手を握った。

日本放射線被曝医療チームなども...」竹内が続けた。「被曝者の、治療支援

当たっているようです...一般人の被害も、世代を越えて被害が継承されている様子

です。日本は、広島長崎の経験があります。この分野では、世界的権威なのでしょう」

「はい...今も、大勢の人が苦しんでいるのですね、」

「いずれは...何万人という死者が出ると予想されています。事故からすでに20年

たつわけですが...広島長崎のように、“治療との長い戦い”になっているようです」

「はい...竹内さん、ヨーロッパの方の被害は、どうなのでしょうか?」

「まあ、ヨーロッパに関して言えば...

  事故直後...当時のソ連政府は、事故発生を隠蔽(いんぺい)しようとしたようです。西側

の資本主義体制と、東側の共産主義体制が、核武装全面対立していた時代ですか

ら...

  しかし、西側スウェーデンで、すぐに多量の放射能が検出されました。それで、ソ連

での“原発・事故”が、全世界に明らかになったわけです...」

「はい、」

「ええ...

  詳しいデータは、インターネットでも多数公表されていますから、そちらの方を見て欲し

いと思います...ともかく、事故直後スウェーデンの状況を見ても、この“原発・事故”

が、国境を越えて、如何に大被害を及ぼしたかが分かります...」

「はい...日本のような島国とは、だいぶ様相が異なりますね、」

「いや...

  もし日本で起こっていたとしたら...島国とはいえ、人口が密集していますから、もっ

と大きな被害になっていたかも知れません」

「はい...」

 

  竹内が、モニターをのぞき、また顔を上げた。

「ええ...

  “チェルノブイリ原発事故”は、西冷戦構造/米ソ核開発競争末期...1986

に発生しています。今年が2007年ですから、もう20年もたつわけですねえ...時

代も、この間に大きく動きました...

  そもそも...この“原子炉・暴走事故”が...ソ連経済を破壊し...ソビエト連邦崩

の、きっかけになったと言われています...東西冷戦構造の象徴である、ベルリンの

が壊され始めたのは...1989年11月9日からですから...ええ...この“原発事

故”から、3年半ほど後のことになりますか...」

「はい...それほどの、大事故だったわけですね...“原子炉・暴走”で、“レベル7”

事故ですか...」

には現在、55基“原発/原子炉”があります...

  もし、その1つでも大事故を起こせば、これほどの深刻な被害を、世界中に与えてしま

うということです...日本だけで済まされる問題ではありません」

「はい、」

日本に、モラルハザード社会を引き起こした...いわゆる“官僚体質的な不始末”で、

許される範囲のものではないということです。世界中に、多大な迷惑をかけてしまうとい

うことです...そのことを、十分に自覚して欲しいですねえ...」

「そうですね...」夏美が、響子の方を見た。

  響子が、黙ってうなづいた。

「くり返しになりますが...」竹内が、傍らのヘルメットに手を掛けた。「私たちは今、“原

発”に代わり得る、有力な手段を持っています...別の、代替えエネルギーを探すので

はありません。人類文明そのものを、生態系と協調したものにシフトして行くということで

す。

  つまり...〔脱・エネルギー時代〕に、ステージ・アップして行くということです。〔人間

の巣〕を展開し、文明風景〔未来型都市〕に変えて行くということです。そうすれば、

“脱・原発”は容易に実現できます...

  さしたる費用をかけることなく...森林を伐採することもなく...〔千年都市〕を建造

して行くわけです...」

「はい!」

“原発”は、当面のエネルギー供給は保証しますが、将来展望というものがありませ

ん...せいぜい、次世代“核融合エネルギー”へ引き継いでいくことです。しかし、こ

れだけでは、機械文明による自然破壊は止まりません...

  究極的には...やはり、〔人間の巣〕シフトして行くべきでしょう...生態系と協調

する謙虚な文明に、切り替えて行くことが肝要です...」

「はい!」

      <ヒューマン・エラー> index.1102.1.jpg (3137 バイト)

              wpe74.jpg (13742 バイト)

「ええ、竹内さん...」夏美が言った。「あらためて、お伺いますが...

