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 ポスト・エボラ症候群の考察   

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2016年8月~                  上 か ら 下  へ      
 8月 23日

岡田健吉‏@zu5kokd1               

《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(1)

             担当: 厨川 アン  夏川 清一

“参考文献”

『日経サイエンス』  2016/09

       ポストエボラ症候群
                       (S.ヤスミン/Seema Yasmin/…科学ジャーナリスト)

<HP内の・・・参考ページ>

                エボラ出血熱/制御不能    <ジャンプ>

      エボラ戦線・レポート    <ジャンプ>

 

 

岡田健吉‏@zu5kokd1               

《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(2)


生物情報科学厨川(くりやがわ)アンです!」アンが、胸で両手を組み、頭を下げた。

「ええ…」アンが言った。

《危機管理センター》 の方に…《響子の・・・小倉百人一首》 を終えて、里中響子さ

復帰したので、留守を預かっていた私が、こちらの方に回って来ました…」

 

岡田健吉‏@zu5kokd1               

《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(3)


「まず…」アンが言った。「西アフリカ/ギニア・シエラレオネ・リベリア大流行となった、

エボラ出血熱の、その後考察します。

夏川さん…

<エボラ生還者 = エボラ出血熱から回復した患者>たちは、<ポスト・エボラ症

候群>苦しんでいる様ですね、」

 

岡田健吉‏@zu5kokd1               

《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(4)


「あ、夏川清一です」夏川が、白いガウンの前を合わせた。「バイオハザード担当です。

そうですねえ…リベリアには、<エボラ生還者>1500人程います。幸運にもを免

れた生還者ですが、<その多くは現在・・・記憶障害・筋肉痛・目の問題>…で苦し

んでいます」

 

岡田健吉‏@zu5kokd1               

《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(5)


リベリア出身の…」夏川が言った。「疫学者(えきがくしゃ/疫学とは・・・個人ではなく、集団を対象とし、

疾病の発生原因や予防などを研究する学問 )/ファラーは…

2016年2月に、米/マサチューセッツ州/ボストンで開かれた会議で、<エボラ生還

者>に関する、過去最大調査結果を報告しています。

それによると…エボラウイルス感染による、急性発作を生き延びた患者過半数が、後

に…

 

岡田健吉‏@zu5kokd1               

《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(6)


<筋肉と関節の問題>報告していると言います。感染から1年後に、2/3<神

経的な困難>を抱え、6割<目の問題>報告していると言います」

「はい…」アンが、大きくうなづいた。「WHO(世界保健機関)3月に、【国際的に懸念され

る公衆衛生の緊急事態】解除(/2014年8月8日に出した宣言を、2016年3月29日に、1年8カ月ぶり

に、解除)した後も…


 8月 24日

岡田健吉‏@zu5kokd1               

《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(7)


<ポストエボラ症候群>に苦しんでいるわけですね、」

「そうです…」夏川が言った。「<ポストエボラ症候群>存在は、以前から指摘されて

いました。

過去20年間に…アフリカ東部・中央部で、小規模アウトブレークが何度かあり、その

還者が、<関節痛・

 

岡田健吉‏@zu5kokd1               

《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(8)


・筋肉痛・目の問題>…を患い、多くが就労不能になりました。これまでは、アウトブレ

ーク自体が限られ、生還者も少なかったのです。

しかし…2014 ~ 2016年西アフリカ大流行では、1万7000人生還し、<ポス

トエボラ症候群/エボラ後症候群>

 

岡田健吉‏@zu5kokd1               

《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(9)


…の危機下にあります。西アフリカでの、<エボラ大流行は・・・まだ終わっていない

…のです!」

「はい!」アンが、コクリとうなづき、モニターに目を移した。「ええと…

疫学者/ファラーの研究室は…リベリア首都/モンロビアの、ジョン・F・ケネディ記念

医療センター片隅にあると言います」

「はい、」夏川が、うなづいた。

 

岡田健吉‏@zu5kokd1               

《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(10)


