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〔Ⅰ〕 始まりは・・・4次元ブラックホール |
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2014年 |
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日経サイエンス 2014 11 特集 新設/宇宙の起源 始まりは4次元ブラックホール (N.アフショルディ ・・・カナダ/ウォータールー大学) (R.B.マン ・・・カナダ/ウォータールー大学) (R.プルハサン ・・・カナダ/ウォータールー大学)
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9月 28日 |
《最新・宇宙論》・・・(1) 特集・新説/宇宙の起源 ★1・・・ 始まりは4次元ブラックホール
宇宙は密度無限大の点(/特異点)から始まる、ビッグバンの過程で出現した。しかし 最近の計算では、ビッグバンの前まで時間を遡ることが可能という。
《最新・宇宙論》・・・(2) その… 特異点/密度無限大の点/…ビッグバン以前の宇宙は…空間次元が1つ高かっ たかも知れないと言う。 この余分な空間次元を持つ宇宙は…現在の宇宙に、その痕跡を残した可能性があ る様だ。それが、今後の天文観測で発見されるかも知れないと言う。 本当だろうか?
《最新・宇宙論》・・・(3) 宇宙は… XYZ軸の3つの空間次元と1つの時間次元を持つ。いわゆる3次元宇宙だ。この3 次元宇宙は4つの空間次元をもつ4次元宇宙の<影>(/2次元世界は、3次元世界が投影 された影絵であり...1次元世界は、2次元の平面が投影された影/線として、理解できる。)だ。 その4次元宇宙で…星が崩壊して <4次元ブラックホール>が生成され…それを 囲む事象の地平/<3次元の殻>(/ブラックホールの重力半径・・・外側の事象から遮断される)… が作られた。
《最新・宇宙論》・・・(4) その… <4次元ブラックホール>の<3次元の殻>が…我々の3次元宇宙という考え 方。当然、宇宙の外…事象の地平の外側は見えない。 我々の3次元宇宙のブラックホールは…観測されるように…事象の地平は2次元 であり、地平の面(/重力半径の面として、ブラックホールを包む。)。4次元宇宙では…3次元の 地平の空間になる。
《最新・宇宙論》・・・(5) さて… 一見、バカバカしく思われるこの考え方には、2つの理由/根拠があるという。 1つ目は… 時間と空間を記述する数学に、しっかりと根ざしているということだ。【ホログラフィ ー理論】の成功は、単なる数学的な変換以上の意味を、確信していると言う。
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9月 29日 |
《最新・宇宙論》・・・(6) 2つ目は… このアイデアが…宇宙の起源や性質に関する…深遠な問題の理解につながる可 能性。 例えば… ビッグバンの直後に、インフレーション/宇宙の急膨張期があり、体積が指数関数 的に増大した。 では… 何がビッグバンを引き起こしたのか…この謎に答えられる!
《最新・宇宙論》・・・(7) ビッグバンから現在までの宇宙の歴史は… アインシュタイン方程式(/一般相対性理論の中で導いた、万有引力・重力場を記述する場の方程式 ) 以下の幾つかの方程式と…5つの独立パラメーターで記述できる。 5つのパラメーターとは…通常物質・暗黒物質・暗黒エネルギーの各密度と…宇宙 初期の量子ゆらぎの大きさ、そして形/スケール依存性だ。
《最新・宇宙論》・・・(8) この主流の宇宙モデルは… 冷たい暗黒物質/Cold Dark Matter に、宇宙項/Λ(ラムダ)を加えた…【Λ-CDM 宇宙モデル】という。 100万光年 ~ 観測可能な100億光年に及ぶ、何百もの観測データを説明。が、 説明には、所々に厄介な穴が開いている…
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9月 30日 |
《最新・宇宙論》・・・(9) 主流/【Λ(ラムダ)- CDM宇宙モデル】の問題点は3つ… <問題点1>は…宇宙の物質密度(/物質とエネルギーは等価・・・等しい)に関するもの。 かつて宇宙は…周期表に掲載の元素/通常物質が…大部分を占めていると思わ れた。しかし現在(/【Λ- CDM宇宙モデル】)は…通常物質はわずか5%…暗黒物質は 25%…残りの70%は暗黒エネルギーだ…
