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ポスト・エボラ症候群の考察 ( Twitter/1 ~ 72 / 完
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2016年8月~ |
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8月 23日 |
《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(1) 担当: 厨川 アン 夏川
清一
『日経サイエンス』 2016/09 エボラ出血熱/制御不能! <ジャンプ> エボラ戦線・レポート
<ジャンプ>
《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(2)
「ええ…」アンが言った。 「《危機管理センター》 の方に…《響子の・・・小倉百人一首》 を終えて、里中響子さ んが復帰したので、留守を預かっていた私が、こちらの方に回って来ました…」
《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(3)
エボラ出血熱の、その後を考察します。 夏川さん… <エボラ生還者 = エボラ出血熱から回復した患者>たちは、<ポスト・エボラ症 候群>に苦しんでいる様ですね、」
《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(4)
そうですねえ…リベリアには、<エボラ生還者>が1500人程います。幸運にも死を免 れた生還者ですが、<その多くは現在も・・・記憶障害・筋肉痛・目の問題>…で苦し んでいます」
《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(5)
疾病の発生原因や予防などを研究する学問 )/ファラーは… 2016年2月に、米/マサチューセッツ州/ボストンで開かれた会議で、<エボラ生還 者>に関する、過去最大の調査結果を報告しています。 それによると…エボラウイルス感染による、急性発作を生き延びた患者の過半数が、後 に…
《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(6)
経的な困難>を抱え、6割は<目の問題>を報告していると言います」 「はい…」アンが、大きくうなづいた。「WHO(世界保健機関)が3月に、【国際的に懸念され る公衆衛生の緊急事態】 を解除(/2014年8月8日に出した宣言を、2016年3月29日に、1年8カ月ぶり に、解除)した後も…
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8月 24日 |
《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(7)
「そうです…」夏川が言った。「<ポストエボラ症候群>の存在は、以前から指摘されて いました。 過去20年間に…アフリカ東部・中央部で、小規模アウトブレークが何度かあり、その生 還者が、<関節痛・
《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(8)
ーク自体が限られ、生還者も少なかったのです。 しかし…2014 ~ 2016年の西アフリカの大流行では、1万7000人が生還し、<ポス トエボラ症候群/エボラ後症候群>…
《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(9)
>…のです!」 「はい!」アンが、コクリとうなづき、モニターに目を移した。「ええと… 疫学者/ファラーの研究室は…リベリアの首都/モンロビアの、ジョン・F・ケネディ記念 医療センターの片隅にあると言います」 「はい、」夏川が、うなづいた。
《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(10)
疫学を学びました。 今回の、エボラ出血熱の発生時には、<初期対応として施される治療>と、<ワクチ ンを評価>するチームに、加わっていました。<エボラ生還者>に関する研究は…
《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(11)
ええと…2014年…NIH(/米国立衛生研究所)とリベリア厚生省は、<PREVAIL>という 共同プロジェクトを組織しました。これは、<リベリアにおけるエボラワクチン研究> の略です。 でも…“幸運にも”…と言うべきなのでしょうが…
《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(12)
染者数が予想以上に減少しました。 このために、<第1期の調査研究・・・PREVAIL-1>は…ワクチンの安全性と免疫 応答だけを調べる内容に縮小し、効果の評価は見送られました。つまり、中途半端に終 わってしまったわけです」
《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(13)
終盤はそんな流れでしたねえ、」 「そうですね…」アンが言った。「でも… <PREVAIL>の科学者たちは、その医療資源を、<エボラ出血熱の後遺症>の方に 振り向けました」
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8月 26日 |
《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(14)
ボラ症候群>の症例報告が、西アフリカ全域から集まって来るようになりました。 2015年6月に、リベリアで<エボラ生還者>の調査が始まって以来…
《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(15)
