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「宇宙無限力の活用」塩谷信男(著)(東明社 1994年7月)

→目次など

■人間の心と体、社会の不思議■
塩谷信男氏は、大恐慌の不況時に開業しながら患者のあふれる内科医として活躍し、84歳で閉院。その後、自身の編み出した正心整息法と宇宙無限力活用法の普及に努めて2008年に105歳で亡くなられました。奥様も99歳の長寿だったということです。

本書は、主にこのような塩谷氏の健康長寿にあやかりたい高齢者向けに書かれていると思われ、大きな活字が使用されていますが、むしろ若いうちに知ることで人生を 豊かにしてくれそうな内容になっています。 自叙伝のような形で実例を記したあとで、宇宙無限力について詳述し、結論という構成です。

著者は東大を卒業して医者を職業とするエリートでありながら、科学的に認められていない宇宙の無限力を信じ、実際に治療や長寿に活かしているという点に興味を覚えます。

宇宙には、科学者が認めない無限の力が満ちており、フリーエネルギーとして取り出し公害のない世界を実現できるとされています。 著者は、実際に生命線療法として手から放射することにより患者の治療に利用していました。

世の中には、触るだけでの体の悪い部分が分かる人がいたり、触ってもらうだけで確かに痛みが少し和らぐ感じがするなどという現象があります。 自分でもカンが鋭いと感じることもあります。したがって、本書に述べられているある意味奇跡的な出来事もまったく否定することはできないでしょう。

このような態度で本書を読みました。

呼吸法については、本書では簡単に説明されているだけで、図もないため、別の資料を調べて、手の組み方や丹田の位置を確認する必要がありそうです。 実際に行ってみると、丹田に力を入れて肛門を締めるようにすると体全体に酸素が行き渡ることが感じられます。 普段酸素不足になりがちな部分や、特に意識した部分から毒素が集まり、吐息と共に排出されていく感じもします。

また、引退後のリゾートマンション暮らしで居住者たちの間に生まれた対立を終わらせ、快適な交流のある場所に変えたエピソードは、 この方法によって平和な世界を実現できる可能性を感じました。

著者は人類は下等動物からの進化によって生まれた存在ではなく、この地球上に住むのに適した存在として創造主によって心の中に創り出された存在であるとしています。 この点は、私とは相いれません。『はだかの起原』や『人類史のなかの定住革命』にはこのサイズの生物がはだかになることや定住することのデメリットが指摘されており、 動物たちの生き方を知れば、動物たちは生き残り戦術が人類とは違うだけで優劣を付けることはできない存在であると考えているからです。

そのような相違はありますが、自分なりに宇宙無限力に変更を加えて、正心整息法を実践し、きっとよくなるとイメージすることで、新しい展開が見えてくると感じています。 たとえば、宇宙無限力を信じることは、人生にとって最も大切な根拠のない自己肯定感を持つことに通じるところがあると思われます。 また、理想の姿を思い描くことで行動に一貫性が出ることも考えられます。 調息は健康増進や直感力を高めることに通じそうです。

刺戟を与えてくれる一冊として本書をお勧めします。

内容の紹介


人生百般における実例
私は長い人生行路の道中で、この宇宙の無限力を、想念・内観・息法の形で、いろいろの方面に応用してきた。 小さい事にも、大きい事にも。 そしてしばしば予想外の成功を収めてきた。 また大変な恩恵を受けてきた。 これより、その小さいこと大きいこと、いろいろとり混ぜて書く。 - 15ページ


医局より追放される
大学を卒業して四年過ぎた時、物理療法を勉強しようと思って、東大に戻り物療内科に入った。 ところが一年経ったとき、思いがけないことが起こった。 当直の夜、一等室の患者が苦しみ出したから直ぐ来てくれという連絡が来たので早速駆けつけて見ると、なるほど苦しんでいる。 すこし考えるところがあって、注射をせずに、手を当てるだけにして治した。 ところがそれがいけなかった。 患者は翌日、担当医を代えてもらいたいと申し出てきた。 つまり私の患者になりたいというのだ。 一等室は医局長受け持ちで、入局一年目の私が受け持つわけにはゆかない。 ところがこの申し出に医局長がお冠りを曲げ、教授に報告した。 何かおまじないみたいなことをやったというのだ。 私は早速教授室に呼び出されて、一喝を食った。 そこで手を当てる治療の効果を申しあげたが、取り上げてもらえず、そんな非科学的な治療をやる者は、ワシの教室に置くことは出来ない。 即刻出て行け、破門するということになった。 - 18-19ページ


肉体面における実例
いろいろな健康法を研究しているとき気がついたことがある。 その創始者が案外短命なことである。白隠禅師や二木謙三先生のように長命の人もあったが、大部分は七十歳前に亡くなっている。 昔は平均寿命が短かったとはいっても、五、六十代で命を終えたのでは、その人たちによって創り出された健康法の価値は少ないと思う。
また健康法という時は、肉体面だけでなく、精神面の健康を齎らすものでなければならないと信じている。白隠禅師以外は、その点に関しては触れていないのが大部分であった。 また私は真の健康法は精神力の使い方にウエイトを置くべきだと信じている。 私の体験がそれを証明している。 - 92-93ページ


松下松蔵翁と私
さてここで一言述べておきたいことがある。
松下翁の場合でも、フィリッピン、ブラジル、ロンドン、インド、等の超能力者あるいは心霊治療家たちの挙げている奇跡的治療効果は、総てその施術者だけの能力である、 という点である。
しかるにこの書および前著において述べた宇宙の無限力による治療効果は、悉く万人に可能なのである。 超能力者や心霊治療家の挙げる効果には、まことに奇跡とよぶに相応しい場合がある。 しかし、宇宙力による治療効果は、いかに奇跡的に見えても奇跡ではない。 当然起こるべくして起こるのである。 したがって私にも起こせるし皆様方にも可能なのである。 私は前に前立腺肥大症を治した時、すべての医師は、これはあり得ないと断言した。 ところがあの書を読んで、実行して私同様全快した人がある。 前述の東京の牧師さんである。 全く奇跡でもなんでもないことがお解りいただけると思う。 - 156-157ページ

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「ルビリン」は東山動物園にいたアムールトラの名前です。土手で出会った子猫を迎え入れ、「るびりん」と命名しました。

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