  “原発”というのは、何故、それほど危険なのでしょうか?いえ...管理しきれないも

のなのでしょうか?核エネルギーや、放射能が危険なのは十分に分ります。でも、何故

こんなに事故が多発するのでしょうか?」

「うーむ...」竹内が、顔を上げると、響子と目が合った。「確かに...本の現状とい

うのは、非常危険なものを感じます...そうした予感のようなものを、私は常に感じて

来ました...」

  響子が、口をすぼめて、うなづいた。

核分裂エネルギー/放射能管理というものには...」竹内が、ゆっくりと言った。「そも

そも...人間的な限界があるのかも知れません...“原発”というものは、あまりにも

険な代物です...

  巨大システム管理というものの人間的限界が...“巨大エネルギー/核分裂コントロ

ル”と...最も扱いにくい放射能コントロール”という...2つの性質の異なる巨大危

険物を取り扱うということで、マイナスの相乗効果となっています...

  非常に複雑で、危ういシステムだということでしょう...これが、“核分裂”ではなく、

世代と言われる“核融合エネルギー”なら、放射能は関係がないわけで、これほど危険

な代物にはなりません...

  いずれにしても、このような巨大エネルギーは、相対性理論以降...量子力学

学技術が引き出してきたものです。自然界で観測される、4つの力/...“電磁力”

“重力”“弱い相互作用の力”“強い相互作用の力”の内の...“弱い相互作用の力”

なのです。

  科学技術によって原子爆弾が作られた時...“弱い相互作用の力”が、人類文明

よって初めて引き出され、利用されました...このエネルギーは、人類文明にとって、最

初から非常に不幸な船出となりました...

  “原発”原子炉も、構造的には原子爆弾と同じです。ただ、様々な制御手段を組み

合わせ、非常にゆっくりと爆発させているのです。したがって、“暴走”させてしまうと、非

常に恐ろしいわけです。しかも、大量の放射能が出るわけで、これは地球の全生態系

も脅(おびや)かします...

  この“核分裂エネルギー”も...いわゆる太陽“核融合エネルギー”も...“弱い相

互作用の力”です。そして、もう一方の、“強い相互作用の力”の方は核力です。これは、

クォークなどで知られていますが、量子色(いろ)力学/(QCD)の力です...この方は、さ

らに桁外れのエネルギーですが、まだ人類文明では利用されていません」

「はい...」夏美が、肩を傾げた。

 

「ええ...つまり...

  “原発/原子力発電所”とは...“弱い相互作用の力/核分裂エネルギー”を引き出

し、熱交換して発電しているプラント(大工場施設)だということですね...巨大エネルギー

放射能という、2つの巨大危険物を扱っているプラントなのです...

  そして、そこに、さらに人間的限界/人間的マイナス要素/...“ヒューマン・エラ

ー”が重なって来るわけです...言うなれば、“トリプルの危険”...トリプルのマイナス

相乗効果の塊が、“原発”だということです...

  “原発”システムがいかに完璧であっても...“ヒューマン・エラー”というものは、回

避しがたいのです...これが、アメリカにとっての亡霊...“新規・原発建設”を、30年

間も足踏みさせてきた恐怖です...核爆弾を大量に抱え込んでいるアメリカですが、そ

威力危険性は、十分に認識しているということでしょう」

  響子が、コクリとうなづき、細い指を耳に当てた。

「これが...」竹内が言った。「日本では、非常に軽く考えられています...“軽い”とい

うことは、必ずしも悪いことばかりではありません...まあ、マチコさんのような人もいる

わけですからねえ...」

「はい...」夏美が微笑し、うなづいた。

「しかし、コトが“原発”となると...重大なマイナス要因になります...

  “甘い基準”“甘い管理”“楽天義”“相次ぐデータの捏造(ねつぞう)“官僚体質

的な運営”...そして、“重大事故の続発”...等々になります。こうしたことから、日本

では、“全・原発プラント”再検討が必至となっています」

「はい...」響子が、小さくうなづいた。「ともかく...問題が多過ぎますわ...」

“原発”に限ったことではないですがね、」堀内が言った。

「はい、」響子が、斜めを向いてうなづいた。

  竹内が、壁面スクリーンの原子力発電所の風景を眺めた。

ドイツイギリススウェーデンベルギーなどが...」竹内が、響子に言った。「“脱・原

発”へ舵を切りました...先ほども言ったように、それほど、“チェルノブイリ原発事故

衝撃が大きかったのでしょう...