「ふーむ…」夏川が、うなづいた。 「向こう…」アンが言った。「5年間にわたり… 半年ごとに健康状態をチェックする体制です。健診はリベリア国内3カ所で行い、<生 還者は・・・
《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(16)
染者で・・・対照群(/対照群と実験群は・・・原因と目される処理を実験群に施すということ以外は、まったく同一 でなければならない)>となります。 ファラーは、<対照群を・・・6000人規模で設定>することで、<ポストエボラ症候 群>による健康問題と、一般人の健康問題を区別できる…としています」
《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(17)
前に述べた、2016年2月の米/マサチューセッツ州/ボストンの会議での…過去最 大の調査結果報告は…最初のものでしたが、非常に厳しい数字となりました。 調査参加の、<約1000人の・・・エボラ生還者>のうち…
《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(18)
関連問題>を抱えている、と報告しています。 ええ…ファラーのチームは… <エボラウイルスが・・・神経系にどの様なダメージを及ぼすか>…をさらに深く探 り…2016年4月の神経病学関連の会議で…
《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(19)
<エボラ生還者>の…<3/4近くが・・・頭痛>、<72%が・・・抑うつ>、<過半 数が・・・記憶障害・歩行困難>…の状況と言います。 また…<エボラ生還者の4~5人に1人は・・・目に変化が生じ・・・視力に影響>… していました」
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8月 27日 |
《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(20)
「はい…」夏川が、顎に手を当てた。 「これは…<眼球壁の中層/ぶどう膜>、が炎症を起こして腫(は)れる病気ですわ」 「ファラーは…」夏川が言った。「<視覚の問題>に注目した様ですねえ、」
《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(21)
いが見られました。中でも、<最初の標的は目>でした。 ファラーは…<エボラ生還者>を1990年代まで遡って調べ…その多くが、回復期の <目の問題>を記述していた、と言います。」
《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(22)
コンゴで発生したアウトブレークでは、20人の<エボラ生還者>が調べられ…<4人 に・・・目の痛み/光刺激に対する過敏性/視力低下/ぶどう膜炎>…が認めら れたと言います。 それから、2007年… ウガンダで発生したアウトブレークでは…
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8月 28日 |
《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(23)
上にわたって追跡されました。 <記憶障害/関節痛/睡眠障害/難聴・・・そして、目の奥の痛み/像が滲んで 見える>…との報告がありました。 より最近では…これは今回の…
《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(24)
<エボラ生還者>を調べた例があります。 全員が退院後…最長で4カ月にわたって、様々な<ポストエボラ症候群/エボラ後 症候群>の症状に苦しんだ、という事です。
《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(25)
下や痛み等・・・目に関連する問題>…がありました」 「うーむ…」夏川が言った。「そうですねえ… <ポストエボラ症候群/エボラ後症候群>という後遺症は、現実であるという事に…
《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(26)
「そうですね…」アンが、うなづいた。「でも… <エボラウイルスが・・・どの様にして・・・これらの諸問題を引き起こすのか?>… という事は…既存のデータだけでは、説明がつかないのです」 「うーむ…」夏川が、ガウンのポケットに片手を入れた。「この種の混乱は、かつて別の …
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8月 29日 |
《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(27)
「はい…」アンがうなづいた。「HIV/エイズウイルスですわ。 1980年代…人類文明にとって脅威となりつつあった、HIVに対してとった方法が、エボ ラウイルスについても試されている様です」
《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(28)
()が、ファラーに協力しています。 ナスは過去30年間の大半を、脳の感染症研究に当ててきた研究者と言われます。エボ ラウイルスはHIVの様なレトロウイルスでは…
《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(29)
今後、エボラウイルスが神経系に及ぼす影響の理解は、急速に進む.だろう…と考えて いる様です。 ナスはこう言っています… 「エボラウイルスの研究は・・・
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8月 31日 |
《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(30)
