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〔Ⅱ〕 ・・・超弦理論 (superstring theory) より・・・
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トップページ/New Page Wave/Hot Spot/Menu/最新のアップロード/ 担当: ボス= 岡田 健吉 |
アップロード 2015年1月14日 |
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日経サイエンス 2014 11 特集 新設/宇宙の起源 〔Ⅰ〕 始まりは4次元ブラックホール <★ こちらへどうぞ> 〔Ⅱ〕 超弦理論が明かす宇宙の起源 ( 中島 林彦 ・・・編集部) ( 協力 : 西村 淳 ・・・高エネルギー加速器研究機構 )
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10月 25日 |
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(1) 次に、<超弦理論が明かす・・・宇宙の起源>を紹介する。
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(2) <9次元空間で・・・極微の弦の振る舞いをコンピューターで再現すると・・・ 我々の宇宙/3次元だけが拡張する様子が見えた>…と言う。 次に… “スーパーコンピューター・京”(/理化学研究所に設置・・・ 理化学研究所と富士通が 共同開発し、2011年11月まで世界最高速)で…シミュレーション時間を伸ばし、インフレー ションが起こるか…研究が進んでいる。
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(3) 【超弦理論・・・/超ひも理論、スーパーストリング理論】 は…重力/重力子(グラ ビトン)を内包する理論で…この宇宙論的シミュレーションから…【一般相対性理論 /重力理論】と、【標準理論/標準モデル】 を統合できる可能性が出てきた。標 準モデルは、インフレーション直後まで時間を遡れるので、宇宙誕生とつながる訳 だ。 |
10月 26日 |
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(4) さて…詳細を考察していこう。 【超弦理論】は…万物を説明する究極理論の有力候補だ。 “スーパーコンピューター・京”は、毎秒1京回(/毎秒 1016回)の演算能力がある。 昨年10月から、能力をフル稼動で、不思議な時空での極微の弦の振る舞いを計算 している。
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(5) 【超弦理論】では… あらゆる素粒子…物質を構成するクォークや電子…電磁気力を伝える光子…質量 を与えるヒッグス粒子…標準モデルでは扱わない重力を伝える重力子も…全て極微 の弦と考える。その弦の振動パターンの違いが、素粒子の種類に対応する。
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(6) 力が作用する様子は…弦の分裂と合体によって表現される… 極微の弦の大きさは…水素原子を我々の銀河サイズとした場合…弦の長さは髪の 太さのサイズ…弦の太さはゼロと考えている。 この極微の弦が動き回る空間も、3次元空間ではなく奇妙なものだ。 |
10月 27日 |
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(7) 【超弦理論】では… 宇宙は9次元の空間で、この内の6次元は微小サイズに丸め込まれている。つまり、 我々に認識できるのは3次元だが、何故、6次元が丸め込まれたか、明確な答えは ない。 ちなみに、【M理論】(/当ホームページの、古い論文考察があります。 <・・・こちらへどうぞ> )と呼ば れるものは、10次元空間の超重力理論だ。
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(8) コトの始まりは、つい最近の2011年… 高エネルギー加速器研究機構の西村淳らが、京都大学・基礎物理学研究所のスー パーコンピューターを用いて、極微の弦の9次元空間での振る舞いをシミュレーショ ンで再現した。ここで興味深い現象を発見した。
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(9) 極微の弦が動き回る9次元空間は、最初は極小なサイズに縮こまっていた。それが ある時を境に、9次元のうち3次元だけが大きく広がり始めたと言う。プログラムを組 んだわけではなく、【超弦理論】が内包する未知のメカニズムが、時空の変化を誘 導したようだ。 |
10月 28日 |
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(10) “種”/極小の9次元空間から…3次元空間が拡大して行く! これは…我々の宇宙が誕生して行く風景か? 本当に宇宙誕生を再現したのかどうか…また…その検証が可能かどうかも分から ない。しかし【超弦理論】が真の究極理論なら…“正鵠”(せいこく/弓の的の中心にある黒 点)なのか?