ファラーは…」アンが言った。「リベリアスラム街で育った後…米/ハーバード大学

疫学を学びました。

今回の、エボラ出血熱発生時には、<初期対応として施される治療>と、<ワクチ

ンを評価>するチームに、加わっていました。<エボラ生還者>に関する研究は…

 

岡田健吉‏@zu5kokd1               

《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(11)


…ここから生まれたわけですね。

ええと…2014年…NIH/米国立衛生研究所)リベリア厚生省は、<PREVAIL>という

共同プロジェクトを組織しました。これは、<リベリアにおけるエボラワクチン研究>

の略です。

でも…“幸運にも”…と言うべきなのでしょうが…

 

岡田健吉‏@zu5kokd1               

《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(12)


ワクチン最初の安全性試験が完了する前に、リベリアでの流行下火になり…

染者数予想以上減少しました。

このために、<第1期の調査研究・・・PREVAIL-1>は…ワクチン安全性免疫

応答だけを調べる内容に縮小し、効果の評価は見送られました。つまり、中途半端に終

わってしまったわけです」

 

岡田健吉‏@zu5kokd1               

《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(13)


「うーむ…」夏川が、顎に手を当てて、うなづいた。「我々の《エボラ戦線レポート》でも、

終盤はそんな流れでしたねえ、」

「そうですね…」アンが言った。「でも…

<PREVAIL>科学者たちは、その医療資源を、<エボラ出血熱の後遺症>の方に

振り向けました」


 8月 26日

岡田健吉‏@zu5kokd1               

《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(14)


ファラーは…」アンが言った。「リベリアでのこの研究責任者任命され、<ポストエ

ボラ症候群>症例報告が、西アフリカ全域から集まって来るようになりました。

2015年6月に、リベリア<エボラ生還者>調査が始まって以来…

 

岡田健吉‏@zu5kokd1               

《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(15)


<確定済み生還者/1500人の内・・・1000人以上>が参加しています」

「ふーむ…」夏川が、うなづいた。

「向こう…」アンが言った。「5年間にわたり…

半年ごと健康状態チェックする体制です。健診リベリア国内3カ所で行い、<生

還者は・・・

 

岡田健吉‏@zu5kokd1                ポストエボラ症候群の考察

《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(16)


・・・友人家族を4人>を連れて、健診所に来る体制ですわ。この、<4人は・・・非感

染者で・・・対照群(/対照群と実験群は・・・原因と目される処理を実験群に施すということ以外は、まったく同一

でなければならない)となります。

ファラーは、<対照群を・・・6000人規模で設定>することで、<ポストエボラ症候

群>による健康問題と、一般人健康問題区別できる…としています」

 

岡田健吉‏@zu5kokd1              

《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(17)


「ええ…」アンが言った。「ファラーが…

前に述べた、2016年2月米/マサチューセッツ州/ボストン会議での…過去最

調査結果報告は…最初のものでしたが、非常に厳しい数字となりました。

調査参加の、<約1000人の・・・エボラ生還者>のうち… 

 

岡田健吉‏@zu5kokd1               

《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(18)


<60%が・・・目の問題><53%が・・・筋肉痛・関節痛><68%が・・・神経

関連問題>を抱えている、と報告しています。

ええ…ファラーチームは…

<エボラウイルスが・・・神経系にどの様なダメージを及ぼすか>…をさらに深く探

り…2016年4月神経病学関連の会議で…

 

岡田健吉‏@zu5kokd1               

《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(19)


報告していますわ。

<エボラ生還者>の…<3/4近くが・・・頭痛><72%が・・・抑うつ><過半

数が・・・記憶障害・歩行困難>…の状況と言います。

また…<エボラ生還者の4~5人に1人は・・・目に変化が生じ・・・視力に影響>

していました」


 8月 27日

岡田健吉‏@zu5kokd1               

《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(20)


これを詳しく調べると、<10%が・・・ぶどう膜炎>を起こしていました」

「はい…」夏川が、顎に手を当てた。

「これは…<眼球壁の中層/ぶどう膜>、が炎症を起こして(は)れる病気ですわ」

ファラーは…」夏川が言った。「<視覚の問題>注目した様ですねえ、」

 

岡田健吉‏@zu5kokd1               

《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(21)


