My Work Stationgroup CM理論の窓
 

     wpe61.jpg (7163 バイト) M 理 論 の 窓  wpe5E.jpg (9833 バイト)        

 

    ここは非常に難解な領域です。浅学な私の能力では、表現や概念が微妙に狂ってくる

可能性があります。ご承知置き下さい。なお、そのことに気づき次第、逐次訂正します。

 

              参考文献:

                     “ 超ひも理論からM理論へ” M.J.ダフ  (ロンドン大学インペリアルカレッジ)

                                  日経サイエンス1998年5月号

            

 世界の理論物理学界では、現在まさに真っ赤に燃え上がっている最先端研究領域で

す。日々、新しい論文が続々と発表されているものと思われます。

 

 トップページHot SpotMenu最新のアップロード             塾長 / 統括責任者 :   高杉 光一 

                            

 

 プロローグ                     

 

  最近、超弦理論(超ひも理論)を越えるM理論が登場し、物理学の世界はちょっと

した興奮状態にあるといわれます。さて、このM理論とは一体何なのでしょうか。私

も門外漢ですので、まずこのあたりから探っていきたいと思います。

 

   この宇宙(物理空間)では、4つの基本的な力が観測されています。つまり、重

力、電磁気力、弱い核力、強い核力の4つです。そして、これらを統一する理論とし

て、これまでは超弦理論が最有力と考えられていました。ところがこの超弦理論をも

包含するM理論が登場したということのようです。

 

  M理論の“M”とは...Magic (魔法) のM、Mystery (神秘) のM、Membrane

(膜) のMのどれであってもよいといいます。膜とは、1次元の線分を直角方向に引っ

張っていくと、2次元の面、つまり膜になるということです。この2次元の膜をさらに直

角方向に引っ張っていくと、3次元の立体となります。

    ちなみに、粒子である点を時空間内に置くと、時間軸に沿った“世界線”が描かれ

ます。では、弦理論の弦ではどうなるでしょうか。これは、つまり線分を時間軸に沿っ

て引き伸ばすことになり、“世界面”を描くようになります。さてつぎに、M理論の膜で

はどうなるでしょうか。これは面である膜を時間軸に沿って移動するわけですから、

“世界体積”ということになります。つまり、膜は、トコロテンのような立体となるという

ことです。

 

  では、このM理論は、具体的には何かというと、どうやら11次元構造における超

重力理論のようです。この11次元時空間(空間10次元+時間1次元)における超

重力理論なら、私にも多少の記憶があります。以下は、第2ホームページにある私

の書いたSF小説 “超越の領域” の解説文の一節です。

 

 ・・・・・また、この作品でアイリーン中原が、“11次元構造における超重力理論”を検

討している風景がありますが、これが今話題の“M理論”でしょうか。M理論は“超ひも

理論”を超える究極的な統一理論として騒がれています。当時(10年以上も前でしょう

か...)、私には“11次元構造における超重力理論”の意味が分かっていませんでし

た(今もそうですが...)。サイエンス誌(現在の、“日経サイエンス”)で論文を読みな

がらも、半信半疑だったのを覚えています。しかし、私は半信半疑ながらも、確度の高

い未来風景ということで、わざわざこのスケッチを入れたのを記憶しています。


   当時、半信半疑だったのは、私のせいばかりではなく、それが時代の風だったの

でしょうか。何故かというと、その頃は超ひも理論(超弦理論)が時代を席巻していた

からです。

  しかし、それ以後も、超重力理論の論文は載っていましたし、いずれはその時代

が来るともいわれていました。そして、トップクォークの発見と同じように、私はつい

最近“日経サイエンス”でこのことを知り、「ああ、ついに来たのか...」と知った次

第です。

 まあ、門外漢の野次馬的な立場では、このぐらいが限界でしょうか.....