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(11) さて… シミュレーションで、宇宙誕生を再現できたとしたら、その延長線上のインフレーショ ンも再現可能なのか? それを現在、“スーパーコンピューター・京”で進めているわけだが…もしも成功す れば、宇宙論研究は飛躍的に進展すると言う。
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(12) 一方… 素粒子物理学への影響は、宇宙論を遥かに超える。 標準モデルは現在から遡って、インフレーション直後までの宇宙に適用できる。 そして…【超弦理論】のシミュレーションが、宇宙誕生からインフレーションまでを再 現できたら…どうなるか? |
10月 29日 |
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(13) 【超弦理論】のシミュレーションで…インフレーションまで再現できると…乖離(かいり /そむきはなれること)のある【超弦理論】と【標準理論/標準モデル】を、インフレーショ ン直後の宇宙で結合が可能だろう。 シミュレーションが確立した中で…関係性を探ることが出来るわけだ。
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(14) これはまさに、素粒子物理学者の夢だと言う。 シミュレーションでインフレーションが再現できれば…逆に、【超弦理論】とシミュレ ーション結果の信憑性(しんぴょうせい/情報や証言などの、信用してよい度合い)が高まる事にも なる。無論、簡単なことではなく、大きな壁があると言う。まず、膨大な計算量だ。
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(15) 先のシミュレーション(/・・・9次元空間での極微の元のシミュレーション)は…弦の動きを表示す る時間の刻みは10に満たない。が、インフレーションを探るには、時間ステップ(/ ・・・時間の範囲)を大幅に増やす必要がある。工夫を凝らしても天文学的な計算量が必 要だ。ここで、“スーパーコンピューター・京”(/毎秒1京回の演算能力)の出番となる。
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10月 30日 |
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(16) 前にも述べたように… “スーパーコンピューター・京”は、昨年10月からフル稼働でシミュレーションを行っ ている。最終結果はまだ先だが、予備的な計算では手応えを感じていると言う。
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(17) 【超弦理論】のシミュレーションは超難度だ。 一切の仮定を置かず、極微の弦の振る舞いを再現する…いわゆる第一原理計算を 試みたのは、世界で初めてだ。 このシミュレーションが難しいのは…弦の動きによって、時空そのものが千変万化す ることだ。
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(18) 通常のシミュレーションでは… 空間を格子/グリッドに区切り…それらの交点での物理量の時間変化を計算する。 精度を上げるには、グリッドを細かく、時間の刻みを小さくすればよい。気象情報や 流体力学の解析で、お馴染みのものだ。
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(19) 一方、【超弦理論】のシミュレーションでは… 弦の振動パターンとして、重力を伝える重力子が組み込まれている。弦の動き次第 で、空間が伸び縮みする。 従って…通常の手法/グリッドでは空間を表現できない。しかも弦が動き回るのは、 9次元空間だ。 |
10月 31日 |
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(20) また… 3次元空間とは異なり9次元空間だと、次元が多い分だけ計算量が膨大になる。 さらに…もう1つ、シミュレーションを難しくしているのは…弦の分裂や合体が起こる 状況を、計算で忠実に表現するのが難しいことだ。
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(21) 例えば… 2つの電子が…電磁気力で反発する状態は【超弦理論】では次のように解釈され る。 まず…電子の振動パターンを持つ2つの弦のうち一方が分裂し…光子の振動パタ ーンを持つ弦が新たに生じ、光速移動…もう一方の電子の振動パターンと合体す る。
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(22) この例は、最も簡単な相互作用の風景だ… 現実世界では、無数の弦が関与する複雑な相互作用がある。それを計算で表現す るのは至難と言う。 こうした問題は、標準モデルでは起こらない。重力が組み込まれていないので、時空 構造に変化がないからだ。
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11月 1日 |
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(23) 標準モデルでは… 素粒子の質量等の物理量は、実験から得られる値がある。限定された環境や反 応条件では、シミュレーションと実験は、高精度で合致するのだ。 逆に…標準モデルでは時空自体を扱えず、質量等の物理量が何故その値なのか を問えない。
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(24)
える有力理論は、今のところ【超弦理論】 だけである。 従って…空間全体が、1つの素粒子のような宇宙誕生時の様子を探ることができる のは、【超弦理論】 しかないと言う。
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11月 3日 文化の日 |
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(25) さて… 【超弦理論】 には大きな発展期が2回あったと言う。 現在… “スーパーコンピューター・京” で行われているシミュレーションは、“第2次・超弦理 論革命”における、日本発の研究成果が土台で、<IKKT行列モデル>と言うそう だ。
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(26) “行列”は数学用語で…カッコでくくった数表の様に見える。 多数の数値や数式を、行と列に沿って配置し、一塊(ひとかたまり)として演算する。 <IKKT行列モデル>は…無数の弦の振る舞いを忠実に表現する。が、使いこ なすのは難しく、成功は西村たちが初と言う。
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(27)
“宇宙誕生を示唆する・・・シミュレーション結果”は…半世紀に及ぶ【超弦理論】研 もちろん…宇宙誕生時の示唆からインフレーションの再現に到達すれば、その意義 は計り知れない。 次に…そのルーツを点描する。 |
11月 4日 |
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(28) 【超弦理論】の源流は1970年だ。 ノーベル賞受賞/南部陽一郎・シカゴ大学名誉教授らは… 素粒子を…<大きさを持たない・・・0次元の点>ではなく…<1次元の弦>と する 【弦理論】を提唱した。当初は光子など、力を伝える素粒子/ボース粒子に しか適用できなかった。 1952年に、朝永振一郎の推薦を受け、プリンストン高等研究所に赴任渡米。ここにはアインシュタインもいた。 1960年代に、量子色力学と自発的対称性の破れ(/2008年にノーベル物理学賞)の分野において、先駆的な研
究を行った。1970年/【超弦理論】の源流の年に、にアメリカ合衆国に帰化した。大阪府豊中市にも自宅がある。)
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(29) その後… 力を伝える素粒子/ボース粒子と、物質を構成する素粒子/フェルミ粒子の間に… <超対称性>と呼ばれる関係性を仮定し…フェルミ粒子も<弦>として扱えるよう になった。
【超弦理論】の超は、この<超対称性>に由来している。
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(30) さらに… 重力子も<弦の振動パターン>として、【超弦理論】に組み込み可能なことが発 見された。 つまり…【量子力学】と、【一般相対性理論/重力理論】を統合する道が開けた。 この辺りまでが…【超弦理論】の誕生期…1970年代前半のことだ。
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11月 5日 |
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(31) その当時…注目されていたのは【標準理論/標準モデル】だ。 標準モデルでは…素粒子は0次元の点… 質量等の物理量は…実験で得られた実測値… 力の作用は…【ゲージ理論】で記述… 1970年代前半は…標準モデルの基礎が固まった時代でもある。
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(32) 標準モデルは… 重要ピース(/ジグソーパズルのピースの例え)となる、ノーベル賞受賞/【小林・益川理論】 が提唱され…その予言通りに新たなクォークが次々に見つかる。ヒッグス粒子も発 見され、まさに素粒子論の主流を確立する。 一方…【超弦理論】は、10年に及ぶ停滞期にあった。
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(33) 【超弦理論】には…幾つもの難題がある。 1つは… 力を媒介/ボース粒子と、物質を構成/フェルミ粒子との間に…<超対称性>の 存在を…大前提とする。すると、標準モデルの素粒子は…それぞれパートナー/ 超対称性粒子を持つが…いまだに未発見だ。
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(34)
2つめは… <超対称性>を仮定したことで…<フェルミオン次元>という奇妙な次元が… 宇宙論に持ち込まれたことだ。これは物理的には、長さの1/2乗の次元で… 座標の値は実数ではなく、クラスマン数という特殊な数で表わされる。
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(35) <フェルミオン次元>について少し説明しよう。 粒子にはスピンという物理量がある。 スピンが場の空間的な特性だとすると…スピン1/2のフェルミ粒子(/電子やクォーク) と、スピンが整数の例えばスピン1のボース粒子(/光子)では、何が違うのか?