「そうですね…」アンが言った。「流行時から、<エボラ生還者>症状発現には、

が見られました。中でも、<最初の標的は目>でした。

ファラーは…<エボラ生還者>1990年代まで遡って調べ…その多くが、回復期

<目の問題>記述していた、と言います。」

 

岡田健吉‏@zu5kokd1               

《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(22)


「まず、」アンが言った。「1995年

コンゴで発生したアウトブレークでは、20人<エボラ生還者>が調べられ…<4人

に・・・目の痛み/光刺激に対する過敏性/視力低下/ぶどう膜炎>…が認めら

れたと言います。

それから、2007年

ウガンダで発生したアウトブレークでは…


 8月 28日

岡田健吉‏@zu5kokd1               

《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(23)


…起こったアウトブレークがでは…49人<エボラ生還者>健康状態が、2年以

にわたって追跡されました。

<記憶障害/関節痛/睡眠障害/難聴・・・そして、目の奥の痛み/像が滲んで

見える>…との報告がありました。

より最近では…これは今回の…

 

岡田健吉‏@zu5kokd1               

《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(24)


西アフリカアウトブレークでしょうか。アメリカ国内病院治療を受けた、8人

<エボラ生還者>調べた例があります。

全員退院後最長で4カ月にわたって、様々な<ポストエボラ症候群/エボラ後

症候群>症状苦しんだ、という事です。

 

岡田健吉‏@zu5kokd1               

《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(25)


<6人は・・・抑うつや不安・記憶障害等・・・心理的な問題><5人は・・・視力低

下や痛み等・・・目に関連する問題>…がありました」

「うーむ…」夏川が言った。「そうですねえ…

<ポストエボラ症候群/エボラ後症候群>という後遺症は、現実であるという事に…

 

岡田健吉‏@zu5kokd1               

《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(26)


疑問の余地はない、という事ですねえ、」

「そうですね…」アンが、うなづいた。「でも…

<エボラウイルスが・・・どの様にして・・・これらの諸問題を引き起こすのか?>

という事は…既存のデータだけでは、説明がつかないのです」

「うーむ…」夏川が、ガウンのポケットに片手を入れた。「この種の混乱は、かつて別


 8月 29日

岡田健吉‏@zu5kokd1               

《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(27)


感染症ウイルスをめぐってもありましたねえ、」

「はい…」アンがうなづいた。「HIV/エイズウイルスですわ。

1980年代人類文明にとって脅威となりつつあった、HIVに対してとった方法が、エボ

ラウイルスについても試されている様です」

 

岡田健吉‏@zu5kokd1               

《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(28)


「うーむ、そうですね…」夏川が言った。「NIH(/米国立衛生研究所)神経病学者/ナス

()が、ファラー協力しています。

ナス過去30年間大半を、脳の感染症研究に当ててきた研究者と言われます。エボ

ラウイルスHIVの様なレトロウイルスでは…

 

岡田健吉‏@zu5kokd1               

《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(29)


…ないものの、HIV感染に対する人体の反応の、長年研究蓄積があります。従って

今後エボラウイルス神経系に及ぼす影響理解は、急速に進む.だろう…と考えて

いる様です。

ナスはこう言っています…

「エボラウイルスの研究は・・・


 8月 31日

岡田健吉‏@zu5kokd1               

《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(30)


・・・HIV研究の恩恵を受けている。エボラに関わっている私たち研究者の多くは、

HIV研究でキャリアを積んできた。だから、身につけた知識と技能を、エボラ患者

の研究に、すぐに応用できている・・・」

…と、」

「うーん…」アンが言った。「そうですね…」

 

岡田健吉‏@zu5kokd1               

《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(31)


“最強最悪”と言われた…」アンが言った。「<エボラウイルス/エボラ出血病/エ

ボラウイルス病>は…

1976年6月…現在の、南スーダン/…自衛隊のPKO活動で話題になっている所/

…当時のザイールの、エボラ川付近最初アウトブレークがあり…

 

岡田健吉‏@zu5kokd1               

《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(32)