  問題は...“原発プラント”というよりも...“人間的ミス/ヒューマン・エラー”の方

です...これまでの“原発”での重大事故というのは、人間側“規則違反”や、“ヒュ

ーマン・エラー”で起っています...

  そもそも...チェルノブイリ原発事故”は、関係者の重大“規則違反”で起ってい

るのです...“規則違反”を犯し、新しい実験をしようとしていたのです...だから、な

おのこと...“回避しがたい大問題”なのです...」

                        .....詳しくは、こちらへ 《人間的ミスによる重大事故》

 

“ヒューマン・エラー”というのは...」夏美が言った。「根本的に、ゼロにはできないと

言われていますね...

  医療事故などでも多発しています。それをなくすための努力や、システム開発も盛ん

に行われています。それでも、人間的なミスは、起こるものなのですね...」

「そうですね...」響子が、うなづいた。「8月23日の...“那覇空港/中華航空機炎上

事故/ボーイング737”でも、ボルトにワッシャーをはめ忘れた、“ヒューマン・エラー”

のようですわ。中華航空では、特に事故が多発しているようですから、その点は指摘して

おきたいと思います...

  でも、それにしても...ワッシャー1個の付け忘れで、あれほどの急激な爆発炎上事

が起こるというのは、設計上でも問題があるのかも知れません...今後、その方面の

対策も進んで行くのでしょうが...想定外の所で、大事故は起こるものですわ...」

「そうですね、」夏美が、うなづいた。

「うーん...それにしても...」響子が、唇に指を当てた。「今回の、“柏崎刈羽・原発”

重大事故は...想定外のことが、あまりにも多過ぎます...これは“ヒューマン・エ

ラー”以前の、プラント開発の段階の、想定外です...

  建設優先の基準で...日本“原発”そのものが、“非常に危うい設計基盤”を基に

建造されているようですね...今後、専門家による本格的な再評価が行われるのでしょ

うが、安全・安心のためには、一般市民にも分かりやすい形で、全て公開されているべ

きですわ...」

「その通りです...」竹内が、大きくうなづいた。

 

           <ミスの考察>  

              index.1102.1.jpg (3137 バイト)wpe18.jpg (12931 バイト)

チェルノブイリ原発事故”は...」夏美が、言った。「“規則違反”で起ったと言いま

すが、これも“ヒューマン・エラー”になるのでしょうか?」

「そうです...」関が、体を乗り出し、大きくうなづいた。「“規則違反”も、ヒューマン・

エラー”になります...

  そもそも...そうした“ミス”を犯すから...人間とも言えるわけです。“ミス”を犯すこ

とが、ある意味で“人間の条件”とも言えるのです」

“ミス”を犯すことが、“人間の条件”なのですか?」

「そうです...」関が、うなづいた。「機械は、故障はしますが...“判断ミス”は犯しませ

ん。コンピューター機械ですから、そういうことになります...しかし、人間は、やたらと

“判断ミス”を犯します...僕はこの方面の専門ではないのですが...“ヒューマン・エ

ラー”について、僕が考えたことを話しましょう...」

「はい...」

“人間原理空間”の中では、“ミス”をすることが、潤滑油のように作用していると考え

られます。それが、情緒豊かなストーリイを紡ぎ出し、問題の最良の解決策を与えている

ようなのです...“忘れる”ということも、そうですねえ...人間は、そうした“ミス”も犯し

ます...だから、いいのです...」

“ミス”が、公認されているということでしょうか?」夏美が聞いた。

「ある意味では、そうです...