 

 

(1) 何故、 M理論が出現したのか...その時代的背景    

 

  現代物理学は、一見整然としているかに見えます。しかし、その最も基本的な所

に、大きな矛盾を残しているとも言われます。それは、2本の巨大な柱である量子力

学と一般相対性理論が、しっくりと整合性がとれていないということのようです。つま

り、互いに譲ることの出来ない根本的問題を抱え、そのままここまで発展してきてし

まったということです。

 例えば、一般相対性理論は、素粒子を扱うミクロ世界では適用できないと言いま

す。また、ブラックホールの存在は、量子力学の根本を揺るがすことが分かってきた

と言われます。つまり、両雄並び立たずという事態です。したがって、きたる21世紀

には、物理学において何か大きなものが崩れることが予測されています。またそれ

は、人類文明全体に大きな変革をもたらすことが予想されます。

 これは言いかえると、科学の最も基盤的学問である物理学において、確実にパラ

ダイムシフトがやってくると言うことです。そして、おそらくこれは科学にとどまらず、

人類文明全体のパラダイムシフトとなるだろうと言うことです。

 

 それは、たとえばあのコペルニクスの地動説のように...

 

 あるいはまた、あの偉大なニュートン力学が、

                             相対性理論の波間に没したように...

 

  いずれにせよ、パラダイムシフトは21世紀の扉とともに、着実に人類文明に接近

してきています。そして、まさにこの状況下で、M理論が急激に氷山の一角を浮上さ

せてきたのです。さて、これは一体どのようなものなのでしょうか...

 

 

                                                            (1998.9.21/追加)

(2) 単純で、エレガントな風景を目指して      

 

  難解な概念が続々と出てきますが、しばらくは黙って読み流していってください。

すぐには無理ですが、やがてこの分野の全体風景が見えてくるはずです。そして将

来、一般相対性理論と量子力学がどのように調整されていくのかも、時代の変遷の

中で見えてくると思います。

     

 

    さて、11次元構造における超重力理論などといいますが、今私たちがいるこの

場所は、4次元時空間(空間三次元 + 時間一次元)です。

 

 では、あとの7次元ぶんはどうなっているのでしょうか...

 

    どうやら、あとの7次元ぶんは、ごく大雑把に言えば、押し潰された形で4次元時

空間に絡みついているようです。そして、この微細な閉じた次元こそが、様々な力と

可能性を秘めているようです。      

 

  さて、もう一つ、何故11次元構造なのでしょうか...

 

 一般相対性理論では、時空の次元に制限はありません。つまり、この方程式は、

いかなる次元でも書くことが出来ます。ところが、超重力では、時空は11次元以下

に限定されてくると言います。

 

(1980年代初頭、パリの高等師範学校のクレメール、ジュリア、シャークの3人は、超重力が時空

4次元に、さらに7次元までの次元を許すだけでなく、11次元時空に存在するときが最もエレガント

であることを示した。)          <...参考文献より...>

                         

  しかし、こう言われても、門外漢の私には、何のことか分かりません。詳しくお知りになりたい方

は、その方面の文献をお読みください。このページでは、その数学的解釈ではなく、その言葉の記

憶にとどめます。

 

 くりかえしますが、“11次元時空に存在するときが最もエレガントである”といわれ

ても、門外漢の私には、何の事やらサッパリわかりません。無論、その数式も論文も

見たことがないわけですが...

 ただ、厳正無比を誇る物理学の方程式を判断するのに、エレガントという、いかに

も人間味のある観念的判断が下されているのが妙味です。

「うーむ.....」

 この、“自然界の法則は、単純でエレガントな方が良い”というのは、アインシュタイ

ンの有名な言葉でもあり、その意味する所は分かる気がします。また、そもそも、何

故このようなM理論などを必死で構築しているかといえば、実は自然界の四つの力

重力、電磁気力、弱い力、強い力 を統合し、より単純でエレガントな一つの理論に統一する

ためなのです。つまり、このベクトル(力と方向)は、科学のロマンであり、真実への接近

ということでしょうか...