<感染者284人/死亡者151人>を出し、その凶暴性世界中に知れ渡りまし

た。

でも、同じアフリカ中央発生したと言われるHIVの様な、<性感染/文明病>では

なく、アフリカの1部地域風土病限定されていました。ですから研究も限られ…

 

岡田健吉‏@zu5kokd1               

《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(33)


…大きい所では、生物兵器可能性に備えて、米/軍事予算投入された程度でし

た」

「まあ…」夏川が言った。「厳重な完全隔離施設で、莫大な予算のかかる研究の割に

は、患者が少なく、本格的なワクチン研究もされず、儲からない研究だったのです。

場経済下では、予算・人材HIV研究に投下されて来ました。」

「はい…」アンが、瞳を閉じ、うなづいた。


  9月 1日

岡田健吉‏@zu5kokd1               

《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(34)


「そうですね…」アンが、小さくうなづいた。「さて…

HIV研究キャリアを積んできたナスですが…彼はいぶかっている様です…

エボラ生還者の神経症状が・・・ウイルスが直接原因なのか・・・それとも感染症

に対する、免疫系応答が引金なのか・・・?…という事ですわ、」

 

岡田健吉‏@zu5kokd1               

《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(35)


「ふーむ…」夏川が、口に指を当てた。

「例えば…」アンが言った。「HIVは、<脳のマクロファージ/免疫細胞>感染し、

イトカイン総称される小さなタンパク質を放出させ、このサイトカイン脳細胞を傷つ

けますわ、」

「そうですねえ…」


★/脳のマクロファージ

中枢神経系である脳や脊髄の血管は、細菌やウイルスなどの影響を防ぐための特殊な関所として、血液脳関門を形

成しています。免疫細胞はもとより、大きなタンパク質なども血液脳関門を通過できません。

しかし、中枢神経系にも細菌やウイルスが感染し、ガンや炎症などに起因する難病が発症します。こうした背景から、病原

体や免疫細胞などが、脳などの中枢神経系へ入るゲートの存在する可能性が、示されています。)

 

岡田健吉‏@zu5kokd1               

《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(36)


エボラウイルスも…」夏川が言った。「マクロファージ感染して、<猛烈な・・・サイト

カインストーム(/多量のサイトカインが引き起こす、炎症反応の嵐)生じ得ることが、を使った

実験で分かっています。

これはを含め、全身大量出血をもたらします。エボラ生還者に見られる、<記憶障

害・頭痛・・・


  9月 2日

岡田健吉‏@zu5kokd1               

《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(37)


・・・運動障害>は、これで説明できそうだと言います」

「うーん…」アンが、額の赤毛を指ではいた。「そうですね…

神経学者への影響に関して、HIVに手がかりを求めていますが…他の研究者は、

別のウイルスにも目を向け、別の症状アプローチ

 

岡田健吉‏@zu5kokd1               

《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(38)


…していますわ。

それは…<エボラ生還者が訴える・・・極度の疲労の問題>です。<デング熱患者

の1/4と、エプスタイン・バー(EB)ウイルス感染症患者の40%近く>が…急性症

が治まった後、こうした疲労感経験します。これは炎症性サイトカイン

 

岡田健吉‏@zu5kokd1               

《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(39)


…が原因の様です。サイトカイン脳細胞受容体に作用すると、<感染後疲労>

<食欲不振>を、引き起こす場合があるのです。

それから…<ポストエボラ症候群/エボラ後症候群>で、最も多く見られる症状が、

<関節痛>です…」

「その様ですねえ…」夏川が、ゆっくりとうなづいた。


  9月 3日

岡田健吉‏@zu5kokd1               

《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(40)


「ええ…」アンが、モニターに目を流した。「<関節痛>に関しては…

1995年の…コンゴ(/コンゴ民主共和国)でのアウトブレークの場合、<エボラ生還者の

2/3近くが・・・2年後にも関節痛を経験>…しています。

ウガンダでの、あるアウトブレークの場合は…

 

岡田健吉‏@zu5kokd1               

《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(41)


<エボラ生還者の1/3が・・・2年後にも関節痛を経験>…していますわ。

これは…などの関節内部に沈着した<免疫系タンパク質の塊>が、炎症

を引き起こしている可能性がある、という事です。抗体などの免疫分子原因となり

得るので…

 