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(36) ここは視点を変え…素粒子の立場で周囲を眺める。 具体的には…回転イスに座って周囲を眺めるとしよう。 スピン1のボース粒子では…360度回転すると同じ景色が見えて来る。 これに対し…スピン1/2のフェルミ粒子は、360×2=720度回転して、元の景色 に戻る。
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(37) フェルミ粒子にとって… 空間は2倍の広がりのように見える。このうち半分が実空間とすると、半分は“見え ない時空”… 紙テープに直線を引き、一捻(ひとひね)りして張り合わせ、メビウスの輪を作る。表面の直線 をたどると半分で消え、裏をたどってもう1周…
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(38) つまり… メビウスの輪では、表面をなぞると(/裏側まで回り)、2週/720度になるが、半分は見 えない裏側をなぞる。この裏側が<フェルミオン次元>/第2の4次元時空に例え られる様だ。 グラスマン数とは…掛算の順番を逆転すると符合が反転し、同じ数の掛算はゼロに なる。
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11月 6日 |
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(39) さて、話を進めるが… この<フェルミオン(フェルミ粒子)次元>の方向に振動する弦が…物質を構成/フェル ミ粒子になると言う。 宇宙は… 我々が認識する3次元空間の他に、複数の<フェルミオン次元>が加わった… <高次元の超空間>で出来ていることになる。
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11月 8日 |
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(40) 【超弦理論】 の世界では…通常の空間次元/長さの次元をもつもの…も大幅に数 が増える。 素粒子が…点ではなくて弦だとすると…【量子力学】の要請から、その弦は完全に 静止することはあり得ない。量子揺らぎにより、常に微小振動している。
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(41) 弦の微小振動でエネルギーが生じる。 【相対性理論】によれば…エネルギーと質量は等価/同等であり…弦は本体の質 量がゼロでも、この微小振動による質量を持つ。 一方…光子(/・・・力を媒介/ボース粒子)などの素粒子は、微小振動の寄与分も含め、厳 密に質量ゼロが要請される。(/・・・クォークや電子などの物質を構成/フェルミ粒子も、本質的には質 量ゼロで、ヒッグス粒子との相互作用によって質量が生じる)
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(42) この両方の要請(/・・・弦は微小振動により、エネルギー/質量を持つ。光子などは、微小振動も含め、厳密 に質量ゼロ)は、並び立たない様に思えるが、【超弦理論】は9次元空間である。 これに適切な<フェルミオン次元>が加わった、<超空間>である。両方の要請 を満たした、【超弦理論】を構築できることが分かっている。
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(43) その9次元空間のうちの6次元空間が…何らかのメカニズムで小さく丸め込まれ… 存在を認識できないと考えれば、この3次元宇宙の説明はつく。 しかし…<アノマリー>と呼ばれる深刻な問題が生じた。1970年代後半から 1980年代前半のことだ。
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11月 10日 |
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(44) 1984年に<アノマリー(/理論の病気・・・理論の整合性が失われてしまうこと)>問題は回避でき ることが発見された。 その直後…プリンストン大学/ウィッテン(Edward Witten)が… <カラビ‐ヤウ空間>という数学研究の成果を用いれば…9次元のうち6次元を、 コンパクト化できる可能性があることを、発見した。
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(45) これらの成果で【超弦理論】の研究は急進展し…5つの有力モデルが提唱される に至った。 <Ⅰ型> <ⅡA型> <ⅡB型> <ヘテロ弦SO (32)> <ヘテロ弦E8×E8> と呼ばれるものだ。 これが…第1次超弦理論革命と呼ばれる、1回目の発展期だ。
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(46) 5つの超弦理論モデルは… <弦>の両端が結びついてリングになった<閉じた弦>を含む点では共通する。 が、<弦>両端が結びついていない、<開いた弦>を含むかどうか…<弦>と <超空間>との関係性の違いなどもある。現実世界を表現する、“本命”はどれな のか?