HIV研究でキャリアを積んできた。だから、身につけた知識と技能を、エボラ患者 の研究に、すぐに応用できている・・・」 …と、」 「うーん…」アンが言った。「そうですね…」
《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(31)
ボラウイルス病>は… 1976年6月…現在の、南スーダン/…自衛隊のPKO活動で話題になっている所/ …当時のザイールの、エボラ川付近で最初のアウトブレークがあり…
《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(32)
た。 でも、同じアフリカ中央で発生したと言われるHIVの様な、<性感染/文明病>では なく、アフリカの1部地域の風土病に限定されていました。ですから研究も限られ…
《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(33)
た」 「まあ…」夏川が言った。「厳重な完全隔離施設で、莫大な予算のかかる研究の割に は、患者が少なく、本格的なワクチン研究もされず、儲からない研究だったのです。市 場経済下では、予算・人材はHIV研究に投下されて来ました。」 「はい…」アンが、瞳を閉じ、うなづいた。
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9月 1日 |
《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(34)
HIV研究でキャリアを積んできたナスですが…彼はいぶかっている様です… <エボラ生還者の神経症状が・・・ウイルスが直接原因なのか・・・それとも感染症 に対する、免疫系応答が引金なのか・・・?>…という事ですわ、」
《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(35)
「例えば…」アンが言った。「HIVは、<脳のマクロファージ/免疫細胞>に感染し、サ イトカインと総称される小さなタンパク質を放出させ、このサイトカインが脳細胞を傷つ けますわ、」 「そうですねえ…」
中枢神経系である脳や脊髄の血管は、細菌やウイルスなどの影響を防ぐための特殊な関所として、血液脳関門を形 成しています。免疫細胞はもとより、大きなタンパク質なども血液脳関門を通過できません。 しかし、中枢神経系にも細菌やウイルスが感染し、ガンや炎症などに起因する難病が発症します。こうした背景から、病原 体や免疫細胞などが、脳などの中枢神経系へ入るゲートの存在する可能性が、示されています。)
《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(36)
カインストーム(/多量のサイトカインが引き起こす、炎症反応の嵐)>を生じ得ることが、猿を使った 実験で分かっています。 これは脳を含め、全身に大量出血をもたらします。エボラ生還者に見られる、<記憶障 害・頭痛・・・
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9月 2日 |
《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(37)
「うーん…」アンが、額の赤毛を指ではいた。「そうですね… 神経学者は脳への影響に関して、HIVに手がかりを求めていますが…他の研究者は、 別のウイルスにも目を向け、別の症状にアプローチ…
《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(38)
それは…<エボラ生還者が訴える・・・極度の疲労の問題>です。<デング熱患者 の1/4と、エプスタイン・バー(EB)ウイルス感染症患者の40%近く>が…急性症 状が治まった後、こうした疲労感を経験します。これは炎症性のサイトカイン…
《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(39)
<食欲不振>を、引き起こす場合があるのです。 それから…<ポストエボラ症候群/エボラ後症候群>で、最も多く見られる症状が、 <関節痛>です…」 「その様ですねえ…」夏川が、ゆっくりとうなづいた。
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9月 3日 |
《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(40)
1995年の…コンゴ(/コンゴ民主共和国)でのアウトブレークの場合、<エボラ生還者の 2/3近くが・・・2年後にも関節痛を経験>…しています。 ウガンダでの、あるアウトブレークの場合は…
《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(41)
これは…肩や腰などの関節内部に沈着した<免疫系タンパク質の塊>が、炎症と腫 れを引き起こしている可能性がある、という事です。抗体などの免疫分子も原因となり 得るので…
《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(42)
あ、コンゴのアウトブレークの例では…<関節痛を訴えた生還者は・・・それ以外の 生還者と比べて・・・抗体レベルが高かった>…という事です」 「うーむ…」夏川が、顎に手を当てた。「<Dダイマー>という…
《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(43)
「そうですね…」アンが言った。「<Dダイマー>は血栓が分解して生じる、タンパク質 の小さな欠片(かけら)ですが…エボラとは別の感染症から回復した患者の、<関節痛> との関連性が…
《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(44)