 

 

(3) 超対称性 ( supersymmetry)

                超弦理論   と  超重力理論 (M 理論)

 

  超弦理論も超重力理論も、ともに“超対称性”という概念に決定的に依拠している

と言われます。ここからしばらくは、こうした分野で扱われている特殊な言葉や概念

を説明しながら、その背景と時代の推移を描いていきたいと思います。

 こうした分野に踏み込んだことのない方には、ぶっきらぼうな説明になりますが、

少しづつ慣れていくためにも、読み流していってください。

 

<超対称性> 

 これは、スピンにかかる対称性のことです。様々な粒子は、その固有の角運動、つま

りスピンによって分類できます。ここに超対称性を導入すると、量子単位で、0、1、

2、...のような整数スピンをもつ粒子それぞれに対して、質量が同じでスピンが半整

数(1/2、3/2、5/2、...)の粒子が存在すること、及びその逆が要請されます。

 しかし残念ながら、そのような超対称性の相手粒子が自然界では見つかっていない

ので、もし超対称性なるものが本当に存在するならば、それは破れていなくてはならな

い。何故なら、存在が要請される粒子は、知られている相手の粒子と同じ質量ではな

く、現在の加速器で観測できないほど重くなければならないからである。

 こうしたことにもかかわらず、超弦理論や超重力理論で超対称性が重視されているの

は、これが自然界で観測されている4つの力を統一する枠組みを与えているからです。

                    

(何のことか分からなくても、言葉の意味はわかると思います。とりあえず、それで十分です。私達はここで、

数学的な意味を解釈しようとしているのではありません。言葉によって、文化的に解釈しようとしているので

すから...)

 

<スピン>

  電子や陽子などの粒子は、地球と同じように自転している。この自転をスピンという。

さらに地球と同様に、自転軸の方向に磁極をもつ小さな磁石(磁気双極子)になっている。

物質中の多数の電子のスピンの方向がそろうと、外部に強い磁場をつくる。これが、鉄

などの強磁性である。   <...現代用語の基礎知識より...>

                       

 

<第5番目の次元>

  ロシアの物理学者カルツァとスウェーデンの物理学者クラインの主張した第5の次元

は、平坦ではなく円の形をしている。そして、この円周に沿って量子の波がうまく収まる

ように存在する。一周してちょうど元に戻る“整数の波”のみが、この円周にうまく収ま

り、それぞれが異なるエネルギーの粒子に対応する。つまり、4次元時空に住んでいる

我々には、それらはエネルギーの形ではなく、それぞれの電荷をもった粒子に見えるこ

とになる。

 電荷の単位は、この円の半径に依存します。電子の電荷eにふさわしくなるには、円

の半径は、約10のマイナス33乗センチメートルでなければならないと言われます。こ

のようにきわめて小さな円のため、第5の次元は人間にもクォークにも見えなくなってい

るようです。

< しかし、この第5の次元は、電磁気の力を生み出し、4次元の世界に依存する重力

を、この力に統一させます。>

< さて、カルツァ・クラインの5次元ではなく、超重力では、11次元を考えなくてはなりま

せん。11次元から4次元を引いた残りの7次元は、どのようになっているのでしょうか。

これが、押し潰された形で絡みついているといわれても、どうも直感的には分かりにくい

ものがあります。しかし、いずれにしても、これらの余分な次元がどのように丸められて

いるかによって、我々の4次元の風景が変ってくるようです。そしてまさに、この幾つも

あるカルツァ・クライン風に丸められた次元から、電磁気力、弱い核力、強い核力等を

導き出すことが可能になったといわれます。>

                       

( これだけでは意味がわからないと思いますが、とりあえず概略を心に留めておいてください。)

 

 ところで、超重力理論は、1984年に一度失脚しています。つまり、四つの力を統

合する理論の座から引きずり下ろされています。これは、“自然界は非対称であり、

左右は区別される”という現実と対応できなかったからです。そこで、10次元超弦理

論(超対称性弦理論)の登場となります。これには5種類あります。

 