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11月 11日 |
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(47) 前述の<カラビ‐ヤウ空間>だが… 9次元空間のうち6次元が<カラビ‐ヤウ空間>の形でコンパクト化できれば…残り 3次元空間では、素粒子は3セットになり得る。 物質を構成/フェルミ粒子の…3セット/3世代は…標準モデルでは理由が不明だ。
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(48) ウィッテンらの<カラビ‐ヤウ空間>での発見は…1984年。 1987年には…<カラビ-ヤウ空間>は理論的に存在が証明された。 3次元空間の我々は…<6次元カラビ‐ヤウ空間>を認識するのは無理だが、2 次元に映したイメージは描ける様だ。
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(49) 第1次超弦理論革命で躍進したが… 新展開はなく…1980年代末には再び停滞期に入った。 1995年3月…その停滞を打ち破ったのも、ウィッテンだった。 彼はプリンストン大学から、アインシュタインも在籍したプリンストン高等研究所に 移っていた。 (/プリンストン大学は、アメリカ合衆国ニュージャージー州プリンストン市に本部を置く。プリンストン高等研究所とは、 相互交流は盛んであるものの、大学と直接の関係はない。ノーベル賞受賞の南部陽一郎氏も、1952年に、後にノ ーベル賞受賞の朝永振一郎氏の推薦を受け、赴任している。)
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(50) これが第2次超弦理論革命の開始だ。どの様な発見かというと… 別物と考えられていた5つの超弦理論モデルは、実は相互に強い関連性があること を発見した。 その頃まで【超弦理論】 研究は…“弦どうしの結びつきが弱いと仮定”し、【摂動論】 (せつどうろん/・・・モデルが与えられた時、 その近似解を得るための方法として、代表的なものが摂動論です。摂 動論ではまず、解けるモデルを出発点として、 そこに弱い撹乱としての“摂動”が加わった場合を想定する・・・)を用 いていた。
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(51) “結びつきが弱い”と、他の弦とあまり相互作用せず…限られた数の弦が関与するプ ロセスを計算すれば良かった。 しかし…現実世界では“弦の結びつきが強い”。弦の分裂と合体が頻繁に起こり…無 数の弦が関与するプロセスを、考慮しなければならない。
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11月 12日 |
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(52) 弦の結びつきが強い、【非摂動論】(ひせつどうろん)のアプローチであれば… 無数の弦の振る舞いの変化によって…時空全体が<真空の相転移>が起きる可 能性も、探ることができる。(/時空全体が・・・いわば、水の相から氷の相に転移するように・・・真空の相 が転移すること) しかし【超弦理論】ではまだ、【非摂動論】の計算方法が確立していない。
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(53) ウィッテンが発見したのは… 5つの超弦理論モデルの間には…<双対性>(そうついせい/双対とは・・・互いに対になって いる、2つの対象の間の関係 )と総称される関係性があり…例外的に【非摂動論】で、弦の 振る舞いを探れる、という事だ。 実際にあるモデルで、弦の結びつきを無限大にすると…それが別のモデルに帰着 した。
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(54) 別物と思われていた5つの超弦理論モデルは…正体不明の1つの理論が実現しう る…5つの異なる基底状態(/基底状態とは・・・系の固有状態の内で、最低のエネルギーの状態をいう)、 と解釈できる。 対象とする物理系が宇宙そのものの場合…基底状態とは<真空>であり…別の基 底状態に移行する現象は<真空の相転移>になる。
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11月 13日 |
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(55) 現代物理学において… <真空>とは 空虚な空間ではない。エネルギーを帯び、空間のいたる所で、素粒子 があぶくのように生まれては消えて行く場だ。 【超弦理論】では素粒子は弦であり…様々なパターンで振動する弦が、生まれては 消えて行くイメージだ。
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(56) さらにウィッテンは… 次元の1つ多い10次元空間の【M理論】も…5つの超弦理論モデルと同様に、そ うした<真空の1つ>になり得ることを発見。 【M理論】の正体はよく分からないが…宇宙が低エネルギー状態では…10次元空 間の【超重力理論】に帰着する。
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(57) 【超重力理論】は…【一般相対性理論】に<超対称性>を導入したものだ。 【標準理論/標準モデル】では、素粒子は0次元の点であり…【超弦理論】では、 素粒子は1次元の弦…そして【M理論】では、素粒子は2次元の幕/ブレーンとい うことになる。
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11月 14日 |
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(58) <5つの超弦理論モデルとは>・・・(1) 5つの超弦理論モデルは…1型、2型、ヘテロ弦の3グループに分類される。 1型と2型は…第1次超弦理論革命の前からある。ヘテロ弦は、革命の産物の1つ。 1型は…<開いた弦>と<閉じた弦>の両方を含む。
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(59) <5つの超弦理論モデルとは>・・・(2) <開いた弦>は振動パターンの違いによって、標準モデルの全素粒子を表現する。 つまり…クォークや電子など物質を構成/フェルミ粒子と、自然界の3つの力(/重力 をのぞく・・・電磁気力、弱い核力、強い核力)を媒介/ボース粒子と、ヒッグス粒子の全てだ。
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(60) <5つの超弦理論モデルとは>・・・(3) 自然界のもう1つの力/重力を伝える 重力子(グラビトン)は…<閉じた弦>の振動に なる。 標準モデルにおいて、力の振る舞いを記述する【ゲージ理論】は…<ゲージ対称 性>が基盤になっていて…1型はこれが、組み込み可能だ。
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(61) <5つの超弦理論モデルとは>・・・(4) <ゲージ対称性>(/物理量を測る時・・・その大きさが物指(モノサシ/ゲージ)の目盛りによらないこと。 ゲージ対称性とは、粒子の場が局所的な位相や座標の変換で結果が変わらないことをいう。こ れを保証するため にはゲージ場というものが必要である。ゲージ場は、力を伝える粒子(ゲージボソン)として解釈できる。具体的には、 電磁気力は光子(フォトン)が、強い力はグルーオン(糊の粒子)が、弱い力はウイークボソン(W粒子、Z粒子)がそれ ぞれ担う。光子とグルーオンは質量ゼロ。W粒子は陽子の約80倍、Z粒子は約90倍と、他の素粒子に比べて大き な質量をもち、ごく短時間のうちに別の粒子に崩壊してしまう ) には様々なタイプがある。 SO(32)という特定タイプであれば…<アノマリー(/法則・理論からみて異常、逸脱)> の問題を回避できることが発見された。
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(62) <5つの超弦理論モデルとは>・・・(5) 2型は…<閉じた弦> だけをあつかうモデルで、2A型と2B型に分けられる。 両者の違いは…<パリティ対称性/空間反転 = 鏡に映した時に物理法則が 同じ事>を…実現できない/2A型と、実現できる/2B型。
