Lucanus laminifer Waterhouse, 1890

ラミニフェル・タテイタミヤマ 4 亜種



体形は細身ながらも大顎が非常に長くなり大顎を含めた全長は80-85mmに達する。その細長いフォルムで他種からは際立つグループであるが、もう一つの特徴は独特な頭部の形状にあり、タテイタミヤマと言われた所以(ゆえん)だろう。この他にプラネツットミヤマクワガタ・Lucanus planeti Planet, 1899 やヘルマンミヤマクワガタ・Lucanus hermani DeLisle, 1973、 台湾のフォルモッサミヤマクワガタ・Lucanus formosanus Planet, 1899 などが知られている。
北東インドから東南アジア、中国西部、台湾、などがこの系統の主な産地だが、Mizunuma & Nagai 1994 (世界のクワガタムシ大図鑑)では奄美大島のアマミミヤマクワガタもこのグループとされている。どの亜種も魅力の有る良いミヤマである。

Contribution to the knowledge of the stag beetles of the genus Lucanus
from Southeastern Asia (Coleoptera Lucanidae) 1999.


- 南東部アジアのLucanus属クワガタに関し知り得た事についての寄稿 - において Michele Zilioli 氏はこのグループに2亜種を追加してる。以下この記事による4亜種について。






@ Lucanus laminifer laminifer Waterhouse, 1890

写真左は北東インド Khasi Hill 産85mm 真ん中と右は Nagaland 産。





A Lucanus laminifer coronatus Zilioli, 1999

タイランド北部産で写真左80mmと真ん中は Chiang rai 産、右の個体は Doi Intanon 国立公園で採集されたもの。 Chiang rai, Wiangpapao からの個体で亜種 ssp. coronatus として記載されている。   一番左のものは大顎の湾曲が強いがこの個体だけの特徴(個体差)で普通は直線的。外見上の相違は頭部 のタテイタのカタチ (載せた写真では分かりません) くらいだが、小型個体でなければ区別できるようだ。





B Lucanus laminifer lucidulus Zilioli, 1999

3頭全てミャンマー中西部 Lim Kai, Chin Hills 産。この産地のものが ssp. lucidulus として記載されている。他との相違は頭部やその他には殆ど見られないようだが、大顎の内歯が一本少し長くなっている。ただしすべてには当てはまらないようで、中に他と区別が難しい個体もある。

追記: G.J.ARROW The Fauna of India 1949 のPlate III. に Lucanus laminifer Waterhouse, 1890 のタイプ標本とされる写真が載っているが、大顎の内歯の一本が出ていてこれと似ている。





C Lucanus laminifer vitalisi Pouiilaude, 1913

Mizunuma & Nagai 1994 (世界のクワガタムシ大図鑑) において laminifer の亜種の一つとして整理された。 他の亜種と比べて頭部の形状、大顎などに最も特徴があり区別しやすい。他の亜種よりは大きくならないようで、写真 の最大個体は73mm。北ベトナム、ラオス。

このタテイタミヤマの仲間は以前 (月刊:クワガタ狂の大馬鹿者達!1998年9月号) に投稿した事がある。早いもので それから10年以上経ってしまったが、あらためて見直すと当時のデジカメ写真は相当ひどい(笑)。 11年前のデジカメは35万画素でネットに載せる小サイズの写真なら十分だが、標本写真は中々上手く撮影できなかった。 何しろ写真撮影に関して全くの素人で、色々試行錯誤しながらやって来たのだが、最近は幾らかましな写真になって来たと自画自賛(笑)。これはカメラの性能によるところが一番大きくて昔のデジカメと比べて何しろ性能が良くなったのが嬉しい。



2009/03/01 - A.CHIBA -