岡田健吉‏@zu5kokd1               

《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(42)


<関節痛>を示す<サロゲートマーカー/代替指標>ともなる様ですね。

あ、コンゴアウトブレークの例では…<関節痛を訴えた生還者は・・・それ以外の

生還者と比べて・・・抗体レベルが高かった>…という事です」

「うーむ…」夏川が、顎に手を当てた。「Dダイマー>という…

 

岡田健吉‏@zu5kokd1               

《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(43)


…別のタンパク質も、<関節痛>関与している可能性があると言いますねえ、」

「そうですね…」アンが言った。「Dダイマー>血栓分解して生じる、タンパク質

小さな欠片(かけら)ですが…エボラとは別の感染症から回復した患者の、<関節痛>

との関連性が…

 

岡田健吉‏@zu5kokd1               

《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(44)


…示されています。

髄膜炎菌(Neisseria meningitides/ずいまくえんきん/・・・主に髄膜炎を生じる細菌)感染後に、<関節痛>

を患っている患者は…血液中Dダイマー濃度>高いという事ですね。

<エボラ生還者>については、Dダイマー>を調べる研究は、まだなされていない

様です」

「うーむ…」夏川が、うなづいた。「その様ですねえ…」


  9月 4日

岡田健吉‏@zu5kokd1               

《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(45)

★ エボラウイルスの・・・<隠れ家>の存在 ★


「ええ…」アンが言った。「<目に関する問題>も…

エボラウイルスに対する、免疫応答結果である可能性指摘されますが…<目には

他にも・・・不気味な問題>存在します」

<エボラウイルスの・・・隠れ家(かくれが)の問題>ですね…」夏川が言った。

 

岡田健吉‏@zu5kokd1               

《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(46)


「はい…」アンが、うなづいた。「患者血液中からエボラウイルスが消え…さらにずっと

後になっても、<眼球内で・・・ウイルスが増殖している可能性>、があると言います。

眼球は…免疫系による検出防御手が届かない場所として、<安全な隠れ家>

なっている様です」

 

岡田健吉‏@zu5kokd1               

《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(47)


「うーむ…」夏川が、口に手を当てた。「実際に…

ある<エボラ生還者>眼球は、ウイルス一杯だったと言います。

世界中報道され…私たちも記憶していますが…

シエラレオネ救援医療に当たったアメリカ人医師/クロージアは…2014年9月

染・発病し、アメリカの病院治療を受けて回復しました。」

 

岡田健吉‏@zu5kokd1               

《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(48)


アンが、小さくうなづぎ、頭を傾げた。

「しかし…」夏川が言った。「退院して、2カ月後

彼は<左目に痛みを感じると共に・・・青かった目の色が・・・緑色に変わっている>

…ことに、気付いたと言います。」

アンが、うなづいた。

医師団が…クロージア眼球針を挿入して…

 

岡田健吉‏@zu5kokd1               

《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(49)


…調べたところ、多数エボラウイルスが見つかったと言います。重体だった際の血中

ウイルスよりも、多いほどだったと言います」

「はい…」アンが、大きくうなづいた。「怪我などで、外部に漏れ出していたら…これはこ

れで、大変な問題だったかも知れませんね、」


  9月 5日

岡田健吉‏@zu5kokd1               

《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(50)


「そうですね…」夏川が言った。「さて…

<ウイルスの隠れ家は・・・眼球>だけではない様です。元々、<精巣・中枢神経系

・関節の軟骨>は、HIVなど幾つかの病原体避難所になり得る、とされています。

これらの重要な器官の場合は、侵入した外来物免疫系が…

 

岡田健吉‏@zu5kokd1               

《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(51)


攻撃を仕掛けると、とばっちりを受けて細胞傷つく恐れがあります。

これを避けるために…こうした器官<免疫抑制分子や物理的障壁>などの、巧妙

な仕組みを備えています。しかし、これが、ウイルスにとっての理想的<隠れ家>

提供しているわけです」

 

岡田健吉‏@zu5kokd1               

《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(52)