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11月 15日 |
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(63) <5つの超弦理論モデルとは>・・・(6) 素粒子は、スピン/一種の自転をしているが… 弱い核力は…自転の向きの違いによって、作用したりしなかったりする。こうした向 きによる区別が生じた状況を、<パリティ対称性が破れた状態>と言う。
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(64) <5つの超弦理論モデルとは>・・・(7) ただし…2B型で<パリティ対称性の破れ>を実現できるのは9次元空間。6次元 をコンパクト化して実現される3次元空間では、<パリティ対称性の破れ>は起き ない。また2型は…<ゲージ対称性>を組み込むことは難しい。
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(65) <5つの超弦理論モデルとは>・・・(8) 2型と同様<閉じた弦>を扱うモデルで、これらの問題を解決したのがヘテロ弦。 <閉じた弦>は輪ゴムが波打つように振動するが、ヘテロ弦ではその波が伝わ る向きに応じて…振動が伝わる空間が異なる…とする。
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(66) <5つの超弦理論モデルとは>・・・(9) これによって… コンパクト化で実現した3次元空間で…<パリティ対称性が破れ>て、<ゲージ 対称性>を持たせられるようになる…と言う。 うーむ…ここは説明が飛躍しているが…先へ進む。
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(67) <5つの超弦理論モデルとは>・・・(10) 第1次超弦理論革命から10年後の第2次超弦理論革命で… 5つの超弦理論モデルと、10次元空間の【M理論】が、<双対性>で結ばれてい ることが発見された。【超弦理論】】が1つに統合される可能性が出てきた。
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11月 16日 |
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(68) <5つの超弦理論モデルとは>・・・(11) さらに、【超弦理論】の9次元空間には… <弦>の他に様々な次元を持つ<Dブレーン>(/ 高次元物体・・・弦理論において、特殊な 条件下で存在するとされる物体。弦理論におけるブレーン(membrane=膜)は・・・弦なども含む、広がりを持った物 理的対象全般を表す語。Dブレーンも弦と同様に、伸縮や振動などの運動を行う)が存在し得ることも判明。 <弦>は空間を自由に漂うイメージだったが…<開いた弦>の両端は<Dブレー ン>にくっ付く。
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(69) <5つの超弦理論モデルとは>・・・(12) つまり<弦の運動>は<Dブレーン>に拘束される… <Dブレーン>は<閉じた弦>を放出・吸収し…<Dブレーン>に半ば埋った <閉じた弦>は、<Dブレーン>に両端が付いている<開いた弦>として扱え る。
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(70) <5つの超弦理論モデルとは>・・・(13) これにより…<Dブレーン>の存在を仮定すれば… <閉じた弦>だけの超弦理論モデルでも…<開いた弦>を実現できるようにな った。
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(71) さて、話を進める… 5つの超弦理論モデルと【M理論】の統合は…空間のコンパクト化に新しい光を投 げかけた。9次元空間の2A型・超弦理論は、10次元空間の【M理論】がコンパクト 化されたもの、と見ることができる。
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(72) 第1次/超弦理論革命でウィッテンは… 9次元空間から3次元空間をひねり出すため<カラビ‐ヤウ空間>を導入…6次元 をコンパクト化。 メカニズムは不明も…10次元から9次元へのコンパクト化の実例も示され…空間次 元の数は変わり得ることも認識。
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11月 17日 |
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(73) ( Dブレーンとは、)・・・(1) 【M理論】の登場で<膜>が脚光を浴び、絶対視されていた<弦>の地位が揺ら ぐ。当時、【超弦理論】の方程式から導き出される解として、<点><弦><膜> <立体>、そして<4次元~9次元に広がった物体>(/Dブレーン)も発見さ れていたが、物理的意義は不明だった。
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(74) ( Dブレーンとは、)・・・(2) 第2次/超弦理論革命の幕開けから半年後…1995年10月…カリフォルニア大学 /サンタバーバラ校/ポルチンスキーは… それらは<双対性>によって互いに移り変わり…<弦>と同等の存在であること を明らかにした。
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(75)
これらの…<弦>とは異なる次元を持つ形態を…ポルチンスキーは<Dブレーン> と総称。 <Dブレーン>は…いわば<無数の弦が凝縮した存在>で…エネルギーが注が れると<弦>が励起し<Dブレーン>から立ち上がる。
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(76)
これは…<開いた弦>の両端が<Dブレーン>にくっついた状態。<励起した 弦>は両端を<Dブレーン>に付けたまま<Dブレーン>に沿って動く。<弦> のそれぞれの端が、異なる<Dブレーン>に付いていることも許容。
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(77)
また…<励起した弦>の両端の間隔が狭まり、くっついて輪になり…<閉じた弦> となって<Dブレーン>から離れることもある。 遠方から飛来した<弦>が、逆のプロセスで<Dブレーン>に取り込まれることも 考えられる。
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11月 18日 |
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(78)
<カラビ‐ヤウ空間>による6次元のコンパクト化で…我々の3次元宇宙が実現で きる可能性について先に述べた。 が、それとは別に…<3次元Dブレーン>…が我々の宇宙だとする説も提唱され ている。
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(79)
それによると… <開いた弦>の両端が<Dブレーン/3次元空間>にくっついた状態のものは、 物質を構成・力を伝える素粒子。 <Dブレーン>から放出されたり吸収されたりする<閉じた弦>が、重力を伝える 重力子だ。
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11月 19日 |
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(80)
我々が、真空としている3次元空間は…実は<弦>が凝集したものであり…我々 自身は、そこから励起した<弦の集まり>ということになる。 ただ、一般的に<Dブレーン>は…9次元空間の中に漂うイメージである。
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・
つまり…3次元の<Dブレーン>から放出される<閉じた弦 = 重力子>は、6次 元空間に飛び去ってしまう。我々の宇宙のように、重力が超遠方まで伝わるには、 <閉じた弦>が<Dブレーン>の近傍に留まり続ける必要がある。