《最新・宇宙論》・・・(10) 暗黒物質というのは… いわゆる未知の物質だが…銀河団や銀河回転の重力源として推定されてきた。 暗黒エネルギーというのは… その莫大なエネルギーから、アインシュタイン方程式の宇宙項(/宇宙項では、そのエネル ギーが何であるかを指定していない)とも、宇宙空間の真空エネルギーとも、ビッグバンの巨 大斥力(/磁石の反発力に似ている。巨大な重力凝集力に抗して、宇宙を加速膨張させたエネルギー)とも推 定された。
《最新・宇宙論》・・・(11) 暗黒物質や暗黒エネルギーの正体は判明していないが…最新の素粒子論ではそ の候補なども、具体的な検証の俎上(そじょう/まな板の上)に上っている。 しかし…【Λ- CDM宇宙モデル】 も…その観測データは5%の通常物質。全質量 の95%は謎のまま。ビッグバンの、より深い理解が必要になる。
《最新・宇宙論》・・・(12) 時間と空間の起源であるビッグバンにより… 絶対温度/1027K以上の粒子と放射からなる、超高温プラズマの宇宙が形成され た。この状況から…ほぼ一様(/天文衛星プランクの測定で・・・不均一性の度合いは、6万分の1以下) で平坦(/限りなく平坦に近い・・・三角形の内角の和が180度になるユークリッド空間)な、現在の様な 宇宙が実現することは、極めて考えにくいわけだ。そこでインフレーションが考えら れた。
《最新・宇宙論》・・・(13) インフレーションは… 宇宙の大規模構造を理解する上で、優れたアイデアだ。宇宙をより平坦にし、密度 と温度を均一にし、エネルギー密度の微小な<量子ゆらぎ>を、宇宙論的サイズ にまで拡大。<量子ゆらぎ>が<種>となって、重力凝集が進み、銀河・恒星・惑 星が形成される…
《最新・宇宙論》・・・(14) 【インフレーション理論】は大成功したパラダイムだ。 研究者は…長年、宇宙初期の密度ゆらぎの記憶/宇宙マイクロ背景放射(/cosmic microwave background = CMB)を解析し、理論的予言を検証。最近の天文衛星プランク の観測でも、宇宙はほぼ平坦で一様であることを確認。予言が検証され理論の正し さを証明した。
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10月 1日 |
《最新・宇宙論》・・・(15) <問題点2>は… インフレーションの膨大なエネルギーは、何処から来たかということ。 ビッグバン直後の宇宙は、インフラトンという仮想粒子のエネルギーで満ちていた 様だ。最近発見されたヒッグス粒子は、インフラトンと似た性質を多く持っていて、 その候補の1つだ。
《最新・宇宙論》・・・(16) 仮想的粒子/インフラトンが存在すれば… 宇宙初期の急膨張と、現在宇宙の大規模構造が説明できる。 インフラトン場のエネルギーが…宇宙の指数関数的膨張のエネルギー源になり… 微小な<量子ゆらぎ>が、大規模構造の<種>となるわずかな<密度ゆらぎ> をもたらす。
《最新・宇宙論》・・・(17) しかし…そうは言っても… インフラトンは問題を先延ばししたに過ぎない。インフラトンの性質はそもそも不明 であり…それが何処から来たのか、どう観測できるのかも分かっていない。さらに、 本当に存在するのかも、実は、確かではない…
《最新・宇宙論》・・・(18) また、そのインフレーションだが…これが自然に消滅したメカニズムが分からない。 これは<華麗な退場の問題>と呼ばれているそうだ。もし何らかの場のエネルギ ーが、宇宙の指数関数的膨張を引き起こしたのなら…どのようにその場を、瞬時に 消滅できたのかだ…?
《最新・宇宙論》・・・(19) 現状では… 【Λ-DCM宇宙モデル】の5つのパラメーターの起源を、インフレーションから導くこと は満足にできていない様だ。 パラメーターは観測に合致する様に、正確に選ぶ必要がある。しかし暗黒物質も暗 黒エネルギーも、実態は観測センサーにもかかっていない。
《最新・宇宙論》・・・(20) さらにまた…インフレーションより前の宇宙の歴史を、満足に記述できていない。 ビッグバン後の…“1兆分の1の・・・その1兆分の1の・・・さらに1兆分の1秒間” に…一体、何が起こっていたのか分かっていない。 いわゆる…何でも有りの<特異点>に…限りなく近くなる。
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10月 4日 |
《最新・宇宙論》・・・(21) <問題点3>は…宇宙の起源! 宇宙論の最大課題は…ビッグバン自体を説明すること! 空間・時間・物質は…<特異点/密度無限大の点>から、ビッグバンにより突然 出現したと考える。<特異点>は想像を絶する奇妙なもの。空間・時間の曲率が 大きすぎ、過去・未来もない。
《最新・宇宙論》・・・(22) <特異点>では… あらゆる物理法則が適用できない。秩序・規則のない世界。そこからは、論理的に 存在しうる全てのものが出現する可能性がある。 その<特異点>から、現在観測されるような、秩序ある宇宙の出現を期待する理 由はないと言う。<ブラックホール>と同じだ!