「はい…」アンが、うなづいた。「<エボラ生還者>英国人看護師/キャファキー

(Pauline Cafferkey)が、血液検査ウイルス陰性となった9カ月後に、再発し…さらに、最初

の感染から1年後再び発病した例は、<隠れ家>に潜んでたウイルスということで、

説明がつきますわ…」



  9月 6日

岡田健吉‏@zu5kokd1              

《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(53)


問題は…」夏川が言った。「精巣です…

<精巣が・・・エボラウイルスの隠れ家>だとすれば…無症状何カ月も続いた、

<1部の・・・エボラ生還者>精液に、ウイルスが残っていた事例も、説明がつきま

す。

西アフリカで…今回のアウトブレークが発生した時、WHO(世界保健機構)血液検査で…

 

岡田健吉‏@zu5kokd1              

《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(54)


ウイルス陰性となった後も、少なくとも3カ月は、コンドーム着用などの安全なセックス

に配慮する様に、<警告> しています。

この助言は…<発症から82日後のエボラ生還者の精液からウイルスが見つかった

・・・1995年/コンゴ民主共和国での事例>…に基づいていました。」

 

岡田健吉‏@zu5kokd1              

《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(55)


「はい…」アンが、うなづいた。「でも…

今回の西アフリカアウトブレークでは…<1部の・・・エボラ生還者>精液中に、

っと、ずっと長くウイルスが残る事例も見られ…1年以上に及ぶ例もある様ですね、」

ファラーは…」夏川が言った。「前述の例のボストン会議で…

 

岡田健吉‏@zu5kokd1              

《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(56)


<感染18カ月後の・・・リベリアでのエボラ生還者の精液中に・・・ウイルスを検

出した事例>も、報告しています。また、1年の間に・・・精液からウイルスがいっ

たんは消えて・・・再び出現した事例も…複数あったと言います」

「はい…」アンが、コクリとうなづいた。「それで、WHOは現在…

 

岡田健吉‏@zu5kokd1              

《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(57)


<男性のエボラ生還者に・・・1年間の安全なセックスと・・・精液の繰り返しの検

査>…を推奨していますわ、」

「はい…」夏川が言った。「ええ…

ファラーの手元に、2015年11月息子エボラで亡くした、ある女性の記録があると

言います。ええ…家族の証言によると…



  9月 7日

岡田健吉‏@zu5kokd1              

《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(58)


<エボラ患者や、エボラ生還者>との接触は、一切なかったと言います。そこで、

ファラー別の可能性を疑いました。この母親<エボラ生還者>性交渉を持ち、

自分自身感染を知らないまま、ウイルス息子にうつしてしまった可能性です…」

「ふーん…」アンが、顎に手を当て、難しい顔をした。

 

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《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(59)


ファラーは…」夏川が言った。「性交渉感染したとみられる事例を、以前に調べた事

があったのです。

2015年3月エボラ死亡した女性が…その6カ月前に、治療ユニットから出た男性

性交渉をしていた事が判明しました。この男性は…

 

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《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(60)


<血液はエボラウイルス陰性でしたが・・・精液は陽性>だったのです」

「うーん…悲劇的ですね、」アンが言った。

症状が消え…」夏川が言った。「血液検査陰性になった後も、ウイルス残存すると

なると…<2つの理由で・・・心配だファラーは言います」

 

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《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(61)


「はい…」アンが、赤毛を揺らし、頭を傾げた。

「まず…」夏川が言った。「<健康に見える人に・・・エボラウイルスが潜んでいる場

合>ウイルスはいずれ、<体内の・・・隠れ家>から出て…病気再発するという

事です。そして、それが、<感染力がある場合>は…

 

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《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(62)


新たなアウトブレーク発生し得る、という事です。

ただし…<エボラ生還者>体液に、<ウイルスの・・・ゲノムやRNA断片>が見つ

かっても、感染力があるとは限らないと、ファラーは言っています」

「はい…」アンが、大きくうなづいた。

 

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《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(63)