× ヘテロティック     <輪をなしてる閉じた弦理論>

SO(32) ヘテロティック   <輪をなしてる閉じた弦理論>

Type UA                <輪をなしてる閉じた弦理論>

Type UB             <輪をなしてる閉じた弦理論>

   SO(32) Type 1                <線分からなる開いた弦理論> 

 

 

<超弦理論> superstring theory

  現在の素粒子理論の最大の課題は、重力まで含めた四つの力を全部統一して導き

出す理論をつくることであり、そのための候補として提案されたのが、超ひも理論あるい

は超弦理論である。これまでの物理学では、基本粒子は点粒子であるというのが大前

提であったが、この理論では基本になるものはゴム輪のようなヒモである。これによって

初めて、重力場の粒子をゲージ粒子と同等に扱えるようになった。まだ、実験に対して

予言が出来るような段階には達していない。    <...現代用語の基礎知識より...>

                             

 

<超弦理論の問題点>

(1) 実験と理論を突き合わせる問題で、従来の計算法を超える革新的な技術が要求さ

れる。

(2) 一つの統一理論を追求しているのに、5つもの弦理論があるというのは、そもそも

変なのではないか。

(3) 超対称性は11次元まで許すのに、なぜ超弦理論は10次元までなのか。

<下記の日経サイエンスの参考文献では、このように書かれているのですが、何故なのでしょうか...>       

(4) 点状粒子を弦とみなすのなら、なぜ膜や、もっと一般的な

P­次元の物体(P­ブレーン)と呼ぶものではいけないのか...

 

<P­ブレーン

 一般的なP­次元の物体のことです。今後よく出てくる概念ですので、記憶しておいてく

ださい。

 

                                                  (1998.10.7 /追加)

 

  さて、下記の日経サイエンスの参考論文によれば、ディラックが“膜”にもとづいた

素粒子の模型を作っていたとあります。1962年ですから、今から36年も前のこと

です。また、ディラックは量子力学の生みの親の一人といいますから、物理学をや

っている人にとっては、伝説的な人物なのでしょうか...

  私がディラックについて知っているのは、真空を“ディラックの海”と言っていたこ

と、それから、ずいぶんと色々な事をやった人だなあといった程度です。時々その業

績を目にする機会もあったわけですが、内容はみんな忘れてしまったということで

しょうか...

  さあ、そのディラックですが、彼は電子を点とみなすかわりに、微細な泡と仮定し

たそうです。そして、その振動が電子の親類であるミュー中間子のようなものになる

かも知れないと示唆したといいます。しかし、この試みは失敗しました。ただ、ディラ

ックが膜に課した方程式は、本質的にはこの論文の筆者たちが扱っているものと同

じだそうです。ちなみにこの膜は、泡のかたちをとってもよいし、ゴムシートのように2

次元に広がってもよいそうです。

( これだけでは門外漢には何のことだか分かりませんが、とりあえず “なるほど...” と思っていて

ください。この論文では方程式も出てきませんし、数学的解釈もしていません。文章による解釈のみ

です。)

 

 <話を進めます>

  超弦理論やM理論が決定的に依拠する超対称性は、P­ブレーン(一般的なP­次元の物

体)のとりうる次元に、厳しい制限を課します。そこで、バーグショフ、セズギン タウン

ゼントの3人は、11次元時空に数学的に矛盾のない膜の理論が存在することを発

見しました。この膜は空間2次元方向に広がっており、シートのように見えるといい

ます。

 

 さて、11次元のうち、一つの次元が円に丸まる時 (カルツァー・クライン風に )...

 

  この時、膜を円の周りに一回巻きつけ、両端をつなげば、管 ( くだ ) が作れることを

発見しました。そしてもし、この円の半径が十分に小さければ、巻きついた膜は10

次元の弦のように見えます。また、実際にこれは、“type 2A超弦理論”そのものだ

といいます。

           ( 発見者は、ロンドン大学の、ハウ、ステレ、論文筆者のM.J.ダフ、それから中央大学の稲見武夫 )

 

  うーむ、話が少しづつ核心に迫ってきました。また、難しくもなってきました。私のように基礎学力

がなく、ただこの一つの論文からだけで理解するのはきわめて困難です。しかし、読解力で何とか読

み分けていきますので...