髄膜炎菌(Neisseria meningitides/ずいまくえんきん/・・・主に髄膜炎を生じる細菌)感染後に、<関節痛> を患っている患者は…血液中の<Dダイマー濃度>が高いという事ですね。 <エボラ生還者>については、<Dダイマー>を調べる研究は、まだなされていない 様です」 「うーむ…」夏川が、うなづいた。「その様ですねえ…」
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9月 4日 |
《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(45)
★ エボラウイルスの・・・<隠れ家>の存在
★ エボラウイルスに対する、免疫応答の結果である可能性が指摘されますが…<目には 他にも・・・不気味な問題>が存在します」 「<エボラウイルスの・・・隠れ家(かくれが)の問題>ですね…」夏川が言った。
《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(46)
後になっても、<眼球内で・・・ウイルスが増殖している可能性>、があると言います。 眼球は…免疫系による検出と防御の手が届かない場所として、<安全な隠れ家>に なっている様です」
《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(47)
ある<エボラ生還者>の眼球は、ウイルスで一杯だったと言います。 世界中で報道され…私たちも記憶していますが… シエラレオネで救援医療に当たったアメリカ人医師/クロージアは…2014年9月に感 染・発病し、アメリカの病院で治療を受けて回復しました。」
《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(48)
「しかし…」夏川が言った。「退院して、2カ月後… 彼は<左目に痛みを感じると共に・・・青かった目の色が・・・緑色に変わっている> …ことに、気付いたと言います。」 アンが、うなづいた。 「医師団が…クロージアの眼球に針を挿入して…
《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(49)
ウイルスよりも、多いほどだったと言います」 「はい…」アンが、大きくうなづいた。「怪我などで、外部に漏れ出していたら…これはこ れで、大変な問題だったかも知れませんね、」
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9月 5日 |
《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(50)
<ウイルスの隠れ家は・・・眼球>だけではない様です。元々、<精巣・中枢神経系 ・関節の軟骨>は、HIVなど幾つかの病原体の避難所になり得る、とされています。 これらの重要な器官の場合は、侵入した外来物に免疫系が…
《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(51)
これを避けるために…こうした器官は<免疫抑制分子や物理的障壁>などの、巧妙 な仕組みを備えています。しかし、これが、ウイルスにとっての理想的な<隠れ家>を 提供しているわけです」
《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(52)
(Pauline Cafferkey)が、血液検査でウイルス陰性となった9カ月後に、再発し…さらに、最初 の感染から1年後に再び発病した例は、<隠れ家>に潜んでたウイルスということで、 説明がつきますわ…」
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9月 6日 |
《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(53)
<精巣が・・・エボラウイルスの隠れ家>だとすれば…無症状が何カ月も続いた、 <1部の・・・エボラ生還者>の精液に、ウイルスが残っていた事例も、説明がつきま す。 西アフリカで…今回のアウトブレークが発生した時、WHO(世界保健機構)は血液検査で…
《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(54)
に配慮する様に、<警告> しています。 この助言は…<発症から82日後のエボラ生還者の精液からウイルスが見つかった ・・・1995年/コンゴ民主共和国での事例>…に基づいていました。」
《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(55)
今回の西アフリカのアウトブレークでは…<1部の・・・エボラ生還者>の精液中に、も っと、ずっと長くウイルスが残る事例も見られ…1年以上に及ぶ例もある様ですね、」 「ファラーは…」夏川が言った。「前述の例のボストン会議で…
《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(56)
出した事例>も、報告しています。また、<1年の間に・・・精液からウイルスがいっ たんは消えて・・・再び出現した事例>も…複数あったと言います」 「はい…」アンが、コクリとうなづいた。「それで、WHOは現在…
《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(57)
査>…を推奨していますわ、」 「はい…」夏川が言った。「ええ… ファラーの手元に、2015年11月に息子をエボラで亡くした、ある女性の記録があると 言います。ええ…家族の証言によると…
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9月 7日 |
《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(58)
ファラーは別の可能性を疑いました。この母親は<エボラ生還者>と性交渉を持ち、 自分自身の感染を知らないまま、ウイルスを息子にうつしてしまった可能性です…」 「ふーん…」アンが、顎に手を当て、難しい顔をした。