  そこで、ストーリイが枝分かれして行きます...そのことが、全体としてマイナスに作

用していないということです。あくまでも全体としてですが...ストーリイを豊かに流れさ

せていく、潤滑油のような役目を果たしているようです...」

「それは...どういうことでしょうか?」

「これは、あくまでも...“この世/永遠の現在の認識風景”の中の話です...」

「はい...」

「この...眼前する、永遠の現在/リアリティーの中では...“間違い”というものが、そ

もそも“存在しない”からです...なぜなら、この世界というものは、“過不足のないリア

リティー”になっているからです。“切れ目のない連続体”だからです...リアリティー

は、一体のものだからです...」

「うーん...塾長のようなことを言いますね...」夏美は、響子の方を見た。

  響子は、口元に微笑を浮かべ、静かにうなづいた。

因果律が...」関が続けた。「リアリティーの中に溶け込んでいて...断片的な意味

“間違い”と思われるものも...それ自体が、何かの原因として連続しているからです。

  例えば、ギャンブルで負けたとしても、その時間的なズレで、交通事故を免れたり、誰

かに巡り合えたりもするわけです...つまり、全てが連続していて、切れ目がないのす」

「それは...分ります...」夏美は、また響子の方を見た。

「私たちのこの世界は、“余分なもの”というのは、存在しないのです...

  つまり、どんなにつまらい出来事でも...どんなに価値のないと思われている人間

でも...不可欠なジグソーパズルの一片だということです。それが、存在することそのも

のに、絶対的な価値があるのです」

「はい...ジグソーパズルは、そうですね...」

「高杉・塾長は...」関は、響子の方を見た。「この世/リアリティーは、“真実の結晶世

界”だと言いますね...つまり、存在していることそのものに、無上の価値があるわけで

す」

「それは、一応、分ります...」夏美が、関に言った。「でも...そのことと、“ヒューマ

ン・エラー”とは、どのように関係しているのでしょうか?」

「つまり...」関が、自分のうかつさに気づき、笑って頭に手をやった。「“原発”や、コン

ピューターと...生物体である人間とでは...内部時間のあり方が違うということでしょ

うか...

  簡単に言ってしまえば...機械では、故障してしまえば、そこで内的な因果律が切れ

ます。直線的な時間は止まってしまいます...機械には、自己修復能力もなく、新陳代

謝能力もなく...この認識世界とのリンクもなく...つまり、生物体ではない無機物の

だからです...

  デカルトの言う所の、“物の領域”のみから、生み出された機械システムだからです。

そういう機械システムでは、“心の領域”が、欠落しています...人類文明が生み出した

機械システムは、“重要な何か”が欠落しているように見えます...もともと、出発点

ら、物理的時空間のみで構成されていて、完璧ではないのでしょう...」

「はい...」夏美が、怪訝そうにうなづき、響子の方を見た。

「ところが...」関が、言った。「人間“ミス”を犯しても...内部時間はそこでは止まり

ません...認識世界と連動した存在だからです...“永遠の現在の風景”の中へ流れ

込み、因果律円のようにフィードバックしているかのようです...

  まあ、このあたりは、実際にはよく分りませんが...生物的時空間には、何か拡張性

があるようです...上位システムへのリンクがあり、生態系へのリンクもあるようで

す...」

「はい...」

「したがって...

  “ヒューマン・エラー”は...“原子力発電”にとっては重大事ですが、人間にとっては

単なる“通過点”にすぎません。人間にとっては、重大事故には続きがあり、そのことが

〔人間の巣〕の展開へと、ストーリイが連続しているのかも知れません...」

「でも、関さん...“ヒューマン・エラー”によっても...犠牲者が出ますわ、」

「そうです...しかし、人間にとっては、ストーリイは続いて行きます。“永遠の現在”は、

切れ目がありません...

  “故障”ではなく、“死亡”した時は...“主体性の窓”が閉じ、高杉・塾長の言う所の

“36億年の彼”に吸収され、還元されるのかも知れません...『チベットの死者の書』

に記されているように...“輪廻(りんね)を経て、そこに到達するのかも知れません。そ

の違いです...」

「ふーん...よく分らないわねえ...」

「まあ...」関が言った。「僕も、哲学的なことは、専門ではありません...