 ( まさに、解体新書(ターヘルアナトミア)を読み分けした、前野良沢、杉田玄白、中川順庵

たちの気分です。ま、それ程でもないか...)

 

  さて、“type 2A超弦理論”とM理論(11次元構造における超重力理論)はつなが

ったのですが、これだけではコペルニクス的転回とはいかなかったようです。しかし、

衝撃は思いがけない別の角度から来ました。そこで、また少し、その方面の言葉や

概念の解説をしていきます。

 

保存量

 ドイツの数学者のネーターは、粒子の質量や電荷などの性質は、対称性があるため

に保存されていることを示した。つまり、エネルギーの保存であり、電荷の保存です。

 一方、保存量の中には、“場の連続的な変形によって変えることができないために、

時間的に不変なものがある。”といいます。そして、このような保存則は、位相的(トポロ

ジカル)であると言うそうです。

                   ( うーむ...これだけでは、よく分かりませんが...)

 

トポロジー (位相数学)

 連続的に変形しても不変な、物の形の特徴を調べる分野。

 

ソリトン

 “場の配置にねじれがあって、それを連続変形で解消できないとき、それはソリトンと

呼ばれる”

 “ソリトンは位相的安定性を持つために、消滅することがなく、粒子とよく似たふるまい

をする。”

 

 下記の参考論文には、このような説明がなされています。私はソリトンについての論

文を、同じ日経サイエンスで2、3度読んだ記憶があります。しかし、未だにその本質的

な理解がなく、中途半端なままになっています。

 ただ、地震のときに発生する津波が、ソリトン波だということはよく記憶しています。津

波はソリトン波であるために、消えることがありません。そのために、南米のチリ沖でお

こった地震の津波が、はるか太平洋を超え、日本の三陸海岸に大きな被害を及ぼしま

した。つまり、ソリトン波とは、これほどの伝播力と破壊力のあるものだということです。

 

 つぎに、“現代用語の基礎知識”で、ソリトンについて調べてみました。

 

ソリトン   < soliton  ...現代用語の基礎知識より...> 

 水面のさざ波のように、山と谷が幾つも連なって規則的に進むのが、波の一般的な姿

であるが、これは振幅(山の高さ)が小さい時のことで、振幅が大きいと非線形の波とな

り様子が変る。

 19世紀にイギリスの運河で、山が一つだけの波(孤立波)が水面を一キロメートル以

上も走りつづけるのが観測された。これが非線型の波の研究の始まりで、孤立波はソリ

トンと呼ばれるようになった。ソリトンの特徴は、形が崩れずに長距離を進むことであ

る。流体、プラズマ、強磁性体、光学などの分野で、ソリトンが観測されている。光ファイ

バー・ケーブルを伝わる光ソリトンは日本のNTTやアメリカのAT&Tで研究が進み、実用

化されれば、毎秒1000億ビットもの光パルスが送れるようになる。

                                <...現代用語の基礎知識より...>

                      

 

非線形性

 線形性とは、原因と結果が比例する比例関係をいいます。物理学のほとんどの常識

は、ここに入ります。

 それに対して非線形性とは、例えばバネが切れてしまい、比例関係がなくなってしまう

領域です。カオスやソリトンは、この非線形物理の範疇に入ります。

 

磁気単極子 (モノポール)

 これは仮想的に、棒磁石を半分に切断し、N極の単体、S極の単体を作ったものに似

ています。しかし、実際には棒磁石を半分に切断してもこのような単極子はできません。

何故なら、磁石はN極とS極が常に一対として存在しているからです。したがって、ゲー

ジ理論で予測されてはいても、まだ自然界では発見されていません。

 

 ゲージ理論では、磁気単極子 が “ねじれた配位” として現れるといいます。つま

り、ソリトン ということでしょうか...