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10月 5日 |
《最新・宇宙論》・・・(23) <特異点>から出現した宇宙は… 想像を絶する混沌! 温度も、場所ごとに大きく揺れていたと考えるのが自然。 また…この初期宇宙の揺れを平坦にするのに、インフレーションを使えるとは限ら ない。揺れが大き過ぎれば、インフレーションが始まることすらない、と言う。
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10月 6日 |
《最新・宇宙論》・・・(24) <特異点>の諸問題は、インフレーションだけでは解決しない。 <特異点>は想像を絶する奇妙なものだが、我々に馴染みの深いものがもう1つ ある。 ブラックホールだ! 超新星爆発の後にコアが残るが、そのコアが重力崩壊して、大 きさがゼロまで収縮した天体だ。
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10月 7日 |
《最新・宇宙論》・・・(25) もう1つの<特異点>/ブラックホールは… 事象の地平面/重力半径からは光さえ出てこない。重力半径は球面を形成し、エ ネルギーや情報を吸い込む一方。まさに、この宇宙から隔絶している<特異点> なのだ。ここを超えると、エネルギー保存則や、因果律(いんがりつ/すべての事象は、必ず ある原因によって起こり、原因なしには何ごとも起こらないという原理)も成立しない。
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10月 8日 |
《最新・宇宙論》・・・(26) ビックバンと同様にブラックホールの<特異点>も…物理法則は適応外。 しかし…ビックバンの想像を絶する奇妙さと違い…ブラックホールの<特異点> は観測可能な事象の地平面。物質やエネルギーが渦を巻いて落ち込んでいる。 その重力半径は<結界(/聖なる領域と俗なる領域を分け、秩序を維持するために区域を限ること。 本来は仏教用語であるが、古神道や神道における神社なども、同様の概念がある)>のようにも見える。
《最新・宇宙論》・・・(27) ブラックホールの<特異点/結界>は…物質/エネルギーや情報の漏洩(ろうえい) を、完璧に阻止している。その内部の時空構造解も、物理法則の適応外では、まさ に想像するのみ。しかし中で、重力崩壊のなれの果てで…何が起こっていようと、 <特異点/結界>で包まれていて無害だ。
《最新・宇宙論》・・・(28) ブラックホールは… 遠くから観測すると、単純で滑らかな均一構造だ。質量・角運動量・電荷だけで特徴 づけられる。このため、ブラックホールには毛が3本という。この事実は…【ブラック ホールの無毛定理】、または、【ブラックホール唯一性定理】とも呼ばれている。
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10月 9日 |
《最新・宇宙論》・・・(29) <ブラックホール特異点>と異なり…<ビックバン特異点>は事象の地平では 覆い隠されていない様だ。<裸の特異点>/破壊的で予測不能な影響…<ブラ ックホール特異点>と同様に…私達観測者は守られる事は可能か?つまりここで も…<特異点>は事象の地平で包みたい!
《最新・宇宙論》・・・(30) そこで話は最初に戻る… 空間次元の1つ高い4次元宇宙を考える。その事象地平が我々の宇宙という。 <ブラックホール特異点>は3次元宇宙の…2次元の事象地平面/重力半径。 4次元宇宙では3次元の、事象の地平空間となる。つまりそれが、我々の宇宙とい う考えだ。
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10月 12日 |
《最新・宇宙論》・・・(31) 空間次元が…3よりも大きい<余剰次元シナリオ>は古くからある。 最初は、1919年にカルツァ(Theodor Kaluza)が提案し、1920年にクライン(Oskar Klein) が発展させた。カルツァ・クラインのアイデアは、半世紀以上放置されていたが、 1980年代に 【超弦理論(/超ひも理論)】 を研究する物理学者に取り上げられた。
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10月 14日 |
《最新・宇宙論》・・・(32) <余剰次元シナリオ>は… 最近では 【ブレーンワールド】 と呼ばれる宇宙モデルに使われている。ここでは3 次元宇宙は、4以上の空間次元を持つ宇宙に埋め込まれた、膜/ブレーンの様だ と言う。我々の3次元宇宙はブレーンと呼び、4次元以上の宇宙はバルク(/(界面化学 の用語で)・・・ 界面を扱う化学や物理の領域において、界面と接しない物質本体をさす。/ 医薬品原料や中間体を さす。 (物流の用語で)・・・ バルク品 = 在庫品や工業用品などまとめて仕入れられた商品や、パーツをばら売りし たもの。裸であったり簡易包装のみ施されて売られている商品 )と呼ばれる。
《最新・宇宙論》・・・(33) その宇宙モデル/【ブレーンワールド】 では… 我々の知る物質やエネルギーは全て、3次元のブレーンに張り付いている。これは、 2次元スクリーンに投影された映画のようなものだと言う。 ただ…重力だけは例外で、高次元のバルク全体に広がっている。
《最新・宇宙論》・・・(34) さて… ビッグバン以前に存在していたかも知れない、4次元バルク宇宙とはどの様なもの か? そこには…4次元の星や4次元の銀河が存在。4次元の星は、やがて燃え尽きて、 重力崩壊…4次元ブラックホールを形成する。この重力半径(/・・・3次元?)が、3次 元の事象の地平になるわけだ。
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10月 17日 |
《最新・宇宙論》・・・(35) 4次元の星の崩壊を…モデル化した。 その計算によって… 4次元の星の崩壊で放出された物質が、3次元の事象の地平を取り囲む、3次元の ブレーンを形成…徐々に広がっていくことが…様々な条件下で発見したと言う。 私たちの宇宙とは…この3次元ブレーン…なのだそうだ。
《最新・宇宙論》・・・(36) つまり…我々の宇宙は… 4次元の星が崩壊してブラックホールを形成した…4次元の星の、ある種のホログ ラムだと言う。それが、3次元の事象の地平/3次元ブレーンであり…<ビッグバ ン特異点>は逆の立場から…事象の地平に、閉じ込められているのか…? うーむ…??