ファラーが…」夏川が言った。「懸念する2つ目は…

<一連の発見が・・・エボラ生還者に押す・・・負の烙印だ>…と言います。

<ポストエボラ症候群/エボラ後症候群>患う人は、医師病状説明できず

つまで続くのかも不明というのは、大きな苦痛です」

 

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《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(64)


「そうですね…」アンが言った。「でも…

安易接触アウトブレークリスクも高まりますし…HIVの初期と似ているかも知れま

せんね」

「まあ…」夏川が言った。「グローバル経済世界の中で、<明確なリスク>また1つ

加わったという事ですねえ、」


  9月  9日

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《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(65)


「夏川さん…」アンが言った。「精巣は、エボラウイルス<隠れ家>である事は濃厚

すが、女性の側卵巣子宮も、<隠れ家>となるのでしょうか?」

ファラーは…」夏川が、口に手を当てた。「子宮疑っていますが、まだ明確ではない様

ですねえ、」

 

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《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(66)


「ともかく…」夏川が言った。「現段階では…

<ワクチン>中途半端ですし、それを確かめるための臨床試験もできない状態です。

凶暴アウトブレークが、終息した状況下では、です。

しかし…<ポストエボラ症候群/エボラ後症候群>研究は、着実に進んでいる

ですね。いずれ、HIV(エイズウイルス)の様に…

 

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《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(67)


その実態が、見えて来るでしょう」

「はい…」アンが、うなづいた。「あらためて…

このエボラウイルスの、<狡猾・凶暴性>を感じますわ。レトロウイルスHIVは、その

変化の狡猾さに驚きました。レトロウイルスではないエボラは、違った意味で、<狡猾・

凶暴性>を持ちますわ…

新興感染症は…中国大陸南部コロナウイルス(/SARSコロナウイルスやMERSコロナウイルス)

インフルエンザという呼吸器系と…アフリカ中央部HIVエボラ代表格ですが、

フリカ中央部型<狡猾性>が際立っていますわ…」

 

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《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(68)


<最強・最悪>と言われる様に…」夏川が言った。「やはり、エボラの方が脅威です

ね。HIVは、濃厚な接触がなければ感染はしませんが…

エボラ接触感染で、潜伏期間非常に短く症状も急激で、致死性です。<HIVとは

裏返しの・・・狡猾・凶暴性>です」

「はい…」アンが、ゆっくりとうなづいた。

 

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《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(69)


「ええ…」アンが、インターネット正面カメラを見た。「エボラ出血熱アウトブレークは、

必ずまた発生するでしょう!

脅しでも、なんでもなく<想像を絶する・・・バイオハザードとなったとしても…

グローバル世界現状下では…これを否定する材料がありません…」

 

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《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(70)


「ただ…」夏川が言った。「そうならない事を、祈る、しかないのでしょう。

もちろん、研究大車輪で進めるわけですが…」

「はい…」アンが、うなづいた。「絶望的なのは…

現在の、<持続可能な経済成長/・・・経済ゴッコのダイナミズム>…と言う、世界の

パラダイムそのものが…空洞化したまま…<人類文明の・・・破局点>に向かっている

という事ですわ。

この…<21世紀・大艱難(だいかんなん) の中で…世界に、リーダー不在ですわ…」

 

岡田健吉‏@zu5kokd1              

《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(71)


「まあ…」夏川が、ガウンのポケットに両手を入れた。「私の専門分野ではないのですが、

この状況下で…

<戦争ゴッコに・・・莫大な予算を注ぎ込み

<TPPで・・・グローバル化を加速させ…

<無意味な・・・原発を再稼動させ

<少子化対策で・・・子供を増やせとは…

まさに…<文明の破局点に向かって・・・万歳突撃! >…をしている状況ですね…」

その通りですわ!」アンが、額の赤毛を払った。

 

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《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》・・・(72)


「ええ…」アンが言った。「これで、《ポスト・エボラ症候群・・・の考察》を終わりますが…

最後に一言…

私たちは…<21世紀・大艱難>対処する方策として、〔人間の巣のパラダイム〕

提唱して来ていますが…この“万能防護力”は…バイオハザードにも、最強です!

 

     《 ポスト・エボラ症候群・・・の考察 /完