( こんな抽象的なことを言われても、門外漢には何のことやら...ま、一応読み流しておきましょう...)

 

 

(4)双対性という概念            

                      < 実際の衝撃は、この方向から来たようです... >

 

 ところで、保存量にはネーター的な電荷 ( いわゆる電荷 ) と、位相的電荷、つまり

トポロジカルな電荷(磁荷)があります。

 

      ネーター電荷 = 電荷  

                 (基本粒子である電子やクォークによって運ばれる。)

       位相的電荷  = 磁荷                

               (複合粒子である磁気単極子のようなもので運ばれる。)

      

双対性 ...< モントーネン・オリーブ仮説 >

 双対性とは、上記のネーター電荷(電荷)と位相的電荷(磁荷)の役割が入れ替わる現

象。

 

( このような「双対」な描像では、磁気単極子が基本的なものであり、クォークや電子と

いった粒子は、ソリトンとして現れる。)

 

「 うーむ...なるほど...???...ま、いいか...」

 

 もうあと少しです。頑張って書き上げます。何のことやら分からなくても、最後までお読

みください。それが必ず力となり、次へのステップにつながります。

 

                                                            (1998.10.15/追加)

 

 上記の“双対性”もう少し正確に言うこと、こういうことになるようです。

                  (以下抜粋。傍線は、私が入れました。)

 

 もっと正確に言うと、電荷e の基本粒子は、電荷1/e のソリトンと同等である。なぜな

ら電荷は、粒子が相互作用する強さの度合いに相当するからである。単極子はもとの

粒子が強く相互作用するとき(これは e が大きい場合にあたる)には弱く相互作用す

る。また、その逆も正しい。

 

 もしこの仮説が正しいなら、

          これは理論の著しい簡略化をもたらす。

 

 たとえばクォークの理論では、クォークが強く相互作用するときはほとんど何も計算で

きない。しかしこの時、単極子は弱く相互作用するはずである。したがって、単極子に基

づいた双対の理論で計算すれば、クォークに対するすべての答えが得られると考えら

れる。

 

(5) コペルニクス的転回       

 

  1990年、P­ブレーン がソリトンとみなせることが発見されました。これは、10次

元の弦理論が、5­ブレーンであるソリトンを与えることを発見したものです。さらに言うと、強く相

互作用する弦が、弱く相互作用する­ブレーンに双対等価である可能性を示唆したものです。

                     < サンタバーバラの理論物理学研究所のストロミンジャーの業績 >

 

   ただし、この双対性を確立するには、二つの障害がありました。

 

第一は、電気と磁気の双対性が、まだ実際には証明されていな かったこと。

第二は、­ブレーンの量子化に深刻な困難がいくつもあったことです。

 

 このうち第一の障害は、電荷と磁化の両方を持ったある種のソリトンが存在するこ

とが確立され、解決されました。

                               <ボンベイのタタ基礎研究所のセンの業績>

 

  これらのソリトンは、モントーネン・オリーブ仮説で予言されていたものでした。また、この論文は、

最初は目立たないものだったと言われます。しかし、それから多くの人々を転向させ、以後大量の

論文が吐き出されることになりました。このあたりが、いわゆるコペルニクス的転回でしょうか...

 

 第二の問題は、1994年頃から崩れ始めました。弱く相互作用する「ヘテロティック

弦理論」が、「強く相互作用するTypeUA弦理論」と6次元時空で双対である可能性

が示唆されました。このあたりから、異なる弦理論の間の壁が崩壊しはじめました。

                    < クイーンメリー大学のハル及びタウンゼント の業績>

 

(6) 双対性の双対性        

 

 さて、難しい理論やアナロジーは抜きにして...双対性には「S双対性」と「T双対

性」があります。この参考文献の筆者は、一連の高度な類推から、双対性の双対性

を導き出しています。

  これはどのような意味があるのかというと、すでに確立された「T双対性」の双対

性として、「S双対性」を確固たる基盤の上に引きづり出したことです。これまで、「S

双対性」は思弁的であり、きわめて曖昧なものでしかなかったのです。

 

 論文では、さらにこのように言っています。

 

( 粒子が相互作用する強さが、見えない次元の大きさによっていることを予言する。

ある宇宙では電荷であるものが、違う宇宙では空間の大きさなのである.)