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10月 20日 |
《最新・宇宙論》・・・(37) さて… ここまで説明して来たわけだが、改めて… この<4次元宇宙/4次元ブラックホール>は、本当に存在するのだろうか? このモデルには幾つか利点がある。 まず、<宇宙の始まり・・・裸の特異点・・・ビッグバン特異点>を取り除き、それ 以前の宇宙が説明できることだ。
《最新・宇宙論》・・・(38) では… 高い精度の<平坦宇宙・一様性宇宙>を説明できるのか? 4次元バルク宇宙は、長い期間存在していた可能性があり…不均一があっても、す でに熱的平行に達していた可能性がある。 4次元宇宙が滑らかなら、そこから生まれた我々の宇宙も、それを引き継いだろう。
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10月 22日 |
《最新・宇宙論》・・・(39) 4次元ブラックホールも… 【ブラックホールの無毛定理】 で、3次元と同様に特徴が無いはずと言う。そこか ら生じる事象の地平面は、均一的な面…それを囲む我々の3次元ブレーン宇宙も 滑らかだろうと言う。4次元星の質量が大きいほど、3次元ブレーンは平坦になると 言う(/・・・3次元球面の半径が大きくなるため)。
《最新・宇宙論》・・・(40) 従って… 我々の宇宙が平坦なのは、4次元宇宙の大質量星の崩壊によって…我々の宇宙 ができた結果なのだと考えられる。 この… ホログラフィック・ビッグバンモデル は…通常の宇宙論における主要問題 を…インフレーションに頼らず、また<ビッグバン特異点>をも回避できる。
《最新・宇宙論》・・・(41) 天動説・地動説の時代から…宇宙論は人類の想像世界の結晶。この宇宙論も荒 唐無稽(こうとうむけい/根拠がないこと、でたらめ)とも言えるが、検証可能な方法が幾つかあ る。 1つは…宇宙マイクロ背景放射… 我々の3次元ブレーンの外部に、4次元ブラックホールの重力で引き寄せた物質が あり…その影響の波及だ。
《最新・宇宙論》・・・(42) この4次元物質の熱的な揺らぎが… 3次元ブレーン上(/3時現世界が、スクリーン上に2次元の映画のように投影されるように・・・4次元世界は、 3次元のブレーン(膜)の上に投影される)の物質に影響を与え…宇宙マイクロ背景放射をわず かに歪め…観測可能な様だ。 計算結果は…プランク衛星(/宇宙背景放射を観測するための、高感度・高分解能の観測装置を備えた 人工衛星。ESA/欧州宇宙機関で2000年に打ち上げられた。2013年10月23日に送信機を停止して、運用を終 えた。)の最新データと比較し、4%ズレ。このズレはまだキチンとしていない、2次的な 効果なのかも知れないと言う。
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10月 24日 |
《最新・宇宙論》・・・(43) また… 4次元ブラックホールが自転していたら…我々の3次元宇宙は等方性ではなくなる と言う。宇宙の大規模構造は、方向によってわずかに異なってくる。 これは…宇宙マイクロ背景放射の全天観測により、わずかな変化から、非等方性 が見つかるかも知れないという。
《最新・宇宙論》・・・(44) 前にも言ったが… このホログラフィック・ビッグバンモデルで宇宙の起源という問題をクリアしても、別 の謎が顔を出して来る。 まず…それでは…親の4次元のバルク宇宙は、何処から来たのかということだ。 天文学的課題は…結局、哲学的な認識問題に還元される様だ…
【新説 宇宙の起源・・・<1> “始まりは4次元ブラックホール”より・・・完・・・】
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