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(82)
例えば… 3次元の<Dブレーン>を包んでいる6次元空間が、激しく歪んでいれば…そのよ うな状態を、実現できる可能性があると言う。 ハーバード大学のランドール(Lisa Randall)らが、この理論モデルを提唱している。
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11月 20日 |
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(83)
【超弦理論】は発展したが依然、深刻な問題がある。 9次元空間を“舞台”、<弦>を“役者”とすると… “舞台”が6次元をコンパクト化するか…“役者”が<弦>と<Dブレーン>になれ ば、我々の宇宙を実現できる。
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(84)
しかし、何故… “舞台”が縮んだり、“役者”が増えたりすれば…3次元宇宙の可能性が出てくるの か? 何故… 現実世界で、そうしたことが起きているのか? その説明が、全くできていないのだ。
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(85)
6次元のコンパクト化と<Dブレーン>の形成は…いずれが起こったか?両方が起 こったか? コンパクト化の方なら…何故、4次元や5次元ではなく…6次元なのか?<Dブレー ン>だとしたら…何故、3次元だったのか?
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(86)
そもそも…偶然…6次元のコンパクト化、3次元の<Dブレーン>だったのか… それとも、理由があっての事だったのかも…不明だ。 その理由は… 【超弦理論】によって、時空の時間変化を厳密に調べることが難しいからだ。
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11月 21日 |
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(87)
コンパクト化や<Dブレーン>の形成を再現するには…【非摂動論】による理論 的解析が必要になる。 それには<無数の弦>の振る舞いを、非摂動論的なアプローチで計算できるモデ ルが必要だが、そんなものは存在しない。
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(88)
突破口は、第2次/超弦理論革命の1年半後/ 1996年秋と言う。 <Dブレーン>の研究を手がかりに…【M理論】と【2B型超弦理論】の非摂動論 的な性質を表現できる<行列モデル>が、相次いで発案された。
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(89)
1996年10月に…【M理論】を記述する<BFSS行列モデル>が。 同年12月に…【2B型超弦理論】に対応する<IKKT行列モデル>が発表。 【2B型超弦理論】は【M理論】と類似していて…共通点も持つ。 (【M理論】を記述する<BFSS行列モデル>は・・・4人提唱者の頭文字から取られている。Tom Banks / Willy Fischler/ Stephen Shenker/ Leonard Susskind だ。) (【2B型超弦理論】に対応する<IKKT行列モデル>の方は・・・石橋延幸/ 川合光/ 北澤良久/ 土屋麻 人の頭文字。)
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(90)
さて…<弦>の振る舞いを探るには… まだ正体が分かっていない【M理論】を扱う<BFSS行列モデル>よりも…【2B 型超弦理論】に対応する<IKKT行列モデル>の方が適している。
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(91)
5つの超弦理論モデルと【M理論】は<双対性>で結ばれ…【2B型超弦理論】 での知見は普遍性を持つ。 第2次/超弦理論革命の熱気の中…<IKKT行列モデル>で<弦>の振る舞い を探る数値シミュレーションが始まる。
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11月 22日 |
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(92) <行列モデルの登場>・・・(10) <IKKT行列モデル>は…“時空”と“物質/エネルギー”と“力”を全て含む…い わば、宇宙を丸ごと取り込んだモデル。 ただ、その宇宙は…【超弦理論】が描く宇宙であり、我々が認識する“4次元時空の 宇宙”とは全く異なる。
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(93) <行列モデルの登場>・・・(11) まず、時空が異なる… 【超弦理論】では…宇宙は<超空間>…1次元の時間、9次元の空間、16個の成 分を持つ<フェルミオン次元>。 宇宙の中の位置座標は…10個の実数(/10次元時空)と16個のグラスマン数(/フェルミ オン次元)の組合せで表現。
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11月 25日 |
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(94) <行列モデルの登場>・・・(12) 【超弦理論】では物質と力はどう表すか… 物質を構成/フェルミ粒子と、力を媒介/ボース粒子は…<弦の振動パターン> の違いなので…基本は<弦>。 <1次元の弦>は<0次元の点>の無限個つながりとして表現。
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(95) <行列モデルの登場>・・・(13) <超空間>において…点の座標は26個の数字の組合せで表現され…<弦> はこれが無限個つながった存在。 その<弦>の長さは…極微世界の最小スケール/プランク長 = 約10-35 m …程 度と考えられる。
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(96) <行列モデルの登場>・・・(14) 【量子力学/不確定性原理】と【相対性理論】の要請で…プランク長より 小さな領域は観測不能。 プランク長は…【量子力学】の<プランクの定数h>と【相対性理論】の<重力 定数G><光速c>の組合せの産物。
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(97) <行列モデルの登場>・・・(15) 時間の刻み幅は…プランク長を光速で割り算して求めた、プランク時間 = 10-45秒 弱。 【相対性理論】の要請により…光速より速く移動する存在はなく…プランク時間よ り短い時間は、意味を持たない。
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11月 27日 |
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(98) <行列モデルの登場>・・・(16) 力の作用はどのようか? 【超弦理論】では重力も含め…力の作用は<弦の分裂と合体・・・さらに振動パ ターンの変化>として表現。 分裂する際には…その部分を構成する点の関係性がゼロになり、合体は逆のプロ セスだ。
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(99) <行列モデルの登場>・・・(17) 力の作用は直観的には… <弦>を構成する点と点の間の関係性の時間変化として表現できる。力の作用に 伴い、<弦の長さや・・・弦の本数>が変化、<弦の振動パターン>も変化。全 ては…点の位置の時間変化として表現…
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12月 1日 |
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(100)
★ スパコン(/スーパーコンピューター)の計算領域となるが… <弦>を鳥瞰(ちょうかん/鳥のように、高い所から見下ろすこと。俯瞰(ふかん)と同じ)するため素描 ★