 

 

 

                                                           (1998.10.27/追加)

 

<10次元から11次元へ   >  (参考文献の見出しを、そのまま借用します)

                (このあたりは、論文の非常に重要な部分なので、しばらく抜粋していきます...) 

 

  1995年の南カリフォルニア大学での画期的な講演で、ウィッテンはT−双対性と

S−双対性、弦−弦双対性に関する仕事のすべてを「11次元のM理論」の傘の下

に統一的に描いて見せた。それに続く何ヶ月かの間、M理論が何であれ、それが膜

を含む理論であることを確認する論文が何百通もインターネット上に現れた。

 左右の非対称性をもち、11次元からの導出は不可能と思われてきたE×Eの弦

でさえ、M理論にその起源を持つことが明らかにされた。ウィッテンはプリンストン大

学のホジャバとともに、M理論の余分な次元がどのようにつぶれて線分になるかを

示した。

 彼らの描像では、線分の端にそれぞれ2つの10次元の宇宙があり、それらは11

次元時空でつながっている。粒子と弦は両端にある平行な宇宙にのみ存在し、それ

らは重力を通してのみ、互いに力を伝え合える。(もしかすると私達のすむ宇宙は、

この1つの壁に乗っていて、もう1つの壁にダークマターと呼ばれる物質が乗ってい

るのかもしれない。)

 

  理解できたでしょうか。おそらく、これだけでは何のことかよく分からないと思いま

す。これだけの説明で理解できるとしたら、それはこの方面の専門分野の研究者だ

けではないでしょうか。しかし、私達にも、その数学的な奥深いところは分からずと

も、大体のイメージは沸いてくるのではないでしょうか。門外漢のレベルとしては、そ

れで十分と思いますが...

  私達の宇宙の対極の壁に乗っているというダークマターとは、この宇宙に大量に

存在するはずだといわれる暗黒物質のことです。計算上、私達が直接目撃している

銀河系や銀河団の合計では、この宇宙に存在する総質量が合いません。何故それ

が分かるかというと、例えば、銀河回転などの運動が、見かけの質量と合致しない

からです。そこで、私達の目に見えている物質の総質量に匹敵するほどの、目に見

えていない物質が想定されています。それが、ダークマター(暗黒物質)です。

 

  さて、ここで原点に返り、なぜM理論が提唱されたのか、なぜ重要なのかを、もう

一度考えてみます。それはM理論が、この宇宙で観測されている、4つの力を統一

する可能性を持つからです。その4つの力とは、

  < 強い力 / 弱い力 / 電磁気力 / そして、重力 >

 

(正確を期すため、参考文献より抜粋)

  ウィッテンとホジャバが描いたこの奇妙な時空では、4つのすべての力がこの共通

の大きさで一致するように11次元の大きさを選ぶことができる。それは重力が強く

なると期待されている<10の16乗>ギガ電子ボルトよりはるかに小さい。

(量子力学では、高いエネルギーと小さい距離とが対応する。プランクエネルギーは、エネルギーで表わされたプラン句距

離である。)

  そのため、量子重力効果は、これまで物理学者が信じていたよりも、はるかに日

常的なエネルギー領域付近で起こる。これは宇宙論に大きな影響を及ぼす。

 

 

<ブラックブレーンとは...>

                                   (正確を期すため、参考文献より抜粋)

  最近、サンタバーバラの理論物理学研究所のポルチンスキーはある種のP−ブレ

ーンが、ドイツの数学者ディリクレの発見した表面とよく似ていることを示した。これら

のブレーンは、光さえ出られないブラックホール、つまり「ブラックブレーン」と呼ぶべ

きものと解釈できる。

 たとえば、開いた弦は、その一部がブラックブレーンの後ろに隠された閉じた弦と

みなすことができる。このような進展は、ブラックホールを「7つの丸まった次元に巻

きついた交差するブラックブレーン」と見るという新しい解釈をもたらした。この結果、

M理論は、ケンブリッジ大学のホーキングの唱えるブラックホールのパラドックスを解

決する可能性を持ってきた。

 

  ブラックホールは完全な黒体ではなく、エネルギーを放射している.../1974

年、ホーキング.....

