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「里山資本主義―日本経済は「安心の原理」で動く」藻谷浩介 NHK広島取材班(角川Oneテーマ21 2013年7月)

■大前提を避けた本■

・『拒否できない日本』に描かれたように、独自のエネルギー政策を推進できない日本。
・『資本主義と自由』に描かれたように、どこまでも強者による身勝手な考え方を押し付けてくる資本主義。
・郵政民営化、米国債の大量購入などで奪われる日本国民の資産。
・大航海時代以降一貫して、世界中から略奪することで成立してきた欧米社会の優雅な生活。
・明治からの富国強兵策と戦後の高度経済成長という経済最優先路線がいずれも外からの圧力(別のIMF、世銀のようなもの)による強制であったという歴史認識。
・地方の経済的自立を阻むことでいいなりにさせてきた中央政府。
・押し付けられた経済発展を遂げるために一貫して地方を切り捨ててきた戦後の政策。
・日本人の遺伝子を根絶させたいかのように被害を過小に伝え続ける原発報道。
・日本の生態系・山村経済を破壊することを目的として推進されたかのような植林(雑木林がなくなり針葉樹林になったことの意味の大きさ)。

このような知識を前提として本書を読めば、本書の評価は自ずと決まることでしょう。
各地で取り込んでおられる人々から学ぶことはたくさんあります。たとえば、人々の取り組みにより、周防大島では人口の減少がほとんど止まるという画期的な成果がでていることを本書で知りました。
しかし、問題の根本解決に至る道は本書からは見えてこないと私は判断しました。

本書から


庄原市の中でもさらに外れにある総領地区に、日本人が昔から大切にしてきた里山暮らしを現代的にアレンジし、真の「豊かな暮らし」として広めようとする人物がいる。和田芳治さん、七〇歳。週に一回、自宅のすぐ裏にある山に登って木の枝を拾い集めるのが日課だ。最近、近所の人が所有していた裏山の一部、一ヘクタール分を買い取った。それがなんと九万円だったという。

かつて、日本人にとって山は大切な資産だった。良質な木材を産出し、薪や炭などの燃料を生んだ。一九七〇年前後には、一ヘクタールで九〇万円ほどの値段がついた時期もある。それが山の木が使われなくなって、今や一〇分の一ほどの値段で取引されているのだ。

しかし和田さんは、山の価値が下がったとは考えない。逆に無限の価値があると考える。 - 47ページ



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「ルビリン」は東山動物園にいたアムールトラの名前です。土手で出会った子猫を迎え入れ、「るびりん」と命名しました。

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