簡単な<弦モデル>として… <弦>を構成する点が8個の場合(/<1次元の弦>は・・・<0次元の点>が無数に連なったもの)… <IKKT行列モデル>では、次元ごとに点の位置と点の関係性の強さの値をまと め、1つの行列<Aμ>にする。(/下の写真の・・・大きなカッコ全体が、 Aμ= になる)
<写真は・・・参考文献: 日経サイエンス/2014・11/『超弦理論が明かす宇宙の起源』より・・・>
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12月 3日 |
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(101)
<IKKT行列モデル>では…点の位置データと点の関係性を表すデータを、10次 元ごとに1つの行列Aμ にまとめる。 <弦>がN個の点では、N行N列の<行列>を10個考える。 N=8だと…8×8×10=640
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(102)
さらに… <フェルミオン次元>に対応する16個のN行N列の<行列>も導入…全体が <超空間>とその中で運動する<弦>を表す。 ★ こんな素描で、理解されるはずも無いが…膨大な計算が、“スーパーコンピュ ーター・京”で、進んでいる様だ。
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12月 6日 |
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(103)
10個のN行N列の<行列>において…各点の時刻はどのようにでも設定できる。 N個の点の時刻を全て揃えれば、ある瞬間における<弦>のスナップショット(/画 像の記録方法⇒スクリーンショットクエリーAccessにおいて、データの変更を禁止したクエリーのこと)になる。 次に…点Xの番号順に、存在している時刻を少しづつ遅くする。
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(104)
つまり… (X1)0 < (X2)0 < (X3)0 ・・・< (XN)0 …とする。 ここで…点/Nを無限大にすると、時刻の刻みは無限に細くなり…<プランク時間 レベル>で見ても…ほとんど同時刻に、無数の点が存在する。
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(105)
<1本の弦>は無数の点の集まりだが…<無数の弦>もまた無数の点の集まり だ。 Nを無限大にする事で、形式的には無限長の時間における無数の点…つまり<無 数の弦>の振る舞いが、全て記述される事になる。
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(106)
従って… 宇宙に一生というものがあるとすれば… その誕生から終焉までの…宇宙全体の<弦>の振る舞いが…表現できると言う。 まあ…そう言われても、ここは数学的飛躍がある。日常の通常感覚的な理解を超え ている。
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12月 17日 |
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(107)
<IKKT行列モデル>は…<弦>か<2B型超弦理論>に従って振舞うょうに、 26個のN行N列の<行列>の間の関係性を定める方程式。 基本構造は、ハイゼンベルクの<行列>…位置と運動量の関係を示した式と似 ている。
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(108)
例えば… <電子の位置を表す行列>=q、<運動量を表す行列>=pで、普通の掛算が 成立。qp、pqと表示。 qpは“pを測定後にqを測定”、pqは“qを測定後にpを測定”。量子力学では、順 番を変えると結果が異なる!
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(109)
つまり…”qp-pq=0” にはならず…“qp-pq=ih/2π” になる。 h はプランクの定数、 i は虚数単位。 <IKKT行列モデル>の場合…pとqの2個ではなく26個…様々な2つの <行列>の組合せで計算し合計する。
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12月 18日 |
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(110)
ここでは 重力 も含み… 26個の<行列>は…10次元時空を表す10個の<行列>と、フェルミオン次元 の16個の<行列>では取扱が異なる。 また…ファインマン(Richard P.Feynman/アメリカの物理学者・・・【経路積分】や、素粒子の反応を図示化 した【ファインマン・ダイアグラム】の発案者。1965年、量子電磁力学の発展に大きく寄与したことにより、ジュリア ン・S・シュウィンガー、朝永振一郎とともにノーベル物理学賞を共同受賞。)の【量子力学】の計算手法 /【経路積分法】も使われる様だ。
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(111)
数値シミュレーションでは… まず…26個のN行N列の<行列>の各要素にランダムな値を入れ…宇宙を白紙 の状態/時空間的に平坦な状態にする。これを出発点に、<IKKT行列モデル> の方程式に従って各要素を計算する。
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(112)
混沌とした<超空間>に… <超弦理論>を導入すると…<超空間>がどんな形に変容し、どんな時間変化 を起こすかを…探って行くことになる。 実際には…この計算が非常に難しいそうだ。
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(113)
特に難しいのは時間の取り扱いで… 時間を実数にすると無限大が出る。虚数にすればある程度うまく行くが、本来、時 間は実数。虚数時間で示される計算結果を、物理的にどう解釈すればよいのか… 議論になっていると言う。
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(114)
<フェルミオン次元>の取扱いも厄介だ… また…<IKKT行列モデル>が提唱された1996年当時のスパコンでは、本格的 な数値シミュレーションは困難で… 2000年頃には<IKKT行列モデル>の研究は下火となった。
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12月 19日 |
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(115) <初期宇宙を再現か!>・・・(1) 研究が下火の中でも…冒頭紹介の西村淳は、<IKKT行列モデル>が提唱され た頃から、息長くシミュレーションに取組んでいた。2010年頃には…時間を実数 にした場合に起る無限大の問題解決に、メドをつける。
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(116) <初期宇宙を再現か!>・・・(2) 翌/2011年…スパコンの飛躍的性能向上もあり…N=16の<IKKT行列モデ ル>を、実数時間での計算に成功。<IKKT行列モデル>の提唱者の1人/静岡 大学の土屋麻人、大阪大学の金相祐との共同研究の成果だ。
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(117) <初期宇宙を再現か!>・・・(3) N=16という事は、<弦>を構成する<点>が16個…<時間の刻み>も16個 だ。時間の刻みが少ないという事は、表現される宇宙は<プランク時間>から少 し長い程度までの、ごく初期の宇宙 という事になる。
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(118) <初期宇宙を再現か!>・・・(4) N= 無限大が理想とすると…N=16でどれほど見えるかは不透明も…実際に計 算すると、仮想の<超空間>の中で、時空に大きな変化 が起きた。 ( これは…<プランク長、プランク時間スケールの・・・極微宇宙のごく初期の姿>…なのか?)