  この場合、ブラックホールはエントロピーを持つ。しかし、この量子状態の微視的

な起源は謎とされてきました。

 

 ストロミンジャーとバッファ(ハーバード大学)は、ディリクレ・ブレーンの技術を使

い、ブラックブレーン中の量子状態を数えることができた。彼らはホーキングの予言

と完全に一致するエントロピーを発見し、それによって、M理論に新たな名誉を加え

たのである。

 ブラックブレーンはまた、弦理論のもっとも大きな問題の一つを解決する可能性を

約束している。この課題とは、10次元を4次元に落とす異なる方法が何十億とあるよ

うに見えることである。それゆえ、理論に全く予言能力がない。しかし、ブラックブレ

ーンの質量は、それが巻きついている時空の孔がつぶれるときに消滅することが示

された。この事実は時空に不思議な効果を及ぼす。つまり、ある数の孔を内部にも

つ時空(ちょうどグリュエールチーズのような時空)が、古典的な位相幾何学の定理

を破って、異なる数の孔をもった時空へと変ることが許されるのである。

 もしすべての時空がこのように関係付けられているのなら、正しい時空を見つける

のはより扱いやすい問題になる。たとえば弦は、究極的には最もエネルギーの小さ

い時空を選んでそこに住むであろう。その振動が私達の知っている素粒子や力とな

る。これが現実の宇宙である。

 

  M理論は日進月歩で開発されているようですが、まだその全貌は見えてきていな

いといいます。おそらく、その全体風景のスケールが見えてくる時、人類文明は新た

なパラダイムに踏み出しているのではないでしょうか。そしてそれは、それほど遠い

未来のことでもなさそうです。

 

 

<M理論の精密な定義>

  これは、ラトガース大学のバンクスとシェンカー、テキサス大学のフィッシャー、スタ

ンフォード大学のサスカインドによって提案されています。

 

(以下、内容の正確を期すために、再び抜粋します。)

 彼らの“行列模型”は、無限個の0−ブレーン(つまり粒子)に基づいている。これ

らの粒子の座標または位置は、普通の数ではなく、「交換しない(つまりxyとyxが等

しくならない)行列である。このように座標が普通の数ではなく行列で定義されると、

時空自体がボヤけた概念となる。

  物理学者は長い間、重力つまり時空の幾何と量子物理を統一すると、すくなくとも

新しいより良い定義が見つかるまでは、時空がうまく定義できなくなると考えていた。

行列模型の研究方法は大きな興奮を引き起こしたが、まだ最終的な段階には至っ

ていないように見える。今後2、3年かけて、私たちはM理論が本当に何であるかを

発見したい。

 

  さて、M理論というものの概略が多少でも分かっていただけたでしょうか。実は私

も、理論物理学方面の論文を、ここまで深く読み分けてみたのは初めてです。そし

て、このことで、多くのことを学んだような気がします。私の知識などは、大雪原の中

のウサギの足跡ほどのものでしかありませんが、かすかにそのあたりを吹く風を感

じることができました。

  一方、こうした領域は、数学という道具をつかわなければ、なかなか理解できない

ものがあると思います。しかし、そうなると、それはすなわち、きわめて専門的なもの

になってしまうわけです。したがって、門外漢が文化的に理解するという点では、こ

の程度でよいのではないでしょうか。こうした理解を積み重ねていけば、やがて一般

文化の中でも受け入れられていくものと思います。

 

   

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