《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(59)
があったのです。 2015年3月…エボラで死亡した女性が…その6カ月前に、治療ユニットから出た男性 と性交渉をしていた事が判明しました。この男性は…
《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(60)
「うーん…悲劇的ですね、」アンが言った。 「症状が消え…」夏川が言った。「血液検査が陰性になった後も、ウイルスが残存すると なると…<2つの理由で・・・心配だ! >とファラーは言います」
《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(61)
「まず…」夏川が言った。「<健康に見える人に・・・エボラウイルスが潜んでいる場 合>…ウイルスはいずれ、<体内の・・・隠れ家>から出て…病気が再発するという 事です。そして、それが、<感染力がある場合>は…
《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(62)
ただし…<エボラ生還者>の体液に、<ウイルスの・・・ゲノムやRNA断片>が見つ かっても、感染力があるとは限らないと、ファラーは言っています」 「はい…」アンが、大きくうなづいた。
《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(63)
<一連の発見が・・・エボラ生還者に押す・・・負の烙印だ>…と言います。 <ポストエボラ症候群/エボラ後症候群>を患う人は、医師も病状を説明できず、い つまで続くのかも不明というのは、大きな苦痛です」
《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(64)
安易な接触もアウトブレークのリスクも高まりますし…HIVの初期と似ているかも知れま せんね」 「まあ…」夏川が言った。「グローバル経済世界の中で、<明確なリスク>がまた1つ、 加わったという事ですねえ、」
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9月 9日 |
《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(65)
すが、女性の側の卵巣や子宮も、<隠れ家>となるのでしょうか?」 「ファラーは…」夏川が、口に手を当てた。「子宮も疑っていますが、まだ明確ではない様 ですねえ、」
《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(66)
<ワクチン>も中途半端ですし、それを確かめるための臨床試験もできない状態です。 凶暴なアウトブレークが、終息した状況下では、です。 しかし…<ポストエボラ症候群/エボラ後症候群>の研究は、着実に進んでいる様 ですね。いずれ、HIV(エイズウイルス)の様に…
《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(67)
「はい…」アンが、うなづいた。「あらためて… このエボラウイルスの、<狡猾・凶暴性>を感じますわ。レトロウイルスのHIVは、その 変化の狡猾さに驚きました。レトロウイルスではないエボラは、違った意味で、<狡猾・ 凶暴性>を持ちますわ… 新興感染症は…中国大陸南部のコロナウイルス(/SARSコロナウイルスやMERSコロナウイルス)や インフルエンザという呼吸器系と…アフリカ中央部のHIVやエボラが代表格ですが、ア フリカ中央部型は<狡猾性>が際立っていますわ…」
《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(68)
ね。HIVは、濃厚な接触がなければ感染はしませんが… エボラは接触感染で、潜伏期間も非常に短く、症状も急激で、致死性です。<HIVとは 裏返しの・・・狡猾・凶暴性>です」 「はい…」アンが、ゆっくりとうなづいた。
《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(69)
必ず、また発生するでしょう! 脅しでも、なんでもなく…<想像を絶する・・・バイオハザード! >となったとしても… グローバル世界の現状下では…これを否定する材料がありません…」
《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(70)
もちろん、研究は大車輪で進めるわけですが…」 「はい…」アンが、うなづいた。「絶望的なのは… 現在の、<持続可能な経済成長/・・・経済ゴッコのダイナミズム>…と言う、世界の パラダイムそのものが…空洞化したまま…<人類文明の・・・破局点>に向かっている という事ですわ。 この…<21世紀・大艱難(だいかんなん)> の中で…世界に、リーダーが不在ですわ…」
《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(71)
この状況下で… <戦争ゴッコに・・・莫大な予算を注ぎ込み! >… <TPPで・・・グローバル化を加速! >させ… <無意味な・・・原発を再稼動! >させ… <少子化対策で・・・子供を増やせ! >とは… まさに…<文明の破局点に向かって・・・万歳突撃! >…をしている状況ですね…」 「その通りですわ!」アンが、額の赤毛を払った。
《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(72)
最後に一言… 私たちは…<21世紀・大艱難>に対処する方策として、〔人間の巣のパラダイム〕を 提唱して来ていますが…この“万能防護力”は…バイオハザードにも、最強です!」
《 ポスト・エボラ症候群・・・の考察 /完 》
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