  “ヒューマン・エラー”ということで、僕が考察したのはここまでです。その先は、まだ

考えていません...しかし、考察して行けば、非常に面白い展開になるのかも知れませ

んね、」

「うーん...難しい話ですよね、」夏美が、響子に言った。

「そうですね...」響子が言った。「未完成ということですが、面白い話ですわ...関さ

んは、高杉・塾長に似ていらっしゃいますわ」

「ありがとうございます!」関が、頭を撫でた。「響子さんに、そう言っていただけると、嬉

しいです、」

「なるほど...」竹内が、感心した。「そういう風に、考察して行くわけですか...さすが

に、 シンクタンク=赤い彗星の考えることは、私などとは違いますねえ...」

「考察することに、基準はありません...」関が言った。「もともと、何所かが、間違って

いるのかも知れません...しかし、考えることは、人間という生物体の最大の特徴です

から...」

「そうですね...」響子が、優しくほほえんだ。

「そこから...」夏美が言った。「仮説が、生まれてくるのですね?」

「そういう場合もあります...」

   index.1102.1.jpg (3137 バイト) wpe18.jpg (12931 バイト)  wpe74.jpg (13742 バイト)         

「ええ...」夏美が、言った。「話を戻します...

  広島長崎の、原子爆弾による犠牲者をのぞけば...最大の原発事故は、旧・ソ連

“チェルノブイリ原発事故”(1986年/事故の国際評価尺度・レベル7)ですね...犠牲者・被害

も、膨大な人数に及び...放射能・被災地域も、広大な範囲に及びます...

  それから、その前になりますが...アメリカ“スリーマイル島原発事故(1979年/事故

の国際評価尺度・レベル 5)がありました。この大事故も、原発・事故映画/チャイナ・シンド

ロームと前後し、大騒ぎになりました。もし、アメリカ“原子炉・暴走”が起こったら、そ

超高熱で地球中心部を溶かし、裏側の中国にまで達するという、アメリカン・ジョークの

映画です。

  もちろん、こんな事態にはなりませんでした...でも、“ヒューマン・エラー”ということ

では、その亡霊は今も健在ということですね...

  それから、日本では...“東海村臨界事故(1999年/事故の国際評価尺度・レベル4)が起こっ

ています。これも臨界に達し、犠牲者も出ています...この事故は、濃縮ウランを作る

のに、バケツ柄杓(ひしゃく)を使っていたことで知られ、“かなり雑な作業”をしていたよう

です。

  ええ...ピカッと光り...“臨界事故”になったわけですね。詳しい事は分りません

が、よほど“雑な作業”をやっていたようです。おそらく、“チェルノブイリ原発事故”のよう

に...“規則違反/慣れから来る判断ミス”だったのではないでしょうか...」

                        .....詳しくは、こちらへ 《人間的ミスによる重大事故》

「あれは...」竹内が言った。「高速増殖炉の...実験炉“常陽”燃料を作っていたの

です...核燃料加工中間工程...再転換の作業中に起こりましたねえ...」

「はい...

  高速増殖炉では、実験炉・“常陽”の次の段階が、原型炉・“もんじゅ”になるわけです

よね...でも、“もんじゅ”の方でも、1995年“ナトリウム漏れ事故”を起こしていま

すね、」

「うーむ...その通りです...

  “もんじゅ”の事故は、温度計の設計ミスです...確かに、設計ミスではありますが、

これも、防ぐことのできた、“人間的ミス/ヒューマン・エラー”の側面があるようです。

まあ...後になって分かったことですが...」

「はい!」夏美が、うなづいた。「ともかく...“原発”という、非常に危険な発電システム

が...人類にとって、どうしても必要なものかということですね?」

「そうですね...」堀内が、椅子の背に体を伸ばした。「“文明の第3ステージ/意識・情

報革命”では...そもそも、大エネルギーは必要としません...人類文明は、〔人間の

巣/未来型都市〕の展開に、着手すべき時です」

「はい!そういう時代が来ているということですね!」

「そうです。“地球温暖化”の現状を考えれば、すぐにも着手するべきです」

「はい!」

 

                   index.1102.1.jpg (3137 バイト)   

「ええ、夏美です...

  長くなりましたので、今回は“ミスの考察”までにしておきます。ありがとうご

ざいました。どうぞ、次の展開にご期待下さい...」