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12月 20日 |
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(119) <初期宇宙を再現か!>・・・(5) 計算を始める前…<行列モデル>で実現されているのは平坦な宇宙だ。 16個の<点>は…9次元空間の各次元にまたがる位置に散在し…そうした状態 は16個の<時間の刻みの間>…維持されている。
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(120) <初期宇宙を再現か!>・・・(6) ところが、計算後の<行列>で表現された宇宙で… 早い時刻に存在する<点>の位置を調べると… それらは<プランク長>程度の狭い9次元空間に集まっていた。 そして、ある時刻を境に変化が起きた。
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12月 21日 |
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(121) <初期宇宙を再現か!>・・・(7) 変化の<点>の位置座標を調べると… 6次元空間は狭い領域に留まるが、残りの3次元の座標位置はバラバラに広がり 始めた。 シミュレーションをくり返しても、同じ事が起きた。N= 32と倍にしても、同じ結果 だ。
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(122) <初期宇宙を再現か!>・・・(8) 16個の<点>は…<弦を構成する点>と同時に、9次元空間の広がりを表す マーカー。 シミュレーションの結果は… 宇宙は最初は、9次元空間が非常に狭い領域に凝集し…後に、3次元空間だけが 急膨張した事を示した。
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(123) <初期宇宙を再現か!>・・・(9) こうした 時空の変動 は… <超弦理論>方程式の理論的解析では見えて来ない。摂動論的計算でも、見え て来ない。 <IKKT行列モデル>で虚数時間のシミュレーションでは似た現象は起こるが… 広がるのは2次元空間だ。
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(124) <初期宇宙を再現か!>・・・(10) また、2次元だと… 残り7次元空間の縮まり具合は、実数時間のシミュレーションより、かなり緩やかだ。 虚数時間のシミュレーションが、実数時間のシミュレーションを模擬できるかどうか も…判然としていない。
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12月 24日 |
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(125) <未知の…対称性の破れ?>・・・(1) <IKKT行列モデル>では…9次元空間は全て対等で…いわゆる<回転対称 性>を持つように設計される。 最初に実現する<超弦理論の基底状態>は…9次元の全てが、コンパクト化状 態…とシミュレーションは示す。
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(126) <未知の…対称性の破れ?>・・・(2) この基底状態は安定ではない。 ある時刻を境に3次元空間だけが膨張。 9次元空間のどの3次元空間が膨張するのかは、偶然と考えられる。 こうした現象を一般的に…<対称性の自発的破れ>と呼ぶ。
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(127) <未知の…対称性の破れ?>・・・(3) <対称性の破れ>は…<ヒッグス機構>(/素粒子が質量を獲得するメカニズム)のベース だ。これは前にも触れたが、南部陽一郎氏(/日本生まれのアメリカ人理論物理学者。シカゴ大 学名誉教授、大阪市立大学名誉教授・・・2008年に、小林誠氏、益川敏英氏と共に、ノーベル物理学賞を受賞) が提唱したもの。 宇宙誕生に際しても…<別種の・・・対称性の自発的な破れ>…と解釈できる かも知れないと言う。
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12月 25日 |
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(128) <未知の…対称性の破れ?>・・・(4) 3次元空間の拡大は…<3次元Dブレーン>の形成と、6次元空間が非常に歪ん だ状況とも解釈できる。 ただ、6次元空間の広がりが殆ど見えなく、シナリオの妥当性を示す根拠は、今の 所は無い様だ。
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(129) <未知の…対称性の破れ?>・・・(5) さて… 今…“スーパーコンピューター・京”での<IKKT行列モデル>のシミュレーション は…N=1024。宇宙開闢時のインフレーションが再現できるかどうかを探るには、 十分なデータ数と言う。
《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・(130) <未知の…対称性の破れ?>・・・(6) 計算手法を簡略化し、まず大局的な状況を見ると言う。 “スーパーコンピューター・京”では…【M理論】の<BFSS行列モデル>のシミュ レーションも進んでいる。 結果が出るのは・・・遠くはない!
★ 《最新・宇宙論・・・2/超弦理論より 》・・・・・【